ドイツのスポーツクラブ

2012-10-26 19:46:04 | 雑記

この10月から、某大学のセミナーに

参加しています。

テーマは『ライフワークとしての

スポーツを考える』です。

これから20年後、日本は、65歳以上の

高齢者が3割から4割を占める

超高齢化社会を迎えます。

そんな時代を将来的に迎える今、

誰しもいろいろと考えるべきことが

山ほどあると思います。

その中で、スポーツの果たす役割を

大きいのではないでしょうか?

といいますのは、

スポーツを継続して楽しむことで

健康が維持できる→介護保険や医療保険に

あまり依存しなくてすむ・・・・・・つまり、

アクティブシニアとして人生を謳歌できる

道筋が1つあります。

それから、今は、ひざとか腰や体を痛めて

いるけど、これまでスポーツを実戦してきて

スポーツに対する意欲は年をとっても

衰えない、それどころか、年をとるほど

スポーツを楽しみたくなる・・・・こんな方も

多いでしょう。

反対に、加齢とともに、体は衰え、運動機能も

衰えて、スポーツへの気力は減退。介護保険に

頼る老人になり、施設で余生を送る・・・・

こんな方も激増するはずです。

それぞれの立場で、スポーツが果たせる

役割とは何か? そんな疑問から

スタートしてみました。

まず、講師の先生からスポーツ先進国、

もっというと、スポーツクラブの伝統と

歴史のあるドイツの現状レポートと

映像ビデオを拝見しました。

そうしたところ、日本とは、スポーツ文化が

違う点が浮き彫りになってきました。

ドイツには『おらが街のスポーツクラブ』という

総合型スポーツクラブが、何千とあるそうです。

日本にも確かにそういうタイプは存在します。

でも、日本の場合は、国の援助が限られて

います。

ドイツの場合、税金をかなり投入して

運営できる、各地域の総合型(複数の種目を楽しめる)

です。スポーツ施設建設にもそのお金は、

使われます。

ところが、日本の場合、政府の仕分けにもあいまして

スポーツ施設建設の予算は大幅に

縮小されたようです。ここが大きな違いで、

日本の場合、施設を、スポーツする場所を探す

という課題が残っています。

片や、ドイツは、税金、それからサッカーくじ、

バザーの売り上げ、レストランや飲食物の収益

などでスポーツクラブを作り運営し、

年会費は、何と2万円台くらいだそうです。

日本の民間のスポーツクラブの会費に

比べたら、半分以下のお金でスポーツが

楽しめるわけです。

そのからくりですが、国や自治体の援助の

他に、会員の中からボランティアが、

自主運営に関わっていることも、会費が

安く済む要因になっています。

日本のスポーツクラブなら、スタッフが

民間企業の社員であり、給料を払いますが、

ドイツでは、ボランティアですから無給です。

人件費も大幅に少なくてすむのです。

しかも、ドイツでは、『ゆりかごから墓場まで』

のように地元のクラブに幼少の頃家族と

共に入会し、80歳を過ぎても何らかの

スポーツを楽しむ土壌があるそうです。

と言いますのも、ドイツでは、1部の

プロ指向のアスリートは別にして

誰でも自分の楽しみたいスポーツを

する場とチャンスが提供されて

いるからです。

ちなみに日本では、学校スポーツと

いうと、レギュラーと補欠という厳しい

選別がありますが、ドイツでは、

技量に応じてグループに分け、

全員が存分にスポーツをする土壌があり、

スポーツをするのは『プレーヤー』

(楽しむ人)であり、日本のような選手

(選ばれし者)という感覚は薄いようです。

これは、カルチャーショックでした。

こういうスポーツ文化の基で生まれたのが、

ドイツの総合型地域密着型の

スポーツクラブなんです。

さて、日本の20年後、30年後はどうでしょうか?

スポーツ基本法ができ、日本でも

スポーツ振興の動きが出てきました。

しかし、ハードにお金をかけられない以上、

複数の種目が楽しめ、テニスコート7面、

体育館2つ、プール2つ、その他サッカー場

2面など、1例ですが、これだけの施設を

誇る地域密着型のクラブは

存在できないでしょう。

依然として、高い会費を払って会員に

なるしか方法はないと思います。

日本の今の民間スポーツクラブが

悪いといってるわけではありません。

でも、これだけだと、将来的には

スポーツを楽しめる人が減少して

いきそうです。

なぜか?

若者の税負担がこれからどんどん

のしかかります。

会費を払えず、スポーツクラブに

入れない人が増えると思います。

年金をもらう高齢の方だってそうです。

今は、年金支給は割高ですが、

これからどんどん先細りします。

そんな状況下、費用負担の少ない

クラブのニーズが高まるでしょう。

ドイツに習い、本来の安く

スポーツを楽しめるしくみを

作っていかないと、

本当のスポーツを楽しむ文化は

遠のいていくのではないでしょうか?

数々の問題を抱えながら、

スポーツ愛好者として

ちょっと不安になります。

本気になれば、日本だってドイツの

ようなスポーツクラブを作れる

と思います。

この件に関しましては、さらに細かい

考察が必要なのですが、今回は

これだけに留めておきます。

またの機会に触れたいと思います。