ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第94巻-2誇り高き葡萄酒

2007-09-08 23:27:55 | 第091巻~第095巻

■誇り高き葡萄酒(第318話) 発表1990年11月

評価   ★★★

依頼人   ロマネ・モン・リュイザンのオーナー「ジャン・シャルル・ガイヤール」

ターゲット 偽の1800年ものロマネ・モン・リュイザン

報酬    不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,747

今回殺害人数         0/ 通算殺害人数   3,904

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
世界最高峰のワイン「ロマネ・モン・リュイザン」。1800年ものの「ロマネ・リュイザン」がオークションで競り落とされたが、偽物だった・・・

<この一言>
苦い・・・誇りは気高いが、過剰になれば傲慢だ・・・それは苦々しいだけだ・・・

<解説>
ジャパン・マネーが世界中を席巻、あらゆるものがYENで買い漁られていた時代。フランスの誇りと文化の象徴とも言うべきワインもジャパン・マネーの標的となっていた。世界最高峰のワイン「ロマネ・モン・リュイザン」のオーナー「ジャン・シャルル・ガイヤール」は、日本人「ヤナギダ」が1800年もののロマネ・モン・リュイザンをオークションで競り落とすと読んで、1905年もののロマネ・モン・リュイザンを1800年ものとして売りに出す。

ガイヤールの読み通り、ヤナギダがニセの1800年ものロマネ・モン・リュイザンを競り落とすが、ヤナギダはガイヤールが偽物を売りに出したのでないかと疑う。ヤナギダはパーティーを開催し、フランスのトップクラスのソムリエを招いて1800年もののロマネ・モン・リュイザンを味わってもらうことを計画する。

ヤナギダがパーティーを開催することを知ったガイヤールは、偽物を販売したことが発覚することを恐れ、ゴルゴに「ニセの1800年ものロマネ・モン・リュイザン」の狙撃を依頼する。パーティー当日、ロマネ・モン・リュイザンの栓を開ける瞬間に瓶を撃ち抜いて欲しいという難度の高い依頼である。パーティー当日、ロマネ・モン・リュイザンの栓を開けるよう指名を受けたのはガイヤール本人であった。恐怖のあまり手が震えるガイヤールであるが、ゴルゴはワインの瓶を打ち砕く。

作中の「ロマネ・モン・リュイザン」は「ロマネ・コンティ」のパロディか?
ガイヤールから依頼を受けた際、ゴルゴが本物の1800年ものロマネ・モン・リュイザンを評価してつぶやくセリフが渋い。
「苦い・・・誇りは気高いが、過剰になれば傲慢だ・・・それは苦々しいだけだ・・・」
その直後、ゴルゴはガイヤールに背を向けて立ち去る。ここまで背後を無防備に晒すゴルゴは珍しい。少々、自信が過剰であったか・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (94)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第94巻-1北の暗殺者

2007-09-07 23:16:23 | 第091巻~第095巻

■北の暗殺者(第317話) 発表1989年5月

評価   ★★★★

依頼人   ISAFP(国軍情報部)ルイス・ベラスコ

ターゲット 共産ゲリラ”アレックス・ボンカヤオ旅団”の暗殺教官イゴール・ギメルシュ/ソフィア・ノバコフ

報酬    $1,000,000

今回弾丸発射数       9/ 通算弾丸発射数 1,746

今回殺害人数        16/ 通算殺害人数   3,904

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
フィリピンの共産ゲリラ”アレックス・ボンカヤオ旅団”にソ連からの暗殺教官が殺人術を指導。教官の殺害依頼を受けたゴルゴは・・・

<この一言>
自動車ドロ。それが運悪く、覆面パトカーだったんだ・・・

<もう一言>
どちらが先に撃つか、で・・・勝負は決まる。向こうが先なら・・・それで”終わり”だ・・・

<解説>
フィリピンの共産ゲリラ”アレックス・ボンカヤオ旅団”にソ連の暗殺教官が殺人術を指導していることが判明。フィリピン国軍情報部は、ゴルゴに二人の暗殺教官「イゴール・ギメルシュ」と「ソフィア・ノバコフ」の殺害を依頼する。しかし、二人は絶壁の上にあるアジトにて指導を行っており、アジトに近づくにはガケをロッククライミングで登るか、見張りの厳しい一本道を突破するしか方法がないと思われた。

一計を案じたゴルゴは、黒い小型気球で闇に紛れてガケ上のアジトに乗り込む。食事を摂らずに体重をそぎ落とし、軽量化のためにライフルではなくアーチェリーを携えたゴルゴは音もなくアジトに潜入、ノバコフとギメルシュを2本の毒矢で仕留める。

気球を用いた大胆な潜入方法に驚かされる。アーチェリーで殺害というのも珍しいし、携帯している拳銃がいつもの「スミス&ウェッソン」ではなくオートマチック式の拳銃であることも珍しい。しかし、何よりレアなのは、本作のゴルゴが非常に饒舌であることだ。

国軍情報部「ルイス・ベラスコ」から説明を受ける際も、積極的に会話に加わっている。また、シスターに扮した女性情報部員に対しても、通常ならば決して答えないであろう殺害方法に関する質問に回答している。銃を持ったギメルシュに対峙した祭も、「能書き」を垂れてから毒矢を放っている。なにより傑作なのは、共産ゲリラに囲まれた際、肩をすくめながら顔に笑みを浮かべて、「自動車ドロ。それが運悪く、覆面パトカーだったんだ・・・」と軽口を叩いているシーンだ。ゴルゴが冗談を飛ばすのは、第1巻-1『ビッグ・セイフ作戦』での「領収書はいらないだろうね?」以来ではなかろうか。

ズキューン

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ゴルゴ13第93巻-3 Kデー・カウントダウン

2007-09-04 23:45:57 | 第091巻~第095巻

■Kデー・カウントダウン(第316話) 発表1991年5月

評価   ★★★★★

依頼人   ①不明 ②アメリカ国防長官

ターゲット ①コロンビア麻薬組織のブレーン S・ルキャーノ ②PLFテロリスト/エルンスト・ヒルシュ博士

報酬    ①不明 ②不明

今回弾丸発射数       7/ 通算弾丸発射数 1,737

今回殺害人数         9/ 通算殺害人数   3,888

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
1990年8月サダム・フセイン率いるイラクがクウェート侵攻。翌91年1月国連決議に基づくイラク撤退期限後、多国籍軍がイラクを攻撃。歴史の裏でゴルゴは・・・

<この一言>
俺は・・・仕事を引き受けると言ったが、スケジュール管理を頼んだ覚えはない・・・

<もう一言>
チャンスは一瞬でいい・・・

<解説>
1990年8月2日、サダム・フセイン率いるイラクがクウェート侵攻。90年11月29日、国連安保理は、91年1月15日をイラク撤退期限とし、イラク軍が撤退しない場合、武力行使をとることを決議した。

イラクは「エルンスト・ヒルシュ博士」の開発した『石油を分解』する微生物を用いて他国の石油を燃料として使用できないようにする計画を企てる。イラクが石油利権を握ることで世界制覇を目論もうというのだ。

イラクの陰謀を察知したアメリカ政府はゴルゴにエルンスト・ヒルシュの殺害を依頼する。しかし、同時期にソ連では保守派の実力者「バルゼーエフ」がPLFテロリストに人質にとられる事件が勃発。テロリストは国連安保理決議の白紙撤回を要求する。ゴルバチョフ大統領はブッシュ大統領にゴルゴによるバルゼーエフ救出作戦を実施するよう協力を要請する。米ソトップ会談により、ゴルゴはバイカル湖畔でPLFテロリストを狙撃した後、イラク国内でエルンスト・ヒルシュ博士を狙撃するという短期間に長距離移動を必要とするミッションを引き受けることとなった。

バイカル湖畔に到着したゴルゴは、爆破スイッチを持ってたてこもるテロリスト3名を夜間長距離狙撃で秒殺。ジープ→ジェット機→ヘリと乗り継いでヒルシュの乗るジェット機を捕捉する。着陸直前のジェット機の下にヘリを潜らせ、着陸用車輪の主軸を狙撃、胴体着陸を余儀なくされたジェット機は燃料を減らすために上空を旋回する。この間、ゴルゴは飛行場を見下ろす岩場をフリーハンドクライミングで登りきり、ジェット機からヒルシュが降りるのを待ち構える。ジェット機が胴体着陸に成功し、ヒルシュがタラップに降り立つやゴルゴの銃弾がヒルシュを捉え、さらに漏れ出したジェット燃料を狙い機体もろとも『石油を分解する微生物』を焼き払う。

ゴルゴがミッションを完遂させたのを受け、イラク撤退期限を19時間過ぎた後、父ブッシュの「Now,Go Ahead」という掛け声とともにイラク空爆が開始され、湾岸戦争の火蓋が切って落とされた・・・

湾岸戦争開始までの息詰まるような展開を描いた名作。事実と虚構が交錯し、各国首脳陣とゴルゴが絡み合うストーリーは読み応えがある。サダム・フセイン/ゴルバチョフ大統領/PLOアラファト議長/父ブッシュ大統領/コリン・パウエル/ラムズフェルドなどが登場、混沌とした世界の幕開けとなる湾岸戦争をテーマにしており、読み返すたびに新たな発見がある。

ズキューン

ゴルゴ13 (93)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
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ゴルゴ13第93巻-2マンモスの牙

2007-09-02 23:44:18 | 第091巻~第095巻

■マンモスの牙(第315話) 発表1991年2月

評価   ★★★

依頼人   カナダ財界人クロフォード

ターゲット KGBの実力者チェルネイフスキイ

報酬    不明

今回弾丸発射数       5/ 通算弾丸発射数 1,730

今回殺害人数         3/ 通算殺害人数   3,879

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
ペレストロイカ後、急速に自由経済化が進行するソ連。外貨獲得のためマンモスの牙を巡る暗闘が繰り広げられる・・・

<この一言>
これは・・・戦争だ・・・

<解説>
ペレストロイカ後、急速に自由経済化が進行するソ連。官僚組織ごとの採算が問われ、外貨獲得が至上命題となっていた。北方石英貴石公団はカナダ財界と組んで合弁会社を設立、マンモスの骨格や牙を売買する計画を立てる。同じくソ連の科学アカデミーもKGBと組んで、マンモス利権を確保するために貴石公団の発掘したマンモスを横取りしようと企てる。

カナダ財界人「クロフォード」はKGBの「チェルネイフスキイ」が貴石公団の利権を侵すことを恐れ、ゴルゴに「チェルネイフスキイ」の狙撃を依頼する。

ゴルゴは貴石公団の発掘隊に帯同するも、KGBの妨害工作により武器を失い丸腰でチェルネイフスキイとその用心棒「ヘルムート」に対峙する。氷結した湖に丸腰で佇むゴルゴであるが、湖面に身を隠すやマンモスの牙を削った石器を拾い、ヘルムートに投げつけて殺害、銃を奪ってチェルネイフスキイを殺害する。

ソビエト連邦崩壊後の経済混乱を記した作品。計画経済から自由経済への急激なシフトがもたらす負の側面がリアルに描かれている。クロフォードのセリフ「ペレストロイカの成功よりも、どれだけの”資本”を自分の手の中に納められるか・・・」が、今日のロシアの社会と経済の混沌とした状況を予見している。
プーチン大統領に連なるKGB人脈は今日も着々と資本を蓄えて権力を握り、放射性物質によるリトビネンコ暗殺や真実を暴こうとするジャーナリスト殺害を企てているのだろう・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (93)巻掲載
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ゴルゴ13第93巻-1クロスアングル

2007-09-01 18:05:49 | 第091巻~第095巻

■クロスアングル(第314話) 発表1991年8月

評価   ★★

依頼人   不明

ターゲット 武器商人”僧侶”

報酬    不明

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 1,725

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   3,876

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
スキャンダル・カメラマン「ビクター・ランス」。世界中の著名人のスキャンダルを写真で暴いてきた彼が、ゴルゴに対し”知る権利”を行使しようとする・・・

<この一言>
科白なし

<解説>
世界42カ国で250名以上の著名人のスキャンダル写真をものにしてきた「ビクター・ランス」。引退を考えていたランスに、雑誌編集長「パトリー」がゴルゴの狙撃写真を撮影すれば大きなスクープになると吹き込む。

カメラマンとしてのプライドをくすぐられたランスは、情報屋からゴルゴの行動予定を入手し、武器職人”僧侶”の狙撃の瞬間を撮影することを企てる。狙撃と撮影に共通点が多いことに着目、ターゲットのアジトを元にゴルゴの狙撃地点を割り出す。

ビルの窓ガラスに写った狙撃体制のゴルゴををファインダーに捉えるランスであるが、カメラレンズの反射に気付いたゴルゴは、窓ガラスを射抜きランスの撮影を阻止、ターゲットである”僧侶”の狙撃を敢行する。ゴルゴの注意深さに脱帽するランス。撮影機材をしまい帰路に就くランスは、待ち受けていたゴルゴを見ての己の最期を悟る・・・

カメラマン・ランスとゴルゴの知恵比べだが、レベルが違いすぎる。ランスは愛すべきキャラではあるがゴルゴの敵ではない。ゴルゴが自らの狙撃シーンを窓ガラスに晒してしまうという失態もいただけない。物足りなさを感じてしまう短編。

ズキューン

ゴルゴ13 (93)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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