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月刊イオがおくる日刊編集後記

アメリカの不当な「2重基準」

2012-05-28 09:00:00 | (里)のブログ
アメリカを筆頭に、日本、韓国などが、朝鮮の「核実験説」云々を持ち出し、問題視している。
朝鮮が2度目の核実験を断行した2009年と同じような状況が作り出されていることは確かだが、そもそもの原因は今回もアメリカ側にある。


アメリカは朝鮮の衛星「光明星-3」号の発射計画が3月に発表されるやいなや、それを理由に2.29朝米合意の核心事項である食糧支援公約の履行を中止することを発表し、衛星発射を「長距離弾道ミサイル発射」と決めつけ「糾弾」する国連安保理議長声明を採択した。
これを「露骨な敵対行為」と見なした朝鮮側は、4月17日に朝鮮外務省声明を発表し、
2.29朝米合意が破棄されたとの見方を示した。

そもそも2.29朝米合意には、朝鮮のウラン濃縮活動や核実験と長距離ミサイル発射の一時停止などの内容が含まれていた。
しかしアメリカの敵対行為によって2.29朝米合意が破棄されてしまった以上、これらの中止措置も解除されることになったといえる。


5月19日、アメリカで開かれたG8首脳会議で、朝鮮の核実験の自制などを求める宣言が採択された。
これに対し朝鮮側は外務省スポークスマンを通じて、「朝鮮の平和的な人工衛星打ち上げと自衛的な核抑制力に対して不当に言いがかりをつけたこと全面排撃する」とし、
朝鮮は初めから平和的な科学技術衛星打ち上げを計画していたため、核実験のような軍事的措置を予定したことはなかった、と「核実験説」を否定した。
それにも関わらず、「核実験説」を持ち出し対決をあおっているアメリカが、引き続き制裁圧迫行動に走るのならば、朝鮮も自衛的な対応措置を取らざるを得ない、と警告した。

2009年に、朝鮮が2度目の核実験を断行したのは、「光明星-2」号の発射を問題視した、アメリカ主導の国連安保理議長声明採択を受けてのことだった。
その時と同じ対決構図が再現されている今、確かに朝鮮が今後再び核実験を行う可能性はゼロとはいえない。
しかし朝鮮の立場はあくまでも、アメリカとの関係において対決と緊張激化という悪循環が繰り返されることは望まないというものだ。
要はアメリカの出方次第という訳で、決して初めから核実験ありきの姿勢ではない。
しかしこのような話はニュースではなかなか伝えられておらず、朝鮮の真意はまったくわい曲されてしまっている。


朝鮮側が問題視しているのは、他の国の人工衛星打ち上げは認める一方で朝鮮に対してはそれを認めないといった、
アメリカによる不当な2重基準だ。
アメリカは今までも、自国の要求に即した身勝手な「2重基準」の適用を、朝鮮に対して強行してきた。
主権尊重と主権平等の原則に基づいた対話と交渉の場であるべき国際機構に対しても、
この2重基準を押し付けてきた。
朝鮮法律家委員会は5月17日に発表した白書の中で、アメリカは朝鮮に対する敵対的観念と政策を国際化するため、国連を悪用していると非難した。
白書によると、米議員上院外交委員会の委員長であったヘルムズはかつて、国連安保理で演説し、
国連が米国の意思に従って改革を行い、「米国の効果的な外交道具」にならなければならず、
米国の国内法が国際法の上にあるため、他国に対する米国の行動は国連の委任が必要なく、
国連は米国の政策に対して意見を発表する権利がないとまで言い放ったという。


アメリカが引き続き、不当な2重基準を適用し続け、朝鮮の自主的かつ合法的権利を剥奪するならば、
朝鮮は今回も何らかの「対応措置」が取らざるを得ないと思う。(里)




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