森永製菓 ガトーショコラ

今日はショコラ・ガトーです。




ほろにが・・・なんと甘美な響きでしょう。飽食の時代には甘すぎないって大事ですよね。今は「甘さひかえめ」をうたってるお菓子たくさんありますけど、それって現代人の糖分摂取量が多いから、すぐに「甘い」って感じちゃうってことですよね。普段から糖分をふんだんに摂ってるから「甘さひかえめ」を求めてしまう。ぜいたくの表れですよね。
福岡に「川端ぜんざい」って名物がありましてね。川端商店街ってところに昔からあるぜんざいなんですけど、今は昔と比べてだいぶ甘さひかえめになってるそうなんですね。江戸とか、明治・大正とか、そのへんの時代までは甘いもの食べる機会なんてそうそうなかったから、「ぜんざいには砂糖ドッサリ入れろ！」っていうのが常識だったんでしょうね。

なんと言ったらいいのか・・・また思い出話をします。イベント運営のバイトの話です。
僕が勤めてた会社は、ジャニーズのコンサートを請け負っていました。ある日、福岡ドーム横の会場で、握手会が開催されました。
今はもうなくなってますけど、ホークスタウンっていういろんなお店が入ったショッピングモールみたいな場所があって、その中にあったイベント会場で握手会が行われたのです。2005年くらいの話で、当時勢いのあった若手グループだったので、たぶんKAT-TUNかNEWSだったと思います。
大勢の人が押しかけることが予想されたため、福岡ドームの外周に柵をぐるりと並べました。行列をさばくために、ドーム1周ぶんの長さを用意したのです。
イベント自体は日中の開催でしたが、準備に時間がかかるからと、集合時間は夜明け前でした。しかし、その前から準備にあたっていた別動隊の人たちがいて、計算よりも早く作業が進捗したため、僕が到着したときにはやることがなくなっていました。
まだ夜が明けぬ午前4時頃。イベントの開始まで何もすることがないけど、いちおう勤務時間は始まっていて、時給が発生しているので、「柵の横に立っておけ」と命じられました。
やることないならその辺でくつろいでいてもいいんじゃないかと思いましたけど、委託先（ジャニーズ）の目がある。こんな早い時間にあちらの社員さんが来るわきゃないんですけど、もし来たら、「カネ払ってんのに仕事してないってどういうこと？」となりかねない。だから、「ちゃんとやってます」というゼスチャーのために、ただひたすら突っ立っておく、という判断が採られたのです。
福岡ドームは海のそばにあるため、夜中はほぼずっと海風が吹いています。その日の季節は忘れましたが、風がとにかく冷たかった。
僕は風を避けようと、ドームの物陰に身を隠しました。すると見回りのチーフ（バイトのリーダー格）が来て、「柵の横にいないとダメだ」と注意されました。
薄暗い中、何もせず、手を前に組んだ直立の姿勢で、海風にひたすら吹かれ続けたのです。
2時間ほどして、仕事が発生したらしく、「こっちにこい」と呼ばれました。
僕は小走りで向かおうとしましたが、体がうまく動きません。海風に体温を奪われたせいで、節々が固まっていたのです。無理に動こうとすると痛い。
僕はロボットのようなギクシャクとした動きで呼ばれたほうに向かいました。体が冷えすぎるとこうなってしまうのです。

しばらくするとようやく日が昇り始め、体も徐々に体温を取り戻し、イベントの時間が訪れました。
その握手会は、特殊なシステムで開催されました。会場にはメンバーと同じ数のブースが設置されています。メンバーは、1人1か所ずつ、別々のブースに入ります。誰がどのブースに入っているかは非公開。握手券1枚につき、入れるブースは1か所のみ。ファンは当然推しと握手をしたいわけですが、どのブースに推しがいるかわからないので、カンで選ぶことになります。そして、会場の出口には、握手券が封入されたCDが売られている。
つまり、推しと握手したいなら、ハズれるたびにCDを買わねばならない、ということです。しかも、このイベントがさらに巧妙なのは、定期的にメンバーがブースを入れ替わる、というルールになっていたのです。
つまり、「Aのブースに誰々君が入ってたよ！」と教わっても、いざAに行ってみたらすでに席替えが行われていて、そこにはほかのメンバーがいる、ということになっているわけです。
なんとえげつないイベントでしょう。
ファンの子は、推しと握手をするために、何枚もCDを買わされるハメになったのです。女の子たちは歯噛みしつつも、おこづかいの限界までCDを購入していたようです。
思えば、これが握手券ビジネスのはしりだったのかもしれません。秋葉原発のアイドルグループはまだ誕生していないか、誕生したばかりだったはずで、48グループを束ねるプロデューサーさんは、このイベントから抱き合わせ商法を学んだのかもしれません。
おそろしやおそろしや。