日々の恐怖 3月19日 心肺蘇生(1)
大学時代の同期にAという男がいます。
在学中は一緒に馬鹿をやった中ですが、今は専門を違えており、なかなか会う機会もありません。
そんな彼に久々に会ったときの事です。
お互いに昼飯に行くところだったので、連れ立って昼を食べていると、Aが奇妙なことを言いだしました。
「 俺さ、まったく怖い話とか信じてないけど、あれは怖かったなぁ・・・・・。」
聞くと、Aが数日前の当直の日、受け持ちの担当患者さんの容態が急変したそうです。
その患者さんはかなりの高齢でしたが、容態は安定しており、本当に急なできごとだったといいます。
患者さんのご家族が駆けつけるまでの間、Aは心肺蘇生を試みておりました。
患者さんはなにぶん御高齢ですので、電気ショックは使えず、手技による心臓マッサージだったそうです。
やったことのある方は御存知かと思いますが、心肺蘇生術はかなりの体力を使います。
Aは汗だくになりながら、必死にマッサージを繰り返していました。
しかし、結局患者さんの意識が戻ることはありませんでした。
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