枇杷の葉なし

枇杷の生育や、葉・花芽・種のことを日々の生活のなかで書いていく。

連載11・キャベツ畑・・・

2022年04月30日 | Weblog
 拓也の心に、マリナ姫の声は伝わって来た。拓也が姿を見たからには、これまでの全ての記憶を消してしまうと話す。それは例え反対の気持ちがあろうとも、何かの折に言わないとも限らないからだ。これまでの出来事を思えば、お伽噺がそれを現わす。与ひょうもつうに覗くなといわれているのに機織り姿を見てしまうし、浦島太郎も乙姫からの玉手箱を開けたのだ。

 宇宙人が地球人として暮らしていることが知られれば、マリナ姫の存在も探られるだろう。科学の発展は目覚ましいが、時として最悪の展開ももたらせるの。避けられることは計画の中に入れて、決して外に漏らしてはならないと言うのだった。時間を戻したことで修正し直し、同時に拓也の記憶も消さなければ。拓也は、難しいことは分らないまでもうなづいていた。

 キャベツ畑に拓也はいた。おばあちゃんがキャベツに何やら話しかけて、畝を歩いていた。拓也は、お弁当を見せて大きな声で呼んだ。お弁当を持ってきたよ!お昼にしようよ。おばあちゃんが右手を上げて合図すると、拓也に向かって歩いて来る。物置小屋の外には、木で作ったテーブルと椅子があるのでお弁当を広げた。母さんが、毎朝きちんと作って置いてくれる。

 拓也は、お結びを頬張りながら中に入っていた梅干しの種を取り出した。何かが頭の中でチカチカする、思い出そうとするのにまるで霧がかかったようになる。おばあちゃん、これってなんだか宇宙船に似てるね。梅干しがかい?拓也の想像力にはついていけないわ、こんなへんてこな宇宙船なんてあり…。そう言いながら、おばあちゃんは拓也から目を離さないでいる。

 どうしたの?おばあちゃん、まるで宇宙船を見たような顔して。お前の頭の上に浮いていますよ、宇宙船は。拓也は言われて空を観て、ぎょっとした。うわぁぁぁぁぁぁぁ!な・何しに来たんだろ?僕は美味しくないよ、おばあちゃんも食べれないよしわくて。でも宇宙船・円盤からは誰も下りなかったし、拓也が腰を抜かす間もなく消えた。おばあちゃんも、一緒に。

 拓也は覚えていることがある。その風景が広がると、とても懐かしくやさしい気持ちになれる。でもそこにいる筈なのが、誰なのかも何であったのかもはっきりとはしない。声がすることもあるし、燦然と輝く七色の光が溢れて来ることにも遭う。拓也はキャベツを作りながら、もしかしたらここに宇宙人が棲んでいたのかもと思う。拓也は青く広がる宙へと微笑んだ。完

 キャベツ畑の宇宙人、長らくのお付き合いをありがとうございます。元の作品はもう少し長くて、原稿用紙に50枚~60枚程度です。当時は光瀬龍師が面白いと選評に書いてくれましたが、既に鬼籍です。書き直すにも時遅しですが、何かが後押しをしてくれました。ブロ友さんからの影響は計り知れずで、終了までお付き合い下さり感謝に堪えません。皆さん本当に有難う。
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連載10・キャベツ畑・・・

2022年04月29日 | Weblog
 拓也は、とっさに僕も行きたいとおばあちゃんに言った。どうしようかね、来なくても好いんだけどもと言葉をにごす。ここに置いてて何をするか不安も大きいし、いいわ行きましょう。それ・どういう意味さ、拓也の好奇心を知っているおばあちゃんだった。飛ぶわよ。あ・まただと思ったが、今回は頭がクラっとしただけで船の中にいた。拓也の身体も慣れたようだ。

 マザーコンピューターは、おばあちゃんを見ても驚きはしなかった。船の行く先を告げると、姫さまのなされることに同意しますと直ぐにスイッチを切り替えた。拓也には揺れも感じることなく、どこに向かっているのかは分からなかった。おばあちゃんは二つの椅子を浮かび上がらせ、拓也にすすめ腰を下ろした。椅子は、拓也が座ると身体に合せる形にと変わった。

 時間でいえば、ほんの数秒かと思えた。おばあちゃんは、とある場所に行き着くと二人を別々に下ろし見かけも換えてしまった。そうなんだ・時間を遡らせて、お祖父ちゃんでなく若い頃の身体にしていた。むろんあの方も同じにね。でもと拓也は、おばあちゃんに問いかけた。これでいいの?二度とお祖父ちゃんには会えないよ、おばあちゃん…言葉が途切れてしまう。

 お祖父ちゃんの人間への転換では、細胞自体が元に戻れなくなっているようだ。今後は地球人としての生き方しかできないから、とおばあちゃんは話す。いいのよ、これですっきりしたわ。拓也はふと気になって、ここって地球のどこなの?それは教えません。この地球では大勢の仲間が暮らしていますから、誰かが手を差し出してくれるでしょう。心配なことはないわ。

 さて、キャベツ畑に戻りますよ。おばあちゃんは、何事もなかったかのように拓也を見た。あ・おばあちゃん!じゃなくて、この人は誰?拓也の目の前に立つ姿はまさに姫さまそのものだった。光に包まれ、眩く輝いている。拓也は夢の中にいるのかと、思わず目をこすった。マリナ姫!これがおばあちゃんの本当の姿なんだ。身体から七色のオーラが放たれ頭に触覚が!

 弥生・大潮、八せん始まり 外は暴風雨で一歩も外には出られない。雨粒が窓を叩きつけて風は呻りをあげている。何だか地球が叫んでいるように思えるのは、空耳だろうか。人類よ何を求むのか?これ以上の贅沢な願いは止めて、新たなる未来へと向かわなければこの世は終わる。原発異存での生活を棄て、命あることに感謝していかなければならないことに気づいて。
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連載9・キャベツ畑・・・

2022年04月28日 | Weblog
 空中に浮かんでいるおばあちゃんは、微妙だにせず微笑みさえ見せている。ラ・ゲゲはといえば、左手に乗せた球の威力に頼り隙だらけ。でも、おばあちゃんは何もしない。拓也は、簡単にやっつけられるのに思う。それをしないのは、球の威力を知ってのことに違いない。この地球で爆発すれば予測不可能な事態になり、一瞬にして消えてしまうのではないかとも思う。

 と・おばあちゃんの身体にどこから集まって来たのだろう?青い・あおい膜が幾重にも重なり合って、おばあちゃんを包み込んでいく。まるで、宙と海とを混ぜ合わせた色だ。拓也は目を開けていられないその光に、思わず叫び声をあげた。おばあちゃん!オーロラを観ているようだった。光が十重二十重となったかと思うと、おばあちゃんから放たれラ・ゲゲを囲んだ。

 拓也は、目を閉じることもできずその光景を見ていた。ラ・ゲゲは青い炎に囲まれ包まれてしまい、遥かな彼方へと向かい消えた。おばあちゃんは、ラ・ゲゲの残した球を船に向かうようにセットした。拓也は、信じられない気持ちでおばあちゃんが降りて来るのを待った。あらら?おてもやんの衣装じゃないや、いつ着替えたのだろう。白く薄い布を身体にまとっている。

 ラ・ゲゲはどこに行ったの?決まった時を眠って過ごして、魂が再生状態になればどこかの星に生まれ変われるのよ。ふ~ん、死んじゃわないんだね?身体や記憶は消えてしまうけれども、魂はリサイクルできるからね。拓也にはおばあちゃんの言葉が静かに伝わってくると同時に、不思議な気持ちが膨れて来た。おばあちゃんを何があっても守ると決めた。それはお止め。

 えっ?拓也は眉をへの字にした。おまえが大きくなってみれば分かるわ、もっと大切に思える人が現れますよ。今9歳でしょ、10年までしないでもおばあちゃんより好きな子ができるから。おばあちゃんは目を細めて、マザーの所に戻らなくてはとつぶやいた。あの船の二人を送り届けなくてはならないわね、おばあちゃんの横顔がさみしそうなのに気づいて拓也ははっとした。
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閑古休題

2022年04月27日 | Weblog
 連載を楽しみにして下さっての方々、余りにも直ぐに終わらせたのではと延ばしています。読者の様々な思惑も感じていますし、この程度の結末だろうとの予測もありそうな気配です。今朝は、どうにか晴れたので庭を徘徊。薔薇の蕾の茎の辺りがアブラムシに付かれているのを、お酢と葫や唐辛子を浸けたのと混ぜて薄め噴霧した。無論のこと手作業でも行います。

 梅の木にもまぶれていたので、風通しを良くしようと枝を伐ることにした。今年は、5粒が見える。薔薇を挿し芽にしておこうと、茎を切ってあちこちに挿した。室内のランタナは新芽を出すと同時に、花も付けている。外に置けば小さなバッタが齧っているのが見える。自然界の掟ではあるが、命への在続には並大抵のことでは生きていかれない事情がと複雑だわ。

 昨夜は、リエさんと運よく連絡がついた。先日の山菜のお礼を言われ、とても重宝したのよとうれしそうな声だった。本を贈って貰うので申し訳なく思うばかりだが、今回は副収入で送ったまでだ。独活や椎茸、筍に蕨と花芽をぎゅうぎゅうに詰め込んだ。何でも遠方からのお客さまもあり、夕ご飯に役立ったと話す。枇杷葉茶も初飲用だったのか吃驚されたとかで。

 注意事項 拙ブログでのスピリチュアルやエンジェルナンバーは、訪問者の素直な気持ちにしか寄添えません。メディアに画像で流すこともなく、テレビは勿論のこと表立ってのことはしていません。従ってそういう系統の方のフォローは極力遠慮致します。個人の記録であり、それを信じて疑わない方にしか通じないの。その意味の為す処が理解出来ぬと無理。

 天啓は、一つとして同じことはなく個々に異なります。要は、一人ひとりが持つ役目が違うのです。けれども共通箇所や波動の重なることは多く、その結びつきは誰にも・本人にさえ壊せない。それが神の意志であり、為さねばならない使命なのです。高次元に立てば自ずと視え、解かるのです。自らがその域に達していると想えても、誰もが到達は不可能なのよ。

 
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宇宙からの声

2022年04月26日 | Weblog
 数字の連番が続いて見えるのは、宇宙からのメッセージと云う。だが最初からそれが分かって見えたのでもない。今までにも起きていたことに気づかなかっただけで、深くは想うこともなく通過していたのだ。決まった数字を頻回に視るし、何故か不思議な気持ちにも捉われる。それを知った時、自分の視えている超常現象への謎が更に広がって行き些細なきっかけで覚醒。

 自覚していなかっただけで、それなりの兆しは絶えず感じていたが信じることには至らなかった。仕事を辞めてからが転機だったのか、あっという間にブロ友さんが増え繋がりも強くなった。それが良いとか悪いとかでなく、分ってしまうことが不思議でならなくて。枇杷葉での飲用がここまでに影響するのか?否・一つのきっかけに過ぎなく、これは前世からの約束だ。

 宇宙に存在している時に、自ずと条件を書き連ねており妨げられることでない。それに気づけば高みに往けるが、そうでないと運気は平たいのだ。昨日、はっと想い中る。自分に足らなかったり持っていない物への執着は、ポジティブを願うことへと繋がるのではないか?そうでなかったら、相手のことを優先して考えるので感情を隠す必要はない筈。神からの伝言。

 ああ・だからこそ己を信じて進めと知らされたのだ。小細工をしなくても、此処が始まりであることは違わない。昨日、車で走行中に突然頭に響いた言霊。枇杷葉での援けには、これ程の意味があることに愕然と。自分の幸せは決して願うことも祈るものではなく、あらゆるもののバランスを崩さずにしていくことにある。祈るのも命への・自然への賛歌であるのだ。

 それが分かるものには与え、離れていくものには見返りを贈ろう。その結果、バランスは保たれていくだろう。使命を全うすることで、命を終えるのは知っているが還って逝く次元には弥勒が待つ。自然への気づきに感謝してこそ、今日の糧を戴ける。そろそろあの物たちを起こそう、大地が鳴り響き海が逆巻くだろうが恐れずにいよう。神々が雷を投げる日も近い。

 先日の選挙での手伝いで思わぬ報酬に、足湯に来る娘さんとお鮨を食べに。その後、珈琲と買って来たケーキとで満足です。幾ら食べても肥らない体質なのも有難く、美味しいとお腹一杯に。歩くこともなく、運動も一切しませんがモデル体型です。下手に歩けば転倒しかねず、何が愉しくて?誘われても行きません。五嶋みどりさん・チャイコフスキーを聴こう。
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連載8・キャベツ畑・・・

2022年04月25日 | Weblog
 おばあちゃん。拓也は、背筋を伸ばしてマザーコンピューターに挨拶をしているおばあちゃんを見つめた。その姿には姫としての威厳と、皆の無事なことを祈るやさしい思いがあふれていた。何でだよ、おばあちゃんのお祖父ちゃんへの気持ちはもう無くなったの?拓也、もう少し大きくなれば分るわ。それにね相手のことを想うのは、誰の為でもなくこのわたしにだよ。

 お祖父さんが・あの方との生活を選んだには深い気持ちがあるのでしょう。それを壊しても元には戻らないし、心の行方も分からなくなるの。今のままで十分です。記憶は換えられても想いは変わりません。拓也は、おばあちゃんの顔に一切の迷いがないことに気づいた。そう、ならいいんだ。拓也とおばあちゃんが、マザーコンピューターの部屋を出たその時だった。

 待て!ラ・ゲゲが二人の行く手をふさいだ。おや?誰かと思えば…。左手に小さな丸い球を乗せたラ・ゲゲが、おばあちゃんに詰め寄った。マリナ姫、ご一緒に来ていただこう。えらく威張った口を利いているが、隙だらけなのは拓也にも分かる。だって震えているのが見えるもの。拓也は、おばあちゃんを後ろに庇う体制になった。お止めなさいな、抵抗はしません。

 あのお方のおいでの所までは行きません、これ以上騒がせばあの方の心は壊れてしまうでしょうから。おまえに少しでもその気持ちがあるなら、解放しておくれ。おばあちゃんは、拓也を背中に押しやると怯むことなく言った。その手には乗らないぞ、この球の威力を知っているなら覚悟するんだな。知っていますとも投げたければやってごらん。あらら挑発してる。

 拓也、離れるんじゃないよ。いや・離れる気はないけど、最悪の事態が起こりそうな予感がする。ラ・ゲゲは気持ちが落ち着いていないのか左手に乗せた球が大きく揺れた。その瞬間、おばあちゃんは飛んで宇宙船の外へと一気に出た。拓也はまたもや胃のあたりが気持ち悪くなったものの、かろうじて土を踏んだ。おばあちゃんは、ラ・ゲゲと空中で向き合っていた。

 今朝は、どぴか~んとした晴れで白木香バラが咲いて風にそよぐ。Aさんちへのお水を分けて貰うのと、燃料補給にコンビニでの支払いを済ませた。光に変更したので、ネット環境は頗る好いのもうれしく実質千円という低価格にニンマリ。最近は、ゾロ目や数字も思いのままが出る。スピリチュアルが加わって、遠隔操作も可能という天啓に有難いことと感謝の日々。 
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連載7・キャベツ畑・・・

2022年04月24日 | Weblog
 拓也は、マザーコンピューターの声に機械というよりも人に近い思いを抱いた。星が壊れ行く先も決まらないで地球にたどり着いた、おばあちゃんの立場に深い思いがあるのも分かった。きっと姫として、大勢を守ることで夢中だったのだろう。宇宙船で着いた地球も、全員が無事で過ごせていかれたとも思えない。姿形を地球人に似せても命を終えた者もいただろう。

 おばあちゃんは、それを見て来て記憶しているだけに辛さも哀しみも多いのだ。拓也は今まで、気づかせなかった凄さをおばあちゃんに感じて胸が詰まった。マザーは続ける。最初はお二人は何をするにもご一緒でした。博士が人間に恋をするまでは…。地球での生活に慣れてきた博士は、好奇心といたずら心での姿形を変えて出掛けられたのですわ子どもの恰好で。

 えっ~!でも、お祖父ちゃんて宇宙人なんだろう?地球人にばれちゃうじゃないか。いいえ、博士はご自身の細胞を地球に適した環境に換えていましたから。ふ~ん、頭のいいのって何をするか分かんないね。拓也は、はっとした。そうか!だから行方不明になったと、母さんが話していたのか。拓也はごくんと唾をのみこみ、でも何で宇宙船にいるの?理解不能だ。

 いいよ、言わなくても。拓也はマザーコンピューターを制した。おばあちゃん、お祖父ちゃんを連れて帰ろうよ。だめよ拓也、地球人になってしまっている身体からは無理に引き離すと危険なの。父さんも母さんも、拓也だってそれはいやだ。お前たちはね、れっきとした地球人です。記憶を書き換えればどんなことも可能なのよ。じゃあ・僕はおばあちゃんとは他人。

 そうだね、異星人とも言うけどね。拓也は混乱する頭を振っきるように、おばあちゃんを見た。そんな・そんなことって!悪いジョウダンじゃないか。おばあちゃんは、このままでいいの?お祖父ちゃんとはなれ離れでも平気なの。拓也は、宇宙船をぶっ壊してやりたい思いになった。お祖父ちゃんて頭が良いだけだ、拓也は鼻の奥がつんとした。僕が守ってあげるよ。

 お祖父ちゃんなんかに渡さないよ、おばあちゃんのことは。よし!あの方のおいでだという所に行こう、そうしてさよならしてやるよお祖父ちゃんに。会いませんよあの人には、帰りましょう。おばあちゃんはにっこりして拓也を促した。けんかはだめ!仲間同士の争いも許しません。この秘密が広まれば、地球で暮らしている他の者にも迷惑がかかりるの。却下です!
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連載6・キャベツ畑・・・

2022年04月23日 | Weblog
 木香バラが咲き出し、芍薬の芽が出てきらん草も花が見える。玄関の左手のドイツスズランは、あっという間に出没して花房を付けてだ。エンジェルナンバーが持つ意味も明確になるわ、運気の反転に息を吞む。枇杷葉のパワーもあり白龍の支えにも縁って、最下位から脱出した。想うことが叶うし、超常現象が次々と起きる。鉢の枇杷種が10ヶ月後発芽した。下弦・小潮。

 えっ?姫…、それはもしかしておばあちゃんのこと・かな。そうだよね、機械が嘘を言うはずないから。うそとも言えなくはないけどビンゴ。すました顔でおばあちゃんは言い、あちらはどうなさってるのと問うた。あまり良い状況ではありませんが、お変わりなくお過ごしです。そう、それは何よりです。あのお方は何が不満というのだえ、何もかもお持ちであるのにね。

 そういうのが不満の現われで、一日中姫さまが来やしないか眠れずなのです。何が起きたというの?こちらは姿を見せることさえしていないのに。コンタクトはされていますね。と、おばあちゃんの表情がやさしくなった。してはいるけども、応えは全くないわ。あのお方には、それが一番にお怒りのご様子です。研究は進んでいるの?はい優秀でございますから着々と。

 マザーが付いていれば何も困らないでしょう。それが姫さま、助手のラ・ゲゲが…博士の計画を知ってしまいあのお方にあることないことを言いつけまして。おばあちゃんは、マザーコンピューターに左手を見せた。ということは、博士の記憶を入れ換えたのかい?そうです、過去一切が消されました。姫さまのことは何も覚えておられませんからお会いされても無理かとも。

 じゃあ、お祖父さんを連れ出すのはできないね。はい、姫さま。拓也は、黙って聞いていたが博士と言うのがお祖父ちゃんなのは分った。ラ・ゲゲというのは、あのド派手な格好をして母さんを連れて行こうとした者に違いない。あの方は謎だが、おばあちゃんが姫さまなら向こうも同じだろう。それにしても、お祖父ちゃんとおばあちゃんはいつ、地球にやって来たの?

 我々の棲む星が爆発してしまうことが分かったのです。空間移動をすれば簡単ですが、どこに行くかが問題でした。脱出時には何艘もの宇宙船に別れて乗り、あらゆる生命体反応のある星をめざしました。わたくしたちは、拓也さんが地球と呼ぶ星に降り立ったのです。その星の生き物たちと共存するには、姿形を変えて疑われないように気を配り努力しての生活でした。
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連載5・キャベツ畑・・・

2022年04月22日 | Weblog
 夜更けのこと。おばあちゃんは、父さんと母さんとに家で待機するように伝えると拓也を手招いた。勝手な行動をしないと約束する?拓也は無言で頷いた。山の池まで行くことと、宇宙船内に潜り込むことを話すおばあちゃんは、まるで遠足に出かけるようだった。何?その恰好!あらっ、相手の目を眩ませて目的を果たしたら、ここに帰ってくるためです。

 だからって、おてもやんじゃないか。じゃあ僕は何を着ようかな?そのままでいいよ、靴だけはこのブーツを履くといい。差し出されたブーツは大きさこそ違うが、おばあちゃんも同じだ。拓也は外に出ようとすると、直ぐに出発すると言われ慌ててブーツを履いた。おばあちゃんは拓也の腕を掴むと、いいかい少し息苦しいかもしれないけど飛ぶからね。

 そのとたん、目の前がぐるりと回った気がして拓也は夕食を戻しそうになった。しっかりしなさいよ、まあ初めてのことだからしかたがないわね。拓也は、自分の身体が宙を移動しているのを知った。と思う間に池のほとりに着地した。おばあちゃんは、宇宙船の様子を伺い外には警備の者がいないのを確かめると池に入って行く。青白い光に包まれて。

 水中を進んでも、濡れないし溺れないのは防護膜・バリアーなのだろう。宇宙船の入口なんて、どこにもないじゃないかと拓也は思ったがおばあちゃんは停まらない。右手に持ったペンライトを外壁に当てると、少しの隙間が出来た。おばあちゃんは、身体を通すと拓也も続いた。二人が通過すると、何事もなかったように隙間が閉じられた。へぇ~便利だ。

 船内を歩くとブーツの音がしないか気になったが、靴底には消音機能が付いているようで僅かもしない。拓也は、SF映画やコミックでの戦闘シーンを描いていたのでがっかりした。つまらないこと考えるんじゃないよ、この船が壊れたら直せないんだからね。うん・了解しました。奥に進んでいたおばあちゃんの足が急に停まり、通路の壁に身を張り付けた。

 またもや取り出すペンライト。と、音もなく壁が開いた。拓也が目を見開いてあっ気に取られたのは、機械がでんと居座っていたからだ。これってきっとマザーコンピューターなのだろう。それは機械のあちこちと点灯させる動きをしていたが。おかえりなさいませ姫さま、よくぞご無事で…。その声がなぜか、今にも泣き出しそうなのを拓也は感じていた。
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連載4・キャベツ畑・・・

2022年04月21日 | Weblog
 拓也は、はっとした途端に隙が出来た。派手な衣装の方・どんな格好かって?う~んとね、まるで毛虫にそっくりな黒とオレンジの縞々模様。それも見ている内に目がクラクラしちゃう、心もざわついてくるような衣装。拓也が母さんに飛びついたのと同時に、派手な衣装は消えた。母さん、よかった。拓也は母さんの無事なことが分かってほっとした。でも何者?

 そうだ。おばあちゃん、どこにいるんだ出て来てよ。拓也は、すっかり口をへの字にしてしまった。それに母さんの心一杯に、不安が広がるのを感じる。おばあちゃんは、返事をするどころか姿さえ見せないでいる。あ・父さんはどこだろう…拓也は母さんと服に付いた汚れを払って、家に入った。台所で夕ご飯を作る母さんと、それを上目使いに見ている拓也。

 あいつは何者?誰なんだろう。拓也の家の周りで、何かが起きているのは確かだけどまるで曇り空のように向こうが見えない。でも、と拓也は考えた。パセリや柚子の葉を好物にする生き物は、見かけは気味悪いが蛹からかえれば美しい蝶へと変わる。じゃあ、あれはそういう生態系を持つ彼方からの。その通りだよ、良く分かったね。お・おばあちゃん、今頃!

 拓也は、おばあちゃんに避難がましい視線を向けた。襖の間から現れるなんて!今までそこに隠れてたの?あらっ、助けてやったのに何てこと言うんだろ。可愛げのない孫だね。おばあちゃんは、台所の母さんを見て頭を下げた。ごめんなさいとし子さん、怪我はなかったかい?ええ、心配しないでだいじょうぶです。今晩は、緊急会議になるからお結びだわ。

 そうだ、ちゃんと説明してもらいたい。一体何がどうなってのことなのかを。拓也はくちびるをぎゅっと結んでおばあちゃんを見た。混み入った話は後です、作戦を練っていかないと相手が悪すぎるんだわ。そうですね、こんな形でやって来るとは思いませんでした。あちらは相当に焦っている気がします。母さんはおばあちゃんを気遣いながら声を落とした。

 それにおじいちゃん…。拓也はその言葉を聞き逃さなかった。おじいちゃんて行方不明なんでしょ?山で迷子とかじゃなく、あの円盤に捕まってる気がするよ僕。そうなのさ、あれは未知からやって来た円盤・宇宙船であれに乗って何十年も前のここに着いたの。お・おばあちゃん!本当に彼方から来た宇宙人なの?こんなことじょうだんで言えると思えるかい。
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