60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

それぞれの花見

2014年04月11日 08時20分40秒 | Weblog
 先週の水彩画教室では季節がら桜を描くことにした。私の描いている絵を見て、先生と生徒たちが、それぞれの花見のベスト・シチュエーション、ワースト・シチュエーションを語リ始めた。その中でワーストとして上がったのが、大勢の人が集まるところでブルーシートを敷いて宴会をしているところ、企業名や個人名を書いたピンクの提灯がずらりとぶら下がっているところ、痛々しいほど枝が切られた老木が多いところ、などがあった。上の写真は上野公園である。大勢の人が集まって弁当を広げ、宴会が始まっている。その脇を人がぞろぞろと歩いて、雑踏の中の花見である。都内の桜の名所は大勢の人が楽しみむ場所である。だからそんな場所での宴会は禁止にすべきだと思う。酒盛りがしたければ、企業であれば私有地の桜、仲間や家族であれば、近隣にある神社仏閣や公園の桜のある場所でやればいい。彼らにとっては桜などどうでもよく、花見を理由に酒を飲みたいだけなのだから。

 教室の生徒さんの一人は埼玉県の飯能市に住んでいる。彼女の家の前は入間川(名栗川)が流れていて、20年以上前に住宅地が整備され、その時に川の土手に桜が植えられたそうである。始めは桜の間隔も間延びしてサマにならなかったが、今ではすっかり樹も大きくなって立派な桜並木になっている。しかし市内には桜で有名なところもあり、この桜並木は近隣の人が通るだけで、全く注目されていない。しかし彼女にとっては、そんな静かな桜並木を、自分の2階の部屋からぼんやりと眺めている。そんな時間が至福の時なのだそうである。

 私もどちらかといえば、桜と静かに向き合いたい方である。だから人が大勢いると気が散って邪魔である。私の好きな花見のベスト・シチュエーションは、春うららの中、桜並木をゆっくりと散歩するとき、自在に枝を伸ばした大きな老木の桜を見上げるとき、池や川や空などに桜のピンク色が映えた景色を見るとき、こんな花見が好きである。春を感じ、温かさを感じ、華やかさを感じ、落ち着きを感じ、そんな空間を見つけて、いつまでも浸っていたいと思うのである。

 生徒さんの一人が言っていた飯能の桜、我が家から飯能までは電車で20分なので、先週の土曜日に行ってみた。飯能駅から歩いて20分ほどのところに、それと思われる桜並木があった(下の写真)。広い川原にも並木の歩道にも、ほとんど人が見当たらない。上野公園の花見風景と比べれば雲泥の差である。空は広く伸びやかで、桜の木々が春のこの一瞬を謳歌し、咲き誇っているようである。この桜並木から入間川沿いに歩いて元加治駅へ、そこから電車で私のお気に入りの桜のスポットの高麗に行った。今年の花見はこの1日だけだったが、人が少なかっただけ、桜を堪能したように思える。


      
                    飯能市 入間川沿いの桜並木

      
                  歩道にも花見をする人はほとんどいない

               
              やっと一組の夫婦、仲良くみたらし団子を食べていた

      
                     元加治駅付近の入間川

      


      
    今の桜は、子供の頃より白くなったように思う。たまたま歩いていて1本の桜の樹で
    枝によって花びらの色が違うものを見つけた。先祖帰りしたのだろうか? 奥の花の
    色に比べ手前の花の方が僅かに濃い。手前の色が昔見た桜の色のように思える。

          
                          高麗駅

      
               高麗の巾着田の桜 私のお気に入りのスポット
              歩きながら森山直太郎の「さくら」を口ずさみたくなる

      
                   巾着田の桜 人が少ないのが良い

          


      


      


      


      
                    我が家の近くにある弁天池

※先週の水彩画教室で描いた桜