カルロス・クライバーの「雷鳴と電光」byヨハン・シュトラウス

2012-01-03 10:21:29 | 音楽の思い出

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでも必ずといって

いいほど演奏されるヨハン・シュトラウス作曲の「雷鳴と電光」は、

カルロス・クライバーの指揮が秀逸ですね。彼が指揮し、

ウィーンフィルが演奏する音や映像を視聴していますと、

こんなに楽しみながら指揮しているマエストロははそうそう見られないと思うのです。

マエストロが楽しみながら終始笑顔で指揮できるというのは、

指揮者とオケとが、全曲をとおしてテンポ、テンポの強弱、強くするところと

弱くするところ、そして、その音の大きさ、そして強弱のつけ方まで、

ぴったり息が合っていて、双方が信頼しきっている。さらに、その信頼感が

そのまま音で体現され、その音の表現に指揮者が大満足している状況

だからだと感じています。

クライバー自身、この曲が好きなのでしょうし、その作り方、表現方法を

クライバー好みに実戦してくれるオケに非常に満足しているのでしょうね。

最初の出足さえ合図したら、クライバーが指揮をまったくしなくても、

オケはお約束の演奏を最後まで貫徹していたのではないかと思わせる

ほど、一体感がありました。

舞台に上がっている団員ひとりひとりが、のりに乗ってクライバーの

要求するテンポに合わせる・・・・さらに、相乗効果が出てきて、

全員が1つの楽器みたいになった状態とでもいうのでしょうか。

音と音とが響きあってスピード感のある倍音が聴こえてくる

ような素晴らしい演奏でした。

これは、「雷鳴と電光」(題名は、ちょっと怖くて不安をあおるタイトル名ですが)の

曲のなせる業なのでしょうか。曲のタイトルのイメージとは、まったく逆で、

アップテンポでとても乗れる曲です。曲がなり始めたら、すぐにでも

踊りだしたくなるようなうきうきする曲ですから。

毎年、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでも演奏されて

いますが、クライバーほど喜んで楽しく指揮している人は、他に

いないのでは? それに近い人は何人かいますが、軽くて

速いテンポの中で、のって来たら、指揮者、オケ、聴衆まで巻き込んで

一体となれる曲なので、このような楽しい演奏の再現を

聞けることを待ち望んでいます。