■ 岩国基地の暴行犯4名、軍法会議へ
2007年10月に広島市内に住む当時19歳の少女を集団で暴行したとされる、岩国基地所属の米兵4名が軍法会議にかけられることが決まりました。この4名については、性的暴行・共謀・窃盗・命令不服従などの容疑について2月中旬に基地内の法廷で予備審問を受けており、審問に際しては被害者の女性も証言に立ちました。
軍法会議の模様は報道陣にも公開される予定だということですが、日程は未定となっており、今後の行方について注目したいと思います。
■ 広島と沖縄の「不起訴」
さて、こうした在日米軍兵士による卑劣な犯行は後を絶ちません。2月に起きた沖縄での事件で被害者となったのは、わずか14歳の少女でした。屈強な米兵の暴力にさらされた少女の恐怖と苦痛を思うと、言葉を失います。
この二つの事件に共通しているのは、双方とも日本では「不起訴」となっているということです。
広島の事件では、検察側が被害者と容疑者の供述に食い違いがあるとして起訴を見送りました。容疑者4名が口裏を合わせている可能性などについて、どこまで考慮されたかは明らかではありませんが、この「不起訴」処分については、極めて疑問が残ります。だからこそこの4名は軍法会議にかけられることになったのです。
■ 被害者への心ない攻撃
沖縄の事件では、被害者が「これ以上事件に関わり、注目を集めたくない」として告訴を取り下げました。捜査当局や検察当局も「精神的打撃を受けた被害者から事情を聞くことは困難で容疑者を起訴する十分な証拠を集められなかった」とし、「不起訴」を余儀なくされました。これは検察当局より、むしろ「基地」そのものへの批判を嫌い恐れる、産経新聞などの一部メディアや一部の国会議員、そしてネット上のブログや掲示板における、被害者やその家族への心ない攻撃が大きな原因の一つとしてあると思います。
■ 米軍犯罪根絶を阻害するもの
その中でも、嘆かわしいのが「危険な米兵に近付いた少女に非がある」「教えなかった家族に非がある」などという論調です。では彼らは日頃「在日米軍は危険だ」「米兵は危険なので近付くな」という情報を発信してきたとでも言うのでしょうか。
米兵による犯罪の根絶を阻害している要因に、日米地位協定の問題があり、在日米軍が関係した犯罪における日本の捜査当局の無力さや「及び腰」があることは言うまでもありませんが、犯罪者である米兵を庇い、被害者の日本人少女を貶めるという、卑屈で「恥ずかしい」日本人の存在もまたその一因でしょう。
在日米軍による事件・事故は、累計で二十数万件にも及びます。これには返還前の沖縄で起きたものや、犯行後に基地に逃げ帰り「うやむや」にされたものなどは含まれていません。実際には三十万件になるのか四十万件になるのか分かりませんが、その度に飛び交う「遺憾」「再発防止」「綱紀粛正」の言葉とは裏腹に、今日もまた米兵による犯罪のニュースが流れています。
そのニュースの数だけ被害者が存在し、犯罪と攻撃という二重の苦痛を味わっていることに、私は情けない思いで一杯です。
■ 緊張感と危機感
こうした被害者を救うために、私たちは何をしなくてはならないのか、もう一度、真剣に考える必要があると思います。
もちろん在日米軍に日本から出て行ってもらうことが最も効果的なのですが、残念ながら今はそれを望める状況にはありません。
いま最も重要なことは、日本側にも米軍側にも高い緊張感を持たせることだと思います。外国に駐留する米軍がその国々で事件・事故を起こし、そのために抗議行動や排斥運動に遭ってきたことが思い出されます。このように「下手なことをすれば、自分たちが追い出されるかもしれない」という危機感を米国側に持たせることだと思います。
また、日本政府や与党にも「対応を誤れば、自分たちの立場も危うくなる」という危機感を持たせなければなりません。
■ 基地容認派の過ち
基地容認派や親米保守派の人々は今回、基地反対の声が高まることや、米軍再編への影響を恐れる余り、被害者を攻撃するという過ちを冒しました。これは米軍や政府・与党に、緊張感・危機感どころか「何をしても擁護してくれる日本人がいる」という意識を、植え付けかねません。
それで再発防止が望めるでしょうか。再び被害者が出ることを防げるでしょうか。そうなれば再び基地反対の声が高まるのではないでしょうか。それとも、再発防止策も全て「米国任せ」で良いと言うのでしょうか。
日本に米軍がいてほしいと思うならば、真摯に再発防止を行わせ、「米軍は安全だ。パートナーだ。日本を守ってくれているのだ。」と宣伝すべきでしょう。私のような基地反対派との議論はそれからでも良かったはずです。
■ 真の再発防止のために
今回の二つの事件の加害者の処断は、どちらも米軍の手に委ねられました。
日本国内での犯罪の追及を、日本という国家が諦めてしまったのです。その犯罪による、日本人の被害者を、日本という国家が救うことができなかったのです。
これ以上の「国辱」があるでしょうか。
今回のような悲しい事件を少しでも防ぎ、新たな被害者を出さない、真の再発防止のために、基地容認・基地反対を問わず、多くの日本人の皆さんが、米軍や政府に緊張感と危機感を持たせるためのご協力をお願いしたいと思います。
2007年10月に広島市内に住む当時19歳の少女を集団で暴行したとされる、岩国基地所属の米兵4名が軍法会議にかけられることが決まりました。この4名については、性的暴行・共謀・窃盗・命令不服従などの容疑について2月中旬に基地内の法廷で予備審問を受けており、審問に際しては被害者の女性も証言に立ちました。
軍法会議の模様は報道陣にも公開される予定だということですが、日程は未定となっており、今後の行方について注目したいと思います。
■ 広島と沖縄の「不起訴」
さて、こうした在日米軍兵士による卑劣な犯行は後を絶ちません。2月に起きた沖縄での事件で被害者となったのは、わずか14歳の少女でした。屈強な米兵の暴力にさらされた少女の恐怖と苦痛を思うと、言葉を失います。
この二つの事件に共通しているのは、双方とも日本では「不起訴」となっているということです。
広島の事件では、検察側が被害者と容疑者の供述に食い違いがあるとして起訴を見送りました。容疑者4名が口裏を合わせている可能性などについて、どこまで考慮されたかは明らかではありませんが、この「不起訴」処分については、極めて疑問が残ります。だからこそこの4名は軍法会議にかけられることになったのです。
■ 被害者への心ない攻撃
沖縄の事件では、被害者が「これ以上事件に関わり、注目を集めたくない」として告訴を取り下げました。捜査当局や検察当局も「精神的打撃を受けた被害者から事情を聞くことは困難で容疑者を起訴する十分な証拠を集められなかった」とし、「不起訴」を余儀なくされました。これは検察当局より、むしろ「基地」そのものへの批判を嫌い恐れる、産経新聞などの一部メディアや一部の国会議員、そしてネット上のブログや掲示板における、被害者やその家族への心ない攻撃が大きな原因の一つとしてあると思います。
■ 米軍犯罪根絶を阻害するもの
その中でも、嘆かわしいのが「危険な米兵に近付いた少女に非がある」「教えなかった家族に非がある」などという論調です。では彼らは日頃「在日米軍は危険だ」「米兵は危険なので近付くな」という情報を発信してきたとでも言うのでしょうか。
米兵による犯罪の根絶を阻害している要因に、日米地位協定の問題があり、在日米軍が関係した犯罪における日本の捜査当局の無力さや「及び腰」があることは言うまでもありませんが、犯罪者である米兵を庇い、被害者の日本人少女を貶めるという、卑屈で「恥ずかしい」日本人の存在もまたその一因でしょう。
在日米軍による事件・事故は、累計で二十数万件にも及びます。これには返還前の沖縄で起きたものや、犯行後に基地に逃げ帰り「うやむや」にされたものなどは含まれていません。実際には三十万件になるのか四十万件になるのか分かりませんが、その度に飛び交う「遺憾」「再発防止」「綱紀粛正」の言葉とは裏腹に、今日もまた米兵による犯罪のニュースが流れています。
そのニュースの数だけ被害者が存在し、犯罪と攻撃という二重の苦痛を味わっていることに、私は情けない思いで一杯です。
■ 緊張感と危機感
こうした被害者を救うために、私たちは何をしなくてはならないのか、もう一度、真剣に考える必要があると思います。
もちろん在日米軍に日本から出て行ってもらうことが最も効果的なのですが、残念ながら今はそれを望める状況にはありません。
いま最も重要なことは、日本側にも米軍側にも高い緊張感を持たせることだと思います。外国に駐留する米軍がその国々で事件・事故を起こし、そのために抗議行動や排斥運動に遭ってきたことが思い出されます。このように「下手なことをすれば、自分たちが追い出されるかもしれない」という危機感を米国側に持たせることだと思います。
また、日本政府や与党にも「対応を誤れば、自分たちの立場も危うくなる」という危機感を持たせなければなりません。
■ 基地容認派の過ち
基地容認派や親米保守派の人々は今回、基地反対の声が高まることや、米軍再編への影響を恐れる余り、被害者を攻撃するという過ちを冒しました。これは米軍や政府・与党に、緊張感・危機感どころか「何をしても擁護してくれる日本人がいる」という意識を、植え付けかねません。
それで再発防止が望めるでしょうか。再び被害者が出ることを防げるでしょうか。そうなれば再び基地反対の声が高まるのではないでしょうか。それとも、再発防止策も全て「米国任せ」で良いと言うのでしょうか。
日本に米軍がいてほしいと思うならば、真摯に再発防止を行わせ、「米軍は安全だ。パートナーだ。日本を守ってくれているのだ。」と宣伝すべきでしょう。私のような基地反対派との議論はそれからでも良かったはずです。
■ 真の再発防止のために
今回の二つの事件の加害者の処断は、どちらも米軍の手に委ねられました。
日本国内での犯罪の追及を、日本という国家が諦めてしまったのです。その犯罪による、日本人の被害者を、日本という国家が救うことができなかったのです。
これ以上の「国辱」があるでしょうか。
今回のような悲しい事件を少しでも防ぎ、新たな被害者を出さない、真の再発防止のために、基地容認・基地反対を問わず、多くの日本人の皆さんが、米軍や政府に緊張感と危機感を持たせるためのご協力をお願いしたいと思います。