日々の恐怖 8月16日 狂った世相(2)
そして、ここからが母から帰省時に聞いた話です。
母に、
「 そういえば昔こんな修羅場に遭遇したんだよ、お母さん何か知ってる?」
と聞くと、
「 あんたはもうここに住んでないから言っていいかね。」
と教えてくれた。
実は子供Aは母親だと思った女性Bの養子で、B夫婦は子供がなかった。
従兄弟だかが子供を残して亡くなり、親戚から施設にやるのは可哀想だ、と半ば押しつけられたらしい。
最初A君はおとなしい子だったそうだ。
しかし、ある時から急に反抗的、暴力的になった。
A君は近所でも有名で、トラックが横を通ったら指さして、
「 あれに轢かれてミンチなれ!」
とか、殺す、シネは日常茶飯事で、二人が歩いてくると、
「 しねー!」
と聞こえてくるので分かった、なんて逸話もある。
みんな、もっと大きくなったらBさん殺されるんじゃないか、と心配していたそうです。
しかし一年ほどしてAもちょっと落ち着き出したところで、急にA君は施設に入ることになった。
そのとき私は現旦那と同棲しており知らなかったのですが、A君が家出して騒ぎになったそうです。
警察に保護されたA君がB家を親の住所として教え、Bさんが、
「 うちの子じゃないから知りません。」
と警察が連れてきたAの前で言ったようです。
警察が、
「 いや、でもあなたの子でしょ?」
と言っても、
「 産んだ子じゃないんで、私の子じゃないんです。
赤の他人の全然関係ない子です。
うちと、この子は全く関係ありません。
よその子です。」
と、とにかくA君の真ん前でよその子を連発し、集まってきた近所の人達は唖然としたそうです。
そしてちょっと前、B家の前に引っ越し屋のトラックが止まっているのを見た母が、Bさんに、
「 あら、お引っ越しですか?」
と声をかけると、Bさんが長話を始めた。
それが上記のA君を押しつけられた親族会議の話で、母は正直、
“ 親しくもない私に、何でそんな込み入った話をするのかしら?”
と思ったそうです。
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