日々の恐怖 4月14日 ガノンドロフ(2)
小学5年の夏休み、部活を終えて帰宅すると、父親にビールのお使いを頼まれたので千
円札を握りしめて個人商店へと向かい、6缶パックと500ml2本を買ったあと、チョコバットも
買った。
おこづかい制ではなかったので、お釣りは貴重な収入源だった。
頼み方が横柄だったので、500mlはシェイクして、開けたときにあふれるようにせめてもの復
讐をした。
家に帰ると父親が電話で誰かと話をしていた。
6缶パックを冷蔵庫に入れて、チョコバットを食べてたら電話を終えた父親が、
「 新聞集金のおばちゃんが行方不明になったらしい。」
と言ってきた。
聞くと電話の相手は町内会のおっさんで、おばちゃんは昨日から帰っていないらしく、捜索
願を出したけど町内会でも捜索をすることになったから参加してくれないか、という内容だった。
父親は明日も仕事があるからと断ったそうで、おもむろに500mlを開けようとしたので、怒ら
れないように2階へ避難した。
夜中にリビングでテレビを見てたら、階段を降りる音が聞こえた。
父親が出勤する時間だった。
10時以降にテレビを見ていると怒られるので、俺は急いで消して、ポケモンの攻略本を読ん
でるフリをした。
出勤前はピリピリしているので、家族全員が気を遣っているような感じがほとんどだったが、こ
の日は違った。
「 さっき夢でおばちゃんに会った。」
父親が母親にそう告げた。
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