日々の恐怖 8月1日 伯母
去年の夏、伯母から聞いた話です。
伯母の家の近所に、Aさん、Bさんというおばあちゃんが住んでいた。
2人はとても仲がよく、AさんはしょっちゅうBさん宅に遊びに行っていた。
ところがある日、Aさんが病気で急死してしまった。
葬式も終ったある日の夜、Bさんちの玄関チャイムが鳴ったので応対に出たが、誰もいない。
家の周りは田んぼなので、誰かいたらすぐわかるが、見回しても誰もいない。
よく考えるとその時間は、よくAさんが遊びに来てた時間だった。
それから毎日、その時間になるとチャイムが鳴る。
段々怖くなって、チャイムが鳴っても応対せず、玄関のドアを開けることもしなくなった。
すると今度は、家の中を誰かが歩きはじめた。
廊下をギィィ、ギィィとゆっくり歩くその足音は、生前のAさんのそれと同じだった。
Bさんは心の中で必死で、
“ あんたはもう死んだんよ、ここに来たらイカンのよ・”
と祈ったが、全く効き目がない。
それどころか、Aさんが可愛がっていた猫までが、Bさん宅に入り浸るようになり、いつもAさんが座っていた場所で丸くなっている。
この話をBさんから直接聞いた伯母曰く、
「 Bさんの顔ね、なんか変なんよ。
こわばってて、生気がないっていうか、なんかどよんとしてて、何とも言えん変な顔になってるんよ。
私は幽霊なんか信じてないけど、それでもBさん見たときは、この人ヤバいなって思ったよ。
何かに憑かれてる人って、ああいう顔になるんやねぇ・・・。」
その後Bさんがどうなったのか聞いてみたが、
「 さぁ・・?
ここ半年くらい会ってないからわからんわ。
生きてはおるみたいやけど・・・。」
とのことでした。
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