花浄土鹿児島

鹿児島の花や風景、祭りなどを巡るブログです。
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寒さ和らぐ吹上浜 恵比寿さんに地引網を思い出す 2015/01/05 (鹿児島)

2015-01-06 16:53:58 | 思い出
鹿児島では珍しく元日に雪が降りましたが、4日には寒さが緩みました。
5日は砂山の恵比寿さんに米、塩、焼酎を供えて感謝、健康と豊漁を祈ってきました。

恵比寿さんと海神様


右側の恵比寿さんの台座には昭和19年の文字が見えます。私が幼い頃は60m程度北側にあったと記憶しています。以前置かれていた場所は造成されて豪華な別荘ができています。

昭和30年代、吹上浜沿岸では地引網が盛んに行われていました。肥料にするほどイワシが大漁だったそうです。高度経済成長期前の地引網は半農半漁の近隣住民にとって自給自足生活そのものでした。数集落ごとに地引網をしていて、旧日置村では6箇所ほどありました。およそ60人ほどで網を引いていました。船は大きな櫓を6本ほど備えており、網は細かい雑魚網、網目の大きいもの、さらには沖合いに綱を伸ばす鯛網もありました。

鯛網は春先の早朝沖合いに綱を伸ばし、綱に魚脅しの白い木の棒が付けられていました。記憶はあいまいですが、綱は数キロメートルで途中に樽の浮きがあり先端部に袋網がついていました。船の上から長い木の棒で網の外側海面を叩く様子を覚えています。半日以上かけて鯛網を引くため浜には弁当が届けられました。桜島の見える沖合いまで船を漕ぎ出すと聞くものでした。

当時の吹上浜日置地区ではポンポン船による小規模漁業と沿岸住民の地引網が共存していました。まだチリメン漁がなかったので、小魚が豊富で雑魚を追っているブリなどの大きな魚も入りました。煮干(イリコ)つくりは個人ごとに行い、青年舎(せいねんしゃ)と呼ばれていた集会所に製品を持寄って袋詰め出荷していました。

見晴らしは悪いが海は穏やか


昭和40年代後半にはバッチ網と言われるチリメン漁が吹上浜でも始まり、大きな魚の餌になるごく小さなチリメンをとるため地引網の漁獲量は次第に減少しました。高齢化や公共事業拡大により地引網従事者も減少し、大きな船を使った地引網は急激に衰退しました。

その後も平成初期までは十数人程度の小さな地引網が数箇所で続きましたが、生活をかけるほどではなく元気な高齢者の生きがいのようなものでした。網元の小さな伝馬船を利用し、小型船外機も使っていました。キス網や沖合いに出てイカ漁などする人もあり、ここには小型機械を使った船揚場が作られ小船が10隻程度いました。

ごく弱い南西風で静かな海


昭和50年代、公共事業による防災工事が進み河川堤防や道路法面、急傾斜面などがコンクリートに覆われ河川への土砂流入は減少しました。沖合いでは公共事業用に大量の海砂が採取されたことも砂浜が細る原因と言われています。

吹上浜では日置市東市来町江口地区で海砂の流出が顕著になり、日置地区でも天神ケ尾(てんじがお)キャンプ場北側で護岸工事が行われました。幅が細くなった砂浜は急傾斜になり小船を引き上げることができず、船揚場は撤去されました。1隻だけ残った地引網の小船も今はありません。

昔の浜の賑わいを唯一しのぶものが、ここの恵比寿さんです。今や過疎化が著しい古里ですが、砂山に立つと昔の思い出がよみがえり懐かしさで一杯です。

打ち寄せた貝殻


穏やかな砂模様


風で削られた砂浜


砂浜の拡大画像


夏にはキス釣りや潮干狩りを楽しめる吹上浜も冬は北西の季節風が吹き付けて荒れる日が多く、海辺に近づく人はわずかです。雨や雪を伴った暴風のため砂山は削られています。強風だけであれば砂山にきれいな砂紋が現れます。

砂浜から戻って民家周辺の景色を見てみましょう。

黒く傷んだトベラの実


ナルトサワギク


ヤツデ 実がふくらみ始めています


焼芋にやってきた小鳥 左右とも同じ枝先を角度を変えて撮影


ナルトサワギクが一段と増えています。四季を通じて花を咲かせ、綿毛に乗って種が拡散します。真冬でもこのとおり花を咲かせています。数年後にはセイタカアワダチソウのように、砂丘の風景を変えるほど増殖するのではないでしょうか。

梅の枝に焼芋を置いたところ、さっそくメジロがやって来ました。次には大きめの鳥も来ましたが足場が悪いようですぐにいなくなりました。人影があると近づかないようです。11月に種を蒔いたエンドウ豆、ソラマメは冬の寒さに耐えています。頑張れよ!

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