ふみこは、身体に異変を感じる。それが何であるのか、どういうことなのかは簡単に説明できないが同じことを繰り返して?と思えてしまう。ある一定の処までいき、微妙な変化が転じると起点に戻る気がする。一瞬の戸惑いや迷いに疑念を抱くと、それを考えられない時に還って新たな始まりに繋がっていくのだ。
その都度、これじゃない・違うのと心で叫ぶ。すると、場面が変わり願いに相する展開となる。記憶の片隅には、何度も見た顔と心地良い声が聴こえ来るが。肝心な名前が思い出せないものの誘っていく流れがあり、ふみこはそれに乗る。情景は不透明でありながらも、同じ人が傍にいて交す言葉は歓びに包まれる。
だがふみこは疲れてもいた。祖母の声…幼児のけたたましい叫びが走馬燈のように廻る。何処に行こうとしているのか?何を・誰を捜しているかがわからなくなる。心に空洞があっても意志を持たなくても、生きているのだからと云うささやきを聴いた。ふみこは心の扉に鍵をかけ、閉ざしてしまおうと決めていた。
ふみこは数人の他人から求婚されたが、何処にも行く気がしなかった。兄の口利きで本屋に勤めるようになり、慣れない仕事に張り切っていた。自転車での配達は雨の日は困るが、見知らぬ場所に行くのは楽しかった。商店街には中学校の同級生が何人もいて、少女のままで飾らずなのもうれしい。笑顔が増えていく。
本屋で、本が読めると思ったふみこだが、早朝に荷物が届き仕分けして配達ではその時間はない。荷物は重い上に落としたら用が為さない品物で、立ち読みはあるしバスの行き来で土埃が積んでいく。小まめな掃除は怠れず、ふみこの用事は幾らでも押し寄せて来る。唯一、本に囲まれてが救いで身体を動かせていた。
その都度、これじゃない・違うのと心で叫ぶ。すると、場面が変わり願いに相する展開となる。記憶の片隅には、何度も見た顔と心地良い声が聴こえ来るが。肝心な名前が思い出せないものの誘っていく流れがあり、ふみこはそれに乗る。情景は不透明でありながらも、同じ人が傍にいて交す言葉は歓びに包まれる。
だがふみこは疲れてもいた。祖母の声…幼児のけたたましい叫びが走馬燈のように廻る。何処に行こうとしているのか?何を・誰を捜しているかがわからなくなる。心に空洞があっても意志を持たなくても、生きているのだからと云うささやきを聴いた。ふみこは心の扉に鍵をかけ、閉ざしてしまおうと決めていた。
ふみこは数人の他人から求婚されたが、何処にも行く気がしなかった。兄の口利きで本屋に勤めるようになり、慣れない仕事に張り切っていた。自転車での配達は雨の日は困るが、見知らぬ場所に行くのは楽しかった。商店街には中学校の同級生が何人もいて、少女のままで飾らずなのもうれしい。笑顔が増えていく。
本屋で、本が読めると思ったふみこだが、早朝に荷物が届き仕分けして配達ではその時間はない。荷物は重い上に落としたら用が為さない品物で、立ち読みはあるしバスの行き来で土埃が積んでいく。小まめな掃除は怠れず、ふみこの用事は幾らでも押し寄せて来る。唯一、本に囲まれてが救いで身体を動かせていた。