房総閑話

廉価版コンデジでどれだけ撮れる?

コンクリート塀からミチタネツケバナが咲いていました。

2019-03-18 11:14:11 | 写真


ミチタネツケバナ。漢字で、道種漬花または路種浸け花。アブラナ科タネツケバナ属の越年性の一年草です。1992年に渡来が確認されたヨーロッパ原産の帰化植物です。
種を付けている花かと思ったら、種籾を発芽しやすいように水に浸ける農作業の頃に花が咲くので種漬け(浸け)花だそうです。

根元付近を探ってみると、コンクリート塀の水抜きの穴から生えていました。



花びら(花弁)4枚、ガク片4枚、雄しべ4本(または6本)、雌しべ1本とオーソドックスな花なのですが何か奇妙さとか不安定さがあります。



棒状に見えるのは果実です。はじけて種を飛ばします。


(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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雪の中からの胞子体 ~ エゾスナゴケ(スナゴケ,砂苔)

2019-03-17 11:39:03 | 写真
4億8000万年前水中で生活をしていた藻類は陸上への進出を果たしました。
そして4億3900万年前、維管束を発達させた多胞子のう植物のシダ類と維管束を発達させなかったコケ類に分かれました。
そのとき、コケ類はツノゴケ類とセン類・タイ類の2系統に分かれ、後に蘚類と苔類に分かれました。
今のコケの歴史は4億3900万年。途方もない時間を継続させているのですね。
そういうコケ類だからこそかわかりませんが、雪の中でもへっちゃらに胞子体を伸ばしています。

エゾスナゴケ。キボウシゴケ科シモフリゴケ属。スナゴケと言われています。
コケ類は蘚(せん)類、苔(たい)類、ツノゴケ類の3つに分類されます。エゾスナゴケは蘚類の仲間です。
蒴(胞子のう)の構造の違いから分類の説明をします。
蘚類は先端に蓋があり、この蓋がはずれて胞子を放出します。
苔類は丸っこくて口を持たず、蒴の壁が裂けて胞子を放出します。
ツノゴケ類は棒状で、蒴が裂けるようにして胞子を放出します。

4億3900万年。世界中、寒冷地・熱帯に25000種。繁栄させています。


コケ類とシダ類以降の植物の違いを簡単に説明します。知っていると面白いです。
違いは母親への依存度です。コケ類は生まれても母親の栄養がなくては生きていけません。ところがシダ類以降の植物は生まれたら母親から独立して自分で栄養を作り出して生きていきます。

基本的な植物の生活サイクルは
胞子体(2n) → (減数分裂) → 胞子(n) → 発芽 → 配偶体(n) = 配偶体(n) → 胞子体(2n) ・・・  
となります。

進化した植物はより複雑になってそれぞれの呼び方も違ってきますが、基本は変わりません。配偶体=配偶体は受精を意味します。コケ類は配偶体は発達しましたが、胞子体は他の植物のように発達していません。胞子体は1本ずつで枝分かれはしていませんし、もちろん葉っぱもなければ花びらもありません。コケ類以外の植物は胞子体を発達させて胞子体で栄養を作り出すために葉っぱをつけ光合成を行い、より効果的に受精を成功させるために葉から花びらを作り出しました。そうです、いつも目にしている植物は胞子体を見ているのです。配偶体は種子植物の雄性なら花粉のことです。目にするコケ類はじつは花粉だったり胚嚢だったりするのです。コケ類は花粉に葉緑素を作り出して光合成をして栄養を得ているのです。

普通の種子植物なら雪の中から幹を出していても驚かないけど、コケ類はびっくりします。



びょーんと伸びているのが「胞子体」です。胞子体の先端にあるのが胞子が入っている「蒴」です。



葉が開いた状態のスナゴケは『星屑』と表現されます。

(Canon IXY DIGITAL 510IS)(2019年2月12日撮影)


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ハルノノゲシ(ノゲシ、春の野芥子)

2019-03-13 10:14:36 | 写真
ハルノノゲシは別名で本当の名前はノゲシです。ケシと名前についていますがケシの仲間ではないです。

ハルノノゲシ。漢字で、春の野芥子。キク科ノゲシ属、ヨーロッパ原産の史前帰化植物です。秋に咲くアキノノゲシに対して春に咲くノゲシからハルノノゲシと呼ばれています。

切れ込みのある葉と切れ込みのない大きい葉の2種類の葉があるのが特徴的です。



背が低いとタンポポに似ていますね。


2019年は花粉がきついです。自分は症状は軽い方なので、昨年、一昨年とあまり苦しくありませんでした。今年は最悪です。苦しい・・・

つぼみが開いて春を呼んでいるようですね。



舌状花のみで、筒状花ありません。中心部付近に見える筒状の器官は雄しべです。舌状花には雄しべと雌しべがひとつずつありますが、ハルノノゲシは舌状花が合着して筒状の雄しべの集合体をつくります。集葯雄しべと呼んでいます。この集葯雄しべから花粉が出ている時が『雄性期』です。花粉を出し終わると雄しべの筒状の中心部から雌しべが伸びてきて柱頭が2裂します。この時期を『雌性期』と呼んでいます。
下の写真には中心部の雄しべから雌しべが伸びているのがわかります。写真ではわかり辛いですが、かろうじて柱頭が2裂しているのも確認できます。

雌性期の花びらです。

(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)

2019-03-10 10:42:51 | 写真
石垣の間からたくさんのつぼみを見せていた花が咲きました。

石垣の長さは10mほどあって、石垣の間を縫うように咲いています。


ヒマラヤユキノシタ。ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属の常緑性多年草です。名前の通りヒマラヤ山脈周辺が原産で明治時代に渡来しました。




まだつぼみの花もあります。これからが見頃です。


クロッカスやジンチョウゲと同時期に咲くようです。

寒さに強く手入れ要らずのようです。




(ここまで2019年3月9日撮影)



(2019年3月30日撮影)
(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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ヒメリュウキンカとセスジユスリカ

2019-03-09 10:39:08 | 写真
ヒメリュウキンカはキンポウゲ科キンポウゲ属の多年草です。ヒメリュウキンカの花の特徴は花びらでしょう。花びらに見えるのは実はガクで本当の花びらは退化してありません。なにしろ雄しべが花びらになった不思議だらけのキンポウゲ属ですから、ひょっとしたらヒメリュウキンカも黄色い雄しべが実は花びら兼用かもしれませんね。

セスジユスリカはユスリカ科の在来種で日本にしかいない蚊です。血は吸いません。澱んでいるところは嫌いで多少流れていて有機栄養分の多い汚れている水が好きです。


(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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最近、ナズナを見たことがありますか。

2019-03-06 10:37:25 | 写真
子どもの頃の遊び。
この花が種をつけると、その種のついた柄を茎の皮から剥がしきらないように下に剥がします。要領は種の柄を持って下に引くと茎から薄皮一枚だけ剥がれます。
茎についている種を全部剥がして茎を振るとぶらぶらした種と種があたって音がします。
種の柄が剥がしている途中で切れて茎から取れてしまうのを怖がって柄を剥がす長さを短くすると、茎を振ったときに種と種がうまくあたらないのでいい音が出ません。
誰が上手に出来るかを競ったものです。
野原や畑や道端のあっちこっちにナズナがありました。

ナズナ。別名、ぺんぺん草。アブラナ科ナズナ属の多年草です。
春に、ナズナが咲いているのはありきたりの事なので目に留まらないのでしょうか。

ハコベの中に咲くナズナです。



花の名前を忘れていたくらい久しぶりです。



散歩のコースを変えてみてよかったです。




(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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銀河鉄道の夜 ~ ますむらひろし,宮沢賢治

2019-03-05 11:12:25 | 写真
宮沢賢治は明治29年(1896年)8月27日に生まれ、昭和8年(1933年)9月21日に亡くなりました。

「銀河鉄道の夜」は大正13年(1924年)、宮沢賢治が28歳から執筆を開始した作品です。大正3年(1914年)から始まった第1次世界大戦の景気は都市部と農村部の経済格差を広げたように思われます。都市部が潤うと農村部は貧困が激しくなる。同時期の作家に比べ宮沢賢治は都市部や富裕層への憧れとか嫉妬とかは見当たりません。作品の中に見えるのは、普段どうりの生活の中に家族の愛と、農業への可能性です。
大正11年(1922年)、最愛の妹トシが結核で亡くなりました。トシに語った星空の旅を、トシと共に旅しているのが「銀河鉄道の夜」だと思います。


ますむらひろしは猫を主人公にした漫画で有名です。
この「銀河鉄道の夜」も登場人物はすべて猫です。


銀河鉄道の夜
漫画 ますむらひろし
原作 宮沢賢治
監修・ルビ監修 天沢退二郎
協力 宮沢清六
発行所 株式会社朝日ソノラマ デュオDUO
製本 大和製本株式会社

収録作品
・ 銀河鉄道の夜
・ グスコーブドリの伝記
・ 十力の金剛石

カバーおもて表紙 ジョバンニ(左)、カムパネルラ(右)



カバーうら表紙 カムパネルラ(左)、ジョバンニ(右)

(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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オオイヌノフグリ(瑠璃唐草、星の瞳)

2019-03-01 11:16:38 | 写真


オオイヌノフグリ。別名の方が綺麗です。瑠璃唐草、星の瞳。
オオバコ科クワガタソウ属の越年草。ヨーロッパ原産で1884年とも87年とも90年とも言われていますが、渡来してきた外来種です。




2月の初め頃から枯れ草の間から可愛い花を見ることが出来ます。



4枚の花びらは、少し大きめの花びらの向かいに少し小さめの花びらがあります。対称軸が1本の左右対称形になっています。こういう花びらの形状を左右相称といいます。どこから見ても同じ形状の花びらのつき方は放射相称といいます。



花が小さいので感じませんが、不釣合いな大きさの花びらが目をひきます。
葉や本体の大きさからみると花びらは大きすぎます。同時期に咲くハコベやミチタネツケバナなどに比べるとものすごく大きい花びらです。






花びらの中央に2本の雄しべと1本の雌しべが見られます。
オオイヌノフグリは虫媒花で自家受粉であると図鑑に書かれています。虫媒花なら他家受粉も可能ですが雄しべと雌しべの位置関係から受粉は自家受粉に因っていると考えられています。

中央に雌しべ、雌しべの両脇に雄しべがあります。


虫が蜜を吸いに花びらに止まると、虫の重さで花びらは傾きます。虫は落ちまいとして何かにしがみつきます。うまいところにうまい形に雄しべがあり、虫は雄しべにしがみつくと、真ん中にある雌しべに雄しべを引き寄せてしまうようなシチュエーションになります。その結果、雄しべの花粉が雌しべの柱頭に触れて自家受粉をします。また、虫についた花粉は他の花の柱頭に触れて他家受粉をします。

雄しべの先にヤク(花粉が出るところ)があり花粉で白くなっています。


開花したての雄しべは真っ直ぐで湾曲していません。時間と共に湾曲してヤクが真ん中にある雌しべに向いていきます。
これがオオイヌノフグリの第2の受粉方法です。
さらに湾曲してヤクは雌しべの柱頭に触れて受粉します。



ところがよく見ると、雌しべと雄しべは同一直線状にないのです。これではいくら雄しべが湾曲しても雌しべにはくっつきません。
そこで、究極の受粉方法です。
オオイヌノフグリは受粉すると花びらも雄しべも落ちてしまいます。
日がかげってきても受粉しないで花びらの落ちない花は徐々に花びらが閉じていきます。
ここでもう一度、雄しべと雌しべと花びらの位置を見てください。少し大きい花びらと少し小さい花びらを上下としたとき、雄しべは左右の花びらと直線になっています。雌しべは上下の花びらの直線上にあります。
オオイヌノフグリの受粉運動の最終動作は、花びらが閉じる動きで雄しべのヤクと雌しべの柱頭が合わさるように雄しべと雌しべが運動します。左右の花びらが雄しべを中央に、上下の花びらで雌しべが向いている方の花びらが雌しべの柱頭を中央に向かせるように動かして、ヤクにある花粉を柱頭につけさせて受粉させます。
これで受粉が完了します。それでも受粉しないときは次の日に花びらが開花して受粉するまで繰り返します。2~3日、花が開くわけです。



雄しべや雌しべが運動するのは他にも、花に触れると雄しべが雌しべに向かって運動するマツバボタン、閉花時に雄しべも雌しべもくるくる巻きながら運動するオシロイバナ、閉花時に雌しべが雄しべに向かって運動するコナギなどが知られています。
他家受粉、自家受粉に限らず種をつけることが生き延びることなんですね。

私見ですが、日本名のクワガタソウ属の由来は、雄しべと雌しべの配置が農具にある三本爪の備中鍬に似ているからではないでしょうか。雄しべの湾曲具合は昆虫のクワガタムシの顎にも似ています。オオイヌノフグリの他のクワガタソウ属も2本の雄しべと1本の雌しべが特徴的です。


(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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