大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 ワイの話 (9) バッバ3

2018-06-03 18:59:51 | B,日々の恐怖







  日々の恐怖 ワイの話 (9) バッバ3







 ワイは蒸し暑い田んぼ道を家へと歩きながら、何気なくそのカードを眺めた。
バッバの貸出カードはずいぶん埋まっとった。
“竜馬がゆく”とか歴史ものが多くかったが、その下の方、つまり最近借りた本に目が止まった。

『洋食の基本 ハンバーグステーキ』

 目の前が、何だかぐるぐるするのが分かった。
うるさいセミの声も、カンカン照りの日差しもすこし遠くなったような気がした。
祖母は、ワイのために慣れない洋食を作ろうとしてたんや。
そのとき、祖母のハンバーグはおろか、大根の照り焼きやミョウガの天ぷらに二度とありつけないことが、はっきりと実感を伴ってわかった。
 喉の奥が苦しくなって、眉間に痛いほど力を入れたがぼろぼろ泣けてきた。
ワイは初めてバッバが死んだことが理解できた。
 そのときやった 後ろから音もなくえんじ色の自転車がワイを追い越していった。
目が霞んでよく見えなかったが、あの日、軽自動車の下でぐちゃぐちゃになった自転車のそれと同じ色やった。
 そして、それに跨ってたのは紛れもないバッバやった。
パーマをかけたちょっと猫背のその人は、いつも畑に出るときの格好で自転車に跨り、実家の方へ曲がって見えなくなった。
 はっきりと覚えてないが、ペダルは動かしてなかったんちゃうかな。
ワイはダッシュで後を追ったが、バッバを見つけることは出来んやった。
 やっぱり実家には誰も来とらんし、仏壇には真新しい位牌が据えてあった。

“ あぁ、やっぱりバッバは死んだんや、もういないんや・・・。”

そう思うと、また少し涙が出た。
 それっきり祖母は現れなかった。
夢に見ることはあっても、あの夏のようにはっきりと姿を見せたことは一度もない。
 今でもこのことを思い出すと、あれは祖母が自分の死をワイに分からせるために仕掛けたイベントだったんじゃないかと思う。
 ワイはと言えば、それから幾度となく祖母の料理を再現しようと試みたがてんで駄目やった。
祖母の好きだった本を読んだり、若い頃の足跡を追ったりもした。
 図書カードは実家の机に大事にしまってある。
おばあちゃんコンプレックス上等と豪語しとったが、やっぱり最近になって恥ずかしく思えてきて、祖母に申し訳ないと思うようになった。
今年の夏行われる13回忌で祖母に関する法要は全て終わる。
あの図書館も、この3月いっぱいで閉じられたと聞いた。
 今年帰ったら、あの時と同じ道を歩いてみようと思う。
多分祖母は出てきてくれんやろうが、なんとなくワイはそれで満足する気がする。
やっと一区切りつく気がする。


















童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の出来事 6月3日 エレベーター

2018-06-03 08:47:16 | A,日々の出来事_







  日々の出来事 6月3日 エレベーター







 今日は、東京都港区の“シティハイツ竹芝”(23階建)に設置されていたシンドラー社製のエレベーターで、自転車に乗ったまま乗降していた高校生が、突然上昇したエレベーターと天井の間に挟まれ死亡する事故があった日です。(2006年6月3日)
 この事故が起こった後、シンドラー社は会見を拒み、9日後にようやく説明会を開くなど、その不誠実な態度に非難が集中しました。
また、全国のエレベーターを調査した所、シンドラー社製のものに誤動作が多いことも分かりました。

























☆今日の壺々話















   病院にて







「 そろそろ、消灯時間だし部屋に戻りましょうか。」
「 そうですね、タバコも吸い終わったことだし。」
「 館内全面禁煙は、辛いですよね。」
「 そうですよね、中庭でホタル族ですからね。」
「 じゃ、戻りましょう。」
「 ええ。」
「 あれっ、そっちは階段ですよ。」
「 ええ、エレベーターはちょっと・・。」
「 どうしたんですか?」
「 扉が開くと正面に大きな鏡があるでしょう。」
「 ええ、それがどうしたんですか?」
「 昨日、ちょっとね。」
「 自分の姿が映っていなかったとか、あはは。」
「 いや、映ってましたよ。」
「 じゃ、問題は無いですよね。」
「 でも、向こうを向いていたんです。」

 あなたが一人、エレベーターの閉じられた空間にいたとき、早く扉が開かないかなと思ったことはありませんか。




















     怖い話







 若い男性4人が、100階建ての超高層ホテルに泊まりました。
どうせなら、見晴らしの良い部屋に泊まろうということで、4人は100階の部屋に泊まることにしました。
 夜になり、“よし、めし食いに行くか”という事になり、一階までおりて夕飯を食べに行きました。
食べ終わりホテルへ戻ると、エレベーターが全て故障のため止まっていました。
すぐ直るかと4人はロビーのソファで少し待っていましたが、どうも直りそうもないのです。

「 筋トレも兼ねて、階段で行くか。」
「 そうだな。」

4人は階段を駆け上って、ちょうど50階までやってきました。

「 はぁ~、疲れた。
 黙ってモクモクと登るのは疲れるなぁ。」

それを聞いて一人の男が提案しました。

「 そうだな、ゆっくり登るか・・・。
 うん、そうだ!
 ただ登るだけじゃヒマだから、1階のぼるごとに怖い話をして行こう。」
「 それは、いい!」

 4人は順に怖い話をしながら、99階まで登って来ました。
あと1階です。
怖い話も、あと1つとなりました。
もう100階は目前です。
 ひとりの男が階段を見上げながら言いました。

「 よし、最後の話は俺がしよう。
 めちゃくちゃ怖い話だぞ。
 もしかしたら、トラウマになるかもしれん。」

そこまで怖い話なのかと、残り3人は大いに期待しました。
そして、最後の話は始まりました。

「 俺、1階に部屋の鍵を忘れた。」






















エレベーターコマンド







・三菱 キャンセルしたい[階数ボタン]をダブルクリック
    キャンセルしたい[階数ボタン]を押し続ける
・フジテック キャンセルしたい[階数ボタン]を5連打
・OTIS キャンセルしたい[階数ボタン]をダブルクリック
      扉が開いているときに[開ボタン]を押したままキャンセル
      したい[階数ボタン]をダブルクリック
・松下 キャンセルしたい[階数ボタン]をダブルクリック
・東芝 キャンセルしたい[階数ボタン]をダブルクリック
    キャンセルしたい[階数ボタン]を押し続ける(3〜5秒)
・日立 キャンセルしたい[階数ボタン]を押し続ける
・不明 [階数ボタン]すべてを押す
    最上階層から順に素早くすべての[階数ボタン]を押す

→停止不可の階に停止
・フジテック [開ボタン] + [閉ボタン] + 目的の[階数ボタン]

→上下方向のキャンセル
・日立 乗り込んだ[階数ボタン]をダブル   


さて、ホントかな・・・?
























お話“エレベーターが止まった”







 エレベーターが止まった。
それだけ言うといたって普通の事だが、異常な点は6階と5階の間で止まってしまったということだ。
堅く閉ざされた扉の上部にある階数表示のパネルも、6階を示したところまでは覚えているが、今はイカれてしまったのか点灯をやめている。
 つい寸前までは何事もなく下降していたのに、急にものすごい音がするもんだから心臓が止まるかと思った。
結果として心臓は止まらなかったが、代わりにエレベーターが止まってしまったというわけだ。
 まあしかし下まで落っこちていったという感じはしなかった。
そこは不幸中の幸いと言ったところか。
 いやそれにしてもなんてことだろう。
うちの会社も定期的に点検だのメンテナンスだのやっていたと思ったが・・・・。
もしかしたら業者の作業の方が杜撰だったのだろうか。

「 ど・・・、どうしましょう・・・・?」

 その声で現場の状況に意識を戻すと、同じ課の女性社員が不安そうな目をこちらに向けている。
今さら気づいたが、その場にいるのは僕とその彼女の二人だけだったのだ。
 ここで僕が慌てたり取り乱したりするのはマズイ。
彼女をいたずらに不安がらせる事は避けなければ・・・・。
 僕は努めて明るい声で言った。

「 大丈夫。
エレベーターの中には緊急事態に管理会社と通信するためのボタンがあるんだから。
僕らはこうしていても仕方ないから、中の人の無事を祈りつつ、係の人に連絡に行こう。」























都市伝説“異世界に行く方法”







準備する方法:10階以上あるエレベーター

1.まずエレベーターに乗ります。
(乗るときは絶対ひとりだけ)
2.次にエレベーターに乗ったまま、4階、2階、6階、2階、10階と移動する。
(この際、誰かが乗ってきたら成功できません)
3.10階についたら、降りずに5階を押す。
4.5階に着いたら若い女の人が乗ってくる。
(その人には話しかけないように)
5.乗ってきたら、1階を押す。
6.押したらエレベーターは1階に降りず、10階に上がっていきます。
(上がっている途中に、違う階をおすと失敗します。ただしやめるなら最後のチャンスです)
7.9階を通り過ぎたら、ほぼ成功したといってもいいそうです。

さあ、あなたも異世界に行ってみましょう。
5階で乗ってくる人は、人間ではありませんので、くれぐれも気を付けるように。

























       お話 “13階”









(その1)




 高校時代、俺は10階建ての団地の10階に住んでいた。
その団地は凄く有名で別名が“ヤンキー団地”とか“自殺団地”と、あまり良い名前がついてなかった。
 団地は10階建てと13階建てがあり、その日の話題は、友人が知り合いから聞いた噂で、

“ 夜中3時ごろに13階建ての方のエレベーターで7階へ行き、その後あることをして5階に行き、さらにあることをして3階に行き、階段で4階に上ると幽霊が見られる。”

と言う話で、学校からの帰り道で盛り上がっていた。

“ そんな簡単に霊が見られるのであれば、今まで幾度と無く行った心霊スポットはなんだったんだ。”

と、笑いながら話していると自宅の1階のエレベーターホールに到着したので、その話は終わり、友人と別れを告げて、そのままその日は帰宅した。








(その2)




 そんな話も忘れた、ある秋の日に友人が、

「 知っとる?
あそこ又自殺したってさ。」

と話かけてきた。
 自分が住んでいる10階の方ではそんな話は聞いていなかったために、13階のほうかなと聞いてみるとやはりそうだった。
帰りに友人達と5人で13階建ての団地の近場を通ると自転車置き場の横の砂利のところに花束が2本置いてあり、少しゾクッとなった。
 その時、友人の一人が、

「 なぁ、あれやらんか?」

と言って来た。

「 あれって?なん?」

と聞き返すと、幽霊を見ようと言い出す。
 彼以外、皆流石に花束を見た後すぐだったために乗り気はしなかった。
それでも彼は、

「 ねぇ、いいやん。
怖いん?
この前の霊園とか滝に比べたら屁でもないって。
だって、人が住んどるとこやし。」

と煽る。
 やめておけば良いものの、何故かイラッとしてムキになって、

「 おう、いいぞ。
そんかわり、お前が言い出したんならアレは全部、お前がやれよ?
俺らは着いて行くだけ。
それでいいか?」

と言い返して、彼も了承した。
そして、日程を相談し、その次の土曜日の夜に決行する事になった。









(その3)





 土曜日に集まるメンバーは、決めた時にいた5人とあとで話を聞いて加わった友人2人で合計7人。
言いだした彼をSとする。
 S以外の3人(俺もあわせて)は、皆10階建ての団地に住んでおり、3人は直ぐ近くの別のマンションに住んでいる。
Sの家は少し離れた場所の一軒家だ。
 一応親には、“Sの家に泊まりにいく”とだけ言っており、肝試しを終了後は、実際にSの家で泊まる事になっていた。


 当日、20時過ぎに集まって、0時過ぎまで外の公園(広場)で缶けりをしたり花火をしたりして遊び、時間を潰した。
0時過ぎに、一度Sと俺ともう一人の友人でSの家に儀式に必要なものを取りに行った。
 儀式に必要なものは2つ。
塩と酒。
それとは別に、懐中電灯も持って行く事になった。
 結局、あれやこれやで1時過ぎになり、13階建ての1階のエレベーターホールに全員が集合した。
 まずは、エレベーターに乗り7階へ行く事で始まる。
そのためエレベーターを呼ぼうとボタンを押すも作動しない。
何度押しても作動せずにエレベーターはまったく動かない。

「 あれ?なんで?」

と思っていると、エレベーターの横の紙に注意書きで、

【1時から5時までの間は鍵を使ってエレベーターを作動してください。】

といった感じのものがあった。
 鍵を回して呼ぶとの事なので、10階の方の鍵でも合うか試してみると、鍵は入った。
そのままエレベーターを呼ぶ。
 3基のエレベーターのうち、左側の1基が動き始めた。
都合よくそのエレベーターだけがドアの部分がガラスで出来ているために向こう側を見ることが出来る。


 到着と同時に7人が乗り込み、Sはドア付近にいた。
まずは、7階を押して上へ上がる。
エレベーターホールは電気がついているところもあれば、点滅しているところもあり、7階は電気が消えていた。
 少し気後れしながらもSに、

「 おい、ついたぞ。」

と言う。
 先ずは、7階で、

「 おーい、おーい。
今から行くよ。」

と囁きでも良いので話しかける。
 その後、言った本人が、

「 はーい。
追いかけておいで。」

と言う。


 次に5階へ向かう。
5階も電気は消えている。
 5階に着いたら塩を撒く。
そして酒を数滴エレベーターホールから下に垂らす。
 さすがにSも怖がって、

「 おい、ついて来いよ。」

と前の方にいた友人二人を連れて行く。
その間、俺を含めた4人はドアを開けて待っている。
とにかく、怖い。
 S達はエレベーターを降りて、前にある階段付近のスイッチを押すために前に進む。
少し経つと“ピ、ピン”と音がなり電気が点く。
 小走りで酒をたらすために、一度横の方へ。
そしてS達が戻ってくる。
彼らがのりこみ、3階のボタンを押して3階へ移動する。

「 ドーーーン・ドーン・トン・・・。」

と遠くから音が聞こえる。
 エレベーターが4階付近を通る。
さすがに、怖くて目を向けられない。
外を見ることが出来ない。
そしてウィーーンという音と共に3階へ進む。


 最後に、3階で降りたら、

「 どこだー。
上かな?」

と言って、4階に階段で上ればすべてが揃う。
 ただ、Sが降りない。
というか、誰も降りられない。
ここも、電気が消えていて怖すぎる。
誰もSに“行けよ”とは言えない。
 その時、友人の一人(K)が、

「 あのさー、気付いている?」

と言い出す。

「 何が?」

と聞くと、彼は真っ青になりながら、

「 いや、気付いてない?」

とさらに言う。
そうすると、もう一人が、

「 俺、わかったかも・・・。」

と言い出す。
 分からない俺やSや他の友人は、少し攻めた口調で、

「 何が・・・?」

と聞く。
するとKは、

「 俺ら、はじめに7階に行ったやろ?」

と言う。

「 俺らが7階に行くまでに通る階数は5やろ?
んで、そのうちに電気が消えているとこが、何階あったと思う?」

と、Kは今にも泣きそうな声で言う。
 正直もう聞きたくなかった。

「 えっとね、0やったんね。
最後に4階に、って言っとったやろ?
それで3階も4階も5階も気にして外見とったけど、4階だけ点滅で他は全部点いとったんよ。」

と言い出した。
 背筋が一気に伸びる。
サーっと血の気が引きだす。
 続けてKは、

「 しかも・・。
4階は点滅していたって言ったけど、何かスイッチの所に人影が見えた。
連打して、点けたり消したりを繰り返しているように見えた・・・。」

と話す。

「 お前、いい加減にしろって。
怖がらすなや。」

というも、Kは青白い顔で首を振る。

「 もう一つ。
ここ3階のはずなのに、2階にとまっとる。」

とKが指をさす。
表示を見ると2階で点滅してる。
 Sが、

「 い、いや、間違えただけ、やって。
ビビッて、3階じゃなく2階押してしまった。」

というも、他の友人が、

「 いや、確かに3階押したのを、俺見たよ・・・。」

といった。
 その最中にSがいきなり、「ひっ!」と声を漏らす。
エレベーターホールに向かって誰かが来ている。
トン、トン、トーン、トーン、と音が近づいてくる。
怖くなり、直ぐに閉めるボタンを押すも、行き先を押してないため移動しない。
 怖くて、誰もドアの外を見られない。

「 早く1階おせ!」

と言うとSが焦ってボタンを押す。
 その瞬間、

“ ドーン!!!ポン、ドーン!ポン、ドーーーン!ポン。”

と、音が大きくなり近づいてくる。
 エレベーターが動き始めたが、心臓がバクバクして皆顔を見合わせるのみで、外は見られない。


 1階に着いた瞬間に、一斉に逃げるようにホールへ出る。
でも、何かおかしい。
1階のはずなのに、何か違う。
 急いで降りた、そこのホールのプレートは3階の表示。
Sは、

「 あれ?
俺、1階おしたよ。
ねぇ、俺1階おしたって!」

と半泣き状態。
 KはKで、

「 なんで?
なんなん?」

とパニック。


 とりあえず、エレベーターを呼ぼうと鍵を差し込むも、エレベーターは上の階に行き始め、一度4階で止まったのか、4階の表示が長く続き再度上へ。
そのため、戻るのを待つはめに。
他のエレベーターは動く気配なし。
 待っていたその瞬間、

“ ドーーーーーン!!!ポン、ポン、ポーン。”

といきなりの音。
 階段付近から、何かが音を鳴らして来ているような音。
皆、怖くて動けない。
 Sが、

「 あーー、来るなー、来るなー。」

と、気が狂った様に言い出す。
俺は、

「 おい、とにかく向こうの階段から逃げるぞ!」

と言い、Sの肩を引っ張った後に走り始めると、全員そこに向かい走る。
 3階から2階へ。
そこで上から何かが落ちてきた。
ヒュンと上から落ちてきたモノと目が合った。
人だった。
一瞬の事だったけど、全員が見た。
ニヤっと笑ってるように見えた。
そして、

“ ドーーーーン!!!!!!!”

と下で音がなった。
 もう動けなかった。
下には行けない。
上に行こうとは思わない。
どうしようも無い状況で、2階と3階の階段の間で立ち尽くしてた。
 すると、

“ ポーン、ポーーン。”

という音が2階の方から近づいてくる。
再度パニックに。
 明らかに音は2階から近づいているため、急いで3階へ上り棟の逆の階段へ。
そこから一気に降りて1階へ。
 1階に着いたら、すぐに明かりを求めて何故かエレベーターホールへ。
そして出口へ向かおうとした瞬間、俺を含めて4人だけが見た。
ホールの階段で人の生首の様なものを手毬のようにしながら、何かが降りてきている。
ヤバイので、直ぐに外へ逃げ出す。
 とりあえず走り、コンビニへ逃げ込む。
知り合いのバイトの兄ちゃんに、

「 人が飛び降りたかもしれん。
警察呼んだ方がいい?」

と伝えると、バイトの兄ちゃんから、

「 おまえら高校生が、こんな時間になにしよるかってなるぞ?
とりあえず、本当に落ちたのか、見たか?
それとも、落ちた後か?」

と言われ、友人の一人が、

「 もういいです。」

と答え、

「 関わらん方がいいって。」

と言うことで、黙っていることになった。
 その後、明るくなるまでコンビニで漫画を読んだりしながら、明るくなったと同時にSの家に向かう。
そして、昼過ぎまで寝て、起きた後、団地の話になった。

「 本当に怖かったわ。
出口で見たヤツが気持ち悪すぎた。」

と話をしていると、残りの2人は全く気付かなかったらしい。
ただSが、

「 あれ、ブサイクやし、俺やったんかもしれん・・・・。」

と、少し笑いながら言い皆を笑わせていた。









(その4)





 その1年後の受験勉強真っ只中の時に13階建ての団地からSは自殺した。
Sの葬式にはいったけど、Sの母親は遺書に何か書いてあったのか、俺たちにはとても冷たく、

「 アイサツしたら、直ぐに帰りなさい。」

と言われた。
 他の人たちにも、そのような様子だったが、Kは「アイサツって・・・。」と言いながら「俺らがSと仲良かったのに、助けになれんかったのは悔しいな。」と泣き崩れた。


 俺は高校を卒業し、大学進学でそこを離れ、大学2年の時に親はそこから引っ越したので、高校卒業以来まったくそこには近寄っていない。
 最近、Kともう一人の友人に会った時にその話を思い出した。
俺とKとその友人とSが、階段から降りてくるナニかを見ていた4人だった。
 そこで3人で話していると、4人が同じものを見ていたことを知った。
Sは前に“俺かもしれん”と冗談のように言っていたが、俺を含めた3人も、ポーンポンと手鞠のようにつかれていた生首がSの顔にそっくりだったと思っていたようだ。
 結局、遺書は見てないから何が原因かは分からないけども、Sは自殺する前日まで俺らと普通に遊んでいたし、何も変わったことは無かった。
面白半分で始めた肝試しだけど、アレが原因だったならやるべきじゃなかったと思わずにいられない。



















童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ





コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6月2日(土)のつぶやき

2018-06-03 08:31:43 | _HOMEページ_



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------