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60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

グローバル化

2011年12月09日 17時30分37秒 | Weblog
先週、会社にたどたどしい日本語で電話がかかってきた。多分中国人だろうと思う。聞き慣れない
言葉使いで話されると一瞬緊張するものである。相手は「デル」と名乗る。間違い電話かそれとも
何かの売り込みかと思ってじっと聞くと、今使っているパソコンの保守についてのことだと判った。
「お使いのパソコンの5年間保守契約が12月6日で終了します。ついては延長契約しますか?」
という案内である。話の最後に、今使っているパソコンに故障が有るようであれば12月6日までに、
0120-の方へ電話してくれということであった。

デルは本来直販専門会社であるが、5年前たまたま家電量販店でデルのデモンストレーションを
やっていた時に買った。この商品を選んだ動機は国内同種製品より圧倒的に安かったからである。
当時はウインドウズ「ビスタ」が主体だったが、会社で使うには「XP」の方が使い勝手が良いので
オプションで切り替えてもらった。商品の案内書にホームページのURLがあり、そこに発注番号を
打つと自分の購入したパソコンの納品スケジュールが分るようになっている。中国で組み立てられ
輸出されて横浜へ入港する。そこから配送センター経由で、会社まで宅配する仕組みになっている。
そしてその一部始終がリアルタイムで分るようになっていた。購入から1週間、PCは中国から私の
手元に届いた。グローバルな仕組み、さすがは世界中を相手に商売をしている会社だと感心した。

購入して2年ぐらいした頃、DVDドライブにCDを入れても、パソコンに読み込まなくなってしまった。
「デル」は修理を相談する窓口の実態(購入店)が無いから、インターネットか電話での対応になる。
以前、他社製品でメーカーに電話で問い合わせたが、音声案内で誘導され担当部署に行っても
「もう少しお待ちください」のアナウンスが流れるだけで、なかなかつながらなかった経験が有る。
当面新しいソフトのインストールの必要もなく、楽曲の取り込みも古いパソコンで用が足りるから、
DVDドライブが使えないことで特に支障はない。外国企業という不慣れ、手続きの面倒さを思うと、
結局、「安いから仕方が無いか」と思い、修理することは諦めてしまっていた。

電話を受けるまで保守契約していたことも忘れていたが、「折角だから試しで一度電話してみよう」
そう思って0120- へ電話を掛けてみる。やはり音声案内で、要件ごとに番号を選択させられる。
やっと修理の部署の受話器が鳴った。電話に出てきたのは、やはりたどたどしい日本語をしゃべる
中国人(?)である。PC本体に貼ってあるタグナンバーを聞かれ、それからPCの故障内容を話す。
こちらの内容を聞き取った担当者は、「では故障確認の為に購入時に付いていたドライバーCDを
挿入してください」と言う。「5年も経過していてそれがどこにあるか、探すのは困難だ」、と話すと、
しばらく間があって、「では、PCを工場に送って点検修理ということになりますが、良いでしょうか」
と聞かれる。PCが戻ってくるまでインターネットにアクセスできず、メールも見られないことになる。
「そうしなければ修理出来ないのであれば、新しいPCに買い替えるから、修理することは諦める」
そう答えてみた。「しばらく待ってください」と言われて、今度は30秒以上も間が空いた。それから、
「出張修理します」、と言う答えが帰ってきた。「修理部署と調整して本日中に日程を連絡します」
ということで一端電話は終わった。

その後、「明後日PM4:00でどうでしょうか?」、と問い合わせがあって、OKすると当日9:00に
交換部品が届くから受け取ってれと言われる。当日朝9:00ピッタリに部品が届き、しばらくして
修理担当者から電話で本日午後4:00に修理に行く旨の確認が入る。そしてまたピッタリ4時に
修理担当者が来てくれる。1時間弱で部品の交換を終え、報告書を記入してこちらの捺印を貰う。
帰り際に、この古い部品は明日引き取り便が来るから、渡してほしいと要請をして帰っていった。
報告書の控えを見ると、修理に来たのはデルから委託業務を受けている国内の通信システムの
会社である。一連の修理作業全てがマニュアル通りに動いているという感じである。翌日、再び
たどたどしい日本語の中国人から電話が入ってきた。先回の人と違うようで、文章をマル読みして
いる感じである。「修理はちゃんと行われましたか?使ってみて何か不都合はございませんか?
今後とも何かトラブルがありましたら電話ください」、ほとんどマニュアルの棒読みであった。

「なぜ何時も中国人なんだろう?」、そんな疑問が湧いてきた。「ひょっとしたら、中国から電話して
いたのではないだろうか?」、一端疑問が湧くと確認したい性格である。ディスプレーに残っていた
044-から始まる電話番号に折り返しの電話をかけてみた。「こちらはデル株式会社でございます。
この電話は発信専用回線になりますため、お繋ぎすることができません。・・・・・・」という日本人の
声の録音テープであった。たぶんサービスセンターが中国にあり、そこから電話しているのであろう。
日本に暮らす中国人であればボキャブラリーは多少不足しても、もう少し馴染みがあるように思う。
今回話した全ての中国人は、学校で覚えたばかりの堅い日本語のように聞こえた。しかしどんなに
ぶっきら棒で愛想がなくても、スピーディに修理してもらえることに勝るものはない。

先日新聞でデルの商品広告を見ていたら、右隅に、「デルは出張修理が基本です」、と書いてあり、
翌営業日出張修理サービス可、ということも書いてあったように思う。今やパソコンが無いと仕事が
成り立たない時代、中小零細や個人にとってPCなどのOA機器の保守管理はアキレス腱のような
もので、一端トラぶってしまうと大騒ぎになる。NECや富士通など国内メーカーは全て家電量販店
経由の間接販売である。だから不具合が発生したら購入窓口に相談することになる。結局販売店
では修理出来ないから、メーカーの修理工場に持ち込んで何日もかかってしまう。出張依頼すると
出張料金を取られ何万円もかかるようである。HP(ヒューレットパッカー)やDell(デル)が、国内で
徐々にシェアーを上げているのは価格だけではなく、修理などのサービス面が安価で充実したもの
になって来たからではないだろうか。


今スマートフォンが話題になっている。iPhoneのアップル、Andoroidoのグーグルが世界を席巻
しようとしている。メーカーも韓国のサムスンがトップを切っている。私は2年半前に、スマートフォン
に切り替えた。ドコモがスマートフォンを出したばかりの機種である。この機種は台湾のhTcと言う
会社製である。hTcはスマートフォンではサムスン、LG電子の韓国勢に次いで3位のシェアーを
持っているようだ。仕組みはアメリカが考え、製品は韓国、中国、東南アジアが担っていく、次第に
そんな傾向になるつつある。

携帯をスマートフォンに切り替えたとき、アドレスも@docomo.ne.jpから @gmail.comへ切り替えた。
私の携帯をiモードの世界からインターネット世界に移行したことになる。それ以来、携帯メールの
やり取りも全てアメリカのグーグル経由になっている。隣の人への携帯メールもアメリカ経由で行く
ことになる。そして今まで2年半のやり取りは全てグーグルのサーバーに保存されている。だから
相手の名前を入れ検索すれば立ちどころに過去のメールが呼び出せる。これがインターネットの
世界であり、グローバル化の基軸になっているのである。便利な世界ではあるが、一面怖い世界
でもある。私の個人の情報がアメリカの会社のサーバーに保管されているのであるから。

今、経済的なことで世界中でしのぎを削っている。少しでも力が無くなるとアッと言う間に席巻され
てしまう時代である。まさしく国家や地域の境界を越えて地球規模で事象が動くようになったから
であろう。今はその過渡期で、TPPを初めとしてあらゆる分野で、あらゆるところで、問題が発生し
始めている。しかしどんなにギクシャクしても、この流れは止めようがないのだろう。だから今からは
文化的なものなど国として個人として守るべきものだけはしっかりの守って行き、後はグローバル化
の中で立ち向かって行くしかないように思うのである。