極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

時代は太陽道を渡る Ⅸ

2015年08月26日 | デジタル革命渦論

 




 

      自然界の保全について、われわれが慎重を欠い
                 ていた事を未来の世代は決して許さぬだろう。

                       レイチェル・カーソン

 

 

● 世界初 熱電素子でファンを駆動するカセットファンヒータ

岩谷産業株式会社が、電気も電池も不要 ! カセットガスで発電し、部屋全体を暖める世界初の
『カセットガスファンヒータ』を販売する。その
特長は、外部電力や乾電池を使わず、機器内の
発電でファンを回転させ、温風で部屋全体を暖める点。高性能な「
熱電発電モジュール」と「カ
セットガス」の組み合せで、世界初のカセットガス式コードレスフ
ァンヒータ。軽量・小型で、
燃料の購入や交換も手軽な暖房機器。希望小売価格は3万円(消費税
別)。

① 高性能な「熱電発電モジュール」と「カセットガス」の組み合わせにより、電池も電源コード
 もガスホースも使わないコードレスファンヒータ。
② カセットガス式なので燃料の入手や交換が手軽で、面倒な燃料補給の手間もかからない。
③ 最大出力は2.0キロワット(1,720キロカロリー/時相当)、温風の吹き出しは点火後約
 50秒で、カセットガス1本で素早くムラなく部屋を暖める。万一の停電時、非常時に有用。
④ カセットガス1本の連続燃焼時間は、標準モードで約103分、弱モードで約138分。
 暖房のめやすは、コンクリート集合住宅が7畳まで、木造戸建住宅は5畳までとなっている。
⑤ 本体は、約4.7キロで軽量、掃除の時も楽に移動でき、また別の部屋に移動し使え便利。 

 
この原理は、カセットガスの燃焼によって加熱される部分(A)と加熱されない部分(B)の間に、
熱電発電モジュール(半導体によるゼーベック効果を利用)を配置→
点火するとAとBの間に温
度差が生じて起電力が発生、ファンを起動→ファ
ンが回転するとB部分が空冷効果で冷却され、
Aとの温度差がさらに広がる→
大きな温度差が継続することで安定した発電が行われ、駆動ファ
ンから温風を送る。



このように、環境リスク本位制時代にあっては、『デジタル革命渦論』とエネルギー供給装置工
学の
相乗効果で、「自律化」と「ダウンサイジング」がシンクロナイズし「省エネ」を推し進め
る。という事例としてここにある。

【時代は太陽道を渡る Ⅸ:高速道路に4300基のソーラー街灯】

京セラとKyocera Solarは15年8月20日、ブラジル・リオデジャネイロの高速道路に約4千3
百基のソーラー街灯を納入したと発表。京セラ製の太陽電池モジュールを搭載した独立型の街灯
で、リオデジャネイロの主要な高速道路を結ぶ「Arco Metropoliano do Rio de Janeiro」に設置した。

リオデジャネイロ州政府の公共事業の一環として、ブラジルのSoter社が設置を行った。高速道路
の全長145キロメートルの約半分以上に当たる約73キロメートルにわたってにソーラー街灯
を計画していた。


街灯に搭載された太陽光発電システムの出力は合計で3.2メガワット。高速道路に設置された太
陽光発電システムではブラジル最大。年間発電量はブラジルの一般家庭約1527世帯の消費電
力量に相当する合計2.8ギガワットアワーを見込む。これにより1583エーカー(約640
面平方キロメートル)分の森林が吸収するのと同量の二酸化炭素排出量を削減できる。

このように、太陽光で電力を賄うことで、送電網を持たなかった地域の高速道路の電灯へ電気を
供給可能にとなった。ちなみに、国際エネルギー機関が発表した13年の「世界のエネルギー見
通し」によれば、ブラジルの一次エネルギー需要の45%近くが再生可能エネルギーで賄われて
いる状況で、ブラジルは再生可能エネルギーの利用は、水力発電とバイオマス発電がその大部分
を占めている。(スマートジャパン 2015.08.24)

 

The Econmic Times 2015.08.18

● インド コーチン国際空港 世界初の完全ソーラー空港完成

また、インド南部のケララ州にあるコーチン国際空港が、『世界初の完全ソーラー空港』になっ
たと発表している。一日あたりのエネルギーを45エーカー(約18万平方メートル)に4万6
千枚の太陽電池パネル(22メガワット)でまかなう。このことで25年間で、3万本の植林と
同等の30万トンの二酸化炭素排出量が削減できるが、これは、7.5億マイルの航空距離のエ
ネルギー消費量に匹敵する規模である。

尚、13年3月に到着ターミナル屋上に小さい太陽光発電アレイを導入し、コーチン国際空港は
既に再生可能エネルギーへの完全切り替えを開始している。


 

【超高齢社会論 Ⅵ: 下流老人とはなにか】 
 

 秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差
拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下
流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHO
O!
ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、藤田 孝典著『下流老人』の感想を
掲載していく。    

  目 次    

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

 第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン 

  仕事一筋できたならば、夫は妾に逃げられてはいけない

  わたしが今まで見てきた経験上からも、妻は月15万円の生活費でも暮らしていける方が多
 いが、夫の場合はほとんど絶望的と言ってもいい。

  とくに団塊の附代よりも上の層の日常生活力の乏しさには驚くべきものがある。
  じつは家庭科の授業が男女共修になったのは、中学校で1993年、高等学校では199
 4年である。つまり、それ以前の人、とくに男性
は、家庭科における家事や調理技術を学ぶ
 機会が公的になかったと言え
る。そのため、いまだに「家事は女性がするもの」という発想
 が抜け切
れない男性高齢者も多いのだ。

  だからヘルパーが自宅に生活支援にきても、まるでメイドか何かのよ
うに小間使いにして
 しまう男性もいる。それはそのまま今まで妻にやら
せてきたことでもあるのだろう。
  家事や炊事など日常の生活能力が低いというのは、単に「料理が下手」とか「洗濯物がた
 ためない」というレベルの問題ではない。自炊で
きなければ、出来へ目いの惣菜を買うか、
 外食することになり、当然栄養
は偏る。また、掃除もできないので生活環境が不衛生になり
 やすい。


  そんな状況が続けば、当然病気になりやすく、医療費がかさむ。加えて節約意識もないた
 め光熱
費もバカにならない。つまり、一人暮らしになって生活能力がない場合、夫婦で過ご
 していたときと同
 じくらい、あるいはそれ以上の食費や光熱費、医療費を支払わなければ、
 生活を維持できなくなってしまうのだ。


  このような事態に陥らないためには、まず離婚しないこと、されない
ようにすることだ。
 とくに仕事一筋できたならば、なおさらだ。

  男は金さえ稼いでくればいいという昔ながらの考え方を捨て、家庭における男性の役割を
 変えていかなければならない。高齢期になる前から、
少しずつ仕事から家庭のほうに重点を
 シフトさせ、精神的にも経済的に
も「一緒に暮らしていく」ことを妻とよく相談して決める
 ことが重要で
はないだろうか,このあたりの意識は、若者世代では徐々に浸透しており、家
 事や育児の役割分担は、夫婦生活の維持にとって欠かせないことになっている。
 
  離婚が双方の下流化の人目になるケースは増えつつある。
  他者とのつながりが希薄になった現代だからこそ、パートナーがいることの価値を、ここ
 で再度確認する必要があるように思う。


  
《パターン5 認知症でも周りに績れる家族がいない》

  現状編の最後は、認知症の問題である。
  現在は高齢期が長くなっているため、認知症にかかるリスクも相対的に高くなってきてい
 る。
認知症と聞くと、家族など"介護する側"の負担がはじめに思い浮かぶかもしれない。も
 ちろんそれも大きいが、認知症の高齢者が一人暮ら
しを余儀なくされた場合、まったく別次
 元の脅威にさらされることにな
る,詐欺などの犯罪だ。

  最も典型的なのが、いわゆる「オレオレ(振り込め)詐欺」である。
  警察庁によれば、2014年の特殊詐欺被害の総額は約559原円であり、2013年比
 で約14%増加している。5年連続で増加しており、
その被害余額は過去最悪の水準を更新
 している。特殊詐欺防止のための
対策を各地で講じ、犯行グループなどの検挙が進んでいる
 にもかかわら
ず、一向に歯止めが効かない。

  振り込め詐欺の被害が減らないどころか年々増加しているのは、詐欺の手ロが巧妙化して
 いるだけでなく、背景に認知症高齢者の増加があることを見過ごしてはならない。
  厚生労働省の発表によれば「誰かの見守りや支援が必要な認知症高齢者数]は、平成22
 年(2010)時点で、約280万人。まだ気づかれていない軽度の認知障害の方も含めれ
 ばさらに数は増える。今後も、2020年は約410万人、2025年には約470万人に
 まで膨れ上がることが予想されている。 

  高齢者の認知症でとくに問題なのは、自分では症状に気づきにくいということ。
  初期の認知症高齢者は、医師や社会福祉の専門家が見ればすぐに判別できるが、本人が自
 覚できることは稀だ,周囲に助ける人がいても、物忘れがちょっと多い程度では、症状に気
 づけないこともある,だから、一人暮らしともなればなおのこと事態は深刻である。

  実際、相談に来られた認知症の方のほとんどが、病院で検査し医師から結果を示されても、
 「認知症なんてとんでもない。わたしはしっかりしている」と言い張る。
  そこにつけこんでくるのが、先ほどの振り込め詐欺などの犯罪グループだ。巧みな理由を
 つけて、息子が困っていると信じさせ、高齢者はいとも簡単に資産の一部、あるいはすべて
 を奪われてしまう。「振り込む前に本人確認を」などとよく言われるが、その注意自体を忘
 れてしまったり、そもそもそのような発想すら持てないのが認知症なのだ。

  とくに高齢者自身が金銭管理をしている場合は注意が必要になる。振り込め詐欺以外にも
 宗教の勧誘や、高額な布団や化粧品などの訪問販売、リフォームなど、さまざまな方法で高
 齢者から搾取しようとする企業や犯行グループは山ほどある。気づいたときには、もう資産
 がほとん
どないという事例もよくあることだ。




                 認知症+一人暮らし+悪徳業者H→下流老人

  わたしが実際に見たなかで、一面ゴミだらけの部屋のなかに新品の羽毛
布団が3枚も4枚
 もうずたかく積まれていた高齢者の家があった。明
らかに認知症の独居高齢者をターゲット
 とした悪徳業者のしわざだ。

  認知症高齢者への詐欺事件が悪質なのは、理解力の低下だけでなく、高齢者の寂しさや自
 尊心を校滑に利用していることだ。たとえ営業だろ
うと、孤独な生活のなかで話しかけてく
 れる人がいたら、それだけで嬉
しいだろう。日中誰とも話さずテレビを見ている高齢者も多
 い。親族が
訪ねてくるのは年に数回という家も珍しくない,悪質な訪問販売は、そのような
 心の隙間につけこみ、必要のない、ときにはまったく同じ商品
をいくつも高齢者に買わせて
 いく。


  販売員も部屋の状況を見たり、高齢者と話せば、認知症であることは
ある程度わかるはず
 だ。それにもかかわらず、金がなくなるまで商品を
売りつけ資産を吸い尽くそうとする者が
 後をたたない,このような業者
は必ず「本人が良かれと思って買ったのだからいいだろう」
 と言うが、
本人に正常な理解力がないことは明白だし、それが見てわからないなどというこ
 とはあり得ない。

  さらに事態を複雑化しているのは、高齢者自身が「(たとえ瞞す目的だったとしても)話
 を聞いてくれる人がいただけで嬉しいから」と、被
害があっても許してしまい、被害届や権
 利救済を申し立てない事例もあ
ることだ,
  ドラマみたいな話だと思われるかもしれないが、福祉現場からすれば、これはごくありふ
 れた話であり、これが現実である。

  このように認知症が恐ろしいのは、単に記憶があやふやになるという症状だけでなく、「
 認知症+一人暮らし」だったり、「認知症+悪徳業者」のようなコンボで、予想外の事態が
 いくらでも起こり得る点にある。

   当然だが、加齢とともに脳機能は誰でも低下していく。認知症の有病率を年代別に見ると、
 74歳までは10%以下だが、85歳以上で40%超になるという調査結果まで出ている(
 厚生
労働省研究班代表者・朝田隆筑波大教授「都市部における認知症有病率と認知症の生活
 機能
障害への対応」2013)。
  つまり、長生きすれば、遅かれ早かれみんな認知症になり得る。そのため資産をちゃんと
 分割しておいたり、容易に契約を結んでしまわないようなシステムをあらかじめつくってお
 くなどの対策が必要になる。

 「誰もが認知症になる」ことを想定したうえで、高齢期の準備を講じなければならない。
  このように、自分では気をつけているつもりでも、犯罪や消費者被害に巻き込まれて下流
 化してしまうパターンもあるのだ。



 
〈コラム: カネの切れ目が延命装置のスイッチも切る!?〉

  1972年に、有吉佐和子氏が『恍惚の人』を発表したことで、認知症や介護福祉の問題

 がクローズアッブされた。当時の高齢化率は約7%程度であり、高齢化社会に突入し始めた
 時期でもあった。
  ただ、そのころの平均寿命は70~75歳程度(1970)で、寝たきりになったら、す
 ぐ に亡くなってしまうケースも多かった。

  しかし現在は、高度医療化もあり延命措置も一般化してきた。また、日本の高齢者の寝た
 きり寿命は海外に比べ長く、男性は約9
年、女性は約12年であるという報告もある。ピン
 ピンコロリとはな
かなかいけず、医療費がかさむというのが実状だろう

  なかでも、悩ましいのが「延命治療」を続けるかどうかの決断だ。
  たとえば、植物状態になった高齢者に収入や貯蓄がなく、民間の保険にも入っていなかっ
 た場合、たとえ高額療養費制度を利用したとしても、際限のない医療費負担が家族にのしか
 かっ
てくる。本人が医療費を払えない場合には、どこまで延命するのかの判断は、残された
 家族に委ねられるのだ。


  医療費が支払えないという現実的な問題が、直接的に命の問題と
して降りかかってくる。
 資産の有無によって、高齢者が生きられる
か、死ななければならないのか、選択を迫られる
 事態がますます増
えていくに違いない。

  本来、命の選択は資産に関係なく、本人や家族が丁寧な議論を重ねたうえで、決定すべき
 だと思うし、そうならなければいけないと
も思っている,しかし、「もうお金がないので治
 療をやめてください」と一河わざるを得ない時代がくるかもしれない。 

                                   この項つづく

 

 

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