緑の葉野菜が出てきて,素材の味をそのまま楽しんでください,なんて言われたのに,その葉っぱに塩味が付いていたら,味付けしてるじゃないか!と言いたくなるでしょう。ですが,そんな野菜があるんです。
名前は「アイスプラント」。
バラフとかクリスタルリーフなどとも呼ばれています。
南アフリカ原産の多肉植物,つまり分厚い葉をした植物です。特徴的なのはその塩味ですが,それは葉や茎にビッシリと付いた氷の粒のような,ブラッダーセルというものがその正体。塩分のある土壌にも強く,塩害対策になるとして注目され,栽培が進められています。生食でも食べられますし,加熱しても塩味は残ります。佐賀県を中心に栽培されている,
不思議な新野菜です。
アイスプラントでメタボ対策?
塩気のある食べ物なのにメタボに効く?。
これぞアイスプラントパワーです。アイスプラントには,イノシトールという成分が含まれています。これはビタミンB群と同じような働きをしますが,特に脂肪の代謝を良くし脂肪肝を防ぐ作用から「抗脂肪肝ビタミン」と言われています。また,アイスプラントに含まれているピニトールという成分は,天然のインスリンで,血糖を低くする効果があります。これらの成分によって,メタボの診断基準になっている脂質異常と高血糖を防いでくれると期待できるでしょう。さらに,塩味の原因であるミネラル類の中にはカリウムもあり,ナトリウムを排出してくれることで,高血圧予防にもなります。アイスプラントはまさに「メタボ対策プラント」と言えます。
アイスプラントの栽培について
アイスプラントは,現在佐賀県で栽培がされていて,「プチ」と「菜」を合わせた「プッチーナ」という名前で出荷されています。有明海沿岸の塩害対策として佐賀大学が研究を行ない,地元の農家が栽培を行ない,平成18年から市場へ出回ることになりました。出荷されているのは11月から5月で,栽培をしているのも佐賀全域ではなくほんの一部だけですので,まだまだ馴染みの薄い野菜と言えるかも知れません。そのような状況ですので珍しいですが,種を手に入れて家庭菜園で栽培している人もいます。土にあらかじめ塩を混ぜておくと,塩味がより強く出るそうです。興味のある方は試してみてください。害虫に強い野菜ですので,農薬のことも心配せずに食べられそうです。