日々の恐怖 10月9日 私の話(5)
たまたまにだけれども、他の寺院から助っ人を頼まれたことがある。
たいていは大きな法要の準備や出仕なのだけれども、その時はいつもとは違っていた。
法要を終えてそこの副住職と一息ついていると、住職がやってきて、
「 急にすまないが、祈祷を行うから出てくれないか?」
と頼まれた。
別に断る理由もないので引き受けて、副住職と一緒に法要の準備をしているのだが、一向に祈祷を受ける人が来ない。
住職に聞いたら、実はこの祈祷を受ける人は檀信徒で、しかも自称霊感持ち。
祈祷内容は、
「 犬に霊が取りつき命を奪おうとしている。
今すぐお経をあげてくれないか?」
とのことだった。
いわゆる遠隔祈祷(という言葉があるか知らないけれども)だった。
この時、私が一番最初に思ったのは、
” アホくせぇ・・・・・。”
の一言。
一緒に聞いた副住職も、
” まいったな、こりゃ・・・・。”
みたいな顔をしていた。
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