たいへん有益で示唆に富む本なので、皆さんに紹介したく思います。
政治の技術化(政治の科学化、そして医療化にも行き着く)と、無意識の政治化という問題を改めて考えてみる端緒にもなりうるかも知れません。
例えば、コロナ禍でも政府に“科学に基づいた”政策を要求する声は大きいでしょう。同じ穴の狢だとは思いますが、政治を科学的な技術によって管理に変形することは、ある自由主義的な風潮で利益を得てきた人間ないし階級(中産階級です)にとっては、たいへん好都合です。
どちらも、迷信と誤謬推理、そして理性への信仰や過信により裏では手を結びあっているように思います。もちろん、そのような結託を断ち切るために、本来の政治という問題の意味をアーレントから思索しているわけですが。
(邦訳pp. 46-47、第二章の“倫理、科学、政治の同一化”から)
(邦訳pp. 48-49)
(邦訳p. 50)