——DEMANDING THE IMPOSSIBLE by Slavoj Žižek (2013)
“…エコロジーはきわめて自己中心的、人間中心的な装置です。自然は狂気じみたものです。自然はカオスであり、手に負えない、予測不可能な、意味づけられない災害をもたらします。”
「ヨーロッパ的な視点からみて問題と思うのは、世界には何らかの自然のバランスないし調和が存在するという東洋的な見識です。私はこの世界に調和があるとは思いません。反対に、あらゆる調和は“単なる部分的で不完全な調和”であると思います。」
「危機を前にすると、人々はきまって、おのずから、ある種の失われたバランスを追い求めます。それは孔子から始まりました。孔子は馬鹿の元祖だと思います。孔子は哲学者というよりイデオロギー的空論家の原型です。彼の関心は形而上学的な真理ではなく、むしろ、個々人が幸せで倫理的な生活を送れるような調和のとれた社会空間にありました。」
「もとの調和が失われたとき危機が起こる、だから理想は調和を取り戻すことである、これが孔子の考え方です。この考え方はやめるべきだと思います。我々が回帰すべき、あるいは回帰できる調和など存在しません。調和を得るためには、我々は自らが望むものが何であるかを“決定”しなければならない、そして、それをめざして戦わなければならないのです。」
「混沌としている、だから我々は安定性に回帰するべきだ、というのが伝統的な儒教の規範ですが、今日の人類が置かれた状況に対してこの規範を適用できるとは思いません。我々は、我々の望む安定性がどのような安定性なのかを決定しなければならない。いかなる自然のバランスや社会の調和もあてにはできません。この点では、私は悲観論者です。」
「この新しい権威主義は、旧来の、規律のきびしい体制における権威主義のようにはならないでしょう。そうではなく、これは奇妙な社会に行き着きます。それは、人が消費活動と私的生活においてあらゆる性的自由を享受し、何でも好きなものを手に入れる社会であると同時に、ある種の“脱政治化された”秩序をもった社会でもあります。これは恐ろしい考えです。」
“欧米は将来いよいよ民主主義を廃止せざるをえなくなるだろうと、私は思います。……”
“資本主義と民主主義の結婚は終わりました。”
《ユートピア的な夢想と言えるのは、新たな社会が可能である、ということではありません。むしろ、現状は維持される、世の中は今と変わらずいつまでも続いていける、ということのほうが夢想なのです。》
《…すなわち、左翼は何かを隠すことによってではなく、まさに“何も隠さない”ことによって、敵に反抗し、敵を混乱させる、という秘密です。》
*途中p.81~
“…エコロジーはきわめて自己中心的、人間中心的な装置です。自然は狂気じみたものです。自然はカオスであり、手に負えない、予測不可能な、意味づけられない災害をもたらします。”
「ヨーロッパ的な視点からみて問題と思うのは、世界には何らかの自然のバランスないし調和が存在するという東洋的な見識です。私はこの世界に調和があるとは思いません。反対に、あらゆる調和は“単なる部分的で不完全な調和”であると思います。」
「危機を前にすると、人々はきまって、おのずから、ある種の失われたバランスを追い求めます。それは孔子から始まりました。孔子は馬鹿の元祖だと思います。孔子は哲学者というよりイデオロギー的空論家の原型です。彼の関心は形而上学的な真理ではなく、むしろ、個々人が幸せで倫理的な生活を送れるような調和のとれた社会空間にありました。」
「もとの調和が失われたとき危機が起こる、だから理想は調和を取り戻すことである、これが孔子の考え方です。この考え方はやめるべきだと思います。我々が回帰すべき、あるいは回帰できる調和など存在しません。調和を得るためには、我々は自らが望むものが何であるかを“決定”しなければならない、そして、それをめざして戦わなければならないのです。」
「混沌としている、だから我々は安定性に回帰するべきだ、というのが伝統的な儒教の規範ですが、今日の人類が置かれた状況に対してこの規範を適用できるとは思いません。我々は、我々の望む安定性がどのような安定性なのかを決定しなければならない。いかなる自然のバランスや社会の調和もあてにはできません。この点では、私は悲観論者です。」
「この新しい権威主義は、旧来の、規律のきびしい体制における権威主義のようにはならないでしょう。そうではなく、これは奇妙な社会に行き着きます。それは、人が消費活動と私的生活においてあらゆる性的自由を享受し、何でも好きなものを手に入れる社会であると同時に、ある種の“脱政治化された”秩序をもった社会でもあります。これは恐ろしい考えです。」
“欧米は将来いよいよ民主主義を廃止せざるをえなくなるだろうと、私は思います。……”
“資本主義と民主主義の結婚は終わりました。”
《ユートピア的な夢想と言えるのは、新たな社会が可能である、ということではありません。むしろ、現状は維持される、世の中は今と変わらずいつまでも続いていける、ということのほうが夢想なのです。》
《…すなわち、左翼は何かを隠すことによってではなく、まさに“何も隠さない”ことによって、敵に反抗し、敵を混乱させる、という秘密です。》
*途中p.81~