徳丸無明のブログ

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資本主義はベンジャミン・フランクリンの夢を見るか?①

2015-10-13 23:29:53 | 雑文
経済の話をする。
経済といっても、日経平均がいくらだとか、デイトレードがどうのとか、そういう小難しい数字のことではない。
資本主義のことである。
現在、日本を含む多くの国々は、経済制度に資本主義を選択している。皆さんご存知のとおり、これがなかなか厄介な代物でして。
個人的に、なんとかしないといけないな、と思っているわけです。経済ってジャンルは苦手なんだけど、まぁ、本とか読んでみたりして、いくらかでも理解を深めようと試みた。
なので、自分なりの理解の程を記してみる。
資本主義の大きな特徴を挙げると、
①差異を利用する
②適度な貧困感を燃料とする
③終わりなき発展を前提とする
と言える。

①から見ていく。
これはまあ、古くは遠隔地貿易で知られている。自分の国にはなくて、他の国ではありふれているモノを、当地で安く買い、自国で高く売る、というやつ。
ビールの売り上げが、他社と競合して横並びになったら、麦芽配分量の少ない発泡酒を作る。すると、酒税の分だけ安いので、消費者が飛びつく。最初のうちはいいけど、すぐに競合他社が同じモノを作り、売上が横並びになる。それで、さらに麦芽少なめで、税率が低い第三のビールが開発される……という繰り返し。
ところで皆さん、なぜ日本の男はスカートを履かないのか、ご存知ですか。
「んなもん、気持ち悪いからに決まってんだろ」ですって?
でも、スコットランドなんかじゃ、伝統衣装として、男でもスカート履くし、日本でも、一部のオシャレさんが履いていたりする。その姿は、決して気持ち悪いものではない。男が脚を出すのが気持ち悪い、と思われている方もいるかもしれないが、短パンだって脚は出すし、スカートとそうフォルムは違わない。
小生の理解では、日本では「男の側からのフェミニズム」がなかったから、男がスカートを履かないのだと思う。
フェミニズムは、男性中心の社会に対する、女性からの異議申し立てで、平たく言えば、「アンタたちが独占してるモノ、こっちによこしな」っていう訴えだ。この“モノ”には、権利、権限、地位だけでなく、消費財も含まれる。で、資本主義にとって、これはかなり有難いことで、なぜなら、これまで男だけが消費してきた物を、女たちも享受するようになれば、労せずして需要が二倍になるからだ。
これは美味しい。小生は、フェミニズム華やかりし頃の状況をよく知らないのだが、おそらく資本主義とフェミニズムは、一時期すごく相性が良かったのではないかと思う。
資本主義は、ひとつでも多く物を売りたいので、フェミニズムと歩調を合わせる。フェミニズムも、女性が少しでも多くの物を享受すればするほど、運動が成功したことになるので、資本主義を利用する。両者は、車の両輪のように、手を取り合って駆動していたのだと思う。
でも、男の独占物を、あらかた女も消費するようになれば、資本主義はフェミニズムに用がなくなるし、フェミニズムも、資本主義に利用価値を見いだせなくなる。かくして、あれだけ仲が良かった二人に、別れの時が来る。
フェミニズムの没落には様々な要因が言及されているが、ひとつは、資本主義がその利用価値を使い尽くした、ということが言えると思う。
で、服飾に話を戻すけど、フェミニズム運動の過程で、女は男のファッションを手に入れ、ズボンを履くようになった。でも、「男の側からのフェミニズム」(フェミニズムは、女性が虐げられてきた歴史を前提としているので、男の側からのフェミニズムというのは、言葉からして矛盾しているのだが)はなかった。「君たちが独占してるモノ、僕たちにもよこしなさい」という運動は起こらなかった。
だから、男はスカートを履かないのだと思う。

(②に続く)


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