徳丸無明のブログ

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R-1ぐらんぷり2018 寸評

2018-03-07 21:30:50 | 雑文
開催日がウィークデーなのがちょっと気になりました。視聴率が取れなくなっていて日曜から外されたのだろうか。来年はどうなるだろう。まさか無くならないよね?去年に引き続き優勝予想はかすりもせず。また来年挑戦するためにも続けていただきたい。


個別の感想は以下の通り。

ルシファー吉岡・・・今回はよかったです。ジワジワくるタイプのネタで、爆発力がないのが弱みだけど、セリフの言い回しにセンスを感じました。キャンタマ連呼するような露骨な下ネタではなく、遠回しなシモの方が味わいが出るのかもしれませんね。

カニササレアヤコ・・・好きな世界観。わかりやすくしようとはせず、付いてこれるなら付いてこい、と突き放す姿勢それ自体が笑いになっている。終始無表情なのもいい味。もっと観てみたい。プロになりなよ。

おいでやす小田・・・今まで観たおいでやすのネタの中で一番出来が悪かった。客の発言に直截的に怒っているだけ。セリフ回しはうまいと思ったけど、もっとひねりが欲しいところ。激高するのが二回目の電話って早くない?時間的にしょうがないのかな。

おぐ・・・安易なハゲいじりでなくてよかったです。「空手で言う三角跳び」ね。ただ、過度な自虐は痛々しくなるので程度をわきまえてほしいところ。それと、一本目の「『君の名は。』だってそう」ってセリフは入れちゃダメ。それを言わずにやるネタでしょ。それから二本目は、一本目を踏まえていないと理解できない内容になっていたので、一本だけで独立して理解できる作りにすべきじゃないかと思いました。最後に自分の名前を名乗ったのは、地下芸人の同胞にゃんこスターのマネ?

河邑ミク・・・レンタル彼女のネタ、観たことありました。設定は面白いんだけど、たとえば相手の男がどんどん不幸に陥っていくような展開がないと、最初の「あ、ほんとのカップルじゃなかったのね」という驚きだけで終わってしまう。ただ、最後の本音と見せかけてのオプションの発言は、オチとしてすごくきれいでした。

チョコレートプラネット 長田・・・こういうなんだかわからないことが次々起こるネタ、好きじゃない。最初の2,3パターンを見た段階で「何かはわからないけど、また次もなんだかわからないことが起こるんでしょ」って思っちゃう。小道具が手作りなのはネタの良し悪しとは関係ないんだから強調する必要なし。

ゆりやんレトリィバァ・・・THE Wの優勝に対して「出来レース」という批判があるみたいだけど、観客の投票でほぼ勝者が決まる仕組みになってたので、ネタの評価というか、人気投票みたいになってたんじゃないでしょうか(それを織り込み済みで投票方式を決めていたとすれば確かに出来レースですけど)。それにしてもTHE W、すごいあらびき臭がする大会でしたね。
ゆりやんのネタって当たりはずれの差が大きいけど、一本目が当たりで二本目がはずれ。まず一本目の昭和の日本映画の女優。喋りそうでなかなか喋り出さない間の取り方が絶妙。たぶん時間に余裕があったらもっと間を取っていたんじゃないでしょうか。確かに昔の役者さんはこういう抑揚のない平坦な喋り方をしていた。それと、何を喋っているのかわからなくなるところがあったけど、これは「噛んでいる」のではなく、昔の邦画の再現だと思います。昔の邦画は、録音機材の関係か、単純にフィルムの古さのせいなのか、音声がくぐもっていて聞き取りづらいので。
そして二本目。いろんな「お願いしたいこと」を言っていくネタだけど、ひとつひとつのお願いのチョイスがいまいちで、動きの激しいダンスと相まって空回りしているように見えました。

霜降り明星 せいや・・・なんか「エンタの神様」にキャラクター先行で出ていたタイプの芸人思い出しました。面白かったですけどね。確かに考えないで観たほうが笑えるネタ。でも武田鉄矢を「たけぇだてつや」って呼んでたのは何故。

濱田祐太郎・・・ピアニストの辻井伸行が、テレビで「盲目のピアニストと呼んでほしくない」と語っていた。そのインタビューを全部見たわけではないのだが、「盲目なのに頑張っている」とか「ハンディがあるにもかかわらず素晴らしい演奏」といった視点(フィルター)抜きに、純粋に演奏の良し悪しを判断してほしい、という主張だったのだと思う。
確かに、ピアニストならば盲目であることはあまりハンディにはならない。パソコン操作の習熟者は、ブラインドタッチができる。キーボードの配置を覚えれば手元を見なくてもいいように、鍵盤の位置が頭に入っていれば、問題なく演奏することができるだろう。パソコンであれば入力間違いがないか画面を目視する必要があるが(入力した文字を音声で出すこともできるけど)、ピアノであれば耳での確認になるので、その点でも視覚は不要。日常生活では盲目で困ることもあるけど、ピアノを弾いている時は関係ない。それが辻井の言いたいことであったのだろう(違ってたらゴメン)。
で、濱田だけど、辻井と同じようにハンディを抱えているのに頑張っている、という点を加味しての同情票が入ってなかったでしょうか。いや、面白いのは面白かったですけどね。
修学旅行で先生が札幌ドームに野球観戦に行こうと提案した、というエピソードありましたけど、僕は福岡ドームでバイトしていたことがありまして、その時に盲のお客さんが来たことがあったのを思い出しました。たぶんラジオの中継を聴きつつ、現場では歓声などの臨場感を味わいながらの観戦(感戦?)、というスタンスだったのではないかと思います。
タイプとしては正統派の漫談。拍手がないのをとっさに笑いに変える対応力に場数を感じました。紹介映像にはコントやってる場面もあったので、そっちも観てみたいです。

紺野ぶるま・・・すごくよくなってると感じました。「可もない不可もないレストラン」とか「フリーのシステムエンジニア2人挟んで2軍のサッカー選手くらいいける」といったディティールの作り込みが素晴らしい。これで1票も入らないなんて・・・ひどいわ先生。ただ、演技はちょっとヘタ。「ハラ決める」と言いながらお腹押さえるのは不自然。

霜降り明星 粗品・・・これまでの粗品のフリップネタは、独立した一枚一枚を順番に出していたけど、ツッコミかるたという括りを導入することで統一感が生まれていました。めくってすぐにツッコむケースと、絵柄をよく見せたうえでツッコむケースがあって、それがいい緩急になっていました。個人的には「既婚者トーマス」がツボ。

マツモトクラブ・・・変わり種好きとしては、本人がほとんど舞台に出てこない構成が面白い。いっそのこともっと登場時間を短くしたらよかったかも・・・成立しないかな。あと、父親が酔っ払ってる時には髪型や服装を乱すべきだし、注目を集めるダンスをするならもっとキレのある動き、もしくはインパクトのあるエキセントリックな動きをするべき。


優勝した濱田祐太郎、漫談という古典的スタイルが評価されたのは嬉しいし(あべこうじ以来だね)、ネタ番組でもっと観たいけど、テレビなどのメディアでは扱いが難しいんじゃないでしょうか。周りがヘンに気を使ってしまうというか。本当は障害者であっても「バーカ」って笑い飛ばせるのが一番いいんですけどね。
芸人仲間が「濱田がお笑いの歴史を変える」って言ってましたけど、「耳なし芳一」が琵琶法師であったように、元々障害者と芸能って親和的なんですよね。だから歴史的には伝統回帰っていうか、伝統の忠実な継承者というか、かつてなかった新しいタイプというわけではありません。
コンビでの出場となった霜降り明星の勢いを感じた大会でもありました。せいやは「すべらない話」でMVSも獲得してましたし、たぶんこのあと一番ブレイクするのが彼等なのでしょう。でも、おぐもちょっとぐらいは売れてほしい・・・あとぶるまも。


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