小説の感想です。
『ドリームバスター3』(宮部みゆき著、徳間書店)
宮部みゆきさんのSF中篇連作シリーズ第3弾です。SFJAPANか何かに連載されているようなので、それが溜まったら刊行されるようなんですが、年1冊くらいのペースのため、結構忘れている自分がいます。一昨日の晩御飯もアレなのに半年以上前のことなんてそんな。まあ、読んでいるうちになんとなく思い出すんですが。
地球ではない別世界<テーラ>では、意識を肉体から切り離し、自在に保管、移動する「プロジェクト・ナイトメア」という実験が行われていた。
ところがいよいよ実験も佳境に入った時、システムの暴走により大事故が起きる。
実験台となっていた死刑囚50名(の意識)は、そのときを幸いと様々な方向へ逃げ散る。のちの調査で、意識だけの存在の彼らは、別世界へと逃げたことが判明する。その別世界、すなわち地球で、死刑囚たちは波長の合う人間の意識の内側に宿り、潜伏を試みる。
そんな死刑囚たちを追う賞金稼ぎは「ドリーム・バスター」と呼ばれ、彼らは死刑囚の捕獲のために夢という形で死刑囚の宿った人間と接触し、可能な限り地球の人間に危害を与えないよう死刑囚を捕獲するのを生業としていた。
指名手配中の死刑囚の中でもひときわ凶悪とされる「血まみれローズ」の息子のシェンは、ドリームバスターとして育ち、いつか母親を捕縛することを生きる目的としている。
シェンと、師匠で相棒のマエストロは、今日も死刑囚を求めて担当区域を探索するが・・・?
というような話。
SF初心者でも抵抗なく入っていける、読みやすい作品かと思います。主人公シェンが口は悪いけど気は優しいあたり、アレ、これ江戸モノだっけ?とか思ってしまいます(笑)。宮部さんはやっぱり上手いですね。
この「3」ではシェンの母親「血まみれローズ」の詳細がわかりそう・・・? というところで終わっています。イケズです。他にも色々な伏線がちょっとずつ進行してはいるんですが、どれもまだ大きな動きはないまま。ああ、この状態でまた半年とか待たされるのか。うう。
でも3ではシェンとマエストロの家に新たな住人としてカーリンという少女が加わり、ちょっと楽しくなってまいりましたよ。カーリンの訛った口調とシェンの江戸っ子みたいな口調での口喧嘩は微笑ましいです。最終的にシェンが負けてるっぽいのもいいな(笑)。
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