神戸朝鮮高級学校の高3生徒たちが朝鮮のお土産を空港で没収された事件。その際、総聯中央会館で持たれた記者会見の内容を以前ブログに書きました(日刊イオ「総聯中央が関空税関当局の不当な押収に抗議する記者会見」)。
ブログでは、集まった取材陣の中で唯一とても本質的な質問をしている媒体があり印象的だったと質疑応答の内容をいくつか紹介しましたが、先日そのプロダクションが1本のドキュメンタリー映像を発表しました。
Homegrown Outcasts: North Koreans in Japan
約17分の映像です。製作したのは、ロシア資本でベルリンを拠点に活動している「レッドフィッシュ」というプロダクション。レッドには「共産主義」、フィッシュには「主流とは逆、流れに逆らう魚」という意味が込められており、世界の民族、紛争、弾圧、植民地主義といった西側メディアでは触れない問題に独自の切り口で踏み込んでいるそうです。
「日本人は朝鮮人を嫌う。ちなみに言っておきますけれども、産経新聞という新聞メディアで世論調査をすると、『韓国が嫌いだ』とハッキリ言っている人は9割にも上るんですよ」。序盤の方で、排外主義者の桜井誠氏が登場した時はびっくりしましたが、続けて映像を見ると氏がどれだけ無知で歪んだ人物なのかが如実に分かります。
1世であり歴史学者の白宗元さん、在日本朝鮮留学生同盟の金誠明さん、大学教員の河庚希さん、その他にもパチンコ店や飲食店を営む同胞、朝鮮学校の生徒など、さまざまな人へのインタビューを通して、在日朝鮮人の歴史、置かれた環境を伝えています。ナレーション、字幕など基本はすべて英語ですが、インタビューには日本語や朝鮮語も出てきます。
「一部、学校に『日本が嫌なら朝鮮に帰れ!』という電話がかかってくることもあります」(神戸朝高・許敬校長)
「私の故郷は忠清南道で、」「私も南側の忠清北道に故郷があります」「私は慶尚北道が故郷です」(朝鮮大学校の学生たち)
「在日コリアンにどうしてパチンコの仕事をしている人が多いかというと、戦後まもなく企業に就職することができなかったから。仕事がなかったから、当時、日本人がやりたがらないパチンコとかホルモン(焼肉)の仕事を始めた」(パチンコ店経営・高世宗さん)
「昔はチマチョゴリを着てウリハッキョに通っていたけれど、今は情勢も緊張しているので、チョゴリで通学できなくなったのが寂しい」(東京朝鮮中高級学校の生徒)
「朝鮮人が願うものが二つあります。一つは、絶対にもう二度と、植民地の奴隷としての生活を送らないということ。日帝時代のような植民地生活はしない。もう一つは、戦争をしてはいけない。この二つです」(1世、歴史学者・白宗元さん)
当事者の声をたくさん取り上げています。
プロダクションの取材に同行し、通訳を務めたのは在日朝鮮人の記者さん。ぜひ多くの人に見てもらいたいということで、近日中に日本語字幕版も公開したいと考えているそうです。また、来週火曜日には高校無償化など、民族教育の問題に焦点を当てた続編も公開される予定です。(理)