日々の恐怖 3月26日 ダウンタウン(1)
5年前、僕はアメリカのある大きな都市のダウンタウンに住んでいた。
僕は夜型人間だったけど、ルームメイトはそうではなかったので、彼が寝てしまった後の夜中の時間はいつも退屈だった。
だから時間をつぶすために、夜中の長い時間、よく外を散歩して色々な考え事をしながら過ごした。
そういうわけで僕は4年くらいの間、深夜に一人で出歩くことを習慣にしていた。
怖いと思ったことはなかった。
ルームメイトには、
「 この町じゃ、麻薬密売人さえ礼儀正しいんだよ。」
なんて冗談を言ったものだった。
しかし、ある晩のたった数分の出来事で、僕の考えは大きく変わってしまった。
その日は水曜日で、午前1時から2時の間くらいだったと思う。
僕は自分のアパートから離れた、警察のパトロールの順路にもなっている公園の近くを歩いていた。
一週間の中でも特に静かな夜だった。
車通りは少なく、歩いている人はひとりもいなかった。
その公園も、夜の間は完全に無人だった。
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