透明な気圏の中から

日々の生活の中で感じたこと、好きな作家についての思いなどを書いてみたいと思います。

「光でできたパイプオルガン」

2018-12-21 22:06:14 | 日記

晴れ。最低気温-7.1℃、最高気温1.0℃。

今日は義母、義妹と家人の運転で義父のところへ顔を出してきました。義父は入浴後で、にこやかに出迎えてくれました。

帰りの車窓からは、雲間から線状の美しい光の束が射しこんでいるのが見えました。 

この気象現象を「薄明光線」というのだそうで、他に、「天使のはしご」「天使の階段」「ゴッドレイ」「レンブラント光線」など様々な呼び名があるとのことです。

宮沢賢治は『春と修羅 第二集』に収められている「告別」の中で「光でできたパイプオルガン」と表現しています。

何ともぴったりの表現だと納得させられました。


 

長編の詩の一部を引用しました。

「三八四 告別」

ー略ー

よくきいてくれ
ひとりのやさしい娘をおもふやうになるそのとき
おまへに無数の影と光の像があらはれる
おまへはそれを音にするのだ
みんなが町で暮らしたり
一日あそんでゐるときに
おまへはひとりであの石原の草を刈る
そのさびしさでおまへは音をつくるのだ
多くの侮辱や窮乏の
それらを噛んで歌ふのだ
もしも楽器がなかったら
いゝかおまへはおれの弟子なのだ
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光でできたパイプオルガンを弾くがいゝ

『心象スケッチ 春と修羅 第二集』(『ちくま文庫 宮沢賢治全集Ⅰ』所収)

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