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日々の恐怖 3月14日 風鈴(1)

2022-03-14 15:45:30 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 3月14日 風鈴(1)




 昔です。
小学校高学年の夏休みです。
祖父母の元へ一週間ほど泊まりで帰省していた時の話です。
 山奥の村落、20軒ほどが身を寄せ合うところで、村には私のような子供は一人もいませんでした。
住人はほとんどが高齢者ばかりのようで、過疎という言葉が当てはまる場所です。
かといって暗い雰囲気は無く、小さな訪問者に皆が親切にしてくれました。

「 ミノルの倅か、ほーかほーか。」
「 テービもねぇからつまらんろ。」
「 独楽回すか、独楽。」
「 後で、釣りいくべ。」
「 虫がいねぇんだろ、あっちは。
捕り方おしえんべか。」

どちらが子供かわからない。
でも、うれしかったことを覚えています。
 二日目に祖父と釣りへ出かけました。
村の爺様ほとんどがついてきます。
 山間の上流、比較的流れが緩やかな場所です。
気を使ってくれているのは分かりました。
竿の振り方や餌のつけ方、魚の居そうな場所などを教わり、十人いると十人が微妙に違います。
 釣り始めて二時間もしないうちに、爺様たちは大宴会になっていました。
一人竿を振る私のところへ代わる代わるきては、微妙に異なるコツを教えてくれました。

「 あ、かかった!」

そろそろ飽きかけていたところ竿が引かれた気がしました。
引き上げて見ると、緑色の塊でした。









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