極東極楽 ごくとうごくらく

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豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 141

2025年02月14日 | 水素物語

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



✅ 新エネルギー便り:耐久性50年を目指す 😁⛑️

図3●880mm×660mmのガラス基板に形成したペロブスカイト太陽電池  (出所:日経BP)   

(出所:シャープ)
🎈液晶パネルや感光体の技術も結集、シャープのペロブスカイト太陽電池



✳️ アルミ廃棄物で水素製造の反応液開発
Development of Reaction Liquid in Hydrogen Generation Using Aluminum Based Waste 
Nobuaki Mizukia,*, Wataru Mizunoa, Kiyoshi Kawaguchib 
(Received October 28, 2019; revised December 25, 2019; accepted February 5, 2020)
キーワード:アルミ付き紙系廃棄物,アルミ,水素,水酸化ナトリウム,無機塩 
Keywords : Paper-based waste with aluminum, Aluminum, Hydrogen, NaOH, Inorganic salt 

1. はじめに 
日本はエネルギーや資源に乏しいため,それらを輸入して工業製品を生産
し,国内で消費するとともに外国に
輸出しているが,エネルギーフローと
物質フローを考え
た場合,大きな問題点を抱えている。 
エネルギーフローでは,入口問題として石油や天然ガス等のエネルギー価
格の高騰が挙げられる。また,出口問題として化石燃料を燃料とした火力
発電や自動車の使用による二酸化炭素濃度の増加と,それに伴う地球温暖
化が挙げられる。地球温暖化は台風の大型化や発生頻度の増大,降雨量の
増大等の異常気象を引き起こす要因の一つと考えられるため,二酸化炭素
の発生を抑制できる
代替エネルギーの積極的な利用が期待される。 
一方の物質フローでは,入口問題として工業用原料となる資源価格の高騰
が挙げられる。とくに建築用や包装用材料等として重要なアルミニウムの
価格は上昇する傾向にある。また,出口問題としては,家庭用や産業用廃
棄物の増加と,廃棄物を焼却したり埋め立てたりする処理能力の減少があ
る。これらのエネルギーフローと物質フローにおける問題の解決こそが,
日本における緊急の重要課題である。 
食品・錠剤の包装に使用されるアルミニウム(アルミ箔)は年間15万トン
程度(アルミ最終需要の3.5%)であるが,その薄さゆえにアルミとして回
収は不可能であり,焼却処分や埋め立て処分されている(リサイクル率は
ほぼゼロ)。またこれまでの調査で,一般家庭の燃えるゴミの1割程度が
アルミ系廃棄物であることが分かっている。しかしアルミは低融点であり,
アルミ系廃棄物からアルミ分を回収することは困難と見られていた。 
廃アルミの有効利用に関する先行研究としては,アルミドロスからの水素
生産システムがあるが,アルミドロスの品質やアルミ産業の立地依存とい
う課題がある。
その中で,アルミと水酸化ナトリウム水溶液を反応させることによって水
素を発生させる研究例は報告されている(5)~(8)が,水酸化ナトリウム水
溶液に添加物を混ぜることによって,水素発生速度を増大させる研究例は
殆どない。 
 そこで本研究では,アルミと反応させて水素を発生させる反応液として,
水酸化ナトリウム水溶液に様々な無機塩類を添加することによって,水素
発生速度や水素の収率を向上できる反応液を開発したので報告する。 

2. 実験装置と方法 
2.1 実験材料 
 実験に用いたアルミニウムは,市販アルミホイル(純度:99%以上,厚さ
:11μm)を15mm角程度の不定形にちぎり使用した。図1に使用したアル
ミを示す。 
試薬には,NaOH,アルミン酸ナトリウム,Fe2(SO4)3・nH2O,FeSO4
・7H2O,CuSO4・5H2O,MgSO4,Na2SO4,FeCl2・4H2O,FeCl3・
6H2O,CuCl2・2H2O,CuCl,MgCl2・6H2O,NaCl,二りん酸鉄(Ⅲ),
Na2HPO4,Na3PO4・12H2Oを使用した。この際,アルミン酸ナトリウ
ム,二りん酸鉄(Ⅲ)はJIS試薬1級を用いたが,他の試薬はJIS試薬特級を
使用した。
 
2.2 実験装置 
 パイレックスガラス器具およびシリコンゴム管を用いて図2に示す様な
実験装置を作製した。反応槽の内容積は500mlである。反応時の,反応槽
下部(反応液),反応槽上部(発生ガス),気温,反応槽バス,捕集管バ
スの温度を温度センサーを用いて計測し,データロガーを用いてデータ収
集を行った。反応槽バス,捕集管バスは30℃となるようにヒーターにより
加温した。反応溶液のpHを,pHメーターで計測した。

2.2 実験方法 
(1)NaOH濃度と水素発生 
 NaOH濃度と水素発生速度や水素発生量との関係に関する基礎的なデータ
を得るため,濃度を変えたNaOH水溶液の水素発生状態を評価した。1~5
%(w/v)水溶液になるようにNaOHをイオン交換水に溶解させた溶液を
反応液として,反応槽にアルミニウムを0.2g(約100cm2)入れ,反応液
を50ml加えて反応させた。発生した水素を捕集管に導き水中置換で水素
の発生量を求めた。なお,水素の收率は,水蒸気量と気圧の補正を行った。
また,反応溶液の反応前後と反応が終了した溶液を12時間以上静置した後
のpHを測定した。

(2)無機塩類が水素発生に与える影響評価 
最適なNaOH濃度が判明した後,さらに発生速度を増大させる方法を検討
する。アルミニウムに無機塩類を添加することにより水素発生速度が変化
する可能性があるので,各種無機塩類を添加した反応液を作製し,それら
の水素発生状態を評価した。
 4%(w/v)(1M/L)水溶液になるように NaOHをイオン交換水に溶解
させた溶液を基本の反応液とし,上述の塩類を0.1M/Lになるように溶解(
沈殿が発生する場合は分散)させた反応液を検討した。 
 反応槽にアルミニウムを0.2g(約100cm2)入れ,反応液を 50ml 加え
て反応させた。発生した水素を捕集管に導き水中置換で水素の発生量を求
めた。水素の收率は,水蒸気量と気圧の補正を行った。また,反応溶液の
反応前後と反応が終了した溶液を 12 時間以上静置した後のpHを測定した。
なお反応液は,8%(w/v)NaOH水溶液100ml と,0.2M/L の無機塩水溶
液 100ml を混合し,純水で200ml としたものを用いた。

(3)無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価 
 アルミニウムと無機塩類が反応した後に,水酸化アルミニウムの沈殿生
成により,反応で低下した pH が回復する可能性があるので,無機塩類が
反応時の沈殿生成に与える影響について評価した。
 8%(w/v)アルミン酸ナトリウム水溶液 100ml と,0.2M/L の無機塩水
溶液 100ml を混合し,沈殿の生成状態を観察するとともに,混合直後と
20時間静置後のpHを測定した。ただし8%(w/v)アルミン酸ナトリウム
水溶液は,溶解後,時間とともに沈殿を生成したため,溶解後1日静置し
て沈殿を生成させた後,その上澄み液を用いた。

(4)反応液の最適化 
 反応後のpHを高くできたFeSO4系反応液とNaCl系反応液の2種類の反応
液を作製して,反応液の最適化を図った。作製した反応液は,8%(w/v)
NaOH水溶液100mlに 0.4M/L の Na3PO4・12H2O 水溶液 50ml を加え,
さらに,0.4M/L の FeSO4・7H2O 水溶液 50ml または 0.4M/L のNaCl 水
溶液 50ml を混合し,純水で200ml としたものを用いた。

(5)水酸化ナトリウム使用量の検証 
水素発生における水酸化ナトリウムの使用効率の改善を目指すため,従来
の水酸化ナトリウムのみを使用した溶液と,FeSO4 系反応液を比較して,
水酸化ナトリウムの使用量を調べた。従来の水素発生装置での実験におい
て 500gのアルミニウムに対して,3ℓのNaOH溶液(4%濃度)を用いてきた。
前項の実験結果よりFeSO4 系反応液を作製し,水酸化ナトリウムの使用量
を検証する。溶液濃度が 4%であることから,これまでの反応液では 120
gの水酸化ナトリウムを使用している。 
実験では前項と同様にアルミニウム箔(純度:99%以上,厚さ:11μm)
を 15mm角程度の不定形にちぎり使用した。 

  本研究では,アルミ系廃棄物(産廃,一般廃棄物)を効率よく回収・分
別し,それを最適条件で乾留することで高純度アルミを回収,その回収ア
ルミを反応液とともにカートリッジ化することで,社会のエネルギー需要
をまかなう新規のエネルギーシステムを構築するための技術開発と社会シ
ステム創出を行う。これにより,アルミ資源の利用率を向上させるととも
に,低炭素地域システムを実現することを目的とする。
 その中で,アルミと水酸化ナトリウム水溶液を反応させることによって
水素を発生させる研究例は報告されている(5)~(8)が,水酸化ナトリウム
水溶液に添加物を混ぜることによって,水素発生速度を増大させる研究例
は殆どない。 
  そこで本研究では,アルミと反応させて水素を発生させる反応液として,
水酸化ナトリウム水溶液に様々な無機塩類を添加することによって,水素
発生速度や水素の収率を向上できる反応液を開発したので報告する。 

また,アルミ缶やアルミ箔からの水素ガス発生特性に関する基礎的研究が
あるが,金属アルミにリサイクル した方が良いという意見もあるため,水
素利用した方が
実験に用いたアルミニウムは,市販アルミホイル(純度:
99%以上,厚さ:11μm)を15mm角程度の不定形に
ちぎり使用した。
図1に使用したアルミを示す。 試薬には,NaOH,アルミン酸ナトリウム,
Fe2(SO4)3・H2O,FeSO4・7H2O,CuSO4・5H2O,MgSO4,Na2SO4,
FeCl2・4H2O,FeCl3・6H2O,CuCl2・2H2O,CuCl,MgCl2・6H2O,
NaCl,二りん酸鉄(Ⅲ),Na2HPO4,Na3PO4・12H2Oを使用した。
この際,アルミン酸ナトリウム,二りん酸鉄(Ⅲ)はJIS試薬1級を用いた
が,他の試薬はJIS試薬特級を使用。パイレックスガラス器具およびシリコ
ンゴム管を用いて図2に示す様な実験装置を作製。反応槽の内容積は500ml。
反応時,反応槽下部(反応液),反応槽上部(発生ガス),気温,反応槽
バス,捕集管バスの温度を温度センサーを用いて計測し,データロガーを
用いてデータ収集。反応槽バス,捕集管バスは30℃となるようにヒーター
により加
温。反応溶液のpHを,pHメーターで計測。

(1)NaOH濃度と水素発生 
 NaOH濃度と水素発生速度や水素発生量との関係に関する基礎的なデータを
得るため,濃度を変えたNaOH水溶液の水素発生状態を評価1~5%(w/v)
水溶液になるようにNaOHをイオン交換水に溶解させた溶液を反応液とし
反応槽にアルミニウムを0.2g(約100cm2)入れ,反応液を50ml加えて反
応させた。発生した水素を捕集管に導き水中置換で水素の発生量を求めた。
なお,水素の收率は,水蒸気量と気圧の補正を行った。また,反応溶液の
反応前後と反応が終了した溶液を12時間以上静置した後のpHを測定。


(2)無機塩類が水素発生に与える影響評価 
最適なNaOH濃度が判明した後,さらに発生速度を増大させる方法を検討。
アルミニウムに無機塩類を添加することにより水素発生速度が変化する可
能性があるので,各種無機塩類を添加した反応液を作製し,それらの水素
発生状態を評価した。
4%(w/v)(1M/L)水溶液になるように NaOHをイオン交換水に溶解さ
せた溶液を基本の反応液とし,上述の塩類を0.1M/Lになるように溶解(沈
殿が発生する場合は分散)させた反応液を検討。 反応槽にアルミニウム
を0.2g(約100cm2)入れ,反応液を 50ml 加えて反応させた。発生した
水素を捕集管に導き水中置換で水素の発生量を求めた。水素の收率は,水
蒸気量と気圧の補正を行った。また,反応溶液の反応前後と反応が終了し
た溶液を 12 時間以上静置した後のpHを測定した。なお反応液は,8%(w
/v)NaOH水溶液100ml と,0.2M/L の無機塩水溶液 100ml を混合し,純
水で200ml としたものを用いた。

(3)無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価 
アルミニウムと無機塩類が反応した後に,水酸化アルミニウムの沈殿生成
により,反応で低下した pH が回復する可能性があるので,無機塩類が反
応時の沈殿生成に与える影響について評価した。 8%(w/v)アルミン酸ナ
トリウム水溶液 100ml と,0.2M/L の無機塩水溶液 100ml を混合し,沈殿
の生成状態を観察するとともに,混合直後と20時間静置後のpHを測定した。
ただし8%(w/v)アルミン酸ナトリウム水溶液は,溶解後,時間とともに
沈殿を生成したため,溶解後1日静置して沈殿を生成させた後,その上澄み
液を用いた。 

(4)反応液の最適化 
反応後のpHを高くできたFeSO4系反応液とNaCl系反応液の2種類の反応液
を作製して,反応液の最適化を図った。作製した反応液,8%(w/v)NaO
H水溶液100mlに 0.4M/L の Na3PO4・12H2O 水溶液 50ml を加え,さら
に,0.4M/L の FeSO4・7H2O 水溶液 50ml または 0.4M/L のNaCl 水溶液
50ml を混合し,純水で200ml としたものを用いた。 

(5)水酸化ナトリウム使用量の検証 
水素発生における水酸化ナトリウムの使用効率の改善た場合にNaOHに比
較して応性が高くなることがわかった。特にFeSO4・7H2OとNaClは反応
初期の水素発生速度が高く水素発生装置開発に有利になるものと考えられる。 

3.3 無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価 
アルミニウムは,水酸化ナトリウム水溶液に溶解してテトラヒドロキシア
ルミン酸ナトリウムを生成し,時間とともに結晶性の水酸化アルミニウム
が沈殿するとされている。 

2 Al + 2 NaOH + 6 H2O → 2 Na[Al(OH)4] + 3 H2 Na[Al(OH)4] → Al(OH)3↓ + NaOH 

今回の反応中にも同様の反応が起きていると考えられるが,無機塩類が存
在した場合の影響を考慮する必要があると考えられる。そこで,水に溶
解してテトラヒドロキシアルミン酸ナトリウムとなるアルミン酸ナトリウ
ム水溶液と,各種無機塩水溶液を混合し,沈殿の生成状態を観察した。ま
た,混合直後と20時間静置後のpHを測定した結果を表4に示す。ナトリウ
ム系の塩は沈殿を生成しなかった。これは,アルミン酸ナトリウム水溶液
と,ナトリウム系塩の水溶液を混合してもpHの低下が小さく,高いアルカ
リ性によりテトラヒドロキシアルミン酸イオンが存在しやすいことと,ナ
トリウム塩の水溶液中の溶解性が高いことによるものと考えられた。また
沈殿が生成する系の場合には静置後のpHが混合直後のpHに比べて高くな
る傾向が見られた。これは,上式に示した水酸化アルミニウムの沈殿と水
酸化ナトリウムの生成が起きpHが高くなったものと考えられる。特にFeSO
4・7H2Oでは,静置後のpHが13.25と高く,反応液のpHを高く維持できる
可能性があった。 
以上のことから,反応液は,高いアルカリ性を維持することと,pHが低下
した場合には速やかに水酸化アルミニウムの沈殿と水酸化ナトリウムの生
成が起きることが必要であると考えられる。 

3.4 反応液の最適化 
今回の実験では,水素発生装置における水素発生を効率化するため,反応
液におけるNaOH濃度と水素発生,無機塩類が水素発生に与える影響評価,
無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価について検討した。反応液
におけるNaOH濃度と水素発生では,反応液のNaOH濃度を4%(1M/L)と
することとした。無機塩類が水素発生に与える影響評価では,FeSO4・7
H2OとNaClの添加は反応初期の水素発生速度が高くなることがわかった。
また,無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価では,反応後に水酸
化アルミニウムの沈殿生成により,反応で低下したpHが回復することがわ
かった。特にFeSO4・7H2Oの場合は,回復後のpHが高い傾向を示した。
また,ナトリウム系の塩では反応液のpHを高く維持できる可能性があるこ
とがわかった。以上のことから,反応液を最適化するために,以下のFeSO4
系反応液とNaCl系反応液の2種類の反応液を作製した。 
 FeSO4系反応液は,4%NaOH水溶液に0.1M/L FeSO4・7H2Oと0.1M/L
Na3PO4・12H2Oを添加したもので,FeSO4・7H2Oの水素発生の向上と
回復したpHの高さ,およびNa3PO4・12H2Oの反応液のpHを高く維持す
る傾向を組み合わせたものである。
Table 4. Property of inorganic salt and state of reaction liquid. 
価について検討した。 
反応液におけるNaOH濃度と水素発生では,比較的反応が速く安定してい
る反応液のNaOH濃度を4%(1M/L)とすることとした。無機塩類が水素
発生に与える影響評価では,NaOH 反応液に対して,NaOH+FeSO4・7H2O,
NaOH+MgSO4,NaOH+Na2SO4,NaOH+MgCl2・6H2O,NaOH+NaCl,
NaOH+Na3PO4・12H2O の反応性が高く,特にFeSO4・7H2O と NaCl
の添加は反応初期の水素発生速度が高くなることがわかった。無機塩類
が反応時の沈殿生成に与える影響評価では,反応後に水酸化アルミニウム
の沈殿生成により,反応で低下した pH が回復することがわかった。特に
FeSO4・7H2Oの場合は,回復後のpH が高い傾向を示し,ナトリウム系の
塩では反応液のpHを高く維持できる可能性があることがわかった。 
以上の結果から,NaOH,FeSO4・7H2O, Na3PO4・12H2Oを組み合わ
せたFeSO4系反応液とNaOH,NaCl, Na3PO4・12H2O を組み合わせた
NaCl 系反応液を作製してその反応性を評価したところ,水素発生速度は
両反応液ともNaOH 反応液より初期の反応が進み反応時間も短くなること
がわかった。また,反応後静置により pH が回復することも確認できた。 
今回,2 種類の反応液を提案したが,課題として以下の点が挙げられる。 
・水素発生装置に対する反応液の最適化。 
・コスト低減,装置負荷の低減,反応液の安全性向上の点から,反応性を
維持しながら反応液の濃度を下げる検討。 
・反応液の保管時の長期安定性の確認。 
・反応液を長期間使用した場合の劣化の評価。 
今後これらの点を考慮しながら開発を進める必要があ 107 
4%NaOH
 Reaction liquid with FeSO4
 Used amount of NaOH
 120g
 (a) Residue of 4%NaOH      
Fig. 7. Comparison of residues. 
る。 
3.5 水酸化ナトリウム使用量の検証 
45g
 (b) Residue of reaction liquid 
with FeSO4 
濃度4%NaOH 溶液と FeSO4 系反応液を用いて水素発生実験を行い,その
反応について検証した。 表 6に各溶液の水酸化ナトリウム量を,図7(a)に
濃度4%NaOH溶液と図7(b)にFeSO4 系反応液を使用して500gのアルミ
ニウムと反応させた場合の反応残渣をそれぞれ示す。実験結果より,濃度
4%NaOH 溶液の場合ではNaOH の使用量120g,未反応のアルミニウム箔
が残ったが,FeSO4 系反応液では NaOH の使用量 45g,アルミニウム箔
は全反応して溶解し,反応生成物が残った。 
このことより,FeSO4 系反応液を用いることで,これまでよりも少ない
NaOH量で水素を発生させることが可能である。また,反応後の水酸化ア
ルミニウムの沈殿により pH の回復が確認できることから,溶液を連続し
て使用することが期待でき,水酸化ナトリウムの使用効率をさらに改善
できると考えられる。 
4. おわりに 
水素発生方法の基礎技術,水素を効率良く発生させるための技術に関する
知見を得るため,反応液におけるNaOH 濃度と水素発生,無機塩類が水素
発生に与える影響評価,無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価に
ついて検討した結果,以下の知見が得られた。 
(1) NaOH 濃度と水素発生速度,水素発生量の関係を調べるために,濃度
を1%~5%に変化させて反応実験を実施した結果,濃度の増加とともに水
素の発生速度が増大することがわかったが,4%と5%ではその差が小さい
ことから,濃度は 4%が適切であると思われる。 
(2) NaOH,FeSO4・7H2O, Na3PO4・12H2O を組み合わせたFeSO4系
反応液とNaOH,NaCl, Na3PO4・12H2O


3. 実験結果 
3.1 水酸化ナトリウム水溶液の濃度と水素発生 
NaOH 濃度と水素発生速度や水素発生量との関係に関する基礎的なデータ
を得るため,濃度を変えたNaOH水溶液の水素発生状態を評価した。いず
れの場合も反応が始まるとアルミニウムの表面に水素の気泡が発生してア
ルミニウムは反応溶液表面で反応した。反応が終了(水素捕集が1分間見
られない)すると反応液中に黒色の反応生成物が生成した。この生成物は
反応溶液中で時間が経過すると褐色に変色した。 

上図 3,図 4にNaOH濃度と水素発生速度,水素発生量の関係を示す。濃度
が高くなると,反応速度が増加し,反応が終了するまでの時間が短くなる
ことがわかる。なお,1%,2%の場合は反応終了時に未反応のアルミニウ
ムが見られた。表1にNaOH濃度を変えた水溶液の反応性を示す。NaOH濃
度が高くなると,最大水素発生速度が高くなり,反応時間や上昇時間が短
くなることがわかる。

変化の度合いは,1%から3%までは比較的大きいが,3%から5%までは変
化の度合いが小さくなる結果となった。これは,反応前のpHの傾向と一致
することから,反応液のpHが反応性に影響することがわかる。また,反応
時間や上昇時間が4%と5%でほとんど変わらないのは,20%等の高濃度の
反応液で見られたように,反応時の水素によるアルミニウムの浮き上がり
が要因となる反応の非均一性が影響しているものと考えられる。このこと
から,4%(1M/L) NaOH水溶液が反応速度と反応の状態のバランスが
取れているものと判断した。 

3.2 無機塩類が水素発生に与える影響評価 
NaOH濃度が4%のときに水素発生速度等の性能が優れていることが判明し
たが,さらに発生速度を増大させる方法を検討した。NaOH溶液によるア
ルミニウムの溶解と水素発生は,アルカリによるアルミニウムの腐食と考
えることができる。アルミニウムの腐食は塩類の共存によりその速度が変
化することから,各種無機塩類を添加した反応液を作製しそれらの水素発
生状態を評価した。 表2に無機塩の性質と反応液の状態を示す。多くの無
機塩は水に可溶であるが,強アルカリである反応液の状態では主に水酸化
物と考えられる沈殿を生じた。ナトリウム塩類は反応液では沈殿が見られ
なかった。 
表3に各種無機塩を添加した反応液の反応性を示す。
塩の添加により反応液の反応性が変化することがわかる。反応性の指標と
なる最大発生速度,水素收率,反応時間,上昇時間を見ると,NaOHに比
較して反応性が高いと考えられるものは,NaOH+FeSO4・7H2O,NaOH+
MgSO4,NaOH+Na2SO4,NaOH+MgCl2・6H2O,NaOH+NaCl,
NaOH+Na3PO4・12H2Oであった。銅系の塩類では反応性は高いものの,
收率が悪い結果を示した。 銅系の塩類を除く反応性が高い無機塩の反応液
の反応速度変化を示したものが図5である。NaOHに対して発生速度が高く
維持されていることがわかる。特にNaOH+FeSO4・7H2O,NaOH+NaCl
では,反応初期の水素発生速度が高くなり,開発する水素発生装置の反応
立ち上げや制御に有利になるものと考えられる。 
以上の結果から,アルカリ溶液を用いて水素発生を行う場合,無機塩を添
加することにより反応性が変化することがわかった。無機塩の中では,
FeSO4・7H2O,MgSO4,Na2SO4,MgCl2・6H2O,NaCl,Na3PO4・
12H2Oを添加し







た場合にNaOHに比較して反応性が高くなることがわかった。特にFeSO4
・7H2OとNaClは反応初期の水素発生速度が高く水素発生装置開発に有利
になるものと考えられる。 

3.3 無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価 
アルミニウムは,水酸化ナトリウム水溶液に溶解してテトラヒドロキシア
ルミン酸ナトリウムを生成し,時間とともに結晶性の水酸化アルミニウム
が沈殿するとされている。
2 Al + 2 NaOH + 6 H2O → 2 Na[Al(OH)4] + 3 H2 
Na[Al(OH)4] → Al(OH)3↓ + NaOH 
今回の反応中にも同様の反応が起きていると考えられるが,無機塩類が存
在した場合の影響を考慮する必要があると考えられる。そこで,水に溶解
してテトラヒドロキシアルミン酸ナトリウムとなるアルミン酸ナトリウム
水溶液と,各種無機塩水溶液を混合し,沈殿の生成状態を観察した。また,
混合直後と20時間静置後のpHを測定した結果を表4に示す。ナトリウム系
の塩は沈殿を生成しなかった。これは,アルミン酸ナトリウム水溶液と,
ナトリウム系塩の水溶液を混合してもpHの低下が小さく,高いアルカリ性
によりテトラヒドロキシアルミン酸イオンが存在しやすいことと,ナトリ
ウム塩の水溶液中の溶解性が高いことによるものと考えられた。また,沈
殿が生成する系の場合には静置後のpHが混合直後のpHに比べて高くなる
傾向が見られた。これは,上式に示した水酸化アルミニウムの沈殿と水酸
化ナトリウムの生成が起きpHが高くなったものと考えられる。特にFeSO4・
7H2Oでは,静置後のpHが13.25と高く,反応液のpHを高く維持できる可
能性があった。 
以上のことから,反応液は,高いアルカリ性を維持することと,pHが低下
した場合には速やかに水酸化アルミニウムの沈殿と水酸化ナトリウムの生
成が起きることが必要であると考えられる。 

3.4 反応液の最適化 
今回の実験では,水素発生装置における水素発生を効率化するために,反
応液におけるNaOH濃度と水素発生,無機塩類が水素発生に与える影響評
価,無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価について検討した。反
応液におけるNaOH濃度と水素発生では,反応液のNaOH濃度を4%(1M/L)
とすることとした。無機塩類が水素発生に与える影響評価では,FeSO4・
7H2OとNaClの添加は反応初期の水素発生速度が高くなることがわかった。
また,無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価では,反応後に水酸
化アルミニウムの沈殿生成により,反応で低下したpHが回復することがわ
かった。特にFeSO4・7H2Oの場合は,回復後のpHが高い傾向を示した。
また,ナトリウム系の塩では反応液のpHを高く維持できる可能性があるこ
とがわかった。以上のことから, 

反応液を最適化するために,以下のFeSO4系反応液とNaCl系反応液の2種
類の反応液を作製することとした。 FeSO4系反応液は,4%NaOH水溶液
に0.1M/L FeSO4・7H2Oと0.1M/L Na3PO4・12H2Oを添加したもので,
FeSO4・7H2Oの水素発生の向上と回復したpHの高さ,およびNa3PO4・
12H2Oの反応液のpHを高く維持する傾向を組み合わせたものである。
NaCl 系反応液は,4%NaOH 水溶液に 0.1M/L NaCl と0.1M/L Na3PO4・
12H2O を添加したもので,NaCl の水素発生の向上と,NaCl および Na3
PO4・12H2O の反応液のpHを高く維持する傾向を組み合わせたものであ
る。 
反応液は,8%(w/v)NaOH水溶液 100mlに 0.4M/LのNa3PO4・12H2O
水溶液 50ml を加え,さらに,0.4M/L のFeSO4・7H2O 水溶液 50ml また
は 0.4M/L の NaCl 水溶液50ml を混合し,純水で200mlとしたものを用い
た。 
両反応液について,ⅱ)無機塩類が水素発生に与える影響評価と同様に水
素発生実験を行った結果を図6および表5に示す。ただし静置後のpH測定は
48時間後に行った。水素発生速度は両反応液ともNaOH反応液より初期の
反応が進み反応時間も短くなることがわかる。また,反応後静置によりpH
が回復することも確認できた。 
水素発生方法の基礎技術,水素を効率良く発生させるための技術に関する
知見を得るため,反応液におけるNaOH 濃度と水素発生,無機塩類が水素
発生に与える影響評価,無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価に
ついて検討した。 反応液におけるNaOH濃度と水素発生では,比較的反応
が速く安定している反応液のNaOH濃度を4%(1M/L)とすることとした。
無機塩類が水素発生に与える影響評価では,NaOH 反応液に対して,NaOH
+FeSO4・7H2O,NaOH+MgSO4,NaOH+Na2SO4,NaOH+MgCl2・
6H2O,NaOH+NaCl,NaOH+Na3PO4・12H2O の反応性が高く,特に
FeSO4・7H2O と NaCl の添加は反応初期の水素発生速度が高くなることが
わかった。無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価では,反応後に
水酸化アルミニウムの沈殿生成により,反応で低下した pH が回復すること
がわかった。特にFeSO4・7H2Oの場合は,回復後のpH が高い傾向を示し,
ナトリウム系の塩では反応液のpHを高く維持できる可能性があることがわ
かった。 
以上の結果から,NaOH,FeSO4・7H2O, Na3PO4・12H2Oを組み合わ
せたFeSO4系反応液とNaOH,NaCl, Na3PO4・12H2O を組み合わせた
NaCl 系反応液を作製してその反応性を評価したところ,水素発生速度は
両反応液ともNaOH 反応液より初期の反応が進み反応時間も短くなること
がわかった。また,反応後静置により pH が回復することも確認できた。 
今回,2 種類の反応液を提案したが,課題として以下の点が挙げられる。 

・水素発生装置に対する反応液の最適化。 
・コスト低減,装置負荷の低減,反応液の安全性向上の点から,反応性を
維持しながら反応液の濃度を下げる検討。 
・反応液の保管時の長期安定性の確認。 
・反応液を長期間使用した場合の劣化の評価。 
今後これらの点を考慮しながら開発を進める必要がある。 

3.5 水酸化ナトリウム使用量の検証 
4濃度4%NaOH 溶液と FeSO4 系反応液を用いて水素発生実験を行い,その
反応について検証した。 
表6に各溶液の水酸化ナトリウム量を,図7(a)に濃度4%NaOH溶液と図7
(b)にFeSO4 系反応液を使用して500gのアルミニウムと反応させた場合の
反応残渣をそれぞれ示す。実験結果より,濃度 4%NaOH 溶液の場合では
NaOH の使用量120g,未反応のアルミニウム箔が残ったが, FeSO4 系反
応液では NaOH の使用量 45g,アルミニウム箔は全反応して溶解し,反応
生成物が残った。 
このことより,FeSO4 系反応液を用いることで,これまでよりも少ない
NaOH量で水素を発生させることが可能である。また,反応後の水酸化ア
ルミニウムの沈殿により pH の回復が確認できることから,溶液を連続し
て使用することが期待でき,水酸化ナトリウムの使用効率をさらに改善で
きると考えられる。
反応液を最適化するために,以下のFeSO4系反応液と
NaCl系反応液の2種類の反応液を作製することとした。 
 FeSO4系反応液は,4%NaOH水溶液に0.1M/L FeSO4・7H2Oと0.1M/l
Na3PO4・12H2Oを添加したもので,FeSO4・7H2Oの水素発生の向上と
回復したpHの高さ,およびNa3PO4・12H2Oの反応液のpHを高く維持す
る傾向を組み合わせたものである。

4. おわりに 
水素発生方法の基礎技術,水素を効率良く発生させるための技術に関する
知見を得るため,反応液における
NaOH 濃度と水素発生,無機塩類が水素
発生に与える影
響評価,無機塩類が反応時の沈殿生成に与える影響評価
ついて検討した結果,以下の知見が得られた。 

(1) NaOH 濃度と水素発生速度,水素発生量の関係を調べるために,濃度
を1%~5%に変化させて反応実験
を実施した結果,濃度の増加とともに水
素の発生速
度が増大することがわかったが,4%と5%ではその差が小さい
ことから,濃度は 4%が適切であると思
われる。 
(2) NaOH,FeSO4・7H2O, Na3PO4・12H2O を組み合わせたFeSO4系
反応液とNaOH,NaCl, Na3PO4・12H2O組み合わせた NaCl 系反応液作
製してその反応性を評価したところ,水素発生速度は両反応液ともNaOH
反応液より初期の反応が進み,反応時間も短くなることがわかった。 
(3) 水酸化ナトリウムの使用量について,アルミ500gに対して 4%の水酸化
ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム120g使用)と反応液(水酸化ナトリ
ウム45g使用)を比較したところ,水酸化ナトリウム水溶液は未反応のアル
ミがあったが,反応液は全て反応し,水酸化ナトリウム使用量を抑えるこ
とができた。                       
                             この項了」
🪄ネオコンバーテックでも、ハイブリッド半導体製造材料工学でも、水素
社会事業でも、蓄電池・電池・ハイブリッド電池でも「アルミ」がキーワ
ードとなっているように、社会・自然科学の「三角」が浮上している。「
微弱な電磁力の魔法の力」が浮上しどデカイ元素として見直されている。
実に面白い🎈
                                                                            

 

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エネルギーと環境 130

2025年02月06日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

                         B’z「イルミネーション」配信ジャケット
【季語と短歌:2月6日】

        雪催カーブミラーで合点する  
 
                 
                  高山 宇 (赤鬼)

🪄今朝の思いつく「ネオコンバーテック事業」。光熱変換薄膜・光反射透
膜・蓄電発電膜三位一体構造のカーブミラー設置条例運動を。ことはこれ
で終わらない。物忘れが酷くなり、法要忘れなどが増え、加え2019年の網
膜裂孔、慢性眼精疲労(16時間/日☞8時間、ブログ数3件☞1件に集約)と
対応中。


折紙工学入門

平安時代から親しまれてきた折紙.その折紙の特性を生かし工学的に応用
するために「折紙工学」が提唱されている.ソーラーセイルやハニカムコ
アなど,コンパクトに収納でき,強靭で軽量な構造物への応用が期待され,
近年では世界的にも注目を集めている.そんな折紙工学の基本的な考え方
はもちろん,新たな折紙模型創出のためのヒントまで含めてくわしく解説.
折紙と幾何学とものづくりをつなぎ,無限の可能性を秘めた折紙工学の精
髄を第一人者が語り尽くす.

第1章   折紙工学とは
第2章 幾何学の基礎
第3章 螺旋構造と折り畳みの基礎事項
第4章 折り畳みのできる模型と形が可変な立体模型
第5章 2枚貼り折紙
第6章 コアパネルと3次元のハニカムコア
第7章 折紙の工学化の課題と期待/付録



特開2022-156809 白金ナノ粒子の製造方法 大阪瓦斯株式会社

特開2024-119081 光触媒及びその製造方法 日本製鉄株式会社

特開2024-42617 水分解光触媒に用いられる半導体粒子と
それを用いた
光触媒並びにそれらの合成方法 トヨタ自動車
株式会社 

【要約】
【課題】  光による水分解反応に於いて、できるだけ安定的に高い量子効率
を達成する光触媒であって、大量合成と実用化に適した光触媒を提供でき
るようにする。

【解決手段】  チタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子に助触媒が付加さ
れて成り、光照射により水分子が酸素分子と水素分子とに分解する水分解
反応を惹起する光触媒に於いて、半導体粒子にバリウム又は更にスカンジ
ウムがドープされる。その光触媒のための半導体の合成方法は、塩化スト
ロンチウム内にてチタン酸バリウム又は更に酸化スカンジウムを混合し
た物又は塩化ストロンチウムと塩化バリウム内にてチタン酸ストロンチウ
ム又は更に酸化スカンジウムを混合した物を焼成することによりバリウム
がドープされたチタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子を合成する工程
を含む。

【選択図】  図2(A)は、本発明の方法に従って合成された半導体粒子
を用いた光触媒により得られた量子効率であって、チタン酸ストロンチウ
ムに対するバリウムの含有量が変更された場合の値を示している。図2(
B)は、本発明の方法に従って合成された半導体粒子を用いた光触媒によ
り得られた量子効率であって、バリウムとアルミニウムの存在下で、チタ
ン酸ストロンチウムに対するスカンジウムの含有量を変更した場合の値を
示している

【符号の説明】M…メノウ乳鉢 C…アルミナ製るつぼ H…焼成炉
 V…ガラス容器 W…水溶液   L…照射光

【発明の効果】かくして、上記の本発明によれば、チタン酸ストロンチウ
ムを含む半導体粒子に助触媒が付加されて成り、光照射により水分子が酸
素分子と水素分子とに分解する水分解反応を惹起する光触媒に於ける半導
体粒子として、チタン酸ストロンチウムに対してバリウム又は更にスカン
ジウムをドープしたものを用いることにより、従前よりも、水分解反応の
量子効率の値がより高く、ばらつきが小さい光触媒が再現性よく合成でき
ることとなる。本発明の方法及び半導体粒子によれば、光触媒の量子効率
に関わる特性がより安定なものとなるので、本発明の方法及び半導体粒子
は、水素ガスの製造のための光触媒の大量合成と実用化に、より適した方
法及び半導体粒子であるということができる。


図1 本発明による半導体粒子及びそれを用いた光触媒の合成方法の工程
を説明する模式図

図3(A) 本発明の方法に従って合成された半導体粒子を用いた光触媒
により得られた量子効率であって、半導体粒子の合成に於ける焼成時の温
度を変更した場合の値を示している。図3(B)は、本発明の方法に従っ
て合成された半導体粒子を用いた光触媒により得られた量子効率であって、
半導体粒子の合成に於ける焼成時の時間を変更した場合の値を示している。
棒グラフ内に付されている数字は、その条件に於ける実験回数を示してい
る。

【発明を実施するための最良の形態】
水分解反応光触媒のための半導体粒子と光触媒の合成方法
  本実施形態による水分解反応光触媒のための半導体粒子は、塩化ストロ
ンチウム(SrCl)中にチタン酸バリウム(BaTiO)又は更に
酸化スカンジウム(Sc)、酸化アルミニウム(Al)を混合
した原料混合物(第一の合成方法に於ける原料混合物)、或いは、塩化ス
トロンチウム(SrCl)と塩化バリウム(BaCl)との混合物中
にチタン酸ストロンチウム(SrTiO)又は更に酸化スカンジウム(
Sc)、酸化アルミニウム(Al)を混合した原料混合物(第
二の合成方法に於ける原料混合物)を、SrClとBaClが融解し
て液体化する温度(ただし、BaTiO、SrTiO、Sc
Alは融解しない温度)に加熱して、SrTiOにバリウム原子
(Ba)、又は更にスカンジウム原子(Sc)若しくは更にアルミニウム
原子(Al)がドープされてSrTiOが半導体化された状態のものと
して合成される(フラックス法)。そして、光触媒は、フラックス法にて
得られた半導体粒子に対して、例えば、光電着法(photodepositing:光
析出法とも称される。)により、助触媒となる物質を付加することにより
合成される。

  より詳細には、図1を参照して、本実施形態に於いては、半導体粒子は、
開始材料が異なる二通りの合成方法により調製される。第一の合成方法に
於いては、多量のSrCl粉末にBaTiO粉末と、又は更にSc
粉末、Al粉末とが混合される。各粉末の好ましい割合は、以下の
如くである。
  100モル部のBaTiOに対して、
      SrCl:500~2000モル部
      Sc:0.1~5モル部
      Al:0~5モル部(Alは、含まれていなくてもよい。)
  また、第二の合成方法に於いては、多量のSrCl粉末とBaCl
末との混合物にSrTiO粉末と、又は更にSc粉末、Al
粉末とが混合される。各粉末の好ましい割合は、以下の如くである。
  100モル部のSrTiOに対して、
      SrCl+BaCl:1000モル部
      (SrClとBaClのモル比は、1:9~9:1)
      Sc:0.1~5モル部
      Al:0~5モル部(Alは、含まれていなくてもよい。)
  上記の粉末の混合は、例えば、メノウ乳鉢(M)内にて粉砕(grinding)
することにより為されてよい(30分程度)。
 しかる後、上記の粉末の原料混合物は、焼成用のるつぼ、例えば、アルミ
ナ製のるつぼ(C)に移され、焼成炉(H)にて焼成される(図1(B))。
この工程に於いて、焼成温度は、上記の如く、SrClが融解して液体
化する温度(874℃以上)又はSrClとBaClが融解して液体
化する温度(962℃以上)であって、BaTiO、SrTiO、Sc
、Alは融解しない温度(1625℃以下)であってよく、後述
の如く、本発明の発明者等による実験によれば、焼成温度は、例えば、
1000~1200℃程度であってよく、好適には、1100~1200
℃であってよい。また、原料混合物を上記温度に曝す焼成時間は、SrTi
にBa又は更にSc若しくは更にAlがドープされ、SrTiO
半導体化された状態となるのに十分な時間であり、本発明の発明者等によ
る実験によれば、後述の如く、焼成時間は、10~30時間であってよく
好適には、30時間程度であってよい。

 上記の焼成工程の後、焼成物が常温まで冷却すると、るつぼ(C)に水蒸
留水でよい。)が加えられ、超音波攪拌機などにより超音波をかけて攪拌し
つつ、るつぼ内の焼成物を粒子として水中に分散し、更に、吸引ろ過など
により、焼成物が回収されてよい。かかる粒子状の焼成物が本実施形態に
よる光触媒のための半導体粒子P(Ba-SrTiO、Ba-Sc-Sr
TiO又はAl-Ba-Sc-SrTiO、Al-Ba-SrTiO
)である。そして、回収された半導体粒子Pは、水にて洗浄されてよい。
かかる洗浄は、洗浄水のpHが7となり、洗浄水に塩素が含まれなくなる
まで実行されてよい。かくして、半導体粒子は、洗浄後、乾燥されてよい。
【0026】
  上記の半導体粒子を光触媒として機能させるためには、半導体粒子の結晶
面に於いて助触媒が付加される。かかる助触媒は、光による水分解反応に
於いて、半導体粒子にて光の照射により生じた電荷(電子と正孔)の半導
体粒子
の表面まで移動してきた後に、それらの電荷が再び半導体粒子内部
へ逆行することを防止するものと考えられている。本実施形態に於いて、
助触媒は、任意の手法に半導体粒子に付加されてよく、典型的には、既に
触れた如く、非特許文献1の場合と同様に、光電着法によって、水中に分散
された半導体粒子の結晶面に助触媒を析出させることにより、助触媒が半導
体粒子
に付加されてよい。具体的には、まず、半導体粒子がガラス容器な
どの透明な容器内にて水中に分散される(図1(C))。なお、半導体粒子
が一様に分散されるように、半導体粒子の分散された水(半導体粒子分散
液)に対して超音波が印加されてよい。しかる後、助触媒の原料となる塩
類が添加され、光Lが照射されて、半導体粒子Pの表面に助触媒となる金
属酸化物を析出させる処理が実行される(図1(D))。
【0027】
  より詳細には、半導体粒子Pの表面に付加する助触媒として、非特許文献
1の場合と同様に、酸化ロジウム-クロム(Rh/Cr)と水酸化酸
化コバルト(CoOOH)を用いる場合、以下の如く、工程が実行されて
よい。即ち、まず、塩化ロジウム(RhCl)水溶液が、半導体粒子分散
液へ、半導体粒子の量に対して、ロジウム(Rh)が0.1wt%となるよ
うに加えられ、半導体粒子分散液にキセノンランプ(300W,20mA)の光が
大気圧下で10分間照射される。次に、クロム酸カリウム(KCrO
水溶液が、半導体粒子分散液へ、半導体粒子の量に対して、クロム(Cr)
が0.05wt%となるように加えられ、キセノンランプ(300W,20mA)
の光が大気圧下で5分間照射される。そして、硝酸コバルト(Co(NO
)水溶液が、半導体粒子分散液へ、半導体粒子の量に対して、コバルト
(Co)が0.05wt%となるように加えられ、キセノンランプ
(300W,20mA)の光が大気圧下で5分間照射される。そうすると、図1
(D)に模式的に描かれている如く、半導体粒子Pの表面に、Rh-Cr
酸化物とCo水酸化酸化物とが付着され、かくして、調製された合成物が、
光による水分解反応を惹起する光触媒として機能することとなる。なお、
光電着法による半導体粒子の表面への助触媒の付加工程に於いて、半導体
粒子
分散液に加えられる助触媒のための塩類の濃度は、適宜調節されてよ
い。本発明者による実験によれば、例えば、助触媒のための塩類の濃度を
上記の4倍にすると、量子効率が大幅に低下することが見出されているの
で、かかる塩類濃度は、過剰にならないように調節されることが好ましい。
また、半導体粒子の表面への助触媒の付加は、光電着法の他、含浸法(分
散液に塩類を添加して熱を加える。)によっても為されてもよい。
【0028】
  上記の本実施形態による合成方法により調製された半導体粒子の性能は、
助触媒が付加されて光触媒能が付与された状態で、光による水分解反応に
於ける量子効率[水素分子×2/照射光子数]を測定して評価される。か
かる半導体粒子の性能に関して、後述の実験例から理解される如く、半導
体粒子
の組成(ICP-MSにより検出)に於いて、100重量部のチタ
ン酸ストロンチウムに対して、バリウムの含有量が0.1~2重量部であ
る場合に約70%又はそれ以上となる量子効率が安定的に与えられる(0.1
重量部のスカンジウムの含有時)。また、半導体粒子の組成に於いて、100
重量部のチタン酸ストロンチウムに対して、0.7~0.8重量部のバリ
ウムの存在時には、スカンジウムの含有量が0.1~1重量部であるとき
には、70%を超える量子効率が得られる(スカンジウムがない場合には、
量子効率は、30%程度である。)。なお、アルミニウムの有無は、100
重量部のチタン酸ストロンチウムに対してアルミニウムが1重量部を下回
る条件に於いて、量子効率に有意な差は認められなかった。また、開始材
料が第一の合成方法である場合と、第二の合成方法である場合との間で、
量子効率に有意な差は認められなかった。従って、本実施形態によれば、
チタン酸ストロンチウムに対してバリウム、又は更に、スカンジウムがド
ープされた状態の半導体粒子を合成し、それを用いて光触媒を調製するこ
とにより、安定的に且つより高い量子効率を与える半導体粒子及び光触媒
が提供できることとなる。
【0029】
実験例
  上記の本実施形態の教示に従って、チタン酸ストロンチウムにバリウム又
は更にスカンジウム、アルミニウムをドープした半導体粒子とそれを用い
た光触媒を合成し、光触媒の量子効率を測定し、本実施形態の有効性を検
証した。なお、以下の実験例は、本実施形態の有効性を例示するものであ
って、本発明の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
【0030】  半導体粒子の合成は、上記の工程に従って行った。具体的に
は、まず、上記の第一の合成方法に於いては、SrCl粉末、BaTiO
粉末、Sc粉末及びAl粉末を種々の割合にて、第二の合成方
法に於いては、SrCl粉末、BaCl粉末、SrTiO粉末、Sc
粉末及びAl粉末を種々の割合にて、メノウ乳鉢にて、30分間
に亙り粉砕混合した。粉末の混合物は、アルミナ製のるつぼに移した後、
焼成炉にて、焼成温度と焼成時間とを種々設定して焼成した。なお、焼成
工程に於いて、室温から焼成温度までの昇温は2時間にて行い、焼成時間
の経過後、6時間をかけて室温まで放冷した。放冷後、焼成物の入ったる
つぼ内へ蒸留水を加え、超音波攪拌機で超音波を印加して攪拌し、るつぼ
内の焼成物(るつぼ内壁に付着したものも分散された。)を粒子状にして
水中に分散し、吸引ろ過により、回収した。その後、回収した粒子状の焼
成物を蒸留水により洗浄した。洗浄に於いては、洗浄後の水のpHをpH
試験紙を用いて確認するとともに、洗浄後の水中の塩素の有無を、洗浄後
の水に0.1M硝酸銀を加えて塩化銀が発生するか否かで確認し、洗浄後
の水のpHが7となり、塩素が検出されなくなるまで、洗浄を行った。そ
して、洗浄後の粒子状の焼成物、即ち、半導体粒子は、70℃にて乾燥し
た。半導体粒子の組成は、ICP-MSにより検出した。
【0031】
  上記の半導体粒子を用いた光触媒の調製に於いては、耐熱ガラス容器(4
00ml)に於いて、100mgの半導体粒子粉末を蒸留水100ml中
に分散した。そして、まず、塩化ロジウム(RhCl)水溶液を、半導
体粒子
分散液に、半導体粒子の量に対して、ロジウム(Rh)が0.1wt
%となるように加え、半導体粒子分散液をキセノンランプ(300W,20mA)
の光にて大気圧下で10分間照射し、次に、クロム酸カリウム(KCr
)水溶液を、半導体粒子分散液に、半導体粒子の量に対して、クロム
(Cr)が0.05wt%となるように加え、上記と同様に半導体粒子
散液をキセノンランプ(300W,20mA)の光にて大気圧下で5分間照射し、
最後に、硝酸コバルト(Co(NO)水溶液を、半導体粒子分散液に、
半導体粒子の量に対して、コバルト(Co)が0.05wt%となるよう
に加え、上記と同様に半導体粒子分散液をキセノンランプ(300W,20mA)
の光にて大気圧下で5分間照射した。なお、キセノンランプによる光の照
射は、ガラス容器に石英盤の蓋をして行った。かくして、処理後の半導体
粒子
分散液を、そのまま、光触媒の分散された溶液(光触媒分散液)とし
て、量子効率の測定に用いた。
【0032】
  光触媒の量子効率の測定に於いては、先ず、光触媒分散液の入ったガラス
容器を真空ポンプで脱気した後、アルゴンガスを充填することにより、ガ
ラス容器内の空気をアルゴンガスに置換した。しかる後、ガラス容器にガ
ラス配管を介してガスクロマトグラフに接続し、キセノンランプ(300W、
20mA)の光を365nmのバンドパスフィルターを介して、ガラス容器
内の光触媒分散液に照射し、水分解反応を惹起させて水素ガスを発生させ
た。水素ガスの発生量の検出に於いては、光照射を2時間実行する間にガ
ラス配管に発生した水素ガスを溜めて、溜められたガスをガスクロマトグ
ラフへ導入して、水素ガス量を検出した(測定は、20分おきに行った)。
クロマトグラフに於ける水素ガス量の検出に於いては、事前に水素ガスの
モル数が既知の標準ガスを用いて、水素モル数と水素ガスに相当する検出
データ部分の面積との間の検量線を作成しておき、その検量線を用いて、
ガラス配管からガスクロマトグラフへ導入された水素ガスの検出データ部
分の面積から発生モル数を決定した。一方、ガラス容器内の光触媒分散液
に照射された光子数については、測定に使用されるガラス容器内の光触媒
分散液に照射される全光のワット数P(単位時間当たりのエネルギー量)
をフォトダイオードセンサーで計測しておき、光触媒分散液に単位時間当
たりに入射される光子数Iを下記の式により算出した。
  I(/s)=P(W)×λ(m)/[h(J・s)×c(m/s)]
  ここで、λは、照射光の波長、hは、プランク定数、cは、光速である。
そして、量子効率は、下記の式により算出した。
  量子効率(%)=n(/s)×NA×2/I×100
  ここで、nは、単位時間当たりに発生した水素ガスのモル数、NAは、
アボガドロ数である。
【0033】
  結果に於いて、まず、バリウムの含有量を種々変更して合成された半導体
粒子
を用いて調製した光触媒にて測定された量子効率は、図2(A)の如
くとなった。なお、同図に於いて、半導体粒子に於けるバリウムの含有量
は、100重量部のチタン酸ストロンチウムに対する重量部にて表わされ
ている。また、組成に於いて、スカンジウムが0.1重量部にて含有させ
た(アルミニウムは含まない。)。焼成時の焼成時間は、30時間とし、
焼成温度は、1150℃とした。同図を参照して理解される如く、バリウ
ムの含有量が0.04~5重量部であったときに、量子効率は、約70%
又はそれ以上となり、バリウムの含有量が0.1~2重量部の場合には、
量子効率は、80~90%に達する高い値が安定的に得られた。このこと
から、半導体粒子に於ける100重量部のチタン酸ストロンチウムに対す
るバリウムの含有量が0.04~5重量部の場合、より好適には、0.1
~2重量部の場合に、高い量子効率を与える光触媒が得られることが示さ
れた。
【0034】
  バリウムとアルミニウムの存在下で、スカンジウムの含有量を変更して合
成された半導体粒子を用いて調製した光触媒にて測定された量子効率は、
図2(B)の如くとなった。ここに於いて、100重量部のチタン酸スト
ロンチウムに対して、バリウムの含有量は、0.7~0.8重量部であり、
アルミニウムの含有量は、0.2重量部であった。焼成時の焼成時間は、
30時間とし、焼成温度は、1150℃とした。同図の結果から、スカン
ジウムが無くても、量子効率は、30%ほど得られるところ、スカンジウ
ムの含有量が0.1~1重量部である場合には、70%又は80%を超え
る高い量子効率の光触媒が得られることが示された。また、図2(A)の
結果と合わせて参照して、半導体粒子に於いて、0.1~2重量部程度の
バリウムの存在時に於いて、0.1重量部のオーダーのアルミニウムの有
無は、光触媒の量子効率に有意な差を与えないことが理解される。

【0035】
  更に、第一の合成方法により合成された半導体粒子100重量部のチタ
ン酸ストロンチウムに対し、バリウムが0.75重量部、スカンジウムが
0.58重量部、アルミニウムが0.18重量部)を用いた光触媒の量子
効率は、82%であり、第二の合成方法により合成された半導体粒子(1
00重量部のチタン酸ストロンチウムに対し、バリウムが0.75重量部、
スカンジウムが0.62重量部、アルミニウムが0.14重量部)を用い
た光触媒の量子効率は、84%であった。このことから、第一の合成方法
により合成された半導体粒子を用いた光触媒と、第二の合成方法により合
成された半導体粒子を用いた光触媒とで、有意な差がないことが理解される。
【0036】

上図3
  次に、粉末混合物の焼成の際の焼成温度と焼成時間を種々変化させて合成
した半導体粒子を用いて調製した光触媒にて測定された量子効率は、図3
(A)、(B)の如くとなった。なお、半導体粒子は、組成が100重量
部のチタン酸ストロンチウムに対し、バリウムが0.3重量部、スカンジ
ウムが0.1重量部となるよう調製した。まず、図3(A)を参照して、
焼成時間を一定にした場合(30時間)、焼成温度が1000~1200
℃の場合に於いて、量子効率が略70%を上回り、焼成温度が1100~
1200℃の場合には、量子効率が略80%を上回り、焼成温度が1150
℃の場合に、量子効率が最大となった。一方、図3(B)を参照して、焼
成温度を一定にした場合(1150℃)、焼成時間が10~30時間の範
囲で、量子効率は80%を超え、かかる時間範囲で有意な差は、認められ
なかった。このことから、焼成時間が10~30時間の範囲で、焼成温度
は、1000~1200℃、より好ましくは、1100~1200℃とす
ると、安定的に高い量子効率を与える半導体粒子を合成できることが示さ
れた。
【0037】
  以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者に
とつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示さ
れた実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱する
ことなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
-----------------------------------------------------------------
特開2024-4698 光触媒膜被覆体及びその製造方法 三菱ケミ
カル株式会社

【要約】紫外線から可視光領域の広範な領域で透明性及び光触媒性を同時
に高いレベルで実現可能な光触媒膜被覆体及びその製造方法の提供。
【解決手段】価電子帯と伝導帯のバンドギャップエネルギーが0.1eV
~5.5eVである金属酸化物を含む光触媒膜を有する光触媒膜被覆体で
あって、前記光触媒膜の波長200nm~800nmにおける光線透過率
が80%以上であり、前記光触媒膜の膜厚が0.5nm~200nmであ
光触媒膜被覆体及びその製造方法。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
  価電子帯と伝導帯のバンドギャップエネルギーが0.1eV~5.5eV
である金属酸化物を含む光触媒膜を有する光触媒膜被覆体であって、前記
光触媒膜の波長200nm~800nmにおける光線透過率が80%以上
であり、前記光触媒膜の膜厚が0.5nm~200nmである、光触媒
膜被覆体。
【請求項2】
前記金属酸化物が、ジルコニウム、チタン、セリウム、インジウム、スズ、
亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、鉄、鉛、銅、タングステン
、ニオブ、クロム、ストロンチウム、インジウム、ルテニウム、カドミウ
ム、ガリウム、アンチモン、テルル、セレン及びハフニウムからなる群よ
り選ばれる1種以上の金属元素を含有する、請求項1に記載の光触媒膜被
覆体。
【請求項3】前記光触媒膜中の前記金属酸化物の最小粒径をXnmとし、
前記光触媒膜の膜厚をYnmとしたときに、下記式(1)及び下記式(2)
を満たす、請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。
  0.5≦X≦200    ・・・(1)
  1.0≦Y/X≦3.0    ・・・(2)
【請求項4】  前記光触媒膜の波長200nm~800nmにおける光線透
過率が90%以上である、請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。
【請求項5】  前記光触媒膜の膜厚が0.5nm~100nmである、請求
項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。
【請求項6】  JIS  R  1703-1:2020に準拠して測定した前記
光触媒膜の表面の水接触角が20°以下になるまでに要する時間が48時間
以下である、請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。
【請求項7】  請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体の製造方法であって、
  前記金属酸化物の粒子分散液を基材に塗布し、乾燥及びエージングした後、
溶剤で洗浄し、0℃~1000℃で焼結する、光触媒膜被覆体の製造方法。
【請求項8】前記金属酸化物の粒子のモード径が200nm以下である、
請求項7に記載の光触媒膜被覆体の製造方法。
【請求項9】波長10nm~400nmにピークを有するスペクトルの光
を照射する光源を更に有する、請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。

特開2024-176954 遷移金属錯体の製造方法、遷移金属錯体の精製方法、
遷移金属錯体及び有機電界発光素子 三菱ケミカル株式会社(審査前)
特開2024-172574 流体用容器および水素発生用水分解装置 三菱ケミカ
株式会社他(審査前)
特開2024-117940 積層フィルム、画像表示装置用表面保護フィルム、フ
レキシブル画像表示装置及び積層フィルムの製造方法 三菱ケミカル株式会社
特開2024-14304 過酸化水素製造用光触媒及びそれを用いた過酸化水素の
製造方法 三菱ケミカル株式会社他(審査前)
特開2023-184494 有機化合物の精製方法、製造方法及び有機電界発光素子
の製造方法(審査前)
特開2023-111655 水処理装置、及び水処理方法 三菱ケミカル株式会社(審査中)

      心に響く楽曲 『イルミネーション B'z』 

              作詞:稲葉浩志/作曲:松本孝弘 
              ジャンル:J-POP 2024年10月


 今日の言葉:

          春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                   春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

              

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エネルギーと環境 111

2025年01月19日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。



【季語と短歌:1月19日】 

      冬の菜宴の目覚めに活を入れ 
                   高山 宇 (赤鬼)

✳️ 群れで「仮想発電所」を構築する未来
      電気自動車の双方向充電を日産が先導
(CNET Japan)

電気自動車はもはやエコな交通手段というだけではない。家庭用のバッテ
リーとしても機能する可能性がある( 【画像】「EVの双方向充電」の先駆
者となった日本車とは
」)。電気自動車の普及は緩やかだが、技術の進化
は、『デジタル革命渦論』、『ディープランニング』(NHK技研)、『
QRコード革命』、『ネオコンバーテック』と絡み急速に成長。2024年第
3四半期時点で、米国での軽車両(米国の基準ではテスラ モデルYなども該
当)の販売台数のうちEVが占める割合はわずか9%にに過ぎなかったが、
その割合は急速に増加、米再生可能エネルギー研究所(NREL)は、2030
年までに米国で3000万台から4200万台のEVが普及すると予測。


2030 National Charging Network レポートは、新しい概念を作成 インフォグラフィックに収め
られた全国的なEV充電ネットワークの計画を導くモデル 上。NRELによる画像

こうした進化は、単にガソリン代を節約したり、二酸化炭素排出量を削減
したりする以上の意味を持つ。EVの次なるフロンティアは双方向充電技術
にある。この技術を使えば、車の大容量バッテリーを停電時に家庭のバッ
クアップ電源として活用できる。フォード、GM、ボルボ、テスラ(サイ
バートラックのみ)といったメーカーがすでに一部のモデルでこの双方向
充電に対応しており、2025年や2026年までには多くのメーカーが同機能を
搭載するとみられる。EVメーカーが双方向充電技術を採用する動きが進む
中、この技術がテスラの「パワーウォール」のような家庭用バッテリーバ
ックアップの代替となる可能性がある。太陽光発電バッテリーは必要なと
きにバックアップ電力を提供するが、設置には数千ドルがかかり、使い道
も限定されている。それに対し、双方向充電は⓵移動手段としての役割に
加え、②ガレージに停めている間にもEVを活用できるという一石二鳥のソ
リューションを提供できる。「双方向充電技術は今後さらに普及し、202
5年はその技術が転換点を迎える年になる」と、複数入居者向け建物にEV
充電ソリューション提供企業責任者は語る。CNETは自動車メーカーの専
門家やこの技術を研究する研究者に取材し、家庭と車の接続の未来課題を
掘り下げている。  

2025年の双方向充電は、主要な自動車メーカが自社EVに導入で、さらな
る普及を期待し、メーカー各社は、家庭向けの車両充電、いわゆる「V2H」
だけでなく、あらゆる用途に対応する双方向充電充電、つまり「V2X」へ
の移行を進める。「GMのような企業が2026年までに全車両でV2X技術を
展開する計画を立てている。V2X対応の車両数は急速に増えるだろう」と、
見ている。この進展は、V2Xが普及フェーズに入ることを後押し、ユーザ
ーがV2Xを使う技術的な能力だけが重要でなく、「商用車両群」と「家庭
のエネルギー管理」という2つの大きなトレンドに
注目されると。 商用車
両群におけるV2Gの重要性が高まる。タクシーなどの商用車両群の所有者
にとって、双方向充電の未来は一般消費者とは異なる。たとえば、UPSが
トラック向けに車両から電力網へ電力を供給する「V2G」システムを採用
している事例がある。



オークリッジ国立研究所の研究スタッフであるオマー・オナール氏によれ
ば、UPSが使用するシステムはワイヤレスで充電しながら電力を送電網に
戻すことが可能だという。このようなマイクログリッドの仕組みは、学校
のバス、教会、レンタカー会社、運送会社、公共交通機関など、大規模な
商用車両群を運営するどの組織にも技術的に適用でき、こうした大規模な
商用車両群は、管理が容易でスケジュールが予測可能であるため、V2Gプ
ログラムにおいて特に価値があり、 家庭用電力管理システムが必要不可欠
で、ボルボ・カーズ・エナジー・ソリューションの責任者は、顧客がEVの
充電と放電を最適化するアルゴリズムを備えたエネルギー管理システムを
必要とする。このシステムは家庭での消費量や電力価格に応じてEVの充放
電を自動的に調整することが求められ、このような仲裁機能はすでにSolar
Edgeのホームバッテリーや、「Tesla Powerwall 3」のような家庭用バ-ッテ
リーに搭載されており、車両メーカーやEcoFlow、Savant、Jackery、Blue-
ttiのような企業も同様の技術開発に参入している。  

車両側では、フォードがSunrunやBGEと提携して、同社初のEVピックアッ
プトラック「F-150ライトニング」のパイロットプログラムを実施している。
同プログラムでは、家庭への電力供給や電力網へのエネルギー供給が可能
だと実証。GMもまた、同様の蓄電システム「GMエナジー・パワーバンク」
を展開している。同システムには、停電時にEVから家庭に電力を供給した
り、ピーク時の電力料金を抑える家庭用電力管理システムが含まれる。



◾仮想発電所の構築に必要なこと
仮想発電所(VPP)の実現には、いくつかの追加要素が必要になる。車両
と家庭用インバーターを仮想発電所プログラムに接続する必要があり、こ
のシステムはVPPや電力会社によって維持管理される必要があるが、それ
は思ったほど簡単なことではない (仮想発電所とは、分散された多数のEV
の蓄電池がネットワークで繋がり仮想的な発電所を構築するもの)。

さらに、すべての家庭用充電器を設定してインターネットに接続する必要
がある。これにより、VPPは、充電が十分にある車両がその時点でどれだ
け接続されているかを推測できる。たとえば、充電残量が5~10%しかない
車両からはエネルギーを取り出すことができない。そのような車両はまず
充電を行う必要があり、オーナーが引き続き使用できる状態を維持するこ
とが求められる。
さらに、VPP(仮想発電所)や電力網サービスが大きな成功を収めるには
市場規模の拡大が必要である。システムを導入する人が増え、接続される
車両の数が増加すれば、予測がより容易になり、安定性や効果が向上する
という理由だ。 CES 2025での新たな動向  CES 2025では、スマートエネ
ルギー管理システムが大きな注目を集めた。EcoFlowは「Oasis」というAI
駆動の家庭用エネルギー管理システムを発表した。同システムは既存の
EcoFlow製品や家庭全体のバックアップ電力ソリューションと連携する。
AI、予測分析、自動化を組み合わせて家庭の電力需要を管理し、家庭用の
太陽光発電システムとも連携できる。

将来のエネルギー需要や太陽光発電量、電気料金や天候パターンを考慮し
電力使用を調整できる。 Savantもまた、新しい「Smart Budget」電力パ
ネルを発表。同パネルは既存の電力配電盤に追加できる電力モジュールで
構成され、付属のソフトウェアは家庭のエネルギー使用量を調整し、需要
が容量を超えないようにする。優先順位をつけて電力を利用し、リアルタ
イムの消費量を監視し、必要に応じて負荷を減らし、使用量をバランスさ
せてくれる。  

Bluettiもスマートエネルギー管理システムと新製品を発表した。同社の
「EnergyPro 6K」は、小規模から中規模の住宅向けのバックアップ電源と
して設計され、既存の屋根設置型ソーラーシステムと統合できるほか、
AT1スマート配電ボックスと組み合わせることで双方向EV充電や発電機充
電もサポートする。  

最後に、Jackeryの「HomePower EnergySystem」は今年後半に発売予定。
このシステムはモジュール式で、7.7キロワット時から15.4キロワット時ま
で積み重ねて拡張可能。バッテリーユニット、ハイブリッドインバーター、
負荷を管理するハブで構成され、EV充電器やバックアップ発電機、既存の
家庭用ソーラーシステムに簡単に統合できるよう設計されている。

EVの双方向充電は家庭用バッテリーを代替するか
「私は家庭用バッテリーを持ったことがない」と、フォードでエネルギー
サービスとV2G事業を担当者は「私が持っているのは『F-150ライトニング』
(フォード初のEVピックアップトラック)だけ。2024年の夏、ミシガン
で非常に激しい嵐があり、私の地域では木々や電線が倒れ、3日間も停電
した。でも、対応できた。その間ずっとトラックの電力で生活し、電力が
復旧したときには約100マイル分の充電が残った。」  
平均的なEV所有者は、車をバッテリー代わりに使用した場合のエネルギー
消費をほとんど感じないだろう。「車両が接続されているとき、車両から
15~30マイル分(25km〜50km)の電力を取っても、ドライバーにとっ
てほとんど支障がない」と説明する。「車両によるが、1時間以内で減っ
た分の電力を充電で取り戻せる」  
しかし、取材に応じた専門家の全員が、EVの双方向充電が完全に家庭用バ
ッテリーを置き換えるとは考えていず、「もしあなたが人里離れた場所に
住んでいて、長期間のエネルギーバックアップが必要であれば、家庭用バ
ッテリーシステムを購入する方が経済的だ」とSwtch社の担当者はこう指摘。
「家庭用バッテリーはより多くのエネルギーを蓄えられる可能性が高く、
長期間の停電中でも移動の必要がある場合に問題が生じにくいためだ」「
私たちは、どちらか一方の選択肢とは見ていない」と電力業界に独立かつ
客観的な専門知識を提供する研究所のシニアプロジェクトマネージャーで
あるベン・クラリン氏。 「どちらも停電時に人々を支援できる」と彼は、
双方向充電が家庭用バッテリーシステムと共存する余地があると考えてお
り、テスラのパワーウォールのようなシステムが双方向充電によって完全
に置き換えられる可能性は低いという。また、EVの双方向充電が家庭用バ
ッテリーの導入が実現困難なケース、例えば多世帯住宅のような場所で有
効に機能する可能性がある。多世帯住宅では、スペースやコストの問題から
個別のバッテリーバックアップを導入することが難しい

◾ 双方向充電の現状
双方向充電はその名の通り、車両に蓄えられた直流(DC)エネルギーを交
流(AC)電気に変換し、それを自宅や電力網に供給するプロセスだ。これ
は、従来の一方向型のEV充電プロセスとは逆の仕組みも備える。通常のプ
ロセスでは、壁のコンセントからEV充電器を通じて交流電力を車のバッテ
リーに供給し、それを直流エネルギーに変換して蓄えるという流れにある。  
技術的な実装は比較的シンプルだが、双方向充電の本当の可能性は、様々
な活用方法にある。例えば、「V2H(Vehicle-to-Home)」充電では、停
電時に車をバックアップ発電機として利用できる。 「基本的なユースケー
スは2つある」とGMエナジー(GMのエネルギー貯蔵やEV充電ソリューシ
ョンを提供する部門)の収益責任者。「一つは純粋にレジリエンシー(回
復力)を重視したもので、停電時に車を使って自宅に電力を供給するとい
うもの。このシナリオでは、車を単なる移動手段以上のもの、つまり二重
の資産として活用できる。車をエネルギー資産として利用し、固定型の蓄
電設備と組み合わせることで非常に価値のある用途が生まれる」 平均的な
EVはフル充電で60kWhの電力を蓄えることができ、これは家庭の約2日
間分に相当。使用状況によってはさらに長持ちし、家庭の電力バックアッ
プとして実用的。  

「一般的な市販の固定蓄電システムでは、7~13kWh程度の電力を蓄えら
れる」とフォードの責任者はいう。「それは素晴らしいが、車両で言えば
わずか15~30マイル分の走行距離に相当。一方でEVでは300マイル以上の
走行が可能です」。これにより、緊急時にEVを電力供給源として使用して
も、車両の走行距離に大きな影響を与えることはなく、実用的なバックア
ップ手段となる。  
「V2L(Vehicle-to-Load)」のような選択肢もあり、これは車両の電力を
使ってキャンプ用品、電動工具、家電製品などのデバイスを動かすための
アダプターを利用する。「基本的なV2Lであれば、ほとんど導入の障壁は
ない」とマーティン氏は言う。「車に延長コードを差し込むためのコンセ
ントがあれば、デバイスに電力を供給できる」 これにより、V2Lは一般消
費者が最初に体験する双方向充電のユースケースとなるだろう。また、「
V2V(Vehicle-to-Vehicle)」という選択肢もあり、これは電力を使い切っ
たEVに電力を供給する仕組み。これは車のバッテリーで別の車をジャンプ
スタートする方法に似ているが、適切な例えとしては、自分の車の燃料を
他の車に移すようなイメージ。

◾双方向充電の普及における課題  
「双方向充電やその他の車両とさまざまなものを繋ぐ技術(V2X)の最大
の障壁は、車両自体の対応能力だ」とSwtchのマーティン氏は述べている。
「現場にはV2Xをサポートする充電器が存在するものの、対応する車両の
数が限られているため、現在では充電器の技術があまり効果を発揮してい
ない」

◾車両と充電器の性能  
しかし、これも今後数年で変わる見込みだ。GMだけでも、新たに発売さ
れたChevroletのEV、Equinox、Blazer、Silveradoをはじめ、Cadillac Lyriq
やGMC Sierraを挙げている。これらの車両はすべて双方向充電に対応して
おり、GMの車両用ホームシステムと連携して動作する。現在の最も代表
的な例は、Ford F150 ライトニングとその専用充電器「Ford Connected
Charge Station Pro」だ。この双方向充電器は1310ドル(約20万円)で
販売されているが、一部の電動トラックモデルには無料で付属している。  
他の自動車メーカーも追随し、双方向充電に対応した車両を増やすと予想
される。ボルボは、Volvo EX90が双方向充電に対応すると発表しており、
ヨーロッパでは交流(AC)対応の双方向充電器の開発を進めている。また、
スウェーデンの自動車メーカーは、家庭用エネルギー会社「dcbel」と提携
し、米国市場に直流(DC)対応の双方向家庭用エネルギーステーションを
導入する計画も進めている。 設置費用とアップデート  双方向充電は基本
的なEV充電よりも設置費用がかかる。「車を自宅の予備電源として利用
したり、V2G(Vehicle-to-Grid)プログラムで電力網に接続するには、費
用が最大の障壁になる」とマーティン氏は指摘する。「互換性のある充電
器と切断スイッチを購入する必要があり、それだけで数千ドル(数十万円)
がかかる。さらに、その設置スペースも確保しなければならない」  特に
集合住宅では、空きスペースや費用が双方向充電の導入を難しくする場合
があるが、一戸建て住宅でも予想外の費用が発生することがある。古い配
線や分電盤を使用している家庭では、200アンペアの電気サービスに対応
していない場合があり、双方向充電の利点を最大限に活用するには分電盤
などのアップグレードが必要になることがある。このアップグレード自体
も追加費用となる。  フォードのオゴーマン氏は、自社のCharge Station
Proのような特定の双方向充電器は、設置場所への負荷に合わせて給電能力
を調整できることを指摘している。そのため、フルの給電能力を活用しな
いことに問題がなければ、分電盤のアップグレードが必須というわけでは
ない。 規制の状況  双方向充電の重要な要素の一つは、規制だ。電力を送
電網に売買するプロセスは通常、各州や電力会社に委ねられている。一部
の州では、太陽光パネルで生産した余剰電力を買い取り、その分を電気料
金から割り引く「ネットメータリング」を導入している。  
「業界では通常『相互接続契約』と呼ばれます」と語るのは、国立再生可
能エネルギー研究所で電気自動車充電と電力網統合の主任エンジニアを務
めるアンドリュー・メイツ氏。「家庭に設置される電力網に電力を供給す
る装置はすべて登録されている必要があり、その装置が発電装置であるこ
とを電力会社に申告しなければならない」 また、「夜間の電力料金が安い
時間帯に車やバッテリーに電力を蓄え、電力需要が高まり料金が上がる昼
間にその電力を電力網に戻すことで、家庭が利益を得る」という行為への
金銭の支払いは、米国では州によって大きく異なる。また、国際的には、
欧州連合が電力の購入と売電に対する送電網料金や税金の変更を求めてお
り、これが一般消費者の参加を難しくしている。  

これらの課題は、仮想発電所が直面する問題と非常に似ている。RMI(旧
ロッキーマウンテン研究所)の電力部門でマネージングディレクターを務め
るマーク・ダイソン氏は、「米国における仮想発電所の規制環境は、50州
それぞれが異なるだけでなく、各州内の電力会社ごとにも異なる仕組みに
なっている。この複雑さが市場の成長を妨げる大きな要因の一つだ」と指
摘。 最大の課題は、顧客が電力を電力網に戻すことに魅力を感じられる仕
組みを作ること。彼は続けて「電力会社や規制当局が適切な料金設計やイ
ンセンティブプログラムを提供し、電力網の計画や運用方法を見直さない
限り、顧客にとってそのメリットは十分に享受できない。これらの取り組
みを進めることで、初めて仮想発電所の持つ潜在力をユーティリティ規模
で最大限に活用できるようになれる」

◾双方向充電はEVバッテリーを劣化させるか?  
平均的なEVユーザーは、双方向充電による車のバッテリーの摩耗をあまり
心配する必要はなさそうだ。 「私たちのデータでは、これが一般消費者に
とって問題になることはないはずだ」とペトロフスキーは言う。「双方向
充電が適切に制御され、限定的に行われる限り、バッテリー寿命に大きな
影響を与えることはない」、ボルボはバッテリーを過度に使用する顧客に
対し、双方向機能を制限する予定だという。これは、顧客ごとの条件や運
転・充電の行動に基づいて判断される。「バッテリーを最も劣化させるの
は、理想的な条件から外れてストレスを与えることだ」と彼は言う。「頻
繁に急速充電を行い、満充電に近い状態を維持することや、非常に暑い
または寒い環境で充電することが、目に見える劣化を引き起こす主な要因
だ」 そうは言っても、技術的には、家庭用バッテリーバックアップとして
使用してもEVに問題は生じないとマーティンは言う。「現在のEVのバッテ
リーは、電力を送電網に戻したり、数日間家庭に電力を供給したりするよ
うな追加の負荷にも十分対応できる。年間数回そのような使い方をしても、
大半の車両オーナーに問題は生じないだろう」 さらに朗報として、話を聞
いたすべてのメーカーが、双方向充電が自社EVの標準機能であると確認し
ている。この機能を使用することで保証が無効になったり変更されたりす
ることはないという。これは顧客からよく寄せられる懸念点だ。



     心に残る歌 『アジアの純真 PAHHY』
                作詞:井上陽水・作曲:奥田民生
                1996年5月13年 J-POP
              



今日の言葉:全固体型有機樹脂電池は充電時間の短縮、セルの安全性
        を完備させれば世界トップとなると了解。電気自動車も
        同様に電気自動車時代到来すると了解する。思えば64年
        前、家の納屋で、当時、曽根崎小学生の生島君と電池を
        回し発電の実験を行った記憶がある(北海道大までの情
        報は残っているが現代不通)。思えば、
電気自動車時代
        が来ようとは不思議な気持ちだ(ブログ掲載は2度目)。


                春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                 春だというのに自然は沈黙している。

                             レイチェル・カーソン 『沈黙の春』   
                         (因果報応の季節風)より



                              





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バレートロニクス時代①

2024年07月15日 | undefined

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。ひこにゃんの
お誕生日は、2006年4月13日。




かりん叢書
塗中騒騒 - 歌集
【季語と短歌:7月15日】

        蜘蛛の囲を払うことなき雨上がり 

激しく降り続いた連日の朝、蜘蛛の囲を確認し、それがないのでので

彼女に質すと、私がいつも綺麗にしているからと笑いながら答える。
「異変では」と過剰反応した己を恥じた「日常」を詠む。

【今日の短歌研究⑦】 
平安:貴族社会社会 自然観の確立
その次が平安時代になります。壬申の乱以後、奈良朝は天武系でずっ
続いていたわけですが、やがて天智系に戻って、大津宮に近い京都
遷都することになって平安京ができるという流れになります。七一
から七九四年までですのですの
で、奈良時代というのは八十四年間ですね。長岡京の時代が
あるので厳密にはもう少し短いんですが。
 平安朝になって、貴族文化の世界になっていきます。
接すると、日本人はどうしてそんな自然と親和性があふて茫洋として

なんとなく生きていられるんだと言われたりします。西洋的な感覚か
らすると。一神教による宗数的な鍛え上げられ方をしていないという
ことが不思議なわけですね。
 日本だと、議論をしてもそこそこで「まあ、どっちもいいんじゃな

い」と言ってしまいがちなんですが、そういうことは海外の学会とか
ではないんですね。夜中まで議論してどっちが正しいかやってみよう、
というのが普通なわけです。
 つまり、宗教的な超越的な反自然的なそういうものを持ち込まない

文化というのが日本のなかでは重要で、ある種のアニミズム的なもの
に制度を与えたのが貫之の『古今集』というわけなんです。
 それは西洋の原理とは大きく異なる文化で、外国から来て日本に長

く滞在し馴染んできた方には、和歌や生け花や茶の湯といったものに
してある種の敬意を抱いてくださるようになることが多いです。敬
意とは、アニミズム的なものによって高度な文化が作れるのだという
ことに対する数意なんですね。教会や塔を建てるといったこととは違
って、自然を愛する心や多神教といったものによって高度な文化が作
られているということ。そのルーツは何かということを考えると、赤
人の歌や貫之の歌に見られるのではないかと思います。

   暗きより暗き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月 
                    『拾遺集』和泉式部

これも有名な歌ですが、この歌が名歌であるかとうかは実は賛否両論
あります。
 たとえば、当時の第一線の歌人であった藤原公任は、この歌は駄目

だと言ったんですね。なぜかと言うと、〈暗きより暗き道にりぬべき
〉というのは法華経の中の決まり文句のようなもので、それに下の句
を付けたぐらいの歌であり、和泉式部にはもっと良い歌があると主張
したんです。
 一方で、だいぷ後の時代の話に、鴨長明は『無名抄』のなかでこの

歌を良い歌だと言っています。たとえ決まり文句につられたのであっ
ても、「だけ高く」詠われていて「また景気もあり」と。そういう言
葉を使ってこの歌を評価しています。要するに、決まり文句を使った
から駄目だっていうのではなく、そのときの気持ちの乗せ方がちゃん
とできているから良いのだということではないかと思います。
 〈はるかに照らせ山の端の月〉とは、この歌を差し向けられた性空

という偉い僧を月に喩えているのですが、後世から見たらそうした背
景よりも歌そのものの姿を大事に取るのかなという感覚ですね。
 西暦で言うとI〇〇〇年前後ですかね、貴族社会の制度が前提にな

っているところに、制度だけでない情念のようなものが噴出している
というイメージですね。
 余談ですが、同時代の紫式部はあまり歌は上手ではなくて、和泉式

部や赤染衛門のほうが上手いという通説があります。しかし、『源氏
物語』の中で光源氏とかに詠わせている歌は素晴らしい。自分のこと
だと全部見えてしまって面白くなくて、誰かに仮託して詠うというの
が紫式部の文学的センスに合っていたのかもしれないですね。      

 中世・近世‥武家社会終局的貴族文化    
中世になると武家社会の色合いが強くなり、鎌倉に政権が移ります。
それで、追い詰められた貴族社会が歌のコモンズになっていくという、
そういう世界ですね。

   見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ

                           『新古今集』藤原定家

 これも有名な歌ですね。こういう「見せ消ち」みたいな手法で、旧

来あった和歌の美学みたいなものをあえて否定しなければ我々は生き
られないんだという。
 本歌取りもそうですね、塗り重ねて違うことを言うことで否定しつ

肯定するというわけです。
 中世の後期の南北朝の頃になりますが、京極派という、定家の曽孫

である京極為兼が作った新しい流派が出てきます。

  花の上にしばしうつろふ夕づく日 入るともなしに影消えにけり                                                  『風雅集』永福門院 


  当時は京極派と二条派が対立していました。平明な歌を作る二条派
対して、京極派は清新で感覚的な描写を大事にしていました。その代
表的な歌人がこの永福門院です。
 これは何気ない歌ですけど、上手ですよね。夕陽が差しているとこ

ろに「入るともなしに影消えにけり」と細やかに詠うわけです。
 『玉葉集』、『風雅集』という京極派の和歌集は、歴史的にはとて

も冷たい目に合いましたが、それは南北朝時代の政権の在り方とかも
関係があります。
 そういうわけで、南北朝時代のコモンズというと、戦乱に明け暮れ

ていた中世を背景に、王朝、天皇家を中心とする貴族の社会でどうい
うふうに詠っていけばいいのかということが重要になってきます。南
朝偏に二条派がいて、北朝側に京極派がいて、政治が色んなことに介
入する時代でしたが、近代になって、釈迢空(枡目信夫)や塚本邦雄
が玉葉・風雅の歌を非常に高く評価しました。特に迢空は絶賛と言っ
ていいくらい肯定的でした。迢空は、派手に激情の動く歌よりも、少
し後ろの暗がりの中で光がちょっと動くようなものが好きだったんじ
ゃないかなと思います。                                             


※ 阪井修一:1958年愛媛県松山市生まれ。「かりん」編集人。現代歌
人協会副理事長。東京大学副学長・附属図書館長・未来ビジEン研究
センター特任教授。歌集に『望楼の春』(迢空賞)、『亀のピカソ』
(小野市詩歌文学賞)など多数。最新歌集は『塗中騒騒』。







 
近江の旬を五感で味わう(橘菖

バレートロニクス時代①
❏ 表面処理で二次元半導体の電荷制御
東北大学とNTT物性科学基礎研究所は,二次元半導体から三次元半導
体への電子の移動効率の向上と,二次元半導体の電荷状態を制御する
ことに成功。

【要約】
1.二次元半導体と三次元半導体のヘテロ構造に着目し、三次元半導
 体の表面処理が二次元半導体の電荷状態に及ぼす影響を調査。
2.三次元半導体に表面処理を施こし、二次元半導体から三次元半導

 体への電子の移動効率と、二次元半導体の電荷状態の制御に成功。
3.超低消費電力の情報演算、光を用いた情報の高速伝送、太陽電池

 や光センサなどへの応用できる。

図1.本研究で検証した3種類の表面処理方法の概略図。A: 表面の洗
浄のみを行ったGaAs基板に単層WS2を積層した。B: 表面の洗浄と自然
酸化膜の除去を行ったGaAs基板に単層WS2を積層した。C: 表面の洗浄、
自然酸化膜の除去、表面の硫黄終端を行ったGaAs基板にWS2を積層。
【概要】
二次元ファンデルワールス材料を三次元半導体に積層した二次元/三次
元半導体ヘテロ構造は、超低消費電力の情報演算、光を用いた情報の
高速伝送、太陽電池や光センサーなど、人工知能(AI)やモノのイン
ターネット(IoT)を活用した社会を支える基盤材料として期待され
ている。この二次元/三次元半導体ヘテロ構造では、二次元半導体と三
次元半導体の界面における電荷やスピンの移動効率が機器の動作性能
を決定づける非常に重要な要素であると考えられている。東北大学ら
の研究グル-プは、異なる表面処理を施した三次元半導体に二次元半
導体を積層し、二次元半導体の電荷状態を調べた結果、三次元半導体
表面に存在する自然酸化膜の除去と未結合手の終端によって、二次元
半導体から三次元半導体への電子の移動効率の向上と、二次元半導体
の電荷状態の制御すに成功。表面処理だけで界面での電荷の移動効率
や二次元半導体の電荷状態を制御できるという本研究の成果は、二次
元/三次元半導体ヘテロ構造の性能向上のみならず、量子情報技術や

レートロニクスへの展開できる。
--------------------------------------------------------------
📚 バレートロニクスとは
固体中の電子のバレー自由度を利用して情報処理を行う。物性物理学
および材料科学における新たな技術。谷(バレー)の形をしたエネギ
ーバンドを有する物質にて、スピン状態やエネルギーに対応した運動
量空間での電子の動きを選択的に制御し、性能やエネルギー効率を高
めた新しい電子デバイス分野。
【還啓論文】
・Edwards, B., Dowinton, O., Hall, A.E. et al. Giant valley-Zeeman 
 coupling in the surface layer of an intercalated transition metal dichalcogenide.           ・Nat. Mater. 22, 459–465 (2023). 
https://doi.org/10.1038/s41563-022-01459-z

❏ ナノ秒紫外レーザーでPVにナノ構造を形成
核融合科学研究所(NIFS)らの研究グループは,ナノ秒紫外レーザー
によりシリコン太陽電池表面に20nm程度の先端を有するナノドット構
造形成した。
【概要】
わたし(たち)が1989年に「ネオコンバーテック」を着想たことがら
ことごとく実現されているなかで、このグループは、現在、シリコン
表面に1~10 mmの大きさをもつピラミッド構造を形成させ、太陽光エ
ネルギーの電気エネルギーへの変換効率高まり(20%)となっている。
そこで、同研究グル-プは変換効率の向上に、太陽光スペクトルの最
大強度となる500 nm付近の太陽光を吸収させる数100 nm以下の大きさ
のナノ微細構造をピラミッド構造表面を、モスアイ構造・ポーラス構
造・レーザー誘起周期構造(LIPSS)により(シリコン太陽電池表面
上のLIPSSは、他の方法と比較し時間節約や結晶性保持できる利点が
ある)。融解閾値フルエンスが0.5 J/cm2以下のXeClエキシマレーザー
パルスを用いてシリコン太陽電池のピラミッド構造表面にLIPSSを形
成に成功し、反射率減少はLIPSSの間隔と強く関係、LIPSSが形成され
た後もシリコン太陽電池の結晶性を保持されることを報告してきた。
反射率低減には、屈折率が上部から下部まで連続変化する三角形状の
ナノドット構造(微小突起構造)を作製(それまでにナノドット構造
形成に関する研究で、シリコン太陽電池の反射率低減に最適なナノド
ット構造の形状、大きさおよび密度はなかった。

図1 ナノドット構造形成の概略図
発振波長248 nm、パルス幅20 nsのKrFエキシマレーザーを用いてシリ
コン太陽電池表面上に図1のような高密度に三角形ナノドット構造形
に成功。シリコン太陽電池の融解閾値0.47 J/cm2以下のレーザーフル
エンス
でKrFエキシマレーザーを照射したところ、図1のようにナノド
ット構造は、レーザーがシリコン太陽電池のピラミッド構造表面に対
しS偏光として照射される面(S偏光面)のみに形成されることを発見
成されたナノドット構造の大きさは①先端が約20nmである三角形のナ
ノドット構造のサイズは、②レーザーの回折限界よりも小さく、ナノ
ドット構造密度はレーザー波長に関係し、③レーザー波長の2乗に反
比例しており,短波長レーザー照射が高密度化に有効であることを見
出し、④ピラミッド構造の S偏光面のみにナノドット構造形成された
シリコン太陽電池の500nmでの反射率は約5%を達成。⑤顕微ラマン分
光を用いてシリコン太陽電池結晶を評価し,ナノドット構造を形成さ
せることにより表面に圧縮応力が発生していた。⑥また、バンドギャ
ップ評価し,シリコン太陽電池バンドギャップエネルギーがより高く
なることがわかる。
【効果】
これらによりナノドット構造は融解閾値の半分程度の弱いレーザーフ
ルエンスで照射しても形成され,高効率かつ大面積加工できる。
【掲載論文】
タイトル:High-density nanodot structures on silicon solar cell surfaces irradiated 
by ultraviolet laser pulses below the melting threshold fluence(紫外レーザー
パルスを融解閾値以下のレーザーフルエンスで照射されたシリコン太
陽電池表面上の高密度ナノドット構造)
掲載誌:J. Phys. D: Appl. Phys. 57 (2024) 385101 DOI:10.1088/1361-6463/ad58ec





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沸騰大変動時代(四十九)

2024年05月31日 | スマートコンタクトレンズ事業
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)
と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。


 

【健康食品を極める② ;蕎とグルテンフリー】
蕎麦に抹茶とブレンドし抹茶蕎麦が急速に広まっており、夢京橋の
「もんぜんや」で色鮮やかグリ=ン色の盛り蕎麦を注文する。二十五
年前『ネオコンバーテック』という新しい産業領域概念を考え、味付
け海苔のように薄膜食材開発を着想していたので思い出すことがあっ

た。このように小麦と蕎麦とのブレンドするように少量の、漢方薬や
やアミノ酸(大豆、ドライ食肉・魚介類あるいは香辛料のパウダ-や
顆粒を蕎麦に打ち込むことで新食材となるように、「無限延展性と
機能性パウダー打ち込み」みで新食材となりうる。

【季語と短歌:源氏物語から学ぶ③】
紫式部は、後に一条天皇から日本書紀など漢文で書かれた日本の歴史
書への見識が認められ、日本と中国の歴史書、和歌、漢籍、漢詩の理
解に優れ]、平安期では晩婚となる20代半ばすぎに藤原宣孝と結婚し一
女をもうけたが、結婚後3年ほどで夫と死別、その現実を忘れるために
物語を書き始め、これが『源氏物語』の始まりとされ、女流作家の元
祖世界随一の紫式部とは誇らしい。









❏ スマートコンタクトレンズ
一昨年8月、スマートコンタクトレンズ「Mojo Lens」の開発・生産を
行う Mojo Vision が、開発中の目に装着可能なプロトタイプと、この
プロトタイプが実現する AR(拡張現実)の体験を日本メディア向けに
公開している。Mojo Vision はかねてから、商品を市場に出すまでの
ステップと時期を記したタイムラインを公開し、高解像度マイクロLED 
ディスプレイ、無線データ通信、電源供給、視線捕捉、視線で操作で
きる UX(ユーザ体験)といった機能の実現達成を表明している。
【鍵語】デジタル革命/ネオコンバーテック/第四次産業/マルチメ
ディア



尚、この Mojo Lens は、コンタクトレンズの上に1辺約0.48mmのマイ
クロ LED ディスプレイを備え。公開されたプロトタイプでは有線で電
源が供給されていたが、今回のモデルでは超小型2次電池が実装されて
いた。なお、公開された CEO Drew Perkins 氏が試験装着している写
真で氏は帽子を被っているが、この帽子の庇の部分からレンズと無線通
信する信号(5GHz 帯)が出ているそうだ。将来的には、帽子を被らな
くても、身につけているスマートフォンなどと連携できるようになる。



わたし(たち)付け加えるとすれば、遮光(紫外線車残)機能、視力
自動調整及び保護機能付加などである。


【わたしの経済論⑩:為替と円安】

 

第4章為睦と物価のキホンのキ

日本の高度経済成長は「Iドル=360円」の結果
円が10%安くなると、日本のGDPは3年以内にO・4~1・2%伸

びる一方で、米国やヨーロッパなどはマイナスになる。ドルがm%安
くなると、米国だけGDPがO・5~I・1%伸びる。ユーロが10%
安くなると、ヨ-ロッパのGDPがO・7~1・7%伸びてほかがマイ
ナスになる傾向がある。
これが、通貨安が「近隣窮乏化政策」といわれるゆえんだ。


このデータはOECDの「
The OECD's NewGlobal Model」という資料に
基づいているが、どんな国で計算しても同じ傾向で、経済成長は国内
のエクセレントカンパニーに恩恵を与えるかどうかだけで決まる。
これはIMFなどのデータでも同じだ。かつて、日本の経済企画庁が
完成させた世界経済モデルも同じで、これは否定のしようがない。
だから、通貨安になっていたら自国にとっては喜ばしいというのが普
通の解釈だが、なぜか日本国内では大変だと騒ぐ人が出てくる。話を
繰り返すようだが、日本でも円安で経済がよくなったというのは数字
に表れている。
最初に表れるのは企業業績で、21年度の法人企業統計では、経常利益
は製造業も非製造業も1961年度以降で過去最高だった。22年4~6
月期も同様に好調で、このままいけば法人税収と所得税収がものすごく
hがるから、政府としては喜ばしい限りだ。
円安は輸出関連にはブラスだが、輸入関連にはマイナスになる。需給
ギャップとコストプッシュがあるから、輸入関連は大変になる。そこ
は対策が必要だが、税収が上がってあまりあるから、それを輸入関連
の企業に少し配れば問題はすぐに解決する。
本当は最終消費者にお金をぱらまくなどの恩典を与えれば、コストブ
ッシュと輸入で大変たった分は価格転嫁できるから、そこで吸収でき
る。このように円安対策はとても簡単で、すぐ実行できてしまう

円安の仕組みはマネタリーベースでほぽ説明できることは、先述した

通りだ。85年9月、先進5カ国(G5)蔵相・中央銀行総裁会議によ
り発表された、為替レート安定化に関する合意(ブラザ合意)の前は
これが少し追っていた。財務省は「71年のニクソンショック以降、変
動相場制になった」とウソをついている

本当に変動相場制になったのはブラザ合意浚だ。その後はほとんどマ
ネタリーベースで為特の説明ができる。
それ以前は、国の中央銀行が為替相場の変動を市場の需給に任せず一

定管理する「ダーティフロート」があった。当時は資本取引が大きく
なかったから、それができていた。だから「Iドル360円」という、
均衡レートよりはるかに円安に設定されていた。
それがプラザ合意前の日本であり、高度経済成長のエンジンとなった。
これが切れたことで高度経済成長が終わった 人為的に均衡レートよ

り円安に設定していたのが成長の実態だ。「当時の成長の裏には日本
の技術力があった]などといった話しになりがちだが、実はそうでは
なく、ただ為替レートで儲けていたというのが真実だ。
 ここをみんな勘違いしているか、これだけ為替レートにゲタを履か

せていたら、それはラクに稼げるに決まっている。90年代のバブル崩
壊以降、なぜ日本経済はダメになったのか、これですべて説明できて
しまう。
だから「技術立国]という日本神話など存在しない。割安の為替設定

で、一部のエクセレントカン八二Iが匪界に出て稼いでいたというだけ
だ。
経済の専門家はそうした事実を否定したかる。それで筆者を批判する

人もいるが、誰も論理的に否定できていない。当時はイノベーティプ
な人が多かったなどと、みんな日本神話を信じたがっている。

以前、安倍首相に「アベノミクスでたくさんお金を刷れば円安に近い

状況になる。だからそうしたほうがいい」と話したことがある。
アベノミクスで金融政策をした背景には、表向きは雇用政策だが、裏

ではこういう為替の話もあったわけだ。他国から文句が出ない程度の
人為的な円安政策ともいえる。
物価と為替はリンクしている。マネタリーベースの比率の話をしたが、

米ドルが一定量なら、日本円の量を増やせば分子が増えるから円安に
なる。 
マネタリーベースを増やせばデフレ脱却につながるし、物価も上がり
やすくなる。アベノミクスを理論的に説明すれば、そういうことにな
る。ある学者は「お金をいくら刷っても解決しない」とアベノミクス
を批判していたが、筆者からすれば「高度経済成長はお金をたくさん
刷ったから実現していた]という解釈になる、為替の話はお金の量と
関わりがあるし、実は金融緩和とすごく密接な関係にある。
それでも「円安は大変だ」というのは、「昔の高度経済成長は円安が

要因ではない」という持論の人たちに多い
                         この項つづく


【今夜のシネマ音楽:マイ・フェア・レディ】
『マイ・フェア・レディ』(My Fair Lady) は、1964年制作のアメリカ
合衆国のミュージカル映画。監督はジョージ・キューカー、主演

はオードリー・ヘプバーンとレックス・ハリソン。同年のアカデ
ミー作品賞ほか8部門を受賞した。同名ミュージカルの映画化、イ
ンフレを調整した歴代の興行収入では、2020年現在でも第66位に
入っている。日本でも大ヒットし、1964年度・1965年度の2年連続
で日本の洋画配給収入の第2位に入った。2006年AFIのミュージカ
ル映画ベスト25では第8位に選出されている。オードリー・ヘプバ
ーンの代表作の一つであり、最大のヒット作。まだまだ階級社会
の文化が色濃く残るイギリス社会を舞台に繰り広げられるロマン
ティック・コメディである。


● 今夜の寸評:



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最新ネオコンバーテック群技術考 ③

2024年02月27日 | ネオコンバーテック


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成の
一種で、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて
生まれたキャラクタ。


【スマートトレーニング記:「Galaxy Ring」登場】 


さすが、三星電子だ。
さぁ!第二の「ロード・オブ・リング」の探検をスタート。



最新ネオコンバーテック群技術考 ③



2月22日、Microsoftは、生成AIのリスクを特定する自動化ツール(PyRIT(Python Risk  

Identification Toolkit for Generative AIのリリースを発表。生成AIには、誤った情報を

出力する「幻覚」という問題や不適切な結果を出力するといった問題があり、そ
の悪影響排除のを使いすり抜けつため、「いたちごっこ」状態になっている。そ
こで。Microsoftの生成AIであるCopilotも例外でない。同社はAI Red Teamを設
立し責任あるAI開発に取り組む。今回同社が公開したPyRITにより、人間の専
家がリスクを特定するのにかかる時間が大幅に短 縮される。従来のテストでは
 AIがマルウェアを出力してしまったり、学習データセットの機密情報をそのま
ま吐き出したりするのを防ぐために、人間のレッドチームが手動で敵対的なプロ
ンプト生成しなければならい。一方、PyRITを使<うとAIへの敵対的入力の種類指
定だけで、その基準を満たす数千のプロンプトの自動生成ができ る。例えば、
同社tがCopilotで行う演習では、危害カテゴリを選び数千の悪意あるプロンプト
を生成し、それに対するCopilot出力の評価処理時間が数週間から数時 間に短縮
され、敵対的プロンプト生成以外AIモデルの反応を見て、あるプロンプトに対し有
害な出力を行ったかどうかを自動的に判断したりAIの 応答を分析しプロンプト調
整できるため、テスト全体の効率化につながる 。 Microsoft PyRITが手動のAI 
Red Team、その専門知識を強化し、面倒なタスク<の自動化でに代わるものでは
なく、セキュリティ専門家が潜在的なリスクをより 鋭く調査できるようにする
ものあることを強調する。しかも、敵対的なプロンプトはテキストや画像といっ
た<が出力する形式ごとに、 そしてとユーザーがやりとりを行う<ごとに生成す
る必要があり、こうした。作業は面倒で時間もかかるタスクであった。

● 有機電子デバイスの製造方法及び装置特許事例研究 

1.特開2023-152759 有機半導体材料の製造方法、半導体デバイスの製造方

法、水溶液、pH測定方法、pH測定装置、及び、センサ素子      
【概要】
導電性ポリマー材料及びその製造方法、高分子膜及びその製造方法、導電性高分
子膜、光電変換素子並びに電界効果トランジスタ(WO-A1-2020/085342)では、方
法によれば、優れた効率で、高分子半導体をドーピングできたが、系中に水が混
入したり、大気下(酸素存在下)で反応を行ったりすると、ドーパントの劣化が
起こる場合があり、改善の余地があった。そこで、水分、及び、酸素の存在下で
あっても、有機半導体化合物のキャリア密度を増減させ(典型的には、注入し)、
かつ、有機半導体化合物にイオンを導入し、有機半導体材料を製造できる、有機
半導体材料の製造方法を提供することを課題とすることで、以下の構成により上
記課題を解決することができることを見出した。
下図2のごとく、プロトン共役電子移動により、有機半導体化合物を酸化、又は、
還元し、キャリア密度を増減させる酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶液に、
上記有機半導体化合物を、接触させ、上記有機半導体化合物に、上記キャリア、
及び、上記塩に由来するイオンが導入された有機半導体材料を製造する、有機半
導体材料の製造方法。水分、及び、酸素の存在下であっても、有機半導体化合物
のキャリア密度を増減させ、かつ、有機半導体化合物にイオンを導入し、有機半
導体材料を製造できる、有機半導体材料の製造方法の提供。


図2 本方法のドーピングの推定メカニズムの説明図
【特許請求範囲】
【請求項1】
プロトン共役電子移動により、有機半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリ

密度を増減させる酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶液に、前記有機半導体
化合物を、接触させ、前記有機半導体化合物に、前記キャリア、及び、前記塩に
来するイオンが導入された有機半導体材料を製造する、有機半導体材料の製造
方法。
【請求項2】
前記酸化還元剤は、2プロトン、及び、2電子移動により、前記有機半導体化合
 
 

物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む、請求項1に  
記載の有機半導体材料の製造方法。
【請求項3】
前記酸化還元剤は、1プロトン、及び、1電子移動により、前記有機半導体化合
 
 

物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む、請求項1に  
記載の有機半導体材料の製造方法。
【請求項4】
前記水溶液のpHを調整して、前記酸化還元剤のレドックスポテンシャルを、前

記有機半導体化合物と前記酸化還元剤との間で電子移動が起こるレベルに調整す
ることを含む、請求項1に記載の有機半導体材料の製造方法。
【請求項5】
電圧の印加により、前記水溶液中に含まれる前記酸化還元剤の酸化体と還元体の

比率を調整し、ドーピング強度を調整することを含む、請求項4に記載の有機半
導体材料の製造方法。
【請求項6】
前記酸化還元剤が、キノン骨格を有する化合物を含む、請求項2に記載の有機半

導体材料の製造方法。
【請求項7】
前記酸化還元剤が、以下のグループA及びBからなる群より選択される少なくと

も1種の化合物、及び/又は、その還元体を含む、請求項2に記載の有機半導体
材料の製造方法。 グループA: 以下の一般式Q1~Q4で表される化合物から
なる群より選択される少なくとも1種
【化1】
(一般式Q1~Q4中、RQ1~RQ6はそれぞれ独立に1価の置換基を表し、

m1は0~4の整数を表し、m2は0~2の整数をし、m3は0~4の整数を表
し、m4は0~4の整数を表し、m5は0~4の整数を表し、m6は0~4の
整数を表す)
グループB:
以下の一般式Q5で表される化合物
【化2】
(一般式Q5中、RQ7、及び、RQ8は、それぞれ独立に、水素原子、又は、

1価の置換基を表す)
【請求項8】
前記酸化還元剤が、以下のグループA及びBからなる群より選択される少なくと

も1種の化合物、及び、その還元体を含む、請求項1に記載の有機半導体材料の
製造方法。
グループA:
以下の一般式Q1~Q4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも

1種
【化3】
(一般式Q1~Q4中、RQ1~RQ6はそれぞれ独立に、水素原子、又は、1

価の置換基を表し、m1は0~4の整数を表し、m2は0~2の整数をし、m3
は0~4の整数を表し、m4は0~4の整数を表し、m5は0~4の整数を表し
、m6は0~4の整数を表す) グループB:
以下の一般式Q5で表される化合物
【化4】
(一般式Q5中、RQ7、及び、RQ8は、それぞれ独立に、水素原子、又は、

 1価の置換基を表す)
【請求項9】
前記酸化還元剤が、酸化体、又は、還元体にラジカル部分を含む化合物を含む、

請求項1に記載の有機半導体材料の製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の有機半導体材料の製造方法を含む、半導体

デバイスの製造方法。
【請求項11】
プロトン共役電子移動により、有機半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリ

密度を増減させる酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶液であって、前記有機
導体化合物に接触させて、前記有機半導体化合物の前記キャリア密度 減し、
か<つ、前記塩に由来するイオンが導入された有機半導体材料を製造するために
用いられる、水溶液。
【請求項12】
前記酸化還元剤は、2プロトン、及び、2電子移動により、前記有機半導体化合

物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む、請求項1に
記載の水溶液。
【請求項13】
前記酸化還元剤が、キノン骨格を有する化合物を含む、請求項11に記載の水溶液

。【請求項14】
前記酸化還元剤が、酸化体、又は、還元体にラジカル部分を含む化合物を含む、

請求項11に記載の水溶液。
【請求項15】
プロトン共役電子移動により、有機半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリ

ア密度を増減させる酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶液、及び、有機半導体
化合物を含むセンサ素子に、検体を接触させ、前記検体のpHに応じて変化する
前記有機半導体化合物の電気伝導度を測定することと、前記電気伝導度とpHと
の関係を規定する予め定められた関数に基づき、前記検体のpHを求める、pH
測定方法。
【請求項16】
前記酸化還元剤が、2プロトン、及び、2電子移動により、前記有機半導体化合

物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む請求項15に
記載のpH測定方法。
【請求項17】
前記酸化還元剤が、キノン骨格を有する化合物を含む、請求項16に記載のpH

測定方法。
【請求項18】
前記酸化還元剤が、1プロトン、及び、1電子移動により前記有機半導体化合物

を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む請求項15に記
載のpH測定方法。
【請求項19】
前記酸化還元剤が、酸化体、又は、還元体にラジカル部分を含む化合物を含む、

請求項15に記載のpH測定方法。
【請求項20】
前記検体が、液絡を介して前記水溶液と接触する、請求項15に記載のpH測定

方法。
【請求項21】
センサ素子と、制御装置と、を有し、 前記センサ素子は、基材と、前記基材上

に形成された有機半導体化合物と、前記有機半導体化合物と接するように形成さ
れた電解質と、を有し、前記電解質は、プロトン共役電子移動により、前記有機
半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減する酸化還元剤と、塩
と、を溶解した水溶液を含み、前記制御装置は、検体と前記電解質との接触によ
り変化する前記有機半導体化合物の電気伝導度を測定する測定部と、前記電気伝
導度とpHとの関係を規定する予め記憶された関数に基づき、前記測定部の測定
<値から、前記検体のpHを計算する計算部と、を有する、pH測定装置。 
【請求項22】 
基材と、前記基材上に形成された有機半導体化合物と、前記有機半導体化合物と
接するように形成された電解質と、を有し、前記電解質は、プロトン共役電子移
動により、前記有機半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減す
る酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶含み、検体と前記電解質との接触により
変化する前記有機半導体化合物の電気伝導度を測定し、前記電気伝導度とpHと
の関係を規定する関数に基づき、前記検体のpHを計算するのに用いられる、セ
ンサ素子。 
【請求項23】  
更に、前記電解質と前記検体とを隔てる液絡部を有する、請求項22に記載のセ
ンサ素子。


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熊本夜景のラブ・ソング

2024年02月26日 | micriSi


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

 
最新ネオコンバーテック群技術考 ②
前回につづき関連特許から「カーボンナノチューブ複合体、その製造方法」を考

察しはめたが、弘前大学らの研究グループが「高効率でリチウム回収方法」の実
証に成功した新聞が舞い込む。「ダイヤモンド半導体デバイス」の開発に当たり「都市鉱山論」の実践の必要性を考えていた折でもあり、このブログの「電子構

文の変更」による研究の遅れに疲労が加わるが、そこは忍耐。

❏ 特開2024-16148 カーボンナノチューブ複合体、その製造方法、及び、精製

   カーボンナノチューブの製造方法 国立東京大学 住友電気工業株式会社
 
 
 
【概要】
炭素原子が六角形に結合したシートを円筒状にした構造のカーボンナノチューブは、銅の1/5の軽さで鋼鉄の20倍の強度、金属的な導電性という優れた特性

を持つ素材である。このため、カーボンナノチューブは、ナノ炭素材料の一つと
して、電子部品や蓄電デバイスの軽量化、小型化及び大幅な性能向上に貢献する
素材として期待されるカーボンナノチューブは、例えば、特許文献:特開2005-33075号に示されるように、鉄などの微細触媒を加熱しつつ、炭素を含む原料ガ
スを供給することで触媒からカーボンナノチューブを成長させる気相成長法によ
り得られるが、ここでは、カーボンナノチューブ複合体は、一のカーボンナノュ

ーブと、カーボンナノチューブを被覆するアモルファスカーボン含有層とを備え
るカーボンナノチューブ複合体であって、カーボンナノチューブは、波長532
nmのラマン分光分析におけるGバンドのピーク強度とDバンドのピーク強度と
の比であるD/G比が0.1以下であり、前記カーボンナノチューブ複合体は、

繊維状であり、その径が0.1μm以上50μm以下であり、一の高結晶性のカ
ーボンナノチューブを含み、ハンドリングが容易であるカーボンナノチューブ複
合体、その製造方法、及び、精製カーボンナノチューブの製造方法を提供する。

【特許請求範囲】
【請求項1】一のカーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブを被覆す
るアモルファスカーボン含有層とを備えるカーボンナノチューブ複合体であって、
前記カーボンナノチューブは、波長532nmのラマン分光分析におけるGバン
ドのピーク強度とDバンドのピーク強度との比であるD/G比が0.1以下であり、前記カーボンナノチューブ複合体は、繊維状であり、その径が0.1μm以
上50μm以下であり、前記アモルファスカーボン含有層の厚みは0.05μm
以上25μm以下である、カーボンナノチューブ複合体。

【請求項2】前記アモルファスカーボン含有層は、波長532nmのラマン分光
分析におけるGバンドのピーク強度とDバンドのピーク強度との比であるD/G
比が0.5以上である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合体。

【請求項3】前記カーボンナノチューブ複合体は、長さが10μm以上である、
請求項1又は請求項2に記載のカーボンナノチューブ複合体。
【請求項4】請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカーボンナノチュー
ブ複合体の製造方法であって、一のカーボンナノチューブを準備する第1工程と、前記カーボンナノチューブをアモルファスカーボン含有層で被覆してカーボンナ

ノチューブ複合体を得る第2工程と、を備える、カーボンナノチューブ複合体の
製造方法。
【請求項5】前記カーボンナノチューブは、波長532nmのラマン分光分析に
おけるGバンドのピーク強度とDバンドのピーク強度との比であるD/G比が0.1以下であり、前記カーボンナノチューブ複合体は、繊維状であり、その径が0.1μm以上50μm以下である、請求項4に記載のカーボンナノチューブ複合体
の製造方法。
【請求項6】前記第2工程は、前記カーボンナノチューブを炭化水素系ガス中で950℃以上1100℃以下の温度で熱処理する工程を含む、請求項4又は請求
項5に記載のカーボンナノチューブ複合体の製造方法。
【請求項7】一のカーボンナノチューブを準備する第1工程と、前記カーボンナ
ノチューブをアモルファスカーボン含有層で被覆してカーボンナノチューブ複合
体を得る第2工程と、前記カーボンナノチューブ複合体から前記アモルファスカーボン含有層を除去して精製カーボンナノチューブを得る第3工程と、を備える、
精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項8】前記カーボンナノチューブ及び前記精製カーボンナノチューブは、
波長532nmのラマン分光分析におけるGバンドのピーク強度とDバンドのピ

ーク強度との比であるD/G比が0.1以下であり、前記カーボンナノチューブ
複合体は、繊維状であり、その径が0.1μm以上50μm以下である、請求項
に記載の精製カーボンナノチューブの製造方法。

【請求項9】前記カーボンナノチューブの前記D/G比の値をR1とし、前記精
製カーボンナノチューブの前記D/G比の値をR2とした場合、前記R1と前記
2とが下記式1の関係を示す、
                         -0.2≦R2-R1≦0.2 式1                 

ここで、上記式1において、0≦R1≦0.1及び0≦R2≦0.1を満たす、
請求項8に記載の精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項10】前記第2工程は、前記カーボンナノチューブを炭化水素系ガス中
で950℃以上1100℃以下の温度で熱処理する工程を含む、請求項7~請求
項9のいずれか1項に記載の精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項11】前記第3工程は、前記カーボンナノチューブ複合体を酸化条件下
で、400℃以上800℃以下の温度で熱処理する工程を含む、請求項7~請求
項10のいずれか1項に記載の精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項12】前記第3工程は、前記カーボンナノチューブ複合体を酸化条件下で、560℃以上690℃以下の温度で熱処理する工程を含む、請求項11に記
載の精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項13】前記第3工程は、前記カーボンナノチューブ複合体にレーザ光を
照射する工程を含む、請求項7~請求項12のいずれか1項に記載の精製カーボ
ンナノチューブの製造方法。



【図5】カーボンナノチューブ製造装置の一例を示す図
【符号の説明】
1 カーボンナノチューブ複合体、2 カーボンナノチューブ、3 アモルファス

カーボン、20 カーボンナノチューブ、21 反応室、22 ガス供給機構、2
3 触媒供給機構、24 基板保持機構、25 助走区間、26 形成区間、27 
ヒーター、28 ガスボンベ、29 流量調節弁、C コーン部、D 崩壊性触媒、
P 触媒粒子。
-----------------------------------------------------------------------

 

図1. 考案した2電源3電極式電気化学ポンピングセルの構造と反応の模式図(
Communications Engineeringから転載)
図1の左(Anode側)の浴に塩湖水や廃LIBsを溶解した水溶液などを入れ、電気  
化学ポ テンシ ャル差2)を用いて右(Cathode側)の浴中の水にリチウムイオン
を移動・回収。 電解質隔膜の両側表面に形成された2つの電極 First electrodeと
Second electrodeでは O2ガス、最も右の電極(Third electrode)ではH2ガスも発生 
するため、これらのガスの供 給も可能です。 

 
2月21日。弘前大学と弘前大学リチウム資源総合研究機構らの研究グループは、
2つの外部 電源、3つの電極およびリチウムイオン伝導性固体電解質隔膜から
構成される新たな電気 化学ポンピング技術を考案(図1)。この研究で、開発
した技術を用いること で、原理的には、不純物イオンを全く含まない極めて高
純度なリチウムを無限に大き度で回収できることを実証した。また、類似の技術
と比べて大幅にエネルギー消費量を 削減できることも示しました。 この技術は、電気自動車等に使用されるリチウムイオン電池や将来の基幹エネルギ-システム
として期待される核融合発電のリチウム資源の、経済的かつ工業的な獲得に貢献
すると期待できる。
【要点】
1.リチウム資源採取・回収の為の新たな電気化学ポンピングシステム技術 1)を

 開発 
2.塩湖や地下水中および使用済みリチウムイオン電池から、金属不純物を全く
 含まない高純度なリチウムを高速かつ経済的に採取・回収することが可能。
3.類似な従来技術の 464 倍の高速な採取・回収が確認され、原理的にはリチ
 ウム回収速 度を無限に増大できることが示されました。
【掲載論文】
論文タイトル:”A three-electrode dual-power-s upply electrochemical pumping system for fast and energy efficient lithium extraction and re covery from solutions”。
https://www.nature.com/articles/s44172-024-00174-8
【関連特許】
1.特開2019-141807 リチウム回収装置およびリチウム回収方法

【要約】
 
下図2のごとく、リチウム回収装置10は、リチウムイオン伝導性電解質膜2で
供給槽11と回収槽12とに仕切られた処理槽1を備え、供給槽11内のLi+
とそれ以外の金属イオンMn+を含有する水溶液SWから、Li+を選択的に回収
槽12内の水溶液ASへ移動させるために、電解質膜2の供給槽11側の面に接
触して設けられた多孔質構造の第1電極31と回収槽12内に電解質膜2から離
間して設けられた第2電極4との間に第1電極31を正極として接続した電源5
を備える、電気透析法による選択性と共に生産性の高いリチウム回収方法および
リチウム回収装置を提供 

図2.本発明の第1実施形態に係るリチウム回収方法を説明する、図1に示すリ

チウム回収装置の概略図。
【符号の説明】  10,10A  リチウム回収装置 1 処理槽  11 供給槽(第1槽) 12 回収槽(第2槽) 2 電解質膜(リチウムイオン伝導性電解質膜) 31 第1電極(多孔質構
造の電極) 32 第3電極(多孔質構造の電極) 4 第2電極(第2の電極) 5,5A 電源
 51 第1電源 52 第2電源 AS Li回収用水溶液  SW    Li含有水溶液

【特許請求範囲】
【請求項1】 第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽を備え、前記第2槽に収容した水または水
溶液へ前記第1槽に収容したリチウムイオンを含有する水溶液からリチウムイオンを移動させ
るリチウム回収装置であって、前記処理槽を仕切るリチウムイオン伝導性電解質膜と、前記第
1槽内に設けられた第1電極と前記第2槽内に設けられた第2電極と、前記第1電極に正極、
前記第2電極に負極を接続する電源とを備え、 前記第1電極および前記第2電極の一方は、多
孔質構造を有し前記リチウムイオン伝導性電解質膜の一面に接触させて設けられ、他方は、前
記リチウムイオン伝導性電解質膜から離間して設けられていることを特徴とするリチウム回収
装置。
【請求項2】 前記リチウムイオン伝導性電解質膜の一面の反対側の面に接触させて設けられた

多孔質構造を有する第3電極を備えることを特徴とする請求項1に記載のリチウム回収装置。
【請求項3】 前記電源が、直列に接続した第1電源と第2電源とからなり、 前記第3電極が前

記第1電源と前記第2電源の間に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウム回
収装置。
【請求項4】 前記第1電極は、前記リチウムイオン伝導性電解質膜の前記第1槽側の面に接触

させて設けられて多孔質構造を有し、 前記第2電極は、前記リチウムイオン伝導性電解質膜か
ら離間して設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の
チウム回収装置。
【請求項5】 リチウムイオンを含有する水溶液を、外部と前記第1槽内との間で循環させる循

環手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のリチウム回収
装置。
【請求項6】 リチウムイオン伝導性電解質膜で第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽において、前記第2槽に収容した水または水溶液へ、前記第1槽に収容したリチウムイオンを含有する水溶

液からリチウムイオンを移動させるリチウム回収方法であって、 前記リチウムイオン伝導性電
解質膜の一面に接触させて設けられた多孔質構造の電極と、前記リチウムイオン伝導性電解質膜
の一面の反対側の面に離間して対向するように前記第1槽または前記第2槽の槽内に設けられた
第2の電極と、の間に前記第1槽の側を正極として接続した電源が、電圧を印加することを特徴
とするリチウム回収方法。
【請求項7】 リチウムイオン伝導性電解質膜で第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽において、前記第2槽に収容した水または水溶液へ、前記第1槽に収容したリチウムイオンを含有する水溶
液からリチウムイオンを移動させるリチウム回収方法であって、 前記リチウムイオン伝導性電
解質膜の両面にそれぞれ接触させて設けられた多孔質構造の電極同士の間に、前記第1槽の側を正極として接続した第1電源と、 前記第1電源に直列に接続すると共に、前記第1槽または前記
第2槽の一方の槽の側に設けられた前記多孔質構造の電極と、前記一方の槽内に前記多孔質構
造の電極および前記リチウムイオン伝導性電解質膜から離間して設けられた第2の電極との間に
接続した第2電源と、が電圧を印加することを特徴とすることを特徴とするリチウム回収方法。
【請求項8】 前記第2の電極が前記第2槽内に設けられていることを特徴とする請求項6また

は請求項7に記載のリチウム回収方法。
【請求項9】リチウムイオンを含有する水溶液を、外部と前記第1槽内との間で循環させなが
ら、前記電圧を印加することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載のリ
チウム回収方法。



 
https://www.youtube.com/watch?v=YkgkThdzX-8
 
 


https://youtu.be/OfCeHiQcM4E

 
 


2日前、テレビ業界が一斉に熊本半導体バブルを報道。半導体の受託生産で世界
最大手の「TSMC」(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニ
 
ーが熊本県菊陽町の工場の開所式を行ったのだがその影響を各社一斉報道。経済
効果は10年で20兆円に上る、町は「半導体バブル」に沸く----"半導体バブル″

に沸く町は熊本県の菊陽町で、台湾の巨大半導体メーカー「TSMC」第1工場
の開所式が行われた。10月から半導体の生産を開始。地元・菊陽町のショッピン
グモールは、台湾から技術者など多くの従業員がやってくることを見込み、ゆめ
タウン光の森磨墨教利支配人が「一度に700人近くが家族合わせると雇用がある
ということで、今までよりは全然、数がことなる」という。熊本には義兄が住ん
おり。30数年前、熊本大学との委託研究の仕事を訪れており(四名)、帰りに
訪問している。前日の夜、近くのスナックでチャゲ&アスカの「ラブソング」を
一同歌い楽しんだことを思い起こす。その10年後、次期製品製造調査を行う中
熊本への半導体製造装置生産工場建設を計画したものの、2009年のリーマンショ
ックで頓挫するも用地買収を行っていたが、昨年、彼女が帰省で熊本空港周辺に
工場建設されている。巡りあわせの不思議さを腑に落とした。


今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
         賢明でなければ豊かになれない。

 

 


 
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持続可能戦略電子デバイス製造論 ③

2024年02月17日 | 環境リスク本位制





彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら  

れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成  
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

             三月は いざ決戦ぞ 春北斗
                           


❏   
柄杓の形をした北斗七星は、大熊座にある七つの星。季節により位置を変え
   るが、
 
 
 
北の位置にはっきりと見える。船の形に見えるので地方によっては船
   星という。ひとは言うだろう。エキセントリッキだと。「私の目標」は定ま

   っている。

 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 199 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 

 

持続可能戦略電子デバイス製造論 ③
わたし(たち)が、1990年代初頭、有機エレクトロルミネッセンスの 
ィス

プレイのデバイスとして、ハイブリッド型色素増感太陽電池デバイ スの開発
に環境リスク本位制のデバイス製造技術とし注目し、ポスト・ シリコン半導
体デバイスである有機半導体を含め「ネオコンバーテック 」の群デバイス製
造技術として再構築していたことはこのブログで掲載 してきたが、ここにき
て、次々と関連製品製造方法や製造技術及び商品 が登場しており、持続可能
社会に向けた国際的な  畝り振興となっており、関連する新聞に追われる日々
が続き、巻頭の俳句を詠むに至る。それではハイブリッド型太陽電池や有機
導体デバイスなどの普及拡大に繋がると思われる新聞の掲載を始める。

 2025年だけで43GW、DOEが太陽光の米国内導入量を予測
太陽光が急増、発電量で水力を超え、風力に次ぐ再エネに



図1 米国における発電事業用電源の年別・電源別の発電量推移 (注:単位は、

億kWhまたはTWh、出所:EIA)

再エネ発電量は2021年に初めて原子力を、そして、2022年には初めて石炭火
力を上回った。再エネの増加とは対照的に石炭火力は 2023年比%減で、2025
年に5480億kWhまで減るという予測となっている。天然ガスは引き続き米国
の最大の発電源であるが、2023年から2025年にかけ増加率はほぼ横ばいの1
%増、原子力も微増で3%増と予想されている。

太陽光は2年で75%増
再エネを電源別に見てみると、米国における風力の発電量は2023年の4300
億kWh(430TWh)から、2025年には4760億kWhへと11%増加、さらに太陽光の
発電量は、2023年の1630億kWh(163TWh)から2025年には2860億kWhへと75%
増に急伸すると予想されている。さらに、風力、太陽光、そして大規模水力
の再エネ発電量全体に占める割合を見てみよう。2019年に大規模水力は再エネ
全体の41%を占めていたが、2025年には25%まで下がる一方、太陽光は2019
年の10%から2025年には27%にまで増え、水力の比率を超えた。風力の占める
比率は、一貫して最も高いが、2022年の50%をピークに徐々に減少しており、
2025年には45%下がってきた。

再エネの累積導入容量は424GW
次に、発電量(kWh)ではなく電源の設備容量(kW)を見てみよう。EIAによ
ると、新規発電容量が、再エネ発電量の増加の予測を裏付けている。然原子
力などは横ばいであるものの、再エネの設備容量は2023年の332GWから2025年
には424GWと28%増になっている。各年の総発電量を生む累積発電設備容量に
なるが、各年に新しく加わる発電設備容量を見てみると、再エの新設がいかに
著多いかがわかる。逆に、石炭火力は廃炉が増え減少している。

太陽光の新規導入容量は43GW
再エネ電源別に見てみると、太陽光の増加量は、年々と大きくなり、 2023年
の新規導入量は22GWで、2025年にはその約2倍の43GWもの新規導入が予定され
ている。EIAは、太陽光発電は、大規模な容量追加と有利な税額控除政策によ
り、最も急速に成長している再エネ電源としている。計画されている太陽光
発電プロジェクトにより、電力部門が運営する太陽光発電の容量(累積)は、
2023年末の93GWから2025年末までに172GWへと85%増加、そして、風力発電の 
容量は、2023年の149GWから2025年末までに162GWと9%増と予想している。
の新たに導入される発電設備により、火力や原子力を含めた総発電量に占め
る太陽光の割合は2023年の4%から2024年には6%、2025年には7%まで高まると予
測されている。
Today in Energy, Solar and wind to lead growth of U.S. power generation for the next two years,  
      January 16, 2024 EIA 


The two sites Image: Wageningen University & Research, 
Energy Research & Social Science, CC BY 4.0 DEED 
✺ オーバーヘッド発電と垂直型農業発電の比較
2月4日、オランダの研究者は、オーバーヘッド農場と垂直型農業の発電パネルが,
近隣住民に及ぼす視覚的影響を比較、垂直型アレイの方が低侵襲であることを確認
画像: ヴァーヘニンゲン大学らの研究グループ「研究と社会科学、CC BY 4.0 DEED」
オランダのヴァーヘニンゲン大学らの研究者らは、オーバーヘッド構成で配備され
た農業用(AV)システムと垂直型農業用発電アレイのいずれかの近隣住民が知覚す
る景観の質を評価。オランダのヘルダーラント州にある2つの異なる構成の農業発
電所近隣の住民や通行人を対象に一連のインタビュー実施したところ、「景観への
影響と再生可能エネルギープロジェクトへの支援との関連性は、景観の質の観点か
ら農業の社会受容性の調査は重要である」を強調。この研究では、景観の品質LQ)
を主観的な考え方に基づいて検討し、景観利用者が帰した意味を含む2つの景観の
個人的な経験を調査。調査検討された架空送電システムはワデノイエンに位置し、
2021年3月に3.7ヘクタールの土地に建設。AV システムが設置される前は、この区 
はスグリ農園として使用されており、現在もパネルの下でスグリが栽培。 
一方、垂直 AV はクレンボルグの牧草地地帯にあります。 2022年8月に0.7ヘクター
ルの敷地で運営を開始し、牧草地のほかに、ハーブや植物、蜂の巣、木々や低木が
植えられた小さな畑もある。この調査は、クレンボルグの垂直農場の近くに住んで
いる32人、ワデノイエンの架空システムの近くに住む30人の合計62人を対象に実施。
24の質問を設定聞き取り、すべて使用、経験、将来の価値に関連する。「使用価値
は機能の適合性と効率を指し、経験価値はアイデンティティと意味に関連し、将来
価値は効率と長期にわたる持続可能性を考慮した」と説明。調査では、利用価値は
アクセシビリティ、多機能性、農民の関与、環境への影響、レクリエーションやコ
ミュニティ活動などの要素に関する質問内容で 一方、経験的価値は魅力、健康と
福祉、野生動物の生息地、見た目などの要素によって表され、将来価値は安定性/
柔軟性、文化的および景観の発展を指す。
※このシリーズつづく。







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体力復元強化週間 ①

2024年02月14日 | 能登半島地震



 彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

             椿咲く きみの名残る 浜辺かな
                                                   

                                         
【ルームランニング記;変更


・歩行距離 1キロメートル以上/回➲2キロメートル
・歩行時間 15分以内/回➲30分前後
・歩行速度 最大6(平均4.5~5)キロメートル/時間➲4.5キロメー
      トル/時間

・歩行斜度 最大10%×百メートル以上(平均 体調に合わせ任意)➲3%
・歩行歩数 2千~3千百歩/回➲4千歩
・ストレストレッチ体操 励行(努力目標:3回/日)➲体調により変更


【お粥文化考 ①】

昨年の夏以降、過酷なデスワーク、運動不足や深酒が祟り、睡眠不足、眼精疲労、
視力低下、慢性胃腸炎、自律神経衰弱とうの症状を覚え、約1ヶ月ほど自発的な
療法を試みていた中で「お粥摂食療法」「疲労回復屋内でのトレッキング・ウォ
ーキング」を行ってきて何とか回復の兆しが見えてきた(近親者、知人の弔いに
による気鬱症のダメージが尾をひくなか、「お粥摂取事業」のフィッシュボーン
に至る。

【お粥食文化概史】
中国のおかゆの歴史は6千年。日本の「おかゆ」史をたぐる。 お米が日本に渡っ
てきたのは、紀元前1世紀。そのころの調理法は、「蒸す」と「煮る」の2種類で、
蒸したものが今の「おこわ」、煮たものが「おかゆ」だったが、紀元前1世紀ごろの
「おかゆ」は、今のおかゆより、堅く炊かれていて現在で言う「ご飯」。時は流れ、
平安時代ても、日本人のお米の食べ方は、この「堅く炊かれたご飯=おかゆ」が主
流。11世紀を迎える頃には「ひめがゆ」「しるがゆ」という、「おかゆ」が文献
にも登場。「おかゆ」は、千年以上にも渡り、日本人に食されてきた、このころは
白米を煮た「白がゆ」のほかにも「粟・ひえ・麦」なども「おかゆ」にして食べられて
いる。芥川竜之介の「芋かゆ」に描かれた 平安時代の「芋かゆ」は、ヤマトイモを
煮込んで作られた「おかゆ」。この頃は、お米以外のものを煮込んで「おかゆ」を味
わっていた。


胃腸の調子が悪くて食欲がない」
なんて時に ニラ粥

江戸時代になると関東では おかゆ=白かゆ=病人の食べもの、というような感
じになる 関西では おかゆ=朝食というように、それぞれの地方によって変化。
この変化にはご飯を炊く時間にも一因があった。 関東は朝にご飯を炊いて朝・
昼と食べ 夜はそのまま、または、お茶漬けにして食べていたが、関西は昼にご
飯を炊いて昼・夜と食べ 翌朝は残りのご飯をおかゆにする風習があった。民俗学
的には —— おかゆは年中行事など、晴れの日の食事として意味があった。その一
つは、無病息災を願って1月7日に食べる七草かゆ。奈良時代には、すでに日本に
伝わる。1月15日には小豆かゆを炊いて、これに先端をいくつかに割ったかゆ箸
とよばれる木の棒を入れて米の付き具合で豊凶を占う、かゆ占(かゆうら)が
行われていた。

 
 黒の革命 


 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 199 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 





  風蕭々と碧い時間
2000年10月18日
愛のカケラ Every Little Thing 
作詞・作曲/持田香織、多胡邦夫


【今朝の備忘録】

 

● 今夜の寸評 :  鈍すれば貧する
           賢明でなければ豊かになれない。

 

 

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MIS型半導体装置の製造方法 ③

2024年02月02日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



今月、Seagateは主力製品であるExos製品ファミリーの一部であるMozaic 3+ハー
ドディスク・ドライブ・プラットフォームを発売。これには、熱アシスト磁気記
録(HAMR)技術が組み込まれており、ドライブプラッタ上のデータ密度が大幅に向
上。HAMRは、書き込みプロセス中に「ナノフォトニックレーザー」を使用してデ
ィスク材料を加熱することでこれを実現し、データトラックを大幅に狭くし、デ
ータビットを小さくすることができる。上図のように、世界最小かつ最も感度の
高い磁場読み取りセンサーの1つであるGen 7スピントロニックリーダーと、12ナ
ノメートル(nm)の統合コントローラーも組み込まれている。

 
 黒の革命

 



生成的人工知能活用術考

 われわれの知能の使い方と人工知能のプロセスは、まったく別のものなので
 はないのだ。とはいえ、本来の知能とは何かということは、人工知能から逆
 算してわかることではない。なぜなのか。そこには「意識」という怪物が介
 在するからだ。いまのところ、人工知能を突きつめても見えてこないもの、
 それが「意識」というものである。本書のタイトルは『人工知能は人間を超
 えるか』だが、人間を超えるのではなく、「人間っぽくなる」のをめざした
 いのだとしても、それは「意識のモデル化」に挑んでからのことなのだ。
                 
                      1603夜『人工知能は人間を超えるのか』
                                          松尾豊 松岡正剛の千夜千冊

生成的人工知能(generative artificial intelligence)または生成AI(生成的人工知能)
は、ユーザが入力する指示や質問、すなわち、プロンプト(Prompt)に応答して
テキスト、画像、または他のメディアを生成することができる人工知能システム
の一種。生成AIモデルは、入力された訓練データの規則性や構造を学習し、同様
の特性を持つ新しいデータを生成する。ジェネレーティブAI、ジェネラティブAI
ともよばれる。著名な生成AIシステムとして、OpenAIがGPT-3やGPT-4の大規模
言語モデルを使用して構築したチャットボットのChatGPT(および別形のBing C
hat)
や、GoogleがLaMDA基盤モデルに構築したチャットボットBardがあり、その
他の生成AIモデルとして、Stable DiffusionやDALL-Eなどの人工知能アートシステ
ムがあげられる。

生成AIは、アート、執筆、ソフトウェア開発、ヘルスケア、金融、ゲーム、マー
ケティング、ファッションなど、幅広い業界で応用できる可能性がある。生成AI
への投資は2020年代初頭に急増し、Microsoft、Google、Baiduなどの大企業だけで
なく、多数の中小企業も生成AIモデルを開発している[。しかし、生成AIを訓練
する目的での著作物の無法図な利用や人をだましたり操作したりするフェイクニ
ュースやディープフェイクの作成など、生成AIの悪用の可能性も懸念されている。
via Wikipedia

ディープラーニングは、Python開発における「コンボリューション」(Convolution)が主に
画像処理や信号処理の分野で使用される処理手法で、動画処理技術に包括されN
HK
技術研究所などにより広範に深化していくが、生成AI技術成果を悪用され膨
大リスク(人命、環境、軍事衝突などの破壊)が起きる可能性の測定を同時に進
めていかなければならない。国際的にはその仕組み構築がとわれている。いって
みれば、技術的特異点(シンギュラリティ)の恩恵を享受できる未来の準備の人
間力が問われている訳だが、個人的なそれを回避する心構え(精神的基軸)だけ
は今夜この時整理・整頓を済ませました。              
                                   了


 



LINK:NHK サイエンス・ゼロ

桁違いの大電力制御の力をもつ「ダイヤモンド半導体」の可能性

[関連特許]
5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法
【0077】
水素終端処理後からh-BN貼り合わせを行う前の工程を下記に示す。 最初に、
前工程として、ゲートバルブ1012,1024、1026およびバルブ101
4を開き、ターボポンプ1013およびスクロールポンプ1016を用いて、水
素終端処理チャンバー1011および搬送中間室1027および試料搬送・一時
保管室1025を真空状態にする。このときの真空は真空計1063の読みで3
×10-5Pa以下とした。 その後、ゲートバルブ1012、1024、1026
およびバルブ1014を閉じ、バルブ1022,1019,1061を開け、上
述の水素終端処理を行った。また、この処理の間、バルブ1072と1026を
開け、ターボ排気セット1075を用いて試料搬送・一時保管室1025と搬送
中間室1027の真空を引いておいた。

【0078】 水素終端処理が終了したら、バルブ1022と1019を閉じ、ゲート
バルブ1012およびバルブ1014を開いてターボポンプ1013およびスク
ロールポンプ1016を用いて水素終端処理チャンバー1011を真空にした。
その後、バルブ1072を閉じ、ターボ排気セット1075をシャットダウンし
た。またべローズ配管1074を外した。ゲートバルブ1024および1026
を開き、試料搬送ロッド1029を使用して試料を試料搬送・一時保管室102
5に移動させた。そして、移動が完了したら、ゲートバルブ1026を閉じた。
しかる後、ゲートバルブ1012を閉じ、バルブ1022を開いてArガスを導
入して水素終端処理チャンバー1011と搬送中間室1027を大気圧にしてか
ら、1024を閉じた。

【0079】その後、ゲートバルブ1024と搬送中間室1027の接続部で試料搬
送部E2を水素終端処理部E1から切り離し、ゲートバルブ1043のところで
試料搬送部E2と貼り合わせ処理部E3を接続した。また、真空排気系E4をフ
ランジ1028のところで試料搬送部E2に接続し、搬送中間室1027をター
ボポンプ1103およびスクロールポンプ1105により真空排気した。真空が
1×10-3Pa以下まで下がったら、ゲートバルブ1026を開けた。アングル
バルブ1102を閉じたあと、ベローズ配管1111、バルブ1108、1110、
チャンバー1101、およびベローズ配管1109を介して、搬送中間室102
7と試料搬送・一時保管室1025にArガスを導入した。ここで、ベローズ配
管1111の接続先である貼り合わせ処理室(グローブボックス)1031は、
Arガスシリンダー1052および不活性ガス循環精製機(Arガス循環精製機)
1040により、大気圧で精製された状態のArガスが満たされている。


図9.実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

【0080】 しかる後、ゲートバルブ1043を開いて試料搬送ロッド1029を
操作して試料を貼り合わせ処理室1031に搬送した。そしてゲートバルブ10
43を閉じた。 この後、以下に示すh-BNの貼り付けを行った。グローブボ
ックス1031中でスコッチテープ法により、単結晶h-BN(物質・材料研究
機構内にて合成)の劈開を行った。
劈開したh-BNは、アクリル基板に貼って
あるPDMS(Polydimethyl
siloxane)上に転写した。光学顕微鏡を用いてPDMS膜上のh-BN
とダイヤモンドのチャネル領域との位置合わせを行い、その後h-BNとダイヤ
モンドを貼り合わせて、絶縁膜33aを形成した(図9(a)、図12(a))。


図12.実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

【0081】 5.h-BN(六方晶窒化ホウ素)の貼り付け
上記のように水素終端処理チャンバー1011でダイヤモンド基板31の露出し
た第1主表面が水素終端処理された試料は、真空に保持された試料搬送・一時保
管室1025を経由して、Arガスで満たされたグローブボックス1031に搬
送された。この状態でのグローブボックス1031内の酸素濃度は0.6ppm
以下であり、露点は-79℃以下であった。
【0082】 グローブボックス1031中でスコッチテープ法により、単結晶h-
BN(物質・材料研究機構内にて合成)の劈開を行った。劈開したh-BNは、
アクリル基板に貼ってあるPDMS(Polydimethylsiloxan
e)上に転写した。光学顕微鏡を用いてPDMS膜上のh-BNとダイヤモンド
のチャネル領域との位置合わせを行い、その後h-BNとダイヤモンドを貼り合
わせて、絶縁膜33aを形成した(図9(a)、図12(a))。ここで、試料
がグローブボックス1031に搬送され、h-BNの貼り合わせが終了するまで
の時間は約2時間であった。しかる後、グローブボックス中でアニールを行った。
この際、20℃から100℃まで16分で昇温し100℃で30分保持、200
℃まで20分で昇温し200℃で30分保持、および300℃まで20分で昇温
し300℃で3時間保持するシーケンスを用いた。
【0083】
6.グラファイトの貼り付け
グローブボックス1031内でスコッチテープ法により、グラファイト(キッシュ
グラファイト、クアーズテック製)の劈開を行った。劈開したグラファイトは、
アクリル基板に貼ってあるPDMS上に転写した。光学顕微鏡を用いてPDMS
膜上のグラファイトとダイヤモンドのチャネル領域との位置合わせを行い、グラ
ファイトをh-BN/ダイヤモンド上に貼りあわせた。その後、グローブボック
ス1031中でアニールを行った。この際、20℃から100℃まで16分で昇
温し100℃で30分保持、200℃まで20分で昇温し200℃で30分保持、
および300℃まで20分で昇温し300℃で1時間保持するシーケンスを用い
た。
【0084】
7.ゲート電極の形成
試料をグローブボックス1031から取り出した後、前述の電子線リソグラフィ
法により、ホールバーのパターンを描画した。ここで、レジストはPMMA-A
6(Microchem製)を、描画には125kV電子線描画装置(エリオニクス製、
ELS-F125)を、現像液にはMIBK(メチルイソブチルケトン):IP
A=1:3の混合液を用いた。 その後、CCP-RIE装置により、ゲート電
極となる領域以外のグラファイトのドライエッチングを3分間行った。プラズマ
の条件はN2流量96sccm、CHF3流量2sccm、O2流量2sccm、
圧力10Pa、RF出力35Wである。なお、このエッチングの際、h-BNは
膜厚方向に途中までエッチングされる。しかる後、アセトン中に試料を入れ、エ
ッチングマスクとして用いたレジストを除去した。IPAで洗浄した後、窒素ブ
ローを行って、グラファイトからなるゲート電極34Gを形成した。なお、この
エッチングの際に、ダイヤモンド基板31の第1主表面の露出した領域は、酸化
されて酸素終端層43aが形成される(図9(b)、図12(b))。
【0085】
8.h-BNの整形
ゲート電極34Gを形成後、前述のレーザーリソグラフィにより、レジストパター
ン52を形成した(図9(c)、図12(c))。レジストはAZ-5214E
の単層である。 その後、CCP-RIE装置により、h-BNのドライエッチ
ングを3分間行った。プラズマの条件は、N2流量96sccm、CHF3流量2
sccm、O2流量2sccm、圧力10PaそしてRF出力35Wである。
その後、アセトン中に試料を入れ、エッチングマスクとして用いたレジストを除
去した。なお、このエッチングの際に、酸素終端層43aはより酸化されて、酸
素終端層43aは緻密に酸化された酸素終端層43に変わる(図9(d)、図12
(d))。
【0086】
9.素子分離用のh-BNの貼り付け
前述の貼り合わせの手法を用いて、ゲート電極34Gからのゲート電極配線62
Gが水素終端されたチャネル部32と電気的に接触しないように、ゲート電極配
線62Gを這わすためのh-BN(61)を、接触を防止する酸素終端と水素終端
の領域の境界71に貼り合わせた(図10(a)、図13(a))。

図10 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程


図13 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図
【0087】
10.配線の作製
前述のレーザーリソグラフィを用いて、ゲート電極配線(62G)、ソース電極
配線(62S)、ドレイン電極配線(62D)およびそれぞれのボンディングパッ
ドを形成するためのレジストパターン53を形成した。レジストはAZ-5214
Eの単層である。 その後、電子銃型蒸着装置によって、厚さ10nmのTiと
厚さ100nmのAuを順次蒸着し、TiとAuからなる導電膜62aを堆積さ
せた(図10(b)、図13(b))。 しかる後、アセトン中に試料を浸して
リフトオフを行い、IPAでリンスした後、窒素ブロー乾燥を行って、ボンディ
ングパッドを有するゲート電極配線62G、ソース電極配線62Sおよびドレイン
電極配線62Dが形成されたMIS型半導体装置201を作製した(図10(c)、
図13(c))。 作製されたMIS型半導体装置201を上面から撮った光学
顕微鏡写真を参考までに図16に示す。
【0088】
<電気特性>
前述の方法によって作製したMIS型半導体装置201のFET(電界効果トラ
ンジスタ)の電気特性を調べた。ここで、測定器としては、ソースメジャーユニ
ットB2901A(Keysight Technologies製)、ファンク
ションジェネレータ33220A(Agilent Technologies
製)、アンプ1201および1211(DL Instruments製)、デ
ジタルボルトメーター34401A(Agilent Technologies
製)を用いた。また、超伝導マグネットを備えた無冷媒冷却装置(仁木工芸製)
と上記測定器を用いてホール効果測定を行った。


図17.実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図

【0089】 ゲート電圧とホール(Hall)移動度の測定データを図17に、ま
た、ゲート電圧とホール(Hall)シートキャリア密度の測定データを図18
に示す。ここで、h—BNからなるゲート絶縁膜の膜厚は23nmで、測定温度
は300Kである。 図17から、600cm2V-1s-1を超える高いホール(
Hall)移動度が得られることが確認された。 また、図18から、ゲート電
極34Gに負電圧を印加するほど線形的にホール(Hall)シートキャリア密
度が増え、ゲート電極34Gに印加する電圧が-10Vのときには6×1012
cm-2を超える高いホール(Hall)シートキャリア密度が得られることが実
証された。


図18.実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図
【0090】
図17と図18のデータを基に、ホール(Hall)密度に対するホール(Ha
ll)移動度の関係をプロットした結果を図19に示す。同図には、ダイヤモン
ド基板31の露出表面の水素終端処理後、絶縁膜33a(h-BN)を貼り合わ
せるまでの環境を大気とした場合と、非特許文献5に開示されたデータ(必ずし
もホール効果測定から得られたデータではない)も併せて載せている。さらに、
同図には、音響フォノン、表面ラフネス、表面電荷不純物、およびそれらの総和
の影響による、ホール移動度のホール密度依存性の理論曲線も併せて載せている。
ここで、以下に理論曲線の計算方法の詳細を記す。
【0091】
下記式(A1)-(A3)から、表面の負電荷による散乱、音響フォノン散乱、
および表面ラフネス散乱による緩和時間τimp、τac、τrをそれぞれ計算し、下
記式(A4)によってこれらの散乱全体による緩和時間τを計算した。 ここで、
式(A1)-(A4)は、それぞれ非特許文献6の式(1),(2),(4)お
よび(5)に基づくものであるが、非特許文献とは異なり、重い正孔バンド、軽
い正孔バンド、スピン軌道スプリットオフバンドそれぞれについて計算した。ま
た、有効質量も、表面平行と垂直を区別した。作製した試料と同様に、ダイヤモ
ンドの表面は(111)を考えている。そして、それぞれの移動度は、μHH=e
τHH/mcHH*、μLH=eτLH/mcLH*、μSO=eτSO/mcSO*より計算した。
【0092】

------------------------------------------------------------------------
【符号の説明】 11:炭素 12:水素 13:ホウ素 14:窒素 21:ダイ
ヤモンド基板 22:ダイヤモンド半導体層 23:ゲート絶縁体層(ゲート絶縁
膜) 23a:絶縁膜 24:導電体層(ゲート電極) 25:絶縁膜 25a:絶
縁膜 26:低抵抗化層 27:ゲート電極配線 28:ソース電極およびその電
極配線 29:ドレイン電極及びその電極配線 31:ダイヤモンド基板 32:
水素終端層 33:ゲート絶縁膜(ゲート絶縁体h-BN) 33a:絶縁膜 3
4G:ゲート電極(グラファイト) 35:導電膜 35a:導電膜 36:導電膜
36a:導電膜 37S:ソース電極 37D:ドレイン電極 42:低抵抗化層43:
酸素終端層 43a:酸素終端層 51,52,53:レジストパターン 61:
絶縁膜(素子分離用h-BN) 62:導電膜(電極配線) 62a:導電膜62G:
ゲート電極配線(ボンディングパッド配線) 62S:ソース電極配線(ボンディ
ングパッド配線) 62D:ドレイン電極配線(ボンディングパッド配線) 71:
酸素終端と水素終端の領域の境界 101:MIS型半導体装置 201:MIS
型半導体装置 1001:処理装置 1002:処理装置 1011:水素終端処
理チャンバー 1012:ゲートバルブ 1013:ターボポンプ 1014:バ
ルブ 1015:配管 1016:スクロールポンプ 1017:バルブ 1018:
配管 1019:バルブ 1020:バラトロン真空計 1022:バルブ 102
3:プロセスガス 1024:ゲートバルブ 1025:試料搬送・一時保管室
1026:ゲートバルブ 1027:搬送中間室 1028:フランジ 1029:
試料搬送ロッド 1031:貼り合わせ処理室(グローブボックス):1032:
仕切り扉 1034:パスボックス 1035:バルブ 1036:配管 1037
:スクロールポンプ 1038:バルブ 1039:圧力計 1040:不活性ガ
ス循環精製機(Arガス循環精製機) 1041:バルブ 1042:配管 10
43:ゲートバルブ 1044:バルブ 1045:配管 1052:Arガスシ
リンダー 1053:配管 1054:バルブ 1055:バルブ 1061:排気
量調整バルブ 1062:配管 1063:真空計 1071:配管 1072:バ
ルブ 1073:フランジ 1074:ベローズ配管 1075:ターボ排気セッ
ト 1101:チャンバー 1102:アングルバルブ 1103:ターボポンプ
1104:バルブ 1105:スクロールポンプ 1106:バルブ 1107:
配管 1108:バルブ 1109:ベローズ配管 1110:バルブ 1111:
ベローズ配管 1112:真空計 E1:水素終端処理部 E2:試料搬送部 E3:
貼り合わせ処理部 E4:真空排気系
                                                          この項つづく




 ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始 
2月1日、リコーとリコージャパンは,馬込第三小学校および厚木市役所本庁舎
において,ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始。

ペロブスカイト太陽電池は,有機材料で作られているため軽量で,照度の低いエ
リアや垂直設置でも発電が可能という特長があり,既存のシリコン系太陽電池に
代わる発電技術として注目を集めている。 一方で,屋外での耐久性にはまだ課
題があり,この実証実験では,因幡電機製作所,竹中製作所,立花電子ソリュー
ションズ,大阪エヌデーエスと連携し,屋外設置の庭園灯の電力としてペロブス
カイト太陽電池を設置し,発電量や電池の耐久性を検証する。また,馬込第三小
学校では,子供たちの次世代太陽電池・エネルギーの関心が高まるような取り組
みになるよう,課外授業も含めた取り組みも進めていく。厚木市役所では,本庁
舎前における実証を通して市民に先進的な取り組みを紹介するとともに,道路や
公園での活用に向けたデータの計測等の実証を行なう。リコーは,複合機の開発
で培った有機感光体の技術を応用し,低照度の室内光でも発電する固体型色素増
感太陽電池を世界で初めて販売している。また,2023年からはセブン-イレブン
店舗において次世代太陽電池の実証実験を国内で初めて行なっている。今回の実
証実験を通じて,ペロブスカイト太陽電池の早期事業化を目指すとしている。




      風蕭々と碧いの時代
Gackt.C
ANOTHER WORLD   2001.9.5
作詞・作曲:Gackt.C 
資生堂「neue(ノイエ)MEN'S」CMソング。PVは香港で撮影され、ストーリー構成になって
おり、『チンピラ達がマフィアと対立して壊滅し、生き残った男(Gackt)が敵を討つ』という内
容。自身が主役の映画『MOON CHILD』の世界観を引き継いでいる。また、2005年に行
われた「スキウタ〜紅白みんなでアンケート〜」では、Gacktの楽曲としては唯一ランクイ
ンし、白組91位を記録した。なお、この曲では、Gacktがギターを演奏している。演奏時間
は3分11秒と、Gacktのシングルの表題曲の中で一番演奏時間が短い曲である。

今夜の寸評 :日々の合唱 心の手当
             Thinking of those who have passed and putting your hands together
             each day bring you peace of mind.

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MIS型半導体装置の製造方法 ②

2024年01月31日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

 
 黒の革命

 

世界一のダイヤモンド産出国へ ④

[関連特許]
5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法
【0030】なお、ゲート絶縁体層23は、終端処理されたダイヤモンド半導体層2
2の表面に直接接して、水、炭化水素やレジスト残渣などの層を挟まないことが
好ましい。このような層を挟むと、界面準位が発生しやすいためである。
【0031】 ゲート絶縁体層23としてAl2O3などの非晶質膜を用いた従来構造
では、ゲート絶縁体層23中およびゲート絶縁体層23とダイヤモンド半導体層
22との界面にトラップ(電荷トラップ)が多く含まれる傾向がある。このため
、キャリア伝導は散乱を受け、キャリア移動度は低いものとなる。 一方、ゲート
絶縁体層(ゲート絶縁膜)として窒化ホウ素、好ましくは単結晶の窒化ホウ素、
より好ましくはh-BN、さらに一層好ましくは単結晶のh-BNを用いた本発
明の構造では、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップは少ない傾向がある。この
ため、キャリア伝導は散乱が少なく、高いキャリア移動度が得られる。
-----------------------------------------------------------------------
【参考】
MIS構造とは金属-絶縁体-半導体(
metal-insulator-semiconductor)からな
る3層構造である。
MIS構造 (MIS structure
【半導体工学】金属-絶縁体-半導体構造とは (MIS構造,MOS構造)
------------------------------------------------------------------------

【0037】 <製造方法>
【0062】 1.基板の準備
【0063】 2.アライメントマークの作製
レーザーリソグラフィにより、アライメントマークをダイヤモンド基板31上に
形成した(図示なし)。 ここで、アライメントマークの形成工程を以下に示す。
最初に、ダイヤモンド基板31の表面に下層レジストPMGI-SF6S(Mi
crochem製)をスピンコートし、180℃で5分ベークした。その後、フ
ォトレジストAZ-5214E(メルクパフォーマンスマテリアルズ製)をスピ
ンコートし、110℃で2分ベークした。 次に、高速マスクレス露光装置(ナ
ノシステムソリューションズ製、DL-1000/NC2P)を用いて、アライ
メントマークパターンを描画した。TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム
)2.38%で合計150秒現像した後、純水で合計120秒洗浄し、その後
窒素ブローを行った。
【0064】 しかる後、電子銃型蒸着装置によって、厚さ10nmのTi、厚さ1
5nmのPt、厚さ60nmのAuおよび厚さ25nmのPtを順次蒸着した。
その後、80℃設定のウォーターバスで加熱したNMP中に試料を漬け、リフト
オフを行った。 最後に、アセトンとIPAでダイヤモンド基板31をリンスし
た後、窒素ブローを行ってダイヤモンド基板31の所定の場所にアライメント
マークを形成した。
【0065】
3.オーミック電極の作製
ダイヤモンド表面に電子線レジストgL-2000DR2.0(Gluon L
ab製)をダイヤモンド基板31上にスピンコートし、180℃で5分ベークし
た。 その後、エスペーサー300Z(昭和電工製)をスピンコートし、100
kV電子線描画装置(エリオニクス製、ELS-7000)を用いて、オーミッ
ク電極のパターンを描画した。描画後、エスペーサー除去のため純水で60秒洗
浄し、その後窒素ブローを行った。そしてキシレンで60秒現像し、IPAで
60秒洗浄した後、窒素ブローを行ってダイヤモンド基板31上にレジストパタ
ーン51を形成した(図8(a)、図11(a))。


図11.MIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

【0066】 次に、電子銃型蒸着装置によって、厚さ5nmのTiからなる導電膜
35aおよび厚さ5nmのPtからなる導電膜36aを順次蒸着した(図8(
b)、図11(b))。 その後、80℃設定のウォーターバスで加熱したNM
P中に試料を漬け、リフトオフを行った。アセトンとIPAでリンスした後、窒
素ブローを行った。 しかる後、MPCVD装置(セキテクノトロン製、AX5
200-S)内においてH2雰囲気(H2流量500sccm、圧力80Torr)
で35分間アニールを行い、ダイヤモンドとTiの界面にTiCからなる低抵抗
化層42を形成した(図8(c)、図11(c))。アニールの際の設定温度は、
650℃までおよそ31分で上昇させ、650℃で35分間保持した。
【0067】
4.ダイヤモンド表面の水素終端化とレジスト残渣の除去
上記のオーミック電極形成に引き続きMPCVD装置(セキテクノトロン製、A
X5200-S)内でダイヤモンドを10分間水素プラズマにさらし、表面の水
素終端化とレジスト残渣の除去を行って、ダイヤモンド基板31の露出面に水素
終端層32を形成した(図8(d)、図11(d))。


図8.MIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

水素プラズマの条件は、H2流量500sccm、圧力30Torr、ヒーター
設定温度600℃、マイクロ波出力300Wである。 さらに、真空搬送用チャン
バーと接続可能な別のMPCVD装置(セキテクノトロン製、AX5000)内
においてH2雰囲気(H2流量500sccm、圧力80Torr)で35分間ア
ニールを行った。
アニールの際の設定温度は、710℃までおよそ34分で上昇させ、710℃で
35分間保持した。 MPCVD装置(セキテクノトロン製、AX5000)内
でダイヤモンドを10分間水素プラズマにさらし、表面吸着物の除去を行った。
水素プラズマの条件はH2流量500sccm、圧力30Torr、ヒーター設
定温度670℃、マイクロ波出力300Wである。
【0068】 引き続き、水素プラズマ処理を行ったダイヤモンド基板31は、真空
に保たれた試料搬送路を介して大気暴露することなく、アルゴンガス雰囲気のグ
ローブボックスへ搬送した。その詳細を、断面で示した装置構成図である図14
および図15を用いながら以下に説明する。



図15.実施例1で使用した処理装置構成の概要図

【0069】 図14は、水素プラズマ処理を行うときの処理装置1001の概要を断
面図で示したものである。 処理装置1001は、水素終端処理チャンバー1011
と試料搬送・一時保管室1025を主要な構成要素としている。そして、水素終
端処理チャンバー1011を主体とした水素終端処理部E1と、試料搬送・一時
保管室1025を主体とした試料搬送部E2に大別され、ゲートバルブ1024
の先(ゲートバルブ1024と搬送中間室1027の接続部)で、E1部とE2
部は切り離せるようになっている。


図14.実施例1で使用した処理装置構成の概要図

【0070】 水素終端処理チャンバー1011は、2つのゲートバルブ1024と1
026および搬送中間室1027を介して試料搬送・一時保管室1025に接続
されていて、試料ロッド1029により、試料を水素終端処理チャンバー1011
から試料搬送・一時保管室1025に搬送できるようになっている。ここで、搬
送中間室1027には真空排気系を接続するためのフランジ1028が備えられ
ており、真空排気系が接続されていないときはフランジ(ブランクフランジ)
1028で閉じられている。 また、試料搬送・一時保管室1025には配管1
071、バルブ1072、フランジ1073およびベローズ配管1074を介して
ターボ排気セット1075が接続されている。ここで、ターボ排気セット107
5は、ターボ分子ポンプとダイヤフラムポンプからなるT-Station75
D(エドワーズ製)である。
【0071】 水素終端処理チャンバー1011は、ダイヤモンド基板31の第1主表
面(ダイヤモンド半導体層)の露出面を水素プラズマにより水素終端する処理室
であり、具体的には上述のMPCVD装置(セキテクノトロン製、AX5000
)の処理室である。 水素終端処理チャンバー1011は、ゲートバルブ1012
を介してターボポンプ(STP-iX455、エドワーズ製)1013に繋がれ、
ターボポンプ1013はバルブ1014および配管1015を介してスクロール
ポンプ(nXDS15i、エドワーズ製)1016に接続されている。このため、
いわゆるオイルフリーの真空ポンプ構成になっている。1011の真空度は、真
空計1063(電離真空計TG200、アンペール製)によって読み取ることが
できる。
【0072】 また、水素終端処理チャンバー1011は、真空粗引き目的で、バルブ
1017と配管1018を介してスクロールポンプ1016に接続された排気パ
スを備えている。また、水素終端処理制御用に、バルブ1019、1061およ
び配管1062が設けられ、それを介して水素終端処理チャンバー1011とス
クロールポンプ1016が接続されたパスも有する。 また、水素終端処理チャ
ンバー1011は、プロセスガス(H2ガス)1023がバルブ1022を介して
導入できるようになっている。なお、水素終端処理チャンバー1011には、水
素終端処理を行うときに1011内の圧力をモニターするためのバラトロン真空
計1020も取り付けられている。
【0073】 図15は、h-BNからなる絶縁膜33aを試料に貼り付ける作業に
用いる処理装置1002の概要を断面図で示したものである。 処理装置1002
は、貼り合わせ処理室(グローブボックス)1031と試料搬送・一時保管室
1025を主要な構成要素としている。試料搬送・一時保管室1025を主体と
した前記の試料搬送部E2は、ゲートバルブ1043を介して貼り合わせ処理部
E3が接続されて、試料が大気に晒されることなく、貼り合わせ処理室(グロー
ブボックス)1031に試料を搬送できるようになっている。
【0074】 ここで、試料を試料搬送・一時保管室1025から貼り合わせ処理室(
グローブボックス)1031に搬送する際に試料が搬送中間室1027で大気に
晒されないように、フランジ1028を介して、真空排気系E4が接続される。
真空排気系E4は、ベローズ配管1109、1111、バルブ1110、真空計
(クリスタル/コールドカソード コンビネーションゲージ CC-10、東京電
子製)1112が備えられたチャンバー1101、アングルバルブ1102、タ
ーボポンプ(nEXT300D、エドワーズ製)1103、バルブ1104、配
管1107およびスクロールポンプ(nXDS15i、エドワーズ製)1105
を有し、さらにチャンバー1101をスクロールポンプ1105で粗引きする配
管1107とバルブ1106も備えている。
【0075】 貼り合わせ処理室1031は、試料に絶縁膜33aとなるh-BN絶縁
膜を貼り合わせる処理室で、仕切り扉1032を介してパスボックス1034に
接続され、パスボックス1034はバルブ1035および配管1036を介して
スクロールポンプ(nXDS15i、エドワーズ製)1037に繋がれている。
なお、貼り合わせ処理室1031にはスクロールポンプ1037で直接排気でき
るようにするための配管とバルブ1038が備えられており、パスボックス10
34には圧力計1039が備えられている。
【0076】 貼り合わせ処理室1031は、大気圧の不活性ガス(Arガス)で満た
されている。 Arガスは、Arガスシリンダー1052から配管1053を介し
て貼り合わせ処理室1031およびパスボックス1034に供給されるようにな
っている。ここで、貼り合わせ処理室1031およびパスボックス1034に向
かう配管1053にはそれぞれバルブ1054および1055が設けられている。
また、このArガスは、配管1042,1045およびバルブ1041,1044
を介して貼り合わせ処理室1031に接続された不活性ガス循環精製機1040
によって常時精製され、酸素濃度0.5ppm以下、露点-79℃以下に保たれ
ている。さらに、この精製されたArガスは、バルブ1108を介して接続され
た真空排気系E4を介して、試料搬送部E2に導入できるようになっている。
貼り合わせ処理室1031は、いわゆるグローブボックスとなっており、雰囲気
を外部と隔離して貼り付け作業をするためのブチルゴム手袋が付随している。ま
た、貼り合わせ処理室1031は、バルブ1054を介してArガスシリンダー
1052に、またバルブ1038を介してスクロールポンプ1037につながっ
ており、手袋に手を入れたときなどに貼り合わせ処理室1031の内部の圧力を
調整できるようになっている。さらに顕微鏡が備えられていて(図示なし)、外
部と雰囲気(ガス)的に遮断された環境の下で、ミクロンオーダーの貼り付け作
業が可能になっている。顕微鏡の画像は、不活性ガス環境を害することなく、貼
り合わせ処理室1031の外部でモニターにより観察できるようになっている。
なお、貼り合わせ処理室1031の外壁は、ステンレスとガラスからなり、貼り
合わせ処理室1031の内容量は約310Lである。
------------------------------------------------------------------------
【符号の説明】 11:炭素 12:水素 13:ホウ素 14:窒素 21:ダイ
ヤモンド基板 22:ダイヤモンド半導体層 23:ゲート絶縁体層(ゲート絶
縁膜) 23a:絶縁膜 24:導電体層(ゲート電極) 25:絶縁膜 25a:
絶縁膜 26:低抵抗化層 27:ゲート電極配線 28:ソース電極およびその
電極配線 29:ドレイン電極及びその電極配線 31:ダイヤモンド基板 32:
水素終端層 33:ゲート絶縁膜(ゲート絶縁体h-BN) 33a:絶縁膜
34G:ゲート電極(グラファイト) 35:導電膜 35a:導電膜 36:導電
膜 36a:導電膜 37S:ソース電極 37D:ドレイン電極 42:低抵抗化層
43:酸素終端層 43a:酸素終端層 51,52,53:レジストパターン
61:絶縁膜(素子分離用h-BN) 62:導電膜(電極配線) 62a:導電
膜 62G:ゲート電極配線(ボンディングパッド配線) 62S:ソース電極配線
(ボンディングパッド配線) 62D:ドレイン電極配線(ボンディングパッド配
線) 71:酸素終端と水素終端の領域の境界 101:MIS型半導体装置
201:MIS型半導体装置 1001:処理装置 1002:処理装置 1011:
水素終端処理チャンバー 1012:ゲートバルブ 1013:ターボポンプ
1014:バルブ 1015:配管 1016:スクロールポンプ 1017:バ
ルブ 1018:配管 1019:バルブ 1020:バラトロン真空計 1022:
バルブ 1023:プロセスガス 1024:ゲートバルブ 1025:試料搬送・
一時保管室 1026:ゲートバルブ 1027:搬送中間室 1028:フラン
ジ 1029:試料搬送ロッド 1031:貼り合わせ処理室(グローブボックス)
1032:仕切り扉 1034:パスボックス 1035:バルブ 1036:配
管 1037:スクロールポンプ 1038:バルブ 1039:圧力計 1040:
不活性ガス循環精製機(Arガス循環精製機) 1041:バルブ 1042:配
管 1043:ゲートバルブ 1044:バルブ 1045:配管 1052:Ar
ガスシリンダー 1053:配管 1054:バルブ 1055:バルブ 1061
:排気量調整バルブ 1062:配管 1063:真空計 1071:配管 107
2:バルブ 1073:フランジ 1074:ベローズ配管 1075:ターボ排気
セット 1101:チャンバー 1102:アングルバルブ 1103:ターボポ
ンプ 1104:バルブ 1105:スクロールポンプ 1106:バルブ 110
7:配管 1108:バルブ 1109:ベローズ配管 1110:バルブ 1111:
ベローズ配管 1112:真空計 E1:水素終端処理部 E2:試料搬送部 E3:
貼り合わせ処理部 E4:真空排気系
                                                          この項つづく

グラフェン層間に2層アルカリ金属の最密配列を発見
   電池容量を増大させる可能性を示唆
1月24日、産業技術総合研究所、東京工芸大学、九州大学、台湾国立清華大学らの
研究グループは、炭素原子が1個の厚さで六角形の格子状に並んだグラフェンの層
間に高密度でアルカリ金属を挿入する技術を開発し、原子の配置構造を直接観察
することに成功。
【要点】
1.グラフェン層間におけるアルカリ金属の2層構造を発見
2.グラフェン層間のアルカリ金属は、グラファイト表面の層間に特有の拡張性
 により最密充填される
3.電気自動車や通信機器に向けた2層〜少数層グラフェン電極による大容量二
 次電池の開発に期待
【概要】
電池の電極材料である黒鉛(グラファイト)は、グラフェンが層状に重なり、層
間に配置されたアルカリ金属が電子を受け渡すことで、充電・放電を行う。もし、
グラフェン層間に高密度でアルカリ金属を充填できれば、電気容量が向上する。
過去百年にわたり、X線や電子回折の測定を通じて、グラフェン層間には単層の
アルカリ金属しか充填できないと広く認識されており、各層が完全に充填された
状態が理論的な充電極限と考えられてきましたが、層間アルカリ金属の原子配置
を直接観察し、グラフェン層がアルカリ金属原子を単層でしか収容できないのか、
それとも他の技術によって、より高密度または複数層のアルカリ金属を収容でき
るのかを検証する研究報告はばかった。


図.アルカリ金属は2層グラフェンに挿入される際に六方最密充填の2重層を形成

同研究グループは、グラフェンの間にアルカリ金属を高密度に挿入する技術を開
発した。高性能電子顕微鏡により、層間のアルカリ金属原子の配置構造を直接観
察することにも成功する。電極として広く用いられてきたグラファイトには、1
層構造のみが形成される、グラフェン層間のアルカリ金属は、グラファイト表面
のグラフェン層間に特有な層間隔の柔軟な拡張性により、およそ2倍のアルカリ
金属を挿入できる2層構造で最密充填されることを発見。アルカリ金属を2層に
挿入したグラフェンを積層できれば、それを電極材料にしてアルカリイオン二次
電池の大容量化が期待されている。
【成果】
一般にグラファイト電極の作成では、電気化学法を用いて金属原子をグラフェン
層間に挿入。挿入される原子の種類や密度に応じて、グラファイトの電子・光学
特性は変化します。アルカリ金属が各層間を完全に埋め尽くすと、グラファイト
の色が黒から黄金に変わり、低温で超伝導特性が現れる。
多層グラフェンの上からグラフェン層を観察したとしても、原子同士が重なり合
うため、原子の正確な位置関係を解析することは困難です。最小単位となる2層
のグラフェンに挿入した金属であれば、重なり合う原子がないため、金属と炭素
原子の正確な位置関係を知ることが可能(図1a)。
グラフェン層と金属との位置関係を精密に解析するため、まず九州大学の吾郷研
究室で合成した2層グラフェンをTEM観察用グリッドに固定し、次に東京工芸大学
の松本研究室にてアルカリ金属を挿入(図1b)。最後に、低加速電圧STEMを用い
て、産総研の林主任研究員が構造解析を行う。
【展望】
リチウムやナトリウムは軽元素のため、低加速電圧STEMでの観察は困難。計測手
法を検討し、2層グラフェンおよび多層グラフェン中に挿入した軽いアルカリ金
属の原子配列の観察に挑戦。また、この実験ではバッテリーの電気化学法挿入メ
カニズムとは異なる気相挿入を使用しているので、実際のバッテリーの機能を模
倣し、STEMを用いて電気化学的なイオンの動きを明らかにすることでバッテリー
劣化の原因解明を行う。
【掲載論文】
------------------------------------------------------------------------
掲載誌:Nature Communications
論文タイトル:Alkali Metal Bilayer Intercalation in Graphene
DOI:doi.org/10.1038/s41467-023-44602-31038/s41467-023-44602-3
------------------------------------------------------------------------
※低加速電圧走査透過型電子顕微鏡(低加速電圧STEM)
加速電圧 15 kV~60 kVで動作する透過型電子顕微鏡の一つ。集束レンズによっ
て細く絞った電子線プローブを試料上で走査し、おのおのの点での透過電子を検
出することで像を得る装置。低加速電圧にすることで、炭素材料などの試料に与
える電子線損傷を抑えることができ、物質の内部構造や組成だけでなく、表面の
詳細な情報も得ることができる。                                                                            了





グラフェンメソスポンジとは
グラフェンは、熱伝導度、電気伝導度、機械的(引っ張り)強度に優れており、
エレクトロニクス、エネルギー材料など様々な分野で期待されている炭素材料で
ある。そのようなグラフェンの構造体として、グラフェンメソスポンジが知られ
ており、電池の電極活物質等としての利用が期待されている。グラフェンを含む
多孔質炭素材料、とりわけ、グラフェンメソスポンジの製造方法としては、鋳型
粒子の表面に炭素を被覆させた後、鋳型粒子を除去し、炭素材料を高温で焼成し
てグラフェンメソスポンジを製造する方法が知られている。鋳型粒子の表面に炭
素を被覆させる方法としては、化学気相蒸着(CVD)法が知られている。CV
D法において、原料ガスとしてメタン、鋳型としてアルミナナノ粒子を用いて、
鋳型粒子の表面に炭素を被覆させる方法が具体的に開示されているが、鋳型除去
の際にフッ酸による処理又はアルカリでのオートクレーブ処理が必要であり、コ
スト面で不利である。特に、フッ酸は、極めて強い腐食性を有することから取り
扱いが困難であり、工業的用途には適していない。 これに対し、塩酸などに可
溶なアルカリ土類金属であるMgOナノ粒子等を鋳型として用いてグラフェンメソ
スポンジを製造する方法が開発されている。

リチウム空気電池は、現在のリチウムイオン電池の数倍以上のエネルギー密度の
達成が見込まれる次世代蓄電池、カーボン正極や電解液などの劣化が激しく充放
電を繰り返し行えない点が大きな課題であった。今回の研究では、図1のスキー
ムでGMS自立膜を製造。この自立膜をリチウムイオン電池の正極材料に使用する
ことで、以下3点を踏まえた電極設計を可能にした。

•高容量を得るための豊富な細孔容積を確保
•電池を軽くするためにグラフェンの積層を排除
•サイクル寿命を得るためにエッジサイトを削除

本研究グループは、上記の電極設計により従来に無い超高容量とサイクル寿命の
両立に成功。この結果から、「GMSはカーボン正極の1つの理想形だと言える」
としている。via 株式会社3DC 2024.1.17


【掲載誌】
1.AdvancedEnergyMaterials
2.Hierarchically Porous and Minimally Stacked Graphene Cathodes
for High-Performance Lithium–Oxygen Batteries
3.Wei Yu,haohan Shen, Takeharu Yoshii, Shinichiroh Iwamura, Manai Ono, Shoichi
Matsuda, Makoto Aoki, Toshihiro Kondo, Shin R. Mukai, Shuji Nakanishi, Hirotomo
Nishihara
4.First published: 10 November 2023
5.https://doi.org/10.1002/aenm.202303055


特開2023-134066 多孔質炭素材料の製造方法/発明者:砂廣 昇吾 西原 洋知
【概要】
図4のごとく、多孔質炭素材料の製造方法であって、CVD法により、酸化カル
シウムのナノ粒子からなる鋳型の表面に、グラフェンを含む前駆体を形成する被
覆工程と、前記鋳型を酸で溶解して、前記鋳型と前記前駆体とを分離する除去分
離工程と、前記前駆体表面に存在する非グラフェン炭素含有物質を除去する除去
工程とを含む、多孔質炭素材料の製造方法で、ラフェンを含む多孔質炭素材料の
製造方法における不純物に起因すると考えられる、グラフェンを含む多孔質炭素
材料、とりわけ、グラフェンメソスポンジの品質低下を防止し、より高品質なグ
ラフェンメソスポンジの製造を可能とする方法を提供する。


図4.多孔質炭素材料の製造フローチャート(a)、鋳型の出発原料であり鋳型
ナノ粒子となる炭酸カルシウムのSEM画像(b)、炭酸カルシウムに対し85
0℃の熱処理を行い形成された鋳型ナノ粒子である酸化カルシウムのSEM画像
(c)、CVD処理後(C/CaO)のSEM画像(d)、鋳型除去後(CMS
(I))のSEM画像(e)、CMS(I)の熱処理により形成したグラフェン
メソスポンジ(GMS(I))のSEM画像(f)、CMS(I)を空気雰囲気
下350℃で処理した後(CMS(II))のSEM画像(g)、及びCMS(
II)の熱処理により形成したグラフェンメソスポンジ(GMS(II))のS
EM画像(h)である。
表4


【特許請求範囲】
【請求項1】 多孔質炭素材料の製造方法であって、 CVD法により、酸化カル
シウムのナノ粒子からなる鋳型の表面に、グラフェンを含む前駆体を形成する被
覆工程と、 前記鋳型を酸で溶解して、前記鋳型と前記前駆体とを分離する除去
分離工程と、 前記前駆体表面に存在する非グラフェン炭素含有物質を除去する
除去工程と を含む、多孔質炭素材料の製造方法。
【請求項2】 前記除去工程が、前記前駆体を酸化処理することを含む、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項3】 前記除去工程が、前記前駆体を280~450℃の温度において
酸化処理することを含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】 前記除去工程が、前記前駆体を280~400℃の温度において
酸化処理することを含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】 前記除去工程の後に、前記前駆体に熱処理を施す熱処理工程を更
に含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】 前記CVD法において、前記前駆体の原料である原料ガスとして
メタンガスを用いる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】 前記多孔質炭素材料の細孔が、前記グラフェンにより形成されて
いる細孔壁を有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】 前記多孔質炭素材料が、メソ多孔質炭素材料である、請求項1乃
至7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】 前記グラフェンが単層グラフェンである、請求項1乃至8のいず
れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】前記酸化カルシウムのナノ粒子からなる鋳型が、 炭酸カルシウ
ムから生成されたものである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法。

太陽集熱による炭酸ガス熱分解


図.1 熱分解プロセスの概要(左)と反応性フォームデバイス(右)

1月30日、現状では、太陽光を使った炭酸ガス利用は太陽光発電に基づく水電解
で水素を製造し、この水素を炭酸ガスと反応させてメタン合成をするメタネーシ
ョンが注目されているが、電気を使わず、太陽の熱によって安価に炭酸ガスを分
解して燃料を製造する方法を新潟大学らの日米の研究グループが、太陽集熱によ
る炭酸ガス分解に新反応性物質を使用する技術を開発。
今回,新潟大学とコロラド大学は,キセノンランプによる集光を用いた室内実験
と,米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が保有する太陽炉を用いた実験に
より,反応性物質として酸素を吸蔵・放出する特性を持つセリア(CeO2)および
新たにヘルシナイト(FeAl2O4)のフォームデバイス(多数の「空隙」を有する発
泡体)を利用し,炭酸ガスを酸素と一酸化炭素に分離に成功。

このシミュレーション技術を用いてプラントの解析を実施し,太陽光から合成
燃料までの総合変換効率をセリアについて10%以上に向上できる見通しと,ヘル
シナイトはセリアの2倍以上の反応活性を示すことを実験的に明らかにし,新し
い反応物質として将来性が高いことを確認。この技術により,高温域でセリアが
非常に良好な反応性が示され,セリアによる高効率プラントの概念設計を完成す
ることができた一方で,ヘルシナイトはより低温で高い反応性をもつ。ヘルシナ
イトは安価な鉄とアルミニウムから製造できるため製造コストを劇的に下げるこ
とができると考えられる。研究グループは,高効率な炭酸ガス分解のめどが立っ
たことから,ソーラー燃料製造の低コスト化への応用が期待されている。

※ 詳細な報告書が例示されていないので実用性の判断ができない(例えば、ア
  ルゴンの物質収支は?)。


造色インクで世界最軽量クラスの塗装を実現
ナノ粒子わずか1層分でカラフルな構造色
1月31日、神戸大学の研究グループは,独自に開発した構造色インクを用いるこ
とにより,世界最軽量クラスの構造色塗装が可能であることを実証。

【要点】
1.ナノ粒子をわずか一層塗るだけで、カラフルな構造色を実現。
2.環境・生体への負荷が小さいケイ素からなるナノ粒子を利用。
3.理論上、1平方メートルあたり0.5グラムで塗装できる (世界最軽量クラス)。
4.軽量且つ高耐久性が求められる航空機、船舶、レースカーなどの塗装への応
 用が期待される。

研究グループでは,屈折率が非常に高いケイ素ナノ構造が示すMie共鳴を利用し,
特定の波長の光を強く散乱させることで発色させる手法を開発してきた。特に,
ほぼ真球の結晶シリコンナノ粒子の作製,粒径制御と安定な溶液分散を実現し,
粒径によって発色が変化する構造色ナノ粒子インクを世界で初めて実現した。
今回の研究では,構造色ナノ粒子インクを用いてシリコンナノ粒子が一層だけ
配列した非常に薄い膜を形成し,その発色特性について詳細な調査を行なった。

はじめに,シリコンナノ粒子が六方格子状に配列した構造について,電磁場シ
ミュレーションにより反射率スペクトルを評価した。その結果,わずか1層のシ
リコンナノ粒子単層膜でも反射率が約50%に達し,明るい構造色が得られること
がわかった。また,粒子間の距離をあけて 粒子をまばらに配列すると反射率が
さらに増加した。例えば,粒子間距離を50nmにすると,最大で90%以上の反射率
が得られた。また,さらに間隔をあけて,粒子の体積充填率を10%まで減少させ
ても,反射率は70%を超えることを見出した。これは,個々のシリコンナノ粒子
が非常に高 い散乱効率を有していることに起因し,非常に少ない材料で明るい
構造色が得られることを示している。 この特性を実証するために,ラングミュ
ア-ブロジェット(LB)法により,ガラス基板上にシリコンナノ粒子の単層膜を
形成した。粒子膜は,粒径に依存して紫~橙色の構造色を示した。 この発色は,
斜め45度から観察してもほとんど変化せず,従来の構造色と異な り角度依存性
が非常に小さいことがわかった。全光線反射率測定により反射特 性を評価した
ところ,ピーク反射率は30~50%であり シリコンナノ粒子の単層 膜によって十
分に明るい構造色が実現できることが明らかになった。さらに, シリコンナノ
粒子単層膜を部分的に酸化して疑似的に粒子間の距離を大きくした 試料につい
ても研究を行なった。それにより,基材上にシリコンナノ粒子がまばらに散在
した状態においても,構造色によって着色できることを示した。研究グループ
は,この成果は,従来の塗料よりはるかに少ない量で着色塗装が可能であるこ
とを示しており,例えば,大型航空機の塗装を1/10以下に軽量化でき る可能性
があるとしている。
【掲載論文】
原 題:“Structural CoMonolayer of Mie-Resonant Silicon Nanospheres for loration
D O I : 10.1021/acsanm.3c04689
掲載誌: ACS Applied Nano Materials&





燃えろいい女   1979.4.5
ツイスト  作詞/積極:世田公則


今夜の寸評 :体調をリゲインしたなら、それなりに全力疾走!
昨日は学区町内会老人会で小学生一年生(3クラス)とお遊交流会に参加。そ
なりに学ぶものあり。世話役の永井さんとは長いつきあいだが彼の地域を盛り上
げようとする情熱を感得しそれなりに有意義であった。剣玉担当だったが。視力
の衰えがこんなところに顕れ、少し考えることに。



SCREEN,基板向けAI検査計測ソリューションを設立

 

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MIS型半導体装置の製造方法

2024年01月29日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



                               
     恋歌のひとつふたつを詠うべき 梅咲き薫る季節ときまてり 

 

     筑波峰つくばねの 峰より落つる男女川みなのかわ恋ぞつもりて淵となりにる
                                                      陽成院

※ 陽成院(ようぜいいん 868~949年)は清和天皇の第一皇子、十歳のときに
第五十七代天皇として即位さ、病気などで、わずか十五才(或いは十七才)で廃位
され、皇位を孝徳天皇に禅譲。百人一首・第20番を詠んだ元良親王(もとよしし
んのう)は陽成天皇の第一皇子、上皇の陽成院は、孝徳天皇の内親王に恋をしこ
の和歌は恋心を詠ったものと伝承され、筑波山ではなく、そこから流れ出るみな
の川を取り上げ、その情景から小さな恋心が、やがては大きく育っていく様をう
まく重ねた歌とされる。

※ 短歌、俳句を捻る余裕がなく、眼精疲労、胃腸不良を配慮し休養するように
している。恋歌をどうこうする様な年齢ではないかと反発してみる。

【能登半島地震:防災・医療用水製造システム】
特に公共施設向け(例:ホスピタル)で総合病院で手洗い洗浄作業などが出来な
かった旨の放送がされていた。下記のような空気の除塵・殺菌(除菌)処理し水
蒸気を冷却し常時長三商品が販売されている(日本製)。技術的アプローチの選
択は数多くあるが、セフティ。コスパ、コンパクト、ロバスト、コンビニエンス、
等生成速度の改良の課題はのこるるため。後日、調査結果を報告する。
事例:雑誌名:「Science」(オンライン版:5月12日)
論文タイトル:Ultrafast water permeation through nanochannels with a densely fluorous
           interior surface.
DOI番号:10.1126/science.abd0966


 



第5産業勃興?!
イーロン・マスクの脳改造企業「Neuralink」が初のヒト臨床試験に成功
考えるだけでPCを操作
製品名は「テレパシー」!?




 
 黒の革命

世界一のダイヤモンド産出国へ ③

[関連特許]
5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法
【0030】 なお、ゲート絶縁体層23は、終端処理されたダイヤモンド半導体層
22の表面に直接接して、水、炭化水素やレジスト残渣などの層を挟まないこと
が好ましい。このような層を挟むと、界面準位が発生しやすいためである。
【0031】 ゲート絶縁体層23としてAl2O3などの非晶質膜を用いた従来構造
では、ゲート絶縁体層23中およびゲート絶縁体層23とダイヤモンド半導体層
22との界面にトラップ(電荷トラップ)が多く含まれる傾向がある。このため
、キャリア伝導は散乱を受け、キャリア移動度は低いものとなる。 一方、ゲート
絶縁体層(ゲート絶縁膜)として窒化ホウ素、好ましくは単結晶の窒化ホウ素、
より好ましくはh-BN、さらに一層好ましくは単結晶のh-BNを用いた本発
明の構造では、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップは少ない傾向がある。この
ため、キャリア伝導は散乱が少なく、高いキャリア移動度が得られる。
-----------------------------------------------------------------------
【参考】
MIS構造とは金属-絶縁体-半導体(metal-insulator-semiconductor)からな
る3層構造である。
MIS構造 (MIS structure)
【半導体工学】金属-絶縁体-半導体構造とは (MIS構造,MOS構造)


-----------------------------------------------------------------------
【0032】 ダイヤモンド基板21は、その上に形成するダイヤモンド半導体層22
が欠陥の少ない高品質な結晶になるように、結晶欠陥が少なく、清浄度が高く、
平坦、平滑な表面をもつことが好ましい。また、表面ラフネス散乱の影響を低減
するため、半導体層の表面も平坦、平滑であることが好ましい。
【0033】 ゲート電極24は、閾値電圧VTHが負電圧になるような仕事関数をも
つ導電材料からなる。具体的には、金属、グラファイト(C)またはドーパント
が添加されたポリシリコンなどの導電膜を挙げることができる。金属としては、
銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ク
ロム(Cr)およびタンタル(Ta)などを挙げることができる。また、AlCu、
CuNiFeおよびNiCrなどの合金、WSi、TiSiなどのシリサイドお
よびポリサイド、WN、TiN、CrNおよ びTaNなどの金属化合物も用い
ることができる。ゲート電極24は、このような材料の中から導電率、仕事関数、
加工性などを適宜勘案して適当な材料を選択すればよい。 なお、閾値電圧VTHは、
ゲート電極24の材料、ゲート絶縁体層23の材料とその膜厚、半導体チャネル
層の材料、不純物およびその密度などに左右される。 また、集積回路として本
発明のMIS半導体装置を用いる場合は、インテグレーションとしての各種熱処
理が加わることから、それらの熱処理も勘案した材料の拡散を考慮の上、材料を
選択する。

【0034】ソース電極とその配線28、ドレイン電極とその配線29およびゲート
電極配線27は、金属、グラファイト、あるいはドーパントが添加されたポリシ
リコンなどの導電膜からなる。金属としては、金(Au)、銀(Ag)、Cu、
白金(Pt)、パラジウム(Pd)、W、Ti、Al、CrおよびTaなどを挙
げることができる。また、AlCu、CuNiFeおよびNiCrなどの合金、
WやTiなどを用いたポリサイド、WN、TiN、CrNおよびTaNなどの金
属化合物も用いることができる。これらの導電膜は、ダイヤモンド半導体層22
と接する部分でオーミックコンタクトが取れることが好ましい。例えば、導電膜
として、金(Au)、パラジウム(Pd)などの高い仕事関数を有する金属を用
いることが好ましい。これらの高仕事関数の金属は直接接触でオーミックコンタ
クトがとれるという特徴がある。また、チタン(Ti)を用いることもできる。こ
こで、Tiは、アニールしてダイヤモンドと反応させてTiCを形成しておくこ
とが好ましい。一方で、Tiは酸化されやすいので、ダイヤモンド半導体層22
と電気的接触をとる場合は、ダイヤモンド半導体層22側からTi、その上にPt
やAuやWといった材料が積層された導電膜構造とすることが好ましい。
【0035】 また、ソース電極28およびドレイン電極29とのオーミックコンタ
クトを確実にとり、ダイヤモンド半導体層22のチャネル部以外の抵抗を下げる
ために、低抵抗化層26をダイヤモンド半導体層22とソース電極28やドレイ
ン電極29との界面に形成しておくことが好ましい。例えば、ソース電極28お
よびドレイン電極29がTiからなるときの低抵抗化層としてはアニール形成に
よるTiCを挙げることができる。
【0036】 あるいは 111のものを好んで用いることができる。 ここで、ダイヤモ
ンド基板21の表面は、平坦(平面)で原子レベルの平滑な面であることが好ま
しい。電界効果トランジスタの電気特性としては、ダイヤモンド半導体層22と
ゲート絶縁体層23との界面の平坦性、平滑性が重要であるが、その界面の平坦
性、平滑性を十分高いものにするためには、ダイヤモンド基板21表面の平坦度、
平滑度および清浄度を十分に高めておく必要がある。
【0038】 その後、図3(b)に示すように、ダイヤモンド基板21上に 終端が
水素になっているダイヤモンド半導体層をエピタキシャル成長させて、水素終端
されたダイヤモンド半導体層22を形成する(図5のS1)。水素終端されたダ
イヤモンド半導体層22は、例えば、CH4ガスとH2ガスを用いたマイクロ波プ
ラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により成
膜することができる。ダイヤモンド半 導体層22の厚さは10nm以上が好ま
しい。厚さが10nm以上である と、特にIb基板の場合に、基板からの不純
物の混入を抑制することがで きる。
【0039】 ダイヤモンド半導体層22には、ドーパントが添加されていて もよい。
ホール系のドーパントとしてはホウ素(B)を、また電子系の ドーパントとし
てはリン(P)を挙げることができる。ドーパントの添加 量としては、1016
/cm3以上1019/cm3以下が好ましい。1016/ cm3未満ではドーパント
添加の効果が小さく、1019/cm3を超えると キャリア散乱要因となって移動
度などの性能が低下する。
【0040】 次に、ダイヤモンド半導体層22の表面(少なくとも第1主表面)が
水素終端された直後から、試料の置かれている環境が真空、水素ガ ス、不活性ガ
スおよび不活性ガスが添加された水素ガスからなる群より選 ばれる何れかの
1つになるように、排気または/および不活性ガス置換を 行う(図5のS2)。
不活性ガスとしては、Arガス、Krガス、Xeガ ス等の貴ガスおよびN2ガス
を挙げることができる。ここで、この真空、 水素ガス、不活性ガスおよび不活性
ガスが添加された水素ガスからなる群 より選ばれる何れかの1つの環境は、少
なくとも後述の絶縁膜23aを形 成する直前まで維持されるようにする。この
ようにすることにより、ダイ ヤモンド半導体層22と絶縁膜23aとの界面の
荷電不純物は少なくなり、 高いホール移動度が得られるようになる。

【0041】 なお、次工程の絶縁膜23a形成がCVDなど、一旦真空環境 下にお
いてなされる処理の場合は、試料環境を真空に置いておくことが効 率的で好ま
しく、絶縁膜23a形成が貼り合わせなどの場合は、作業効率の観点から不活性
ガス環境に置くことが好ましい。なお、不活性ガスとしては、不活性度、純度の
確保およびコストを総合的に勘案して、Arガス が最も好ましい。絶縁膜25は、
電気的に絶縁するとともに水分や不純物の拡散を防止して、MIS半導体装置10
1の安定動作に一役を担うものである。その材料としては、酸化シリコン(Si
O2)膜、窒化シリコン(SiN)膜、酸化窒化シリコン(SiNO)膜、炭化
シリコン(SiC)膜、炭化窒化シリコン(SiCN)膜、炭化窒化酸化シリコ
ン(SiCNO)膜、アルミナ(Al2O3)膜、窒化ホウ素(BN)膜およびポ
リイミドなどの有機膜などを挙げることができる。


図5.MIS型半導体装置の製造工程を説明するフローチャート図
【0037】
<製造方法>

次に、このMIS型半導体装置101の製造方法を、断面構造を示した図3、4お
よびフローチャートで示した図5を用いて説明する。 まず、図3(a)に示すよ
うに、ダイヤモンド基板21を準備する。ダイヤ結晶面が100図5 MIS型半導
体装置の製造工程を説明するフローチャート


図3.MIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

ここで、ダイヤモンド基板21の表面は、平坦(平面)で原子レベルの平滑な面
であることが好ましい。電界効果トランジスタの電気特性としては、ダイヤモン
ド半導体層22とゲート絶縁体層23との界面の平坦性、平滑性が重要であるが、
その界面の平坦性、平滑性を十分高いものにするためには、ダイヤモンド基板
21表面の平坦度、平滑度および清浄度を十分に高めておく必要がある。 その
後、図3(b)に示すように、ダイヤモンド基板21上に終端が水素になってい
るダイヤモンド半導体層をエピタキシャル成長させて、水素終端されたダイヤモ
ンド半導体層22を形成する(図5のS1)。 水素終端されたダイヤモンド半
導体層22は、例えば、CH4ガスとH2ガスを用いたマイクロ波プラズマCVD
(Chemical Vapor Deposition)により成膜することが
できる。 ダイヤモンド半導体層22の厚さは10nm以上が好ましい。厚さが1
0nm以上であると、特にIb基板の場合に、基板からの不純物の混入を抑制す
ることができる。
【0039】 ダイヤモンド半導体層22には、ドーパントが添加されていてもよい。
ホール系のドーパントとしてはホウ素(B)を、また電子系のドーパントとして
はリン(P)を挙げることができる。ドーパントの添加量としては、1016/
cm3以上1019/cm3以下が好ましい。1016/cm3未満ではドーパント添
加の効果が小さく、1019/cm3を超えるとキャリア散乱要因となって移動度
などの性能が低下する。
【0040】 次に、ダイヤモンド半導体層22の表面(少なくとも第1主表面)が水
素終端された直後から、試料の置かれている環境が真空、水素ガス、不活性ガス
および不活性ガスが添加された水素ガスからなる群より選ばれる何れかの1つに
なるように、排気または/および不活性ガス置換を行う(図5のS2)。不活性
ガスとしては、Arガス、Krガス、Xeガス等の貴ガスおよびN2ガスを挙げ
ることができる。ここで、この真空、水素ガス、不活性ガスおよび不活性ガスが
添加された水素ガスからなる群より選ばれる何れかの1つの環境は、少なくとも
後述の絶縁膜23aを形成する直前まで維持されるようにする。このようにする
ことにより、ダイヤモンド半導体層22と絶縁膜23aとの界面の荷電不純物は
少なくなり、高いホール移動度が得られるようになる。
【0041】 なお、次工程の絶縁膜23a形成がCVDなど、一旦真空環境下にお
いてなされる処理の場合は、試料環境を真空に置いておくことが効率的で好まし
く、絶縁膜23a形成が貼り合わせなどの場合は、作業効率の観点から不活性ガ
ス環境に置くことが好ましい。なお、不活性ガスとしては、不活性度、純度の確
保およびコストを総合的に勘案して、Arガスが最も好ましい。
【0042】 真空に置かれる場合は、その効果と設備負担を鑑みて真空度は1×1
0-5Pa程度が好ましい。 不活性ガスを使用する場合は、大気圧が取り扱いの
容易さから好ましい。ここで、大気圧とは、低気圧、高気圧、高所を含む大気環
境下での圧力、およびグローブボックス等で外気が混入しないように与圧にした
状態を含む圧力を指す。また、環境中の酸素ガス(O2ガス)の濃度は0.5pp
m以下、露点は-80℃以下が好ましい。 水素終端されたダイヤモンドの表面
は化学的に安定であり、このレベルの環境で荷電不純物が少なく、荷電不純物散
乱の少ない高いホール移動度を得るに好適な半導体層としての表面状態を得るこ
とができる。
【0043】 その後、図3(c)に示すように、水素などで終端処理されたダイヤ
モンド半導体層22上に、絶縁膜23aを形成する(図5のS3)。ここで、絶
縁膜23aとしては、窒化ホウ素が好ましく、窒化ホウ素の単結晶が特に好まし
く、h-BNがより一層好ましく、h-BNの単結晶がさらに一層好ましい。以
下、効果の高い、絶縁膜が窒化ホウ素の場合を例にして説明する。 絶縁膜23a
は、劈開して得られた窒化ホウ素薄膜の貼り合わせ法、熱CVDやプラズマCV
Dなどの化学的気相成長法、スパッタリングなどの物理的気相成長法、および物
理 化学的気相成長法などにより形成することができる。具体例としては、トリ
エチルボラン(TEB)とアンモニア(NH3)を原料ガスとし、キャリアガス
に水素(H2)を用いた有機金属気相成長法(MOCVD:Metal-Org
anic Chemical Vapor Deposition)、RFプラズ
マにより作 製した活性窒素と電子銃により加熱供給されたホウ素を用いた分子
線エピタキシ ー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)
などを挙げることができる。 なお、絶縁膜23aを劈開して得られた窒化ホウ
素薄膜の貼り合わせで形成する場合は、その貼り合わせ環境が、真空、水素ガス、
不活性ガスお よび不活性ガスが添加された水素ガスからなる群より選ばれる何れ
かの1つであ ることが好ましい。すなわち、絶縁膜23aの形成工程の環境が、
真空、水素ガ ス、不活性ガスおよび不活性ガスが添加された水素ガスからなる
群より選ばれる 何れかの1つであることが好ましい。

【0044】 なお、ダイヤモンド半導体層22と絶縁膜23aとの界面の吸着物の
除去と絶縁膜23a表面の清浄化のため、絶縁膜23aを形成した後に、不活性
ガスと水素(H2)ガスとの混合ガスを用いたアニールを行うことが好ましい。
ここで、不活性ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)を挙げることができる。
【0045】 その後、図3(d)に示すようにゲート電極24を形成する(図5の
S4)。 このゲート電極24の形成方法としては、ゲート電極24を構成する
導電材料をスパッタリング法、蒸着法、CVD法および貼り合わせ法などで絶縁
膜23a上に被着させた後、リソグラフィによってレジストパターンを形成し、
引き続きエッチングを行って形成する方法が挙げられる。このエッチングとして
は、微細加工性の観点からドライエッチングが好んで用いることができるが、ウ
ェットエッチングを用いることもできる。ウェットエッチングの場合は、作製さ
れるMIS型半導体装置101へのダメージを抑制しやすいという特徴がある。
また、リフトオフ用のレジストパターンを絶縁膜23a上に形成した後、ゲート
電極24を構成する導電材料をスパッタリング法、蒸着法、CVD法などで堆積
させ、リフトオフする方法も挙げることができる。

【0046】 ここで、スパッタリング法としては、DCスパッタリング法、RFス
パッタリング法などを挙げることができるが、スループットの観点からはRFス
パッタリング法がより好ましい。蒸着法としては、加熱蒸着法や電子線蒸着法な
どを挙げることができる。ゲート電極24の材料としてポリシリコンを用いると
きは、ポリシリコンの成膜法としてCVD法を好んで用いることができる。この
際、リン(P)などのドーパントを添加して、低抵抗化しておくことが好ましい。
【0047】 その後、絶縁膜25aをスパッタリング法、ALD法、CVD法、貼
り合わせ法、またはSOG(Spin on Glass)などの塗布法によって
形成する(図4(a))。 ここで、成膜した絶縁膜25aには、電気特性の安
定化に妨げとなる空孔や所望ではない水が含まれることが多いので、アニールを
施しておくことが好ましい。

【0048】 引き続き、リソグラフィとエッチングによって絶縁膜25aおよびゲ
ート絶縁膜23aに所望の開口を形成して、それぞれ絶縁膜25およびゲート絶
縁体層(ゲート絶縁膜)23とする(図4(b))。
【0049】 その後、電極と半導体層とのオーミック接触をとり、かつ低抵抗とす
る低抵抗化層26を開口部のダイヤモンド半導体層22露出面に形成する(図4
(c))。低抵抗化層26は、TiやMoなどダイヤモンドと炭化物を形成する
金属を堆積させたのちに、アニールによって金属炭化物を形成することで得るこ
とができる。また、水素終端半導体層に対しては、堆積させたAu,Pd,Pt
などの高仕事関数金属を低抵抗化層とすることができる。
【0050】 しかる後、導電膜の堆積、リソグラフィおよびエッチングを行ってゲ
ート電極配線27、ソース電極およびその配線28、ドレイン電極およびその配
線29を形成する(図4(d))。 なお、前述の低抵抗化層26は、これらの
電極または/および配線を形成した後にアニールを施すなどして形成してもよい。
以上の工程により、ダイヤモンド半導体層22とh-BNからなるゲート絶縁体
層23を有するMIS型半導体装置101が作製される。
【0051】 本発明のMIS型半導体装置101は、キャリア移動度(ホール移動
度)が高く、ノーマリーオフ動作によりオフ時(待機時)の消費電力が少ないと
ともに、オン時も相互コンダクタンスgmが高く、オン抵抗も少ないので消費電
力が少ない省エネルギーに好適な半導体装置である。待機時は殆ど通電しないた
め、セキュリティ上も好ましい。 したがって、本発明により、移動度とキャリ
ア密度の両特性を高いレベルで兼ね備えた高性能MIS型半導体装置が提供され
る。
【0052】 上記では、単体のMIS型半導体装置101の作製方法を説明したが、
MIS型半導体装置101が複数載置されて集積化されたMIS型半導体装置も
同様にして作製することができる。この場合、各MIS型半導体装置101間に
絶縁層を設け、必要に応じて素子分離を行う。
【0053】 (実施の形態2) 実施の形態1では、水素終端ダイヤモンド半導体層
形成工程S1、すなわちダイヤモンド基板21上に終端が水素になっているダイ
ヤモンド半導体層22を形成する工程を経てMIS型半導体装置101を製造す
る方法を説明した。 実施の形態2では、水素終端ダイヤモンド半導体層形成工
程S1に代えて、図6に示すように、ダイヤモンド半導体露出部材準備工程S
11と水素終端処理工程S12とし、他の工程は実施の形態1と同様にしてMI
S型半導体装置を提供する。
【0054】 実施の形態2では、最初に、ダイヤモンド半導体が露出した部材を準
備する(工程S11)。ダイヤモンド半導体が露出した部材としては、ダイヤモ
ンド半導体基板、およびダイヤモンド半導体の第1主表面の一部が露出し、一部
に導電層または/および素子分離用などの絶縁層が形成された部材を挙げること
ができる。その後、露出したダイヤモンド半導体の少なくとも一部を水素終端処
理する(工程S12)。 水素終端処理の方法としては、水素ガス下でのプラズ
マ、または熱処理を挙げることができる。プラズマを用いた場合を例にとると、
MP-CVD装置を用い、H2流量500sccm、圧力4KPa、ヒーター設
定温度600℃およびマイクロ波出力300Wの条件で10分処理する方法を挙
げることができる。 以下、真空or不活性ガス環境処置(S13)は実施の形
態1の真空or不活性ガス環境処置(S2)、窒化ホウ素絶縁体層形成工程(
S14)は実施の形態1の窒化ホウ素絶縁体層形成工程(S3)、および導電体
層形成工程(S15)は実施の形態1の導電体層形成工程(S4)と同様とすれ
ばよい。 以上により、実施の形態1と同様の特性を有するMIS型半導体装置
を提供することができる。

【実施例】
【0055】 以下では実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、この実施例
はあくまで本発明の理解を助けるためここに挙げたものであり、本発明をこれに
限定するものではない。
【0056】 (実施例1)
<素子構造>
実施例1のMIS型半導体装置201の素子構造を要部断面構造図である図7を
参照しながら説明する。ここで、図7(a)は、上面から見た平面視図で、図7
(b)および図7(c)は、それぞれ図7(a)のAとA′およびBとB′を結
んだ線で断面をとったときの断面図を示す。また、図7では構成をわかりやすく
説明するために、その構成要素を矩形などで単純化して示している。このMIS
型半導体装置201は、ダイヤモンド基板31、水素終端層32、ゲート絶縁膜
33、ゲート電極34G、ソース電極37Sおよびドレイン電極37D、ゲート電
極配線62G、ソース電極配線62S、ドレイン電極配線62Dおよび絶縁膜61
からなる。 ここで、ソース電極37Sおよびドレイン電極37Dは、上から厚さ
5nmの白金(Pt)からなる導電膜36、厚さ5nmのTiからなる導電膜3
5、およびダイヤモンド基板31と導電膜35のTiとの界面に生成される炭化
チタン(TiC)からなる低抵抗化層42で構成される。 ゲート絶縁膜33は、
六方晶窒化ホウ素(h-BN)で、その膜厚は23nmである。
【0057】 ダイヤモンド基板31には、ゲート絶縁膜33の直下に位置するチャ
ネル部に水素終端層32、導電膜35の直下に位置するTiCからなる低抵抗化
層42、および残りの表層部に酸素終端層43の各領域が形成されている。
【0068】 ゲート電極34Gは、厚さ20nmのグラファイトからなる。そして、
そのゲート電極34Gに厚さ10nmのTiおよび厚さ100nmのAuが順次
積層されたゲート電極配線(ボンディングパッド配線)62Gが形成されている。
【0056】 ソースは、厚さ5nmのTiおよび厚さ5nmの白金(Pt)からな
るオーミック接触用の導電膜(それぞれ図7中の35、36)とソース電極配線
(ボンディングパッド配線)62Sからなる。ここで、ソース電極配線62Sは厚
さ5nmのTi、厚さ5nmのPt、厚さ10nmのTiおよび厚さ100nm
のAuが順次積層された構造となっている。また、導電膜35とダイヤモンド基
板31の境界領域には、TiCからなる低抵抗化層42が形成されている。 同
様にドレインは、厚さ5nmのTiおよび厚さ5nmのPtからなるオーミック
接触用の導電膜(それぞれ図7中の35、36)とドレイン電極配線(ボンディ
ングパッド配線)62Dからなる。ここで、ドレイン電極配線62Dは厚さ5nm
のTi、厚さ5nmのPt、厚さ10nmのTiおよび厚さ100nmのAuが
順次積層された構造となっており、導電膜35とダイヤモンド基板31の境界領
域には、TiCからなる低抵抗化層42が形成されている。
【0060】 また、チャネル層32がゲート電極配線(ボンディングパッド配線)
62Gと十分絶縁されるように、ゲート電極配線62Gが形成されるゲート絶縁膜
33の縁の部分(酸素終端と水素終端の領域の境界)71を覆うように素子分離
用の絶縁膜61が形成されている。絶縁膜61も六方晶窒化ホウ素(h-BN)
で、その膜厚は63nmである。
【0061】 <作製方法>
以下、素子作製工程を断面図である図8から図13を参照しながら説明する。こ
こで、図8-10は図7(a)のAとA′を結んだ線での断面図、および図11
-13は図7(a)のBとB′を結んだ線での断面図である。


図7.実施例1のMIS型半導体装置の構造を示す断面図。
(a)は上面から見た平面視図、(b)は(a)のAとA′を結ぶ線で断面をと
ったときの断面図、(c)は(a)のBとB′を結ぶ線で断面をとったときの断
面図
【0062】 1.基板の準備
ダイヤモンド基板31としてロシアTISNCM研究所製の高温高圧合成IIa
(111)ダイヤモンド単結晶基板を準備し、通常の方法で熱混酸および有機洗
浄により基板の清浄化を行った。ここで、用いたダイヤモンド基板31の大きさ
は2.5mm×2.5mm×0.3mmである。

【0063】 2.アライメントマークの作製
レーザーリソグラフィにより、アライメントマークをダイヤモンド基板31上に
形成した(図示なし)。 ここで、アライメントマークの形成工程を以下に示す。
最初に、ダイヤモンド基板31の表面に下層レジストPMGI-SF6S(Mi
crochem製)をスピンコートし、180℃で5分ベークした。その後、フ
ォトレジストAZ-5214E(メルクパフォーマンスマテリアルズ製)をスピ
ンコートし、110℃で2分ベークした。 次に、高速マスクレス露光装置(ナ
ノシステムソリューションズ製、DL-1000/NC2P)を用いて、アライ
メントマークパターンを描画した。TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム
)2.38%で合計150秒現像した後、純水で合計120秒洗浄し、その後
窒素ブローを行った。
                             この項つづく

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 197 アフターコロナ時代 186】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング 

ウイルス解体新書

変異株「JN.1」とは 新型コロナ第10波到来か?
2023年12月の時点で、それほど多くなかった新型コロナウイルスの感染者が、1月
に入り急激に増えてきた。11月下旬ごろから感染者が増え始めてきましたが、1医
療機関あたりの患者数は12月の最終週で5.79人でした。ところが、1月になると
感染が広がるスピードが上がり、直近の1月15~21日は、12.23人になっている。

理由は二つ。一つは、気温がぐっと下がってきたということです。呼吸器の感染
症は、気温が下がると感染が広がる傾向があります。室内に籠もりがちになり、
換気もしないということが要因の一つとして考えられる。もう一つは、ウイルス
がヒトに感染しやすく変異していることが挙げられる。12月に日本で多かったの
は、XBB系統の「EG.5」というタイプでしたが、1月に入ると、BA2.86系統の「
JN.1」が多くなる。1月25日に東京都が公表したデータによると、調査した検体
の55.6%がJN1だ。

JN1はどのような特徴か?
EG.5とJN.1は、感染したりワクチンを接種したりして獲得した免疫から逃れる
傾向にあると言われています。加えてJN.1は、EG.5よりも感染力がやや強いの
ではないかと考えられている。今のところ、重症者が増えたという報告はない。
高熱が出るインフルエンザの方が、症状が重くなる印象。

インフルエンザの感染も心配もあるが?
1医療機関あたりの患者が33.72人だった23年12月の初旬以降、感染者は減ってい
たが、年が明けると増加に転じ、1月15~21日の週は17.72人でした。「A香港型
」として知られるA(H3N2)型に加えて、09年に新型インフルエンザとして流行し
たA(H1N1)型、B型の感染者も目立つようになったことが影響していると考えら
る 学校の冬休みが終わり、授業が始まる。そうした状況もあり、今後も感染者
増え続けると予想される。 via 読売新聞 ヨミウリドクタ- 2024.1.30






釜山港へ帰れ/돌아와요 부산항에
チョー・ヨンピル 1972.02


今夜の寸評 :フリンジンに立つも、夢をあきらめない。



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夢をあきらめない ②

2024年01月29日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



胃腸・胸焼けでおかゆをつくり食べていたが、味の素の「おかゆシリーズ」がだ
されてびっくり・電子レンジ加熱は開封しないと腫れるするのでコンロ暖めてだ
される。悪くはない。尤も加熱なしでもいただける。之も世界へシリーズとして
販売できる(正味期限付き)。「饅頭シリーズ」に「おかゆシリーズ」ってか。
「カレーシリーズ」にエトセトラ。加工食品(冷凍・氷水・加圧・減圧)エトセ
トラ。

 

 
 黒の革命

世界一のダイヤモンド産出国へ ②
2008年度NEDO調査「2050年における省エネルギー社会の実現に向けた電気エネル
ギー有効利用に関わるグリーンエレクトロニクス技術」で「ダイヤモンドは次世
代パワーデバイスとして認知されている」と表記されているように、絶縁耐圧・
熱伝導率が最も高く、電力性能指数としては最高!パワーデバイスとして、非常
に大きなポテンシャルを持っている。性能指数として、Si, SiC, GaNを凌駕する
大きな値。パワー密度が大きくとれ、冷却系を含めた電力系の小型化・軽量化が
図れるというメリットがあるが、大面積・低コスト基板がない。基板が宝石であ
り、広く・安い基板がないという問題を抱えるものの新技術の開拓----超高耐圧
用パワーデバイス・ 新しい半導体真空スイッチ・高温・高出力対応殺菌用新原理
励起子LED ・高感度磁気センサ・新しい廃熱利用熱電子発電素子なのど開発が展
望できる。


出所:NEDO

そうして、新しい高圧高温(HPHT)ダイヤモンド基板製造技術のヘテロ薄膜上ダ
イヤモンドデバイスの特性が確認され、低コスト大面積基板製造が開拓されてき
た(特開2013-258407 ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法)。
[関連特許]
1.JP2006216716A ダイヤモンド電界効果トランジスタ及びその製造方法
【要約】下図1ことく、ダイヤモンド基板1上に、夫々ソース領域及びドレイン
領域となる低抵抗ダイヤモンド層2a及び2bを局所的に形成し、これら間及び
相互に対向する端部上に、アンドープダイヤモンド又はBが低濃度でドープされ
たダイヤモンドからなる高抵抗ダイヤモンド層3を形成する。また、低抵抗ダイ
ヤモンド層2a及び2b上に、夫々ソース電極5及びドレイン電極6を形成し、
高抵抗ダイヤモンド層3上に、ゲート絶縁膜4を介してゲート電極7を形成する。
このとき、ゲート絶縁膜4は、酸化シリコン層、窒化アルミニウム層、アルミナ
層、ダイヤモンド状炭素層、窒化シリコン層、ジルコニア層、チタン酸ストロン
チウム層、チタン酸バリウム層及びサイアロン層からなる群から選択された2種
以上の層を積層した積層膜とする。

図1.ダイヤモンドFETの構造を模式的に示す断面図

2.特開2013-258407 ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法
【概要】下図3のごとく、製造工程を簡素化するとともに、良好なpn接合界面
を備えるダイヤモンド半導体装置及びその製造方法を提供する。{100}面を
有するダイヤモンド基板10と基板上に形成したp型ダイヤモンド層20と基板に
形成した側面{110}、底面が{100}面を有する段差形状の底角50を起
点に成長したn型ダイヤモンド層30とを備えるダイヤモンド半導体素子と、ダ
イヤモンド素子間を分離するため、基板に形成した側面{100}、底面{10
0}面を有する段差形状の底角を起点に成長した分離領域とを備える。


図3 横型pn接合ダイヤモンド半導体装置の構造 

【特許請求の範囲】
【請求項1】 {100}面を有するダイヤモンド基板と該基板上に形成したp
型ダイヤモンド層と該基板に形成した側面{110}、底面が{100}面を有
する段差形状の底角を起点に<111>方向へ成長したn型ダイヤモンド層とを
有する横型pnダイヤモンド半導体素子を備えるダイヤモンド半導体装置。
【請求項2】 {100}面を有するダイヤモンド基板と該基板上に形成したp
型ダイヤモンド層と該基板に形成した側面{100}、底面が{100}面を有
する段差形状の底角を起点に<110>方向へ成長した絶縁分離領域を備えるダ
イヤモンド半導体装置。
【請求項3】 {100}面ダイヤモンド半導体基板に、p型ダイヤモンド層を形
成する工程と、底面が{100}面、側面が{110}面の段差形状を選択的に
形成する工程と、該段差形状の底角を起点に不純物をドープしながらダイヤモン
ドを<111>方向へエピタキシャル成長させ不純物ドープダイヤモンド領域を
形成させる工程とを含むダイヤモンド半導体装置の製造方法。
【請求項4】 {100}面ダイヤモンド半導体基板に、p型ダイヤモンド層を
形成する工程と、底面{100}、側面{100}面の段差形状を選択的に形成
する工程と、該段差形状の底角を起点に不純物をドープしながらダイヤモンドを
<110>方向へエピタキシャル成長させ絶縁分離領域を形成させる工程とを含
むダイヤモンド半導体装置の製造方法。
【請求項5】 前記不純物は、リンであることを特徴とする請求項3乃至4のい
ずれか1項に記載のダイヤモンド半導体装置の製造方法。

【効果/展望】 半導体領域の選択成長技術は、半導体装置を作製する際に必須で
あり、その有無によって、半導体装置応用の幅が大きく異なってくる。本発明の
ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法によれば、ダイヤモンド基板に形成し
た段差形状の底角を起点に、選択された領域に不純物ドープダイヤモンド半導体
を成長させることができる。このため製造工程を簡素化できるだけでなく、pn
接合界面がエピタキシャル成長により形成されるため、良好な界面が得られる。
また、例えば、横型pn接合素子を作製することで、光の取り出し方向を上方に
変えることができ、光取り出し効率の改善が期待できる。逆に、紫外線受光素子
の場合においても、受光面となるpn接合界面が金属電極などで妨害されないた
め、その受光効率改善が望める。 この他、横型接合を用いたJFETなどパワ
ーデバイスにおいても、電流経路に基板(厚さ500μm前後)を含まない構造
が作製できることから、オン抵抗の低減が望める。また、ダイヤモンド半導体
装置は、パワー半導体素子、高周波半導体素子などの半導体装置のみならず、紫
外発光デバイス、電子放出源、X線・粒子線センサー、X線・粒子位置センサな
ど、各種電子デバイスに応用することができる。

3.特開特開2018-6572 ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法
【要約】下図1のごとく、 本発明のダイヤモンド半導体装置10は、ダイヤモ
ンド基板1上に配され、{111}面が形成される第1導電型ダイヤモンド半導
体層2と、第1導電型ダイヤモンド半導体層2の{111}面が形成される面上
に配される導電型が第1導電型ダイヤモンド半導体層2と異なる第2ダイヤモン
ド半導体層で形成されるソース領域3a及びドレイン領域3bと、全体又は一部
が第1導電型ダイヤモンド半導体層2の{111}面上に配され、かつ、上面視
で少なくともソース領域3aとドレイン領域3bとの間に配されるゲート絶縁膜
4と、ソース領域3a上に配されるソース電極5aと、ドレイン領域3b上に配
されるドレイン電極5bと、ゲート絶縁膜4上に配されるゲート電極5cと、を
有することを特徴とすることで、動作特性がノーマリーオフの平面型MOSFE
T動作が可能なダイヤモンド半導体装置を提供する。

図1.ダイヤモンド半導体装置の断面構造を示す説明図

【符号の説明】 1 ダイヤモンド基板 2 第1導電型ダイヤモンド半導体層 3
a ソース領域 3b ドレイン領域 4 ゲート絶縁膜 5a ソース電極 5b ド
レイン電極 5c ゲート電極 10 ダイヤモンド半導体装置 11 テラス面
12 ステップ

5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法
【要点】下図5のごとく、第1主表面が水素で終端された半導体層を形成するこ
とと、水素終端ダイヤモンド層に接して絶縁体層を形成することと、絶縁体層の
少なくとも一部の上に導電体層を形成することと、を含む。水素で終端された半
導体層を形成すること、絶縁体層を形成すること及びその両者の間の雰囲気は、
真空、水素ガス、不活性ガス及び不活性ガスが添加された水素ガスの何れかとす
ることで、ダイヤモンド半導体による移動度の高いMIS型半導体装置の製造方
法を提供する。


図5.MIS型半導体装置の製造工程を説明するフローチャート

図1.MIS型半導体装置の構造を示す断面図
【符号の説明】 11:炭素 12:水素 13:ホウ素 14:窒素 21:ダイ
ヤモンド基板 22:ダイヤモンド半導体層 23:ゲート絶縁体層(ゲート絶
縁膜) 23a:絶縁膜 24:導電体層(ゲート電極) 25:絶縁膜 25a:
絶縁膜 26:低抵抗化層 27:ゲート電極配線 28:ソース電極およびその
電極配線 29:ドレイン電極及びその電極配線 31:ダイヤモンド基板 32:
水素終端層 33:ゲート絶縁膜(ゲート絶縁体h-BN) 33a:絶縁膜
34G:ゲート電極(グラファイト) 35:導電膜 35a:導電膜 36:導電
膜 36a:導電膜 37S:ソース電極 37D:ドレイン電極 42:低抵抗化層
43:酸素終端層 43a:酸素終端層 51,52,53:レジストパターン
61:絶縁膜(素子分離用h-BN) 62:導電膜(電極配線) 62a:導電
膜 62G:ゲート電極配線(ボンディングパッド配線) 62S:ソース電極配線
(ボンディングパッド配線) 62D:ドレイン電極配線(ボンディングパッド配
線) 71:酸素終端と水素終端の領域の境界 101:MIS型半導体装置
201:MIS型半導体装置 1001:処理装置 1002:処理装置 1011:
水素終端処理チャンバー 1012:ゲートバルブ 1013:ターボポンプ
1014:バルブ 1015:配管 1016:スクロールポンプ 1017:バ
ルブ 1018:配管 1019:バルブ 1020:バラトロン真空計 1022:
バルブ 1023:プロセスガス 1024:ゲートバルブ 1025:試料搬送・
一時保管室 1026:ゲートバルブ 1027:搬送中間室 1028:フラン
ジ 1029:試料搬送ロッド 1031:貼り合わせ処理室(グローブボックス)
1032:仕切り扉 1034:パスボックス 1035:バルブ 1036:配
管 1037:スクロールポンプ 1038:バルブ 1039:圧力計 1040:
不活性ガス循環精製機(Arガス循環精製機) 1041:バルブ 1042:配
管 1043:ゲートバルブ 1044:バルブ 1045:配管 1052:Ar
ガスシリンダー 1053:配管 1054:バルブ 1055:バルブ 1061
:排気量調整バルブ 1062:配管 1063:真空計 1071:配管 107
2:バルブ 1073:フランジ 1074:ベローズ配管 1075:ターボ排気
セット 1101:チャンバー 1102:アングルバルブ 1103:ターボポ
ンプ 1104:バルブ 1105:スクロールポンプ 1106:バルブ 110
7:配管 1108:バルブ 1109:ベローズ配管 1110:バルブ 1111:
ベローズ配管 1112:真空計 E1:水素終端処理部 E2:試料搬送部 E3:
貼り合わせ処理部 E4:真空排気系

(実施の形態1) 以下本発明を実施するための形態について図面を参照しなが
ら説明する。 
<コンセプト>
前述のように、これまでの水素終端ダイヤモンド半導体では、水素終端された半
導体表面近傍の電気伝導にはダイヤモンド半導体の表面に付着した、あるいはダ
イヤモンド半導体に接した絶縁膜中の負電荷が必要と考えられてきた。 それに
対し、発明者は、この負電荷は必ずしも必要ではなく、むしろ負電荷はクーロン
散乱によって電荷キャリアの移動度を低下させるとともに、ノーマリオン動作
(すなわち、正の閾値電圧VTH)を引き起こす要因になると考えた。そこで、水
素終端ダイヤモンド表面形成後大気に暴露することなく、水素終端されたダイヤ
モンド半導体に接した絶縁膜を形成することで、負電荷密度を低減し、高いキャ
リア移動度(ホール移動度)と負の閾値電圧VTHを両立して得られることを見出
した。 なお、本発明では、閾値電圧VTHは、MIS型半導体装置において、ソー
スに対してゲートに印加したゲート電圧VGに対するソースとドレイン間に流れ
るドレイン電流IDの絶対値の平方根(|ID|1/2)の特性曲線を直線近似し、
ID=0に外挿したときのゲート電圧VGの値のことをいう。
ここで、ゲート絶縁膜は、材料を限定されるものではなく、例えば、窒化ホウ素
、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化
チタン、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタンア
ルミニウム、フッ化カルシウムからなる単層膜またはこれらの膜からなる複合膜
を挙げることができる。 この中で、ゲート絶縁膜は、窒化ホウ素が好ましく、単
結晶の窒化ホウ素がより好ましく、六方晶窒化ホウ素(h-BN)がより一層好
ましい。また、絶縁膜を複合膜とするときは、水素終端ダイヤモンド層に接する
面の膜を窒化ホウ素からなる膜とすることが好ましく、単結晶の窒化ホウ素から
なる膜とすることがより好ましく、六方晶窒化ホウ素(h-BN)からなる膜と
することがより一層好ましい。 ゲート絶縁膜として、窒化ホウ素、好ましくは
単結晶の窒化ホウ素、より一層好ましくは六方晶窒化ホウ素(h-BN)を用い
た場合は、よりホール移動度を高めることができ、また、閾値電圧VTHはより大
きな負電圧となって制御性も向上するという効果が得られる。

実験およびシミュレーションを駆使して詳細に検討した結果、本発明の方法では、
水素終端された半導体表面近傍の電気伝導にはダイヤモンド半導体の表面に付着し
た、およびダイヤモンド半導体に接した絶縁膜中の負電荷は少なく、ゲートに印
加した電圧で水素終端近傍のダイヤモンド半導体層の伝導が制御でき、しかも負
電荷による散乱が抑えられる。また、例えば、ゲート絶縁膜としてh-BNを用
いた場合、移動度は5×102cm2V-1s-1以上という高いものであった。

閾値電圧VTHが負電位であるp型のMIS半導体装置において、ゲート電圧VGが
0のときドレイン電流IDは必ずしも0になるとは限らない。ゲート電圧VGに対
するドレイン電流ID特性がVG=0近傍で裾を引くように変化している場合、す
なわち上記|ID|1/2の特性曲線が近似直線からID=0近傍で解離する場合は、
VG=0でドレイン電流IDが流れることがある。

しかしながら本発明の構成では、例えばゲート絶縁膜として六方晶窒化ホウ素(
h-BN)を用いた場合、|ID|1/2の近似直線は|ID|1/2の実測とよく一致
し、VG=0でドレイン電流IDは4×10-4mA・mm-1より少なくなった。す
なわち、本発明のMIS型半導体装置は、ノーマリーオフ、すなわちゲート電極
に電圧が印加されていない状態では電流が流れない省エネルギーに好適な特性を
有する。ゲート電極に電圧を印加しない待機状態では、ドレイン電流IDが流れな
いため、セーフティ上も優れる。また、上述のようにホール移動度が高いため、
オン抵抗を下げることができ、これによって導通損失を抑えることができるため、
動作時も省エネルギーになる。

また、発明者は、水素終端ダイヤモンド半導体層表面に接してゲート絶縁膜を形
成し、閾値電圧VTHを負電圧とする1つの方法として、水素終端半導体層形成工
程直後から絶縁体層形成工程直前までの間の雰囲気が真空、水素ガス、不活性ガ
スおよび不活性ガスが添加された水素ガスからなる群より選ばれる何れかの1つ
とすればよいことを発見した。なお、水素終端半導体層形成工程と絶縁体層形成
工程の両工程間の工程としては、例えば、試料の搬送工程や試料の一時保管工程
を挙げることができる。ここで、絶縁膜としては、上記のように、窒化ホウ素が
好ましく、単結晶の窒化ホウ素がより好ましく、六方晶窒化ホウ素(h-BN)
がより一層好ましい。


図1.MIS型半導体装置の構造を示す断面図

<構造と特徴>
本発明のMIS型半導体装置101は、図1に示すように、ダイヤモンド基板
21、ダイヤモンド半導体層22、ゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)23および
導電体層(ゲート電極)24を基本構成要素とし、他に、ソース電極およびその
配線28、ドレイン電極およびその配線29、ゲート電極配線27、絶縁膜25、
低抵抗化層26を有する構造をもつ。ここで、ダイヤモンド半導体層22の少な
くとも第1主表面は、後述のように水素終端処理されている。 ここで、基板が
ダイヤモンド以外であっても基板上にダイヤモンドからなる薄膜を形成し、それ
をダイヤモンド半導体層22としてもよい。また、ダイヤモンド基板21を半導
体層として利用し、ダイヤモンド基板21の表層部をダイヤモンド半導体層22
としてもよい。肝要なことは、ダイヤモンドからなる半導体層がゲート絶縁膜
23と接していることである。ここで、ダイヤモンドからなる半導体層(ダイヤ
モンド半導体層)22には、ドーパントが含まれていてもよい。

本発明は材料的に優れた電気的特性を有するダイヤモンドからなる半導体層を有
するMIS型半導体装置に関するものであるが、本発明のMIS型半導体装置の
構造で、よりその効果を高めるための特徴的なことの1つは、ゲート絶縁体層2
3が窒化ホウ素からなること、より好ましくは窒化ホウ素の単結晶からなること、
さらにより一層好ましくは六方晶窒化ホウ素(h-BN)からなることである。
窒化ホウ素の構造体としては、アモルファス構造のアモルファス窒化ホウ素(a
-BN)、c軸方向の積層構造の乱れた乱層窒化ホウ素(t-BN)、立方晶系
閃亜鉛鉱型の立方晶窒化ホウ素(c-BN)、六方晶系グラファイト構造の六方
晶窒化ホウ素(h-BN)および六方晶系ウルツ鉱型構造のウルツ鉱窒化ホウ素
(w-BN)が知られている。 これらの窒化ホウ素(BN)の中で、ゲート絶
縁体層23としては、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップを減らす観点から、
六方晶窒化ホウ素(h-BN)が一番好ましく、それが単結晶となっていること
がより好ましい。

これまでに報告されたダイヤモンド半導体を用いたMIS型半導体装置(ダイヤ
モンド電界効果トランジスタ)では、ゲート絶縁体層(ゲート絶縁膜)は、多く
は非晶質の膜で、主に蒸着法や原子層堆積法(ALD法)によって形成されてい
た。これらの方法によって形成されたゲート絶縁体層は、原子欠損等に起因する
電荷トラップ密度が比較的高く、ダイヤモンド半導体層との界面にも比較的高い
界面準位が形成される。このようなトラップ(準位)に捕獲された電荷は、キャ
リアの移動度を低下する要因となる。

ダイヤモンドは各炭素原子が周りの4つの原子と共有結合で結び付いた結晶から
なる。ダイヤモンドの表面では、結合手が余る。この未結合手は不安定で、表面
準位として振る舞う。 未結合手は水素と結合させ安定化することができる。こ
の状態を水素終端と呼ぶ。 例えば、化学気相合成したダイヤモンドの表面は、
合成中に水素プラズマに晒されるため水素終端となる。このような水素終端ダイ
ヤモンド表面を使えば、ダイヤモンド側の表面準位密度を低減できる。 一方、
h-BNの表面は構造上、未結合手をもたない。そのため、h-BNと水素終端
ダイヤモンドの接合界面の界面準位密度は低い。さらに、単結晶h-BNからな
る絶縁体層(絶縁膜)中のトラップ密度は小さい。これらのことから、絶縁体層
中のトラップや界面準位に捕獲された電荷によるキャリア散乱を低減できる。ま
た、h-BNの絶縁破壊電界(c軸平行)は約12MV/cmと大きいため、高
密度キャリアの誘起によって低オン抵抗も得られる。さらに、h-BNと水素終
端ダイヤモンド(111)表面との格子不整合は約0.7%であり、格子欠陥や
歪みの少ない界面形成に向いている。これも、MIS型半導体装置の特性向上に
利する。ここで、参考までに、h-BNと水素終端ダイヤモンド結晶(111)
の結晶構造鳥瞰模式図を図2に示す。


図2.h-BNと水素終端ダイヤモンド結晶(111)の結晶構造鳥瞰模式図

図2中の11は炭素、12は水素、13はホウ素そして14は窒素の各原子であ
る。 ゲート絶縁体層23は、ホウ素と窒素からなる1原子ペア層以上300nm
以下の厚さが好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましい。 1原子ペ
ア層以上の稠密な膜になるとリーク電流が抑えられ、ゲート絶縁体層として機能
しやすくなる。トンネル電流を含めたリーク電流を抑制するためには1nm以上
の厚さが好ましい。 また、ゲート絶縁体層23の厚さが300nm以下の場合、
MIS型半導体装置として十分な静電容量を得やすくなる。 ダイヤモンド半導
体層22は、結晶面が(100)または(111)の単結晶であることが好ましい。
ダイヤモンド半導体層22とゲート絶縁体層23との界面に存在する荷電不純物
の密度(界面の濃度)は、0cm-2以上5×1011cm-2以下、より好ましくは0
cm-2以上1×1011cm-2以下とすることが好ましい。荷電不純物の密度がこ
の範囲にあると、ダイヤモンド半導体層22の水素終端された表面近傍に形成さ
れるチャネル層を移動するホールの荷電不純物による散乱が抑制されて、高い移
動度を有するMIS型半導体装置101を供給することが可能となる。 ここで、
MIS型半導体装置101は、ゲート電極24に印加する負電位によって前記チ
ャネル層にホールを誘起する。
一方、ゲート電極24に電圧が印加されない場合は、シャットオフの状態になり
、MIS型半導体装置101はノーマリーオフ動作となる。荷電不純物の密度が
上記範囲に収まっている場合は、その荷電不純物によって誘起されるホールは極
少量のため、ゲート電極24に電圧が印加されないときのソースドレイン間のリ
ーク電流は大変小さい。 発明者は、水素終端後からゲート絶縁体層23によっ
て水素終端面が覆われるまでの間、試料を真空やArガスなどの不活性ガス環境
に置いておくという比較的簡単な処理により、荷電不純物の密度を0cm-2以上
5×1011cm-2以下の範囲に収めることが可能であることを見出した。洗浄、
クリーニング熱処理および表面処理を必要としないで荷電不純物の密度を上記範
囲に収めることが可能である。 ダイヤモンドおよびh-BNはどちらもワイドバ
ンドギャップ(5.47eVおよび5.97eV)をもつことから、高温動作に
向いている。h-BNが室温で4W/cm・Kという銅に匹敵する高い熱伝導率
をもつことも、ダイヤモンドの高い熱伝導率(室温で22W/cm・K)と合わ
せて、チャネル部分からの優れた放熱に寄与する。さらに、h-BNは1000
℃の高温において酸化を防ぐコーティング材として働くことが知られている。そ
のため、ダイヤモンド表面の水素終端を高温で保護する機能も果たす。一方、ダ
イヤモンドおよびh-BNの低い比誘電率(5.7および5.1(c軸平行))
は、高速・高周波動作に望ましい特性である。
【0030】なお、ゲート絶縁体層23は、終端処理されたダイヤモンド半導体層
22の表面に直接接して、水、炭化水素やレジスト残渣などの層を挟まないこと
が好ましい。このような層を挟むと、界面準位が発生しやすいためである。 ゲ
ート絶縁体層23としてAl2O3などの非晶質膜を用いた従来構造では、ゲート
絶縁体層23中およびゲート絶縁体層23とダイヤモンド半導体層22との界面
にトラップ(電荷トラップ)が多く含まれる傾向がある。このため、キャリア伝
導は散乱を受け、キャリア移動度は低いものとなる。 一方、ゲート絶縁体層(
ゲート絶縁膜)として窒化ホウ素、好ましくは単結晶の窒化ホウ素、より好まし
くはh-BN、さらに一層好ましくは単結晶のh-BNを用いた本発明の構造で
は、ゲート絶縁体層23中の電荷トラップは少ない傾向がある。このため、キャ
リア伝導は散乱が少なく、高いキャリア移動度が得られる。ダイヤモンド基板21
は、その上に形成するダイヤモンド半導体層22が欠陥の少ない高品質な結晶に
なるように、結晶欠陥が少なく、清浄度が高く、平坦、平滑な表面をもつことが
好ましい。また、表面ラフネス散乱の影響を低減するため、半導体層の表面も平
坦、平滑であることが好ましい。 ゲート電極24は、閾値電圧VTHが負電圧に
なるような仕事関数をもつ導電材料からなる。具体的には、金属、グラファイト
(C)またはドーパントが添加されたポリシリコンなどの導電膜を挙げることが
できる。金属としては、銅(Cu)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ア
ルミニウム(Al)、クロム(Cr)およびタンタル(Ta)などを挙げること
ができる。また、AlCu、CuNiFeおよびNiCrなどの合金、WSi、
TiSiなどのシリサイドおよびポリサイド、WN、TiN、CrNおよ びTa
Nなどの金属化合物も用いることができる。ゲート電極24は、このような材料
の中から導電率、仕事関数、加工性などを適宜勘案して適当な材料を選択すれば
よい。 なお、閾値電圧VTHは、ゲート電極24の材料、ゲート絶縁体層23の
材料とその膜厚、半導体チャネル層の材料、不純物およびその密度などに左右さ
れる。 また、集積回路として本発明のMIS半導体装置を用いる場合は、イン
テグレーションとしての各種熱処理が加わることから、それらの熱処理も勘案し
た材料の拡散を考慮の上、材料を選択する。

--------------------------------------------------------------------------------

【効果/展望】 本発明によれば、セーフティ、省エネルギー、かつ移動度が高く
て高速動作に適するダイヤモンド半導体によるMIS型半導体装置の製造方法を
提供することが可能になり、
耐圧や耐熱性などの材料特性に優れるダイヤモンド
半導体を用いて、キャリア移動度(ホール移動度)が高く、かつ待機時の消費電
力が少なくて省エネルギーに資するMIS型半導体装置を製造する方法を提供す
ることで、高温環境で利用可能なロジック回路、高温環境で利用可能なインバー
ターなどのパワーデバイスを例とした大電力、高周波、高温対応の半導体装置の
道を切り開き、産業上大いに利用される。
-----------------------------------------------------------------------
                                                           この項つづく
 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

再エネ革命渦論 197 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 
エアロゾル支援溶媒処理: 
※ダイヤモンド半導体などの材料が生産拡大と共に増加されればされるほど。都
市鉱山としてのダイヤモンドも増加する考えている。


出所:環境ビジネス 2024 WN 
卒FIT産業用太陽光発電所の電力が市場に
※ 7.3GW(2012~2013年に運転を開始した太陽光発電所)
2012年に買取が始まった産業用太陽光発電。売電期間は20年間のため、2032年に
買取期間が満了するメガソーラーが出てくる。 2013年までに導入され運転を開始
した産業用太陽光発電設備(2012年6月末までの累積導大量含む)は約7.3GW。つま
り、2032年から2033年にかけて、原発7.3基分の電力が一気に市場に流入すること
になる。そのインパクトは2019年の比ではなく、電力・再エネビジネスを大きく
変えるものになるに違いない。膨大な電力を活用するため、VPP(バーチャルパワ
ープラント)の構築が不可欠と考えられており、現在VPPを活用した実証事業がい
ろいろなところで進められている。産業用太陽光発電の卒HT電力をどう利用す
るかなどの制度設計はこれから本格的に整備されくると思われるが、VPPはスマー
トシティや多くの産業にかかわってくることなので、今後の動向を注視していき
たい。  

電気(燃料電池)自動車ンの先端技術が再エネ電化時代の産業を支える 
都内1000か所に超皿嗅器を獅麿
全国でインフラ整備急ピッチで進む
------------------------------------------------------------------
日本の基幹産業である自動車産業を支えるサプライチェーン。その技術開発力、
供給体制は世界が認める。社会が電化していく中で、自動車もモビリティとして
の機能、役割を担う時代に突入。
------------------------------------------------------------------------
電化社会の源である再エネ発電産業を、自動車産業のサプライチェーンが担って
いく構図が垣間見えるという。
EV充電事業「テラチャージ」を展開するテラモーターズは昨年9月26日、従量課金
に対応した150kWの超急速充電器を1000か所限定で東京都内に無料設置すると発
表。テラチャージの発表によると、東京都に無料設置を推進する超急速充電器は
6分間の充電で100km程度の走行が可能。東京都を対象に1000か所の無料設置をする
のは、EV充電業界での初の試みとなる。テラモーターズでは今後、都内の自治体、
郵便局、商業施設、スーパー、コンビニ、ホテル、自動車ディーラー、ファミレ
ス、書店、オフィスビル、ガソリンスタンド、寺院などへ新プランを提案、その
後は全国政令指定都市へ対象を広げていくという。
既存の充電設備にテラの新設分を加えると給油所数の1.5倍になる。東京ガスは
新築分譲マンションを手がけるデベロッパーに対して、平置き駐車場へのEV充
電サービスを加速させている。東京都のマンションヘのEV充電設備実績は、令
和4年度実績で899基。 2030年までに6万基の設置を目指すとしている。
流通・小売業界N0.1の急速充電設置店舗数となる全国約600店舗を展開するファ
ミリーマートは、Teslaのスーパーチャージャーを、全国の店舗で順次設置して
いる。勧化率100%」という目標を掲げる政府は、これまでEV化への壁となって
いた急速充電器の普及に乗り出す方針を固めている。



現在、公共用の充電設備は、全国で約3万基(普通充電器20974基、急速充電器
8995基/経済産業省「充電インフラ整備促進に関する検討会」事務局資料(2023
年6月23目)より)整備されており、充電施設は全国に2万ヵ所強あり、ガソリン
給他所数に近づいている。国は、「充電インフラ整備促進に関する検討会」で、
2030年までに15万基の充電器を目指すとしている。

EVワイヤレス急速充電も出現
ダイヘンは、15kW出力のEV用ワイヤレス急速充電システムを国内で初めて開発
した。“停めるだげで充電が可能なワイヤレス充電の利便性はそのままに、従来
製品(普通充電器クラス)と比較し約5倍の充電速度を実現した。“停めるだけ充
電”により充電の手間を軽減できることは勿論、大型化する商用EVのバッテリー
に対しても短時間での充電が可能となる。さらに、トラックの荷積み・荷下ろし
の時間やバスの乗客が乗り降りする時間も充電に活用でき、利便性が格段に向上
する。
電気運搬船の開発や蓄電池事業を進めるパワーエックス社は、併設する蓄電池か
ら電気を供給するEV急速充電網の整備に着手し、2030年までに全国7000か所への
チャージステーション設置を掲げている。

自宅充電が今後のカギ
EVの普及率が高い北欧のEV所有者は、主に自宅で充電を行っている。ソーラーパ
ネルを設置しており、太陽光発電を自家消費するスマート充電が増大している。
我が国の現状も、「自宅や居住地での充電設備がない」ことがEV購入の障壁とし
て挙げられている。新築住宅に太陽光発電設置の義務化が始まったことで、国内
のEV需要も一気に加速するかもしれない。

出典:経済産業省「充電インフラ整備促進に関する検討会」(2023年10月18日)
充電インフラ整備促進に向けた指針より編集部作成
e-mobility powerの充電スポット一覧を基に作成。(2023年3月現在の急速充電器
約7,890基、普通充電器12,478基の設置場所の割合)


出所:環境ビジネス2024 WI
※ 電気自動車が普及すると、コンパクト、スマート、軽量化、部品点数逓減。製造時間
 短縮でき、脱ボーンが急速に進み、街角の給油スタンド、生産ラインのシュプリングが
 進む。あとは、タイヤからの発塵とタイヤ交換と。尤も。水素燃料車用のガス注入の問
 題だけになる。地震列島国での生産環境リスクの大きささが残るが、例えば、オースト
 ラリアの太陽光発電由来水素を海運するか、宇宙衛星を介しマイクロ波電送された電
 機エネルギーで給電すれば原発リスクを常時ゼロ状態にたもてるから「再生エネルギ
  100%」が実現する。想い返えせば、21世紀に入り「バイオエネルギー」「燃料電池」
 「ハイブリッド形フィルム太陽電池」を調査(開発)を開始し20数年このような状況を迎
 えたことに驚くと共にポジティブな展望遭遇し感謝している。



 
ビリー・バンバン また君に恋してる
作詞:松井五郎、作曲・編曲:森正明
2007.11.07

今夜の寸評 :夢をあきらめない ②

  

 

 

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世界一のダイヤモンド産出国へ

2024年01月27日 | 人工光合成時代



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。



 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

再エネ革命渦論 195 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 
エアロゾル支援溶媒処理: 
ペロブスカイト太陽電池の性能と安定性
向上させる普遍的な方法
前回のつづき
【結果及び考察】
2. 結果と考察
2.5 エアロゾル処理効果の実証
これまでのところ、エアロゾル支援溶媒処理が単一の p-i-n 構造を備えた
MAPbI3 PSC の効率と再現性を向上させる効果的な技術であることを実証し
てきたが、高効率な電荷抽出層と代替構造が実証が報告されてきた。エア
ロゾル処理の普遍性の強調に、特に以下のような幅広いデバイス構成への
応用を調査し、1)最大 1300nm の活性層厚さで調製された MAPbI3デバイ
ス。2) 代替HTL を使用して準備されたデバイスおよび HTL フリー デバ
イス。3) メチルアンモニウムを含まない (ホルムアミジニウム-セシウム
) ダブルカチオン ペロブスカイト。4) n-i-p アーキテクチャでデバイス
を準備。

2.5.1 活性層の厚さの増加
高性能 PSC の一般的な活性層の厚さは 300 ~ 500 nm の範囲にある。ペ
ロブスカイト単結晶はこの長さをはるかに超える拡散長を示すが、GBとそ
の結果として生じるトラップ状態により、デバイスで使用される最適な厚
さが制限される。これにより、活性層が吸収できる光の最大量が制限され、
厚さの許容差が制限され、大規模な蒸着がより困難になるが、GB の減少と
膜特性の改善を考慮し、900および 1300 nmのより厚いペロブスカイト膜
に対するエアロゾル処理の効果を調査した。図 5aは、公称厚さ 500、900、
および 1300 nm の未処理およびエアロゾル処理された MAPbI3 フィルムの
断面 SEM 画像を示しています。未処理のフィルムでは、顕微鏡写真により、
粒子サイズがフィルムの厚さの影響をほとんど受けずに垂直に積み重なっ
た粒子が明らかになった。エアロゾル暴露後、MAPbI3 の粒子サイズと形状
に大きな変化があり、未処理膜の小さな粒子が膜厚全体に広がるモノリシ
ック粒子に置き換えられる。膜厚がかなり増加しているにもかかわらず、
エアロゾル処理後の水平粒界の証拠は見られない。 エアロゾル処理された
フィルムの粒子サイズはフィルムの厚さに依存し、より大きな粒子はより
厚いフィルムで形成されるが、図2に見られる重要な構造再構成と再結晶
化を反映し、厚さ 1300nm までの膜でも膜厚全体にわたってそれが発生す
ることを示す。


図5.厚さに依存する微細構造と光起電力特性 a) 異なる厚さの未処理ペロブス
カイト膜(左列)およびエアロゾル処理済みペロブスカイト膜(右列)の断面走
査型電子顕微鏡(SEM)画像(スケールバー = 1 µm)。 b) 500、900、および
1300 nm の MAPbI3 膜から調製されたデバイスの PCE 値の測定。 各厚さのチャ
ンピオン セルの単一デバイス データも示される。c) チャンピオンデバイスの
J-V データ、フォワードスキャン (FS) およびリバーススキャン (RS)、すべて
のデバイスパラメーターが挿入表に示されている。

図5bは、3つの活性層厚さの未処理膜とエアロゾル処理膜のp-i-n構造デバイスの
PCEを示しています。 未処理のフィルムでは、厚さが増加すると PCE が減少。
これらの厚さに依存する損失は、電荷輸送を妨げる水平粒界による短絡電流密度
(JSC) と曲線因子 (FF) (図 S11、サポート情報) の減少に起因。ただし、エアロ
ゾル処理されたデバイスではこれらの損失は最小限に抑えられる。エアロゾル処
理によりすべてのデバイス特性が大幅に改善され、現在最高のパフォーマンスを
発揮するデバイスは活性層の厚さが 900 nm のデバイスは、1300 nm のデバイス
は 500 nm のデバイスよりわずかに低い性能メトリクスしか示さず、図 5c のチ
ャンピオン 900 nm デバイスは、JSC = 22.8 mA cm−2、VOC = 1.11 V、FF = 0.81、
PCE = 20.77% で、ヒステリシスは最小限で、統合外部量子効率 (EQE) は 22.4
mA cm−2 です。 2 (測定された JSC と相関)、図 S12、サポート情報。イオン欠
陥および/または電子欠陥を媒介することにより、エアロゾル処理により厚い吸
収体層の使用が可能になり、集光性が向上する。これは、チャンピオンデバイス
のより高い PCEをもたらすだけでなく、ピンホールなどの関連欠陥を克服するた
めに通常より厚い吸収層が使用される印刷などの PSC の大規模製造にも有利
X 線回折を使用した厚い MAPbI3 膜の構造特性評価では、エアロゾル処理による
予想される変化、つまり結晶化度の増加、粒子サイズの増加、および優先 (110)
配向の発達が示されています。図 S13、 サポート情報。 (110) 回折ピークを詳
しく分析すると、エアロゾル処理後にピークがより高い 2θ 値にシフトしている
ことが明らかになり、その大きさは膜厚とともに増加します。 同様のシフトが
他の回折ピークにも見られ、格子サイズの減少を示す。
全体として、これらの結果は、膜厚のばらつきが大きいペロブスカイト膜にエア
ロゾル処理を容易に適用でき、その結果、膜品質が一貫して向上し、デバイスの
高性能化につながることを示す。

2.5.2 ホールトランスポート層 (HTL) のバリエーションと HTL フリーのデバイス
これまでのところ、製造された高性能デバイスにより、HTL として PolyTPD を使
用したエアロゾル処理の有効性を実証してきました。 ただし、PolyTPD は疎水性
であるため、加工に課題が生じます。[57] 代替 HTL として、親水性ポリ (3,4-
エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホネート) (PEDOT:PSS) を備
えた p-i-n デバイス、および HTL フリーのデバイスを検討します。 どちらの
アーキテクチャも、準備の容易さと材料コストの削減により魅力的であり、特に
大量生産に有利ですが、通常はデバイスの性能が低くなります 。 図6aは、異な
るHTLを備えたp-i-n PSCの概略的なエネルギー図を示し、図6bは、HTLが変化した
ときにPCEがどのように変化するかを示しています。 PolyTPD デバイスは、PEDOT

:PSS を使用して作成したデバイスよりも優れた性能を発揮するが、これは予想
通りです。 ただし、エアロゾル処理PCPCEの向上は PEDOT:PSS デバイスでは
はるかに大きく、平均 PCE は 13.5 ± 0.4%から 17.6 ± 0.4% に増加しました。
これに対し、PolyTPD デバイスでは 18.7 ± 0.4% から 19.7 ± 0.3% に増加し
ました。 HTL フリーのデバイスの PCE は、エアロゾル処理後に  さらに大きな
係数で増加し、9.6 ± 0.5% から 15.4± 0.4%に増加し、以前に報告された最高
のパフォーマンスを誇るドーパントフリー、HTLフリーのデバイスに 匹敵する。
J-V 曲線(図 6c)、および太陽光発電パラメータ(図 S14、サポート情報)は
、PCE の改善は、HTL フリー デバイスの場合は VOC と FF の大幅な改善によっ
て促進され、HTL フリー デバイスの場合は主に VOC の改善によって促進される
ことを示しています。 PEDOT:PSS デバイス。 ここで、膜の結晶化度の増加、イ
オン欠陥の減少、ペロブスカイトの p ドーピングの減少の組み合わせにより、
HTL/ペロブスカイトまたは ITO/ペロブスカイトの界面でより好ましいバンド曲
がりが形成され、正孔の抽出が促進され、表面再結合が減少する。


図6 代替のデバイス構成とアーキテクチャ。 パネルは左から右に示す。フラ
ットバンドエネルギー準位図、統計デバイス PCE データ、および a ~ c) 異な
る HTL を使用した p-i-n PSC、d ~ f) Cs0.1FA0.9Pb を使用した p-i-n PSC
の典型的な J-V 曲線の概略図。 (I0.95Br0.05)3 (CsFA) を活性層として、g–i)
n-i-p PSC (図 (i) の挿入図は定常状態の電力出力を示す)。 (c) では、J-V 曲
線の逆スキャンのみが示されています。 (f) と (i) では、J-V 曲線の順方向ス
キャン (FS) と逆方向スキャン (RS) の両方が示されている。 スキャン速度は
すべての場合で 50 mV s-1 。

2.5.3 メチルアンモニウムを含まないダブルカチオンペロブスカイト
エアロゾル処理の真の普遍性を実証するために、ホルムアミジニウム (FA) ベー
スのペロブスカイトの調査に移ります。これらのペロブスカイトは、その優れた
熱安定性により魅力的ですが、それらの PCE は通常、MA または A-FA ベースの
ペロブスカイトよりも低い。標準的な p-i-n アーキテクチャを使用して、公称
組成 Cs0.1FA0.9Pb(I0.95Br0.05) の FA ペロブスカイト膜を作製した (図 6d)。
FA と一緒にセシウム (Cs) を導入すると、ペロブスカイト構造が安定化するこ
とが報告されている。PCE の統計 (図 6e) は、エアロゾル処理後の平均 PCE が
18.6± 0.3% から 19.7± 0.3% に改善したことを示す。 図 S15a ~図 S15c の
サポート情報に示されている測定された太陽光発電パラメータは、そのような改
善が主に VOC と FF の増加によりって促進を示す。チャンピオンデバイスのJ-V
曲線(図6f)は、未処理デバイスのPCEが19.0%、エアロゾル処理デバイスのPCE
が20.1%を示し、両方のデバイスで最小限のJ-Vヒステリシスが見られる。 アロ
ゾル処理されたデバイスの統合外部量子効率 (EQE) は 23.0 mA cm-2 であり、測
定された JSC (図 S16、サポート情報) とよく相関。 Cs0.1FA0.9Pb(I0.95Br0.05)
膜の特性評価 (図 S17、裏付け情報) は、エアロゾル処理の実行後の結晶化度の
改善と組み合わせて、粒子サイズの増加とモノリシック粒子の形成を示す。これ
らの膜のトラップ状態の減少。これらはすべて、MAPbI3 フィルムで観察された
修飾と一致している。

2.5.4 n-i-p アーキテクチャ
結論として、ほとんどの最先端の PSC が採用している n-i-p 構成で準備された
デバイスを検討。図 6g は、デバイスのエネルギー レベル図の概略図を示す。
ナノ粒子 SnO2/PCBM 二重層が ETL として使用され、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,
4,6-トリメチルフェニル)アミン (PTAA)] が HTL として使用される。 PCE デー
タの分析 (図 6h)、およびその他のデバイス特性 (図 S15d ~ f、サポート情報
) は、エアロゾル処理によってデバイスが大幅に改善されることを示す。エアロ
ゾル処理後の平均 PCE 値が 18.2 ± 0.9% (チャンピオン 19.2%) から 20.2 ±
0.3% (チャンピオン 21.0%) に増加することに加えて、すべての特性の広がりも
減少。つまり、エアロゾル処理により、より優れた性能のデバイスが作製される。
統計的にパフォーマンスのばらつきが少なくなる。 n-i-p 構造の欠点の 1 つは、
一般に p-i-n 類似体よりもヒステリシスがより問題となることである。 図6iは
チャンピオン未処理デバイスとエアロゾル処理デバイスのJ-V曲線を示す。ここ
で、エアロゾル処理デバイスではヒステリシスが減少していることが明らかであ
り、イオン欠陥の減少を示す。エアロゾル処理後でも適度な J-V ヒステリシスが
あるにもかかわらず、デバイスが MPP (0.952 V) の近くに保持されている場合、
定常状態の電力出力測定 (図 6i の挿入図) は 20.5% の安定した PCE を示す。 
                              この項了
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【掲載論文】
原題:Aerosol Assisted Solvent Treatment: A Universal Method for Performance and
        Stability Enhancements in Perovskite Solar Cells
         11 July 2021 https://doi.org/10.1002/aenm.202101420   

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 黒の革命

 世界初のn型導電性チャネルダイヤモンド電界効果トランジスタを開発
   ダイヤモンドCMOS 集積回路への
1月25日、NIMS は、世界で初めてダイヤモンドのn型チャネル動作による金属酸化膜
半導体電界効果トランジスタ(MOSFET )を開発。本成果は一般電子機器用IC に代表
されるモノリシック集積化(1つの半導体基板内に複数のデバイスを集積)に向けて耐環
境型の相補型金属酸化膜半導体(CMOS )集積回路の実現、および将来的に強く期待

されるダイヤモンドのパワーエレクトロニクス応用に対して重要な一歩となる。
【概要】
1.NIMS は、世界で初めてダイヤモンドのn型チャネル動作による金属酸化膜半導体電
界効果トランジスタ(MOSFET )を開発しました。本成果は一般電子機器用IC に代表さ
れるモノリシック集積化(1つの半導体基板内に複数のデバイスを集積)に向けて耐環境
型の相補型金属酸化膜半導体(CMOS )集積回路の実現、および将来的に強く期待さ
れるダイヤモンドのパワーエレクトロニクス応用に対して重要な一歩となる。
2.ダイヤモンド半導体では、高い絶縁耐圧や高速スイッチングなどの優れた特性を、高
温、高放射線被曝環境(原子力発電の炉心近傍等)などの極限環境で実現することが
原理的に可能です。その利点を生かして環境安定性に優れた制御系の集積回路に利
用するために、高機能化CMOS の実現が期待されています。CMOS 構造にはp型とn
型の双方の導電性チャネル形成が必須ですが、ダイヤモンドではn型チャネルを持つ
MOSFET が実現できていなかった。
3.今回、NIMS の研究チームは世界に先駆けて開発した高品質単結晶n型ダイヤモン
ド半導体成長技術をベースに、n型チャネルダイヤモンドMOSFET を開発しました。低
濃度のリンをドープした原子的に平坦なテラスを有する高品質n型ダイヤモンドの結晶
成長に成功しました(左図)。これをチャネル層に用いたMOSFET 構造(中図)において
、高濃度でリンをドープしたダイヤモンドをソースおよびドレインのコンタクト層として使
用することで接触抵抗を大幅に低減し、n型チャネルのトランジスタ特性を確認した。
トランジスタ性能の重要な指標である電界効果移動度は、300 ℃において約150 cm 2/
V・sec の高い値を示し、優れた高温動作特性(右図)が確認できた。


4.本成果は、省エネパワーエレクトロニクス、スピントロニクス、耐環境型の微小電気機械シ
ステム(MEMS )センサーの実現に向けたCMOS 集積回路に応用されることが期待で
きるす。
5.本研究は、NIMS 電子・光学材料研究センターの廖 梅勇、Huanying Sun 、小泉 聡に
よって行われた。
6.本研究成果は、Advanced Science 誌に202 4年1月20 日オンラインにて掲載された
(doi.org/10.1002/advs.202306013 202306013)。
【結果/成果】
n 型ダイヤモンドMOSFET の形成には、高結晶品質ダイヤモンドn―型チャネルエピタ
キシャル(以下エピと省略:用語解説4)層と高導電性n+コンタクトエピ層の成長が不可
欠。本研究チームは、高温高圧合成(HPHT)単結晶ダイヤモンド基板{111}結晶面に、
NIMS 独自開発のマイクロ波プラズマ化学気相成長(MPCVD:用語解説5)によって精
密にドーピング濃度を制御した高品質n 型ダイヤモンドエピ層を形成しました。デバイス
チャネル用に低濃度のリンをドープしたn-ダイヤモンドエピ層は、HPHT ダイヤモンド基
板表面に直接成長しました。その後、オーミックコンタクトの形成用に高濃度でリンをド
ープしたn+層をn-層表面に堆積しました。n-型ダイヤモンドのホモエピタキシャル成
長は、ステップフロー成長モードに従い原子的に平坦(平均粗さ約0.1 nm)なテラスを形
成することが原子間力顕微鏡(AFM)観察で確認されました(図1)。成長面内でのリン
濃度の均一な分布、またドナーを不活性化する水素含有量が測定限界以下に低いこと
も二次イオン質量分析(SIMS)で確認されている。ダイヤモンドエピ層の電子移動度(用
語解説6)はホール効果(用語解説7)によって測定され、300 ℃の高温において212 cm
2/V・sec の高い値が得られている。

図1 高品質の低リンドープn―型ダイヤモンドエピ層。(A)成長に用いた微傾斜ダイヤモ
ンド{111}基板表面の原子ステップ(上)とリンをドープしたエピ層(下)の概略図。(B)ダイ
ヤモンドエピ層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)像。
作製した金属酸化膜半導体電界効果トランジスタの動作を調べると、ソースとドレイン(n
+層)のコンタクト間のチャネルに流れる電流(ドレイン電流)をゲート電極にかける電圧
で制御でき、その極性から電子(n 型)伝導性を世界で初めて確認しました(図2)。ドレ
イン電流は、室温から300 ℃までほぼ4 桁増加し、300 ℃における電界効果電子移動度
は約150 cm2/V・sec の高い値を示しました。これは他のワイドギャップ半導体n チャネ
ルMOSFET の同一温度域での移動度と比較して十分に高い値です。また、高周波動
作に関しては、300 ℃の高温でマイクロ秒レベルのスイッチング速度が得られました。
ゲート振幅を広げればチャネルの導電率が増加するため、さらに高速のスイッチングが
期待できます。マイクロ秒レベルの速度、すなわちMHz レベルの素子動作は、過酷環
境下でのセンサー信号処理回路等への利用に十分な特性であり、高温、放射線環境等
で用いる各種センサーのプリアンプ等への応用が期待できる。

図2 n 型ダイヤモンドMOSFET 構造図とその電気特性および温度依存性。(A)MOSF
ET の概略図、(B)ダイヤモンドMOSFET の光学顕微像、(C)室温、150 ℃、および300
℃でのトランジスタ特性(黒線から黄線((i)では紫と重なっている)に向かってゲート電圧
(Vg)増大)
【展望】
本研究成果は省エネパワーエレクトロニクス、スピントロニクス、モノリシック(用語解説8
)集積した微小電気機械システム(MEMS)センサー等への応用に向け、低損失、軽量
な耐環境CMOS 集積回路の実現に繋がると期待されます。ダイヤモンドの究極性能を
最大限に活用するため、特に過酷な環境(高温および高い放射線暴露状態など)で動
作できるエレクトロニクスとしてCMOS の開発が必要です。将来、放射線検出器やMEM
S センサ用の混合信号集積回路の要件を満たすように、n 型MOSFET デバイス形状の
最適化を行い、現状のメガヘルツ(MHz)動作からより高周波のギガヘルツ(GHz)動作
に向けて高周波特性の向上を試みます。さらに、p 型、n 型ドーピング制御、薄膜形成技
術を高度化してダイヤモンドCMOS 回路実現に向けた研究を開始する。
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掲載論文
題目:High-temperature and high-electron mobility metal-oxide-semiconductor field-effect
transistors based on n-type diamond
著者:Meiyong Liao, Huangying Sun, Satoshi Koizumi
雑誌:Advanced Science (Wiley; doi.org/10.1002/advs.202306013)
掲載日時: 2024 年1 月20 日(オンライン掲載)
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【関係技術情報】
1.ノーマリ・オフ ダイヤモンドMOSFET開発 2024.01.19
2.超短パルスレーザーでNV中心を直接書込み  2023.12.26
3.ダイヤモンド触媒でCO2を可視光で還元 2023.12.12
4.高放熱性窒化ガリウムトランジスタを実現 2023.12.04
5.EDP,半導体用人工ダイヤモンド大型基板を発 2023.08.24

※日本でダイヤモンドをはじめとした人工合成時代のアップバージョンのトップランナと
  して世界貢献立国を目指そう。

銀ナノ粒子がペロブスカイト太陽電池の効率を向上
1月23日。シェフィールド大学の研究者らは、電子輸送層に銀ナノ粒子を添加す
ることで
ペロブスカイト太陽電池の効率を高め、記録破りの14.3%の電力変換効
率を達成。

【要約】
全固体環境では、リチウム (Li) とアノードの材料との間の界面反応はよく理解されてい
ない。 この論文では、そのような界面における材料の収縮感受性という新しい現象を明
らかにする。この現象を利用すると、大量の厚いリチウム金属層の迅速なめっきと剥離
をホストするアクティブな三次元足場の設計が容易になる。 ここでは、よく知られたアノ
ード材料であるシリコン (Si) に焦点を当て、従来の固液界面での強力な Li-Si 合金化で
はなく、マイクロメートルサイズの Si のリチウム化反応が固相界面で大幅に抑制される
可能性があることを実証する。 界面は、反応誘起の拡散制限プロセスにより、Si 粒子の
薄い表面部位でのみ発生。 制約付きアンサンブル計算アプローチによって予測され、
Si、銀 (Ag)、およびマグネシウム (Mg) の合金で表される、一連のアノード材料の表面

リチウム化と Li めっきの間の動的相互作用は、したがって、アノード材料の電流密度を
より均一に分布させることができる。 高面積容量でのリチウム金属の急速サイクル。こ
れは固体電池の用途に関して重要である。
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Fast cycling of lithium metal in solid-state batteries by constriction-susceptible
anode materials. Nat Mater.
2024 Jan 8. doi: 10.1038/s41563-023-01722-x. Epub ahead of print. PMID: 38191629.
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 マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
 斎藤幸平
/ 竹田真登
 講談社(2023/10発売)
 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
 Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

 目次
 第一部 マルクスの環境思想とその忘却
  第一章 マルクスの物質代謝論
  第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
  第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
 第二部 人新世の生産力批判
  第四章 一元論と自然の非同一性
  第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
 第三部 脱成長コミュニズムへ
  第六章 マルクスと脱成長コミュニズム MEGAと1868年以降の大転換
  第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ

----------------------------------------------------------------------
   第一章 物質代謝論と環境危機 
      第二節 「マルクスのエコロジー」の再発見
  
人間の生産活動も「自然の普遍的な物質代謝」(『資本論草稿集』
 ④、98頁)の一部である。このことはまた、人間は無から生産するこ
 とはできず、常になんらかの素材から生産しなければならないことを
 意味する。労働は人間の介入なしに存在する「物質的な土台」のうえ
 で機能するものであり、人間の労働は「ただ素材の形態を変えること
 ができるだけである」(『資本論』第一巻、58頁)[09】。食料、衣
 服、住宅、そして経済を「脱物質化」するハイテクな財でさえ、例外
 なく千早ルギーーと自然資源を使用する。この意味で、人間と自然の
 物質代謝は、けっして中断することのできない「自然条件」なのであ
 る。
  さらに言えば、人間は自然に依存しているのだ。マルクスは、労働
 過程においては労働と自然の両方が本質的な役割を担っていることを
 強調している。「だから、労働は、それによって生産される使用価値
 の、素材的富の、ただ一つの源泉なのではない。ウィリアム・ペティ
 の言うように、労働は素材的富の父であり、土地はその母である」(
 『資本論』第一巻、同上)。だからこそ、人間が自然に働きかける際、
 労働は自然法則と自然の普遍的な物質代謝におけるさまざまな生物物
 理的過程によって制約される。メサーロシュによれば、このような視
 点から見た労働という行為は人間と自然の物質代謝という「第一階層
 First order」 における「一次的媒介 Primary mediation」を構成して
 いる。「第一階層」とは、要するに、「それなしには人類はもっとも
 理想的な社会形態においてもおそらく生存しえない」根源的な次元を
 指す(Meszaruse 1995:138)。
  より具体的に言えば、人間が外部環境に対して行う物質代謝の方法
 は、気候、場所、資源や千早ルギーの入手しやすさ、アクセスしやす
  さなど与えられた客観的な自然条件によって大きく異なるが、自然と
  の関わり自体はどこにも共通している。物質代謝の第一階層は、人類
 の生存における根源的な自然制約を構成しており、それは強制力をも
 って「歴史的絶対 historical absolute」として残りつづける。

  この自然的な土台は、歴史が「新しい欲求」を創造し、それに対応
  してその欲求を満たす条件を拡大していくなかで、人間の生産的発
  展の進行によってどれほど変容されようとも(実際のところ変容さ
  れなければならなぃのだが)、究極的にはいつも自然そのものによ
  ってしっかりと制限されているのだ。(Meszaros 2012:246

  同様のことを、イギリスの哲学者ケイト・ソーパーも次のように述
 べている。「物質的な構造や過程は人間の活動から独立しており(人
 間にょって作り出された生産物ではなぃとぃう意味言、その力と因果
 力はあらゆる人間の実践の必要条件であり、またその実践が取り得る
 形態を規定する」(Soper 1995:132)と。非人間的自然が人間から独
 立して客観的に存在するという前提は、唯物論の根本洞察なのである。
 もちろん、人間は与えられた環境に受動的に制約されるだけではない。
 なぜなら、他の動物と比較して、人間は環境との相互作用をより自由
 に反省することができるからだ。例えば、人間は、より効率的に生産
 するための道具を設計し、生産物の質を改善し、新しい原材料を発見
 し、さらには自分の欲求に応じてまったく新しい対象を発明すること
 ができる。この自由度の大きさこそが、他の動物にはない人間の労働
 の独特な特徴だと、マルクスは考える。人間が自然に意識的に働きか
 ける結果として、生産力は歴史的に発展していき、生産の客体的条件
 も大きく変容していく。だがここで重要なのは、それにもかかわらず、
 第一階層の物質的制限は残りつづけ、決して廃棄されることはないと
 いう事実だ。自然の可塑性は、労働の自然的な土台としての本源性を
 否定するものではない。もし人間がこの自然的な土台を無視するなら、
 自然法則の侵害は汚染、資源枯渇といった矛盾を必ずや引き起こす。
 一方で、マルクスは、このような労働過程の一般的な叙述が、人間は
 自然の一部であり、自然とともに生きる必要があるという凡庸な指摘
 になりかねないリスクにも注意を促している。絶え間ない人間と自然
 の物質代謝は、人間が生存するための歴史貫通的条件だが、このよう
 に「すべての生産の一般的諸条件が取り扱われる」にすぎないなら、
 「すべての生産の本質的諸契機をあげるだけ」の「平板な同義反復」
 (『資本論草稿集』①、29‐30頁)になってしまうというのである。
 実際、マルクスの独自性はむしろ、労働が常に一定の社会関係のもと
 で行われることを認識している点にこそあるのだ。
  メサーロシュはこの点を、人間と自然の物質代謝における社会的構
 造化の必然性という形でまとめている。「人類が生存しようとする限
 り、一次的媒介の決定的な機能が継続可能になるような根源的な構造
 的関係性を確立するという要請から逃れることはできない」(Meszaros
  1995: 1399) 
。この要請から、コミュニケーション、協業、規範、制度、
 法律を媒介とする社会的構造が歴史的に形成さ れるようになる。人
 間と自然の物質代謝の編成はこの観点からすれば、「第一階層」の自
 然的・生態学的過程と並んで、同時に社会的・歴史的過程でもある。
 後者の具体的な形態はそれぞれの時代や場所における社会関係によっ
 て大きく変化する。それらは、メサーロシュの表現を使えば、「歴史
 的に特殊な社会的再生産システムの第二階層の媒介(second order  me-
    diations」(Meszaros 1995: 139‐40)を構成するのだ。
                                         この項つづく



 
ビリー・バンバン また君に恋してる
作詞:松井五郎、作曲・編曲:森正明
2007.11.07

今夜の寸評 :夢をあきらめない

  

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「マルクスのエコロジー」の再発見

2024年01月26日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

【今日の短歌】

    さびしさに堪へたる人の たもあれな 庵ならべむ冬の山里    西行

意  味:私のように寂しさに堪えている人が他にもいるといいなあ。そしたらそ
        の人と家を並べて住みたいものです、この山里で。
修辞法:三句切れ、体言止め

西行(さいぎょう;1118年-1190年3月23日)は、平安時代末期から鎌倉時代初期
にかけての日本の武士であり、僧侶、歌人。西行法師と呼ばれ、俗名は佐藤義清
(さとう のりきよ)。72歳とは龍作(実弟)の享年。
一昨夜からの雪の夫婦子で除雪を行うも、県道はいつもと変わらず車が行き交う。
夜をむかえ、大阪の実弟、吉野の叔父、伯母の家を想い、能登半島地震の被災地
を想う。



 

 黒の革命

2023年,CNT世界出荷量は10,000tを超える
1月24日,矢野経済研究所は,2023年のカーボンナノチューブ世界市場を調査し,
製品セグメント別の動向,参入企業動向,将来展望を明らかに。
【概要】2023年のカーボンナノチューブ(CNT)世界市場規模は,メーカー出荷
量ベースで前年比150.4%の10,986tになる見込みだという。 自動車メーカー(
OEM)各社が電動化を加速させ,2021年にはxEV(EV,HEV,PHEV)の世界生産台
数は大幅な伸長率を示しており,CNT世界市場は車載用リチウムイオン電池(LiB)
の導電助剤用途の需要が拡大しているが。2022年には主要国の補助金政策の変更
などに伴い,xEVの市場成長に鈍化の兆しがみられ,2023年も減速感が強まって
いる。CNTの需要もxEV市場の好不調の影響を受け,概ね同様の傾向で推移してい
るものの,2023年は韓国LiBメーカーによる多層CNTの採用が拡大したことから,
前年比150.4%の成長率になると見込みだという。



今回の調査で注目した2023年における多層CNTの世界市場規模は,メーカー出荷
量ベースで前年比142.8%の10,940tになる見込みだという。多層CNTの地域別需要
構成比をみると,中国がおよそ75%を占める一大需要地となっている。 また,こ
こ数年は導電助剤として多層CNTを採用した韓国LiBメーカーが欧州向けの出荷を
拡大させていることなどから,需要地として欧州のシェアが高まる傾向にある。
足元では北米での需要も増えており,相対的に需要地としての日本のシェアが低
下している。その他の地域は,韓国や東南アジアなど。

【展望】今後も,車載用LiBの正極材におけるリン酸鉄リチウム(LFP)の復調と
三元系(NCM)のハイニッケル化が追い風となり,多層CNTの需要は高い成長率が
続く見通しだとしている。 また,単層CNTでもxEVの急速充電性能向上に向けた,
シリコン負極材への導電助剤適用の広がりとともに,車載用LiB向けの需要が本
格化する見込みだという。こうしたことから,CNTの世界市場規模は2028年には
5万tを超えるものと予測 。
※最新注意:「リスク・インパク・ゼロ化」の併行研究。



Anytime Anywhere ¥1/kWh era

再エネ革命渦論 194 アフターコロナ時代 186】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング 



ホンダとGM 次世代燃料電池システム量産開始 生産コスト3分の1
1月26日。自動車メーカーのホンダとアメリカのGM=ゼネラル・モーターズは、
ことし日本とアメリカで発売する予定の燃料電池車に搭載する次世代の燃料電池
システムの量産を始めたと発表。生産コストを従来の3分の1におさえているのが
特徴で、ほかの企業にも販売していく方針。ホンダとGMは25日、アメリカ中西部
ミシガン州デトロイト近郊にある合弁会社の工場で次世代の燃料電池システムの
量産を始めたと発表した。新たな燃料電池システムは、材料の見直しなどで生産
コストを従来の3分の1まで大幅に削減したほか耐久性も2倍に高め、マイナス30
℃という寒さが厳しい地域でも稼働できるのが特徴。



ホンダは脱炭素に向けてEV=電気自動車とともに水素事業に力を入れている。ホ
ンダはこのシステムを搭載したSUV=多目的スポーツ車タイプの燃料電池車を、
ことし日本とアメリカで発売する予定。また、このシステムを車だけでなく電源
装置としてほかの企業にも販売していく方針。 ホンダとGMの合弁会社の鈴木哲
男副社長は「この燃料電池が信頼性があるものだということを理解してもらい、
販売を拡大していきたい。需要が増えれば価格も安くなるので多くの燃料電池を
早く世の中に普及させたい」と話す。

【関連特許技術】
1.特許第7313024号 燃料電池触媒用炭素担体および燃料電池用触媒 東洋炭
 素株式会社他
【要約】 耐久性と、触媒金属を担持させた際の触媒活性とに優れる、燃料電池
触媒用炭素担体および燃料電池用触媒を実現する。本発明の一実施形態に係る炭
素担体は、CuKα線によるX線回折スペクトルにて、(002)面の回折ピー
クが少なくとも2θ=22.5~25°、26°および26.5°に観測され、
2θ=26°のピークP1と2θ=26.5°のピークP2との強度比I(P1)
/I(P2)が1.4以上、BET比表面積が1000m2/g以上である。


図1 実施例において、ピーク強度比に対して触媒金属の結晶子サイズをプロッ
トしたグラフ

2.特開2023-150877 燃料電池スタックの製造方法及び接合セパレータの製造方
 法 本田技研工業株式会社
【要約】下図6のごとく、第1金属セパレータ30に形成された連通孔ビード部
53と外周ビード部54からなる第1ビード構造52、第2金属セパレータ32
に形成された連通孔ビード部63と外周ビード部64からなる第2ビード構造を、
第1ビード構造52と第2ビード構造が外側に突出するように厚さ方向に重ねて
接合して接合セパレータ33を形成し、その後、連通孔ビード部53、63と外
周ビード部54、64との2重ビード部の隙間の部分に変形を抑制する変形抑制
部材74を配置し、連通孔ビード部53、63及び外周ビード部54、64に上
型76と下型78とにより荷重を付与し、連通孔ビード部53、63と外周ビー
ド部54、64を塑性変形させ、高さを均一とする工程を有し、金属セパレータ
を有する、単電池を積層し優れた気密性を有する燃料電池スタックの製造方法を
提供する。


図6Aは、変形抑制部材の取付部位を示す平面図であり、図6Bは、予備押圧工
程の説明図である。
【符号の説明】10…燃料電池スタック 12…発電セル 30…第1金属セパレ
ータ 32…第2金属セパレータ 33…接合セパレータ 53…連通孔ビード部
54、64…外周ビード部 63…連通孔ビード部 64…外周ビード部 74…
変形抑制部材

3.特開2023-131819 燃料電池スタックの製造方法 本田技研工業株式会社
【要約】下図3のごとく、料電池スタック10の製造方法は、膜電極構造体30
と、膜電極構造体30を挟持する一対のセパレータプレート46、48と、シー
ル部材58とを含む発電セル14を複数積層する積層工程P5と、積層された複
数の発電セル14に圧縮荷重を付与する圧縮工程P6とを含む。圧縮工程P6は、
膜電極構造体30が塑性変形され、かつ、シール部材58が弾性限界を超えない
ように、圧縮荷重を付与する。

図3 発電セルの積層方向の断面を示す図

 【符号の説明】 10…燃料電池スタック 12…発電セル積層体 28…セパ
レータ 30…膜電極構造体 46…セパレータプレート(第1セパレータプレー
ト) 48…セパレータプレート(第2パレータプレート) 50…流体流路部(
酸化剤ガス流路部) 52a、52b…ビード部 54…流体流路部(燃料ガス流
路部) 58、58a、58b…シール部材 60…治具 62…第1プレス片
64…第2プレス片 66…制御装置



 マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
 斎藤幸平/ 竹田真登
 講談社(2023/10発売)
 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
 Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

 目次
 第一部 マルクスの環境思想とその忘却
  第一章 マルクスの物質代謝論
  第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
  第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
 第二部 人新世の生産力批判
  第四章 一元論と自然の非同一性
  第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
 第三部 脱成長コミュニズムへ
  第六章 マルクスと脱成長コミュニズム 
MEGAと1868年以降の大転換
  第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ

----------------------------------------------------------------------
   第一章 物質代謝論と環境危機 
 
  第二節 「マルクスのエコロジー」の再発見
  マルクスの物質代謝論を環境問題との関連で把握するために大きく貢献し
 たのは、ハンガリーのマルクス主義者メサーロシュ・イストヴアンである。
 物質代謝概念に注目していたメサーロシュが1970年代初頭にすでに資本主義
  のもとでの環境問題を論じていたことは、偶然の一致ではない。さらに、
 『資本を超えて』(Mezaros 1995)においてマルクスのエコロジカルな資本
  主義批判を前面に押し出した事実は、メサーロシュが長年にわたりマルクス
  の物質代謝論に取り組んできたことの理論的集大成とみなすべきなのである。
   1971年、メサーロシュは第1回ドイッチャー記念賞の受賞講演の冒頭で、
  「私たちの生物学的存在を脅かす」核戦争のリスクを警告したアイザック・
  ドイッチャーに言及している(Deutscher)。そのうえで、メサーロシュは
  ドイッチャーの警告を「全人類」に対するもうひとつの存亡の危機、すなわ
  ち資本主義の環境破壊にまで拡大したのである。当時、メサーロシュはまだ
  物質代謝概念を用いておらず、暫定的なものであったが、それでも1972年に
  ローマクラブが『成長の限界』を発表する前に、マルクス主義者が環境問題
  を深刻視している事実は注目に値する。
  講演のなかで、メサーロシュは環境問題を資本主義の「根本矛盾」として
 次のように定式化している。

    制御をめぐる資本主義システムの根本矛盾は、いかに破滅的な帰結を
    もたらすものであっても、そのシステムが「前進」を破壊から、また
    「進歩」をゴミから分離できないことである。生産性の力を解放する
    ほど破壊の力を解き放だなければならず、生産量を拡大するほどあら
    ゆるものを窒息させるようなゴミの山の下に埋没させなければならな
    いのだ。(Mearos[1972] 2014: 49‐50)
    
  メサーロシュによれば、無際限の資本蓄積の過程で膨大な廃棄物を産む破
 壊的な生産システムは、人間の解放をもたらすことはない。それどころか、
 長期的には社会の繁栄のための物質的条件を切り崩すことにならざるをえな
 いと警告したのだ。当時の多くのマルクス主義者たちが資本主義のもとでの
 生産力の発展を人類史の推進力として受け入れていたことを考えると、メサ
 ーロシュの発言はかなり踏み込んだものである。
  地球が有限である以上、資本蓄積に絶対的な生物物理学上の限界があるこ
 とは明らかなはずだ。けれども、資本は自らに制限を課すことはできない。
 むしろ、資本は絶えずこの制限を乗り越えようとして、社会と自然に対する
 破壊性を増していく。それゆえ、人間の生存と自然環境の保全のためには、
 資本主義的発展の破壊的な性格に終止符を打つことを目的とした「社会的制
 御の必要性」が生じるのである。しかし、そのような社会的生産の計画化は
 資本主義的生産の無政府性と相容れない。だからこそ、自由にアソシエート
 した生産者による質的に異なる生産の組織化----つまり、社会主義システム
 が必要だとメサーロシュは訴えたのだ。
  15年後、メサーロシュは『哲学・イデオロギー・社会科学』(1985年)に
  おいて、資本による自然の劣化と破壊の問題を物質代謝概念を用いて初めて
 定式化し、「すべての真剣なエコロジー論にとって」、物質代謝概念が重要
 だと強調するようになる。メサーロシュによれば、究極の問題は「資本が安
 全に乗り越えられるものと絶対的なものとのあいだに真の区別を決してつけ
 られないことである。というのも資本は、その結果がどうなるのであれ、自
 己増殖する交換価値の盲目的な命令に従って、自分の歴史的に特殊な要求を
 絶対的な要求として主張しなければならないからだ」(Meszaros 1986; 195)
 然性を「自然的必然性」として誤認してしまうために、資本が本当は決して
 乗り越えることのできない「自然的必然性」の存在を認識できないというの
 である。
  本来、「自然的必然性」をなすのは、自然の普遍的な物質代謝によって人
 間は例外なく制約を受けるという生産の根本条件であり、生物物理学的な事
 実だ。ところが、資本はその代わりに、自然の絶対的限界さえも乗り越えら
 れるかのようにふる舞うことを自らの歴史的必然性とみなす。たしかに、一
 部の自然の限界は、科学と技術の助けを借りて安全に乗り越えることができ
 るだろう。だが全ての限界を乗り越えることは明らかにできない。にもかか
 わらず無限の価値増殖のために自然を無理矢理に征服しようとするなら、「
 自然の劣化と究極的破壊」(Meszaros 1985.183)を引き起こしてしまうとい
  うのである。
  とはいえ、そのような指摘は、今日では比較的自明なことに思われるかも
 しれない。だが、メサーロシュはここで弁証法的に議論を転倒させる。資本
 は自然によって課される絶対的限界を認識できないという矛盾を抱えている。
 だからこそ、諸個人の普遍的発展の条件として「いまある障壁を意識的に認
 識する」ことこそが、革命的行為となるというのだ。「成長の限界」を突破
 するのではなく、受け入れることで資本主義に抗い、社会的制御によって、
 自由を構想する。この反プロメテウス的洞察は、環境主義と社会主義の融合
 に向けた重要な一歩となる。
  そして、この議論がより体系的に展開されるのが、大著『資本を超えて』
  (1995年)である。そして、この作品によって、メサーロシュは、「マルク
 スのエコロジーー」をめぐる言説的布置を大きく変え、フオスターやバーケ
 ットに大きな影響を与えたのだ[08」。その際、メサーロシュはマルクスの
 「社会的な物質代謝」概念に着目することで、資本主義生産様式が歴史貫通
 的な人間と自然の物質代謝を(再)組織化する歴史的に特殊な方法を分析し
 ていったのである。
  なぜこのアプローチが重要かといえば、伝統的なマルクス主義が剰余価値
 論を重視し、資本家による労働者階級の搾取の存在を暴露することに専念し
 たのに対して、メサーロシュはそのような狭い視点へのアンチテーゼとして、
 物質代謝概念の重要性を強調するからだ。つまりメサーロシュは、物質代謝
 論によって、資本主義批判の理論的射程を工場の外部にまで拡張しようとす
 る。実際、マルクスは「社会的物質代謝の過程」を商品と貨幣が流通するな
 かで「ある有用な労働様式の生産物が別の有用な労働様式の生産物と入れ換
 わる」(『資本論』第一巻、138頁)過程として特徽づけている。メサーロ
  シュの物質代謝論は、資本主義のもとでの社会的生産と再生産の歴史的ダイ
 ナミズムについての、包括的で統合的なアプローチを可能にしたのである。
  そもそも物質代謝概念の重要性は今日でもしばしば過小評価されているが、
 『資本論』を正しく理解するために、この概念は不可欠だ(佐々木2016)。
  というのも、マルクス主義のもっとも根底的なカテゴリーである「労働」を、
  マルクスは人間と自然の物質代謝に関連づけて定義しているからである。

      労働は、まず第一に人間と自然とのあいだの一過程である。この過程
       で人間は自分と自然との物質代謝を自分自身の行為によって媒介し、
       規制し、制御するのである。(『資本論』第一巻、234頁)
 
  人間と自然の物質代謝の過程はまずもって、自然的・生態学的過程であり、
  どの歴史的段階にも共通するものである。なぜならば、人間は労働を通じて
 自然に働きかけることなしには生きることができないからである。この点を
 強調しながら、マルクスは続けて次のように述べる。

    労働過程は、人間と自然とのあいだの物質代謝の普遍的な条件であり、
   人間生活の永久的な自然条件であり、したがって、この生活のどの形態
   にもかかわりなく、むしろ人間生活のあらゆる社会形態に等しく共通な
   ものである。(『資本論』第一巻、241頁)
                                                         この項つづく

 

 

 



 

ビリー・バンバン また君に恋してる
作詞:松井五郎、作曲・編曲:森正明
2007.11.07

  

吉田拓郎 永遠の嘘をついてくれ
歌詞/作曲 中島みゆき 編曲:吉田拓郎
1995.06.21


 

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