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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 6月28日 古物(1)

2020-06-28 10:07:24 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月28日 古物(1)




 私もほとほと間抜けだったなと思う、今日この頃ですが、11年前の話です。
当時勤務した会社の女性の先輩で、何となく、

“ そりが合わないな・・・。”

と感じる人がいました。
新人だった私には親切にして下さるんですが、どこか裏があるような印象でした。
 そんな彼女が、私の叔母夫婦がアンティークショップを経営していると知るや、私に住所を聞き出し、

「 アンティーク、すっごく興味あるから今度行かせてね。」

と言いました。
 そして数日後に叔母から電話があり、本当に先輩は叔母の家を訪ねたそうです。
その時、叔母はいい顔をしていませんでした。

「 あんたの先輩だけど。
う~ん・・・・。
何なのあの人。
いきなりお店に入って来て。
それはまあお客さんだからイイんだけど、あんたの先輩だと名乗り、古い手裏剣を数枚置き去りにしてったのよ。

『 主人が鑑定するんですが、今日は不在なのでお預かりに・・・・。』

と言っても、差し上げる差し上げるの一点張りなのよ。」

私が叔母に、

「 それで、どうしたの?」

と訊ねると、

「 結局、店頭で押し問答も変なので、受けとることにしたの。」

と、言いました。
 翌朝出勤し、先輩にその旨を確認すると、いつも通り愛想の良い笑顔で、

「 うん、上げるわ♪」

と一言。
 この時点でもいや~な予感はあったんですが、私はまたまた先輩の笑顔に騙され、そのままにしておきました。
 結果から言うと、その手裏剣は本物で値打ちもあったらしいのですが、鑑定書がコピーでした。
コピーでは、現在は売り買いができない仕組みになってるんです。
 先輩に、

「 コピーでは叔母も売買できず困ってますから、鑑定書の原版をいただけますか?」

とせっついたのに、

「 失くしちゃったのよね、実は♪
あなたが問い合わせして再交付してもらって。
上げちゃった以上、アレはもう私のものじゃないから!」

と、にべもない。
 ここだけの話、叔母が個人的にさらにそれを同業者のどなたかに譲渡すれば問題はないのですが、実は叔母と叔父の店は茶道具専門で、刀剣類に詳しい同業者がほとんどいなかったのです。









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