狸小路も女の子もお揚げ婆さんも、そう簡単には諦めないだろう。
狸小路と女の子とお揚げ婆さんは、俺に“諦めろ!”と三人並んでVサインをして見せる。
黒い影はその前で右へ左へ、ヘラヘラと揺れている。
“ くそ~っ、いい加減にしろよなァ~。
碌でもないイメージしか浮かんで来ない!
そうだ、もっと楽しいことを考えよう!”
俺はクラス新聞の原稿を作って遅くなった帰り、由紀ちゃんと駅前でハンバーガーを買って、川の土手を食べながら歩いて帰ったことを思い出した。
“ あれって、デートだったのかなァ~。”
俺はちょっと幸せな気分になった。
“ ムフフフフフ!”
俺と由紀ちゃんが、夕方の土手をハンバーガーを齧りながら二人並んで歩く。
夕日に照らされて、二つの影が土手の道に長く伸びる。
向こうからジョギングの兄ちゃんが走って来て、一瞬のハッハッと言う息が聞こえて、瞬間ですれ違う。
俺はハンバーガーを頬張りながら、由紀ちゃんの方を見る。
由紀ちゃんはハンバーガーを両手で持って、かわいい顔でリスのようにモグモグ食べる。
河原からカラスが二羽飛び立つ。
そして、夕日の中を、ガァ~と一声鳴いて飛び去って行く。
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