ヤンソンスのウィーン・フィルニューイヤーコンサート

2012-01-01 22:03:03 | 音楽の思い出

新年あけましておめでとうございます。

挨拶が遅れましたのは、ウィーン・フィルの

ニューイヤーコンサートの生中継を聴いてから

初ブログを書こうと思っていたからです。

今年の指揮者はマリス・ヤンソンスで6年前も

指揮していて、とっても楽しい演奏を展開していた記憶があり、

実はとても期待していました。その期待どおり、6年前よりも

さらに楽しい演出が繰り広げられ、この10年で最も

エンターテイメント性の高い演奏だったと感じています。

新年のお祝いだから、これくらい楽しいクラシック演奏があっていいと思います。

もちろん、演奏自体も素晴らしかった上での話です。

ヤンソンスというマエストロは、実にサービス精神旺盛な

エンターテイメントの才能も溢れた人だと感心して見ていました。

昨年のヴェルダーメストのような冷静で大人のタクト(オケとの信頼感

で成り立っていた安心感)も良かったですが、ヤンソンスの激しくもあり

楽しくもある、音にメリハリとコントラストを十分に取り入れようと意図した

タクト振りは、見ていても楽しいものでした。

彼は、オランダのコンセルトへボウという人気のオケの常任指揮者ですが、

ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートに限っては、とても楽しい

コンサートを 作ってくれているのかもしれません。

例年、シュトラウス一家のワルツやポルカを多く選曲するのが、

ならわしになっていますが、数あるシュトラウス一家の曲の中でも、

アップテンポで楽しい、「トリッチ・トラッチ・ポルカ」「人生を楽しむポルカ」

「ピチカート・ポルカ」「ポルカ”雷鳴と雷光”」などを選曲してくれ、

全曲楽しめました。

また、「デンマーク蒸気機関車のギャロップ」では、駅長の笛に見立てた

笛をヤンソンス自身が鳴らしたり、「鍛冶屋のポルカ」では、彼自身が

指揮台でトンカチを2本叩き合わせて、鍛冶屋の音を出したりと、

サービス精神旺盛で、聴衆も大盛り上がり!

そんな中、彼は、アップテンポの曲を気持ちよく”乗り”を出して表現しながら、

突然の”間”を長めにとり、その直後、大きな強い音でコントラストを

つけているのが印象的です。このようなメリハリがあるから、とても

聞きやすく飽きがこないし楽しめるのです。

また、ビゼーの「カルメン」やチャイコフスキーの「眠れる森の美女」なども

取り入れ、なじみのある多彩な音も出していました。

他にも、「ピチカート・ポルカ」では、作曲された当時の18世紀の頃の

演奏形態、弦を素手で弾き続ける奏法を実現させ、古くて新しい

感覚を呼び戻してくれました。ここでも、”間”を長めにとり、強弱の

メリハリをつけてくれていたのには感心しました。

そんなこんなで、盛りだくさん(他にも演出はありますが)なコンサート

でした。

過去の最近10年くらいの指揮者の中で、彼とズービン・メータは、

楽しませてくれるマエストロとして、私には、印象的に映りました。

おそらく、楽しんでハッピーな気分になってもらおうという

温かい心の持ち主だからでしょうね。

また、近い将来、このふたりのニューイヤーコンサートを

聞いてみたいと思います。