「モロッコ」編を再開します。
2008年11月19日でモロッコにユダヤ人(イスラエル人)の観光客が多いことを紹介しましたが、それには歴史的経緯があります。「中世から現代に至るイスラーム地域のなかでユダヤ教徒が最も重要な役割を果たしたのはモロッコで、アラブ・イスラエル紛争の始まる前の20世紀の半ばまで多数のユダヤ教徒が居住し、今日でもアラブ諸国で最大のユダヤ教徒人口(推定2万人)(注)を抱えている」(岩波講座世界歴史10 マグリブ中世社会のユダヤ教徒 私市正年論文p97)
(注)
私市論文(1999年)によれば1948年28万5千人、1974年2万人ですが、2007年版の”lonely planet”によれば1万人~8千人とあります。この数字を現地ガイドに見せたところ現在はもっと少ないと話してくれました。その殆どはイスラエルへの移住でたぶん観光客の大多数は故郷?モロッコを懐かしんでのものと考えられます。 このように現在モロッコ(に限らず)のユダヤ人人口は激減しています。(注)
(注)
たとえば、lonely planet(2000年版)ではウズベキスタンのブハラではユダヤ人居住者5000人とありましたが私が2005年に訪ねたときには600人と激減しており(ブログ2005年12月9日)、その後2007年6月のNHKの放映では150人なっていました。(ブログ2007年6月20日)
今回の旅行ではフェズ、マラケシュ、エルジャディーラの3都市でユダヤ人ゆかりの地を訪れました。この写真はフェズの旧ユダヤ人区で現在は殆ど住んでいないようです。このようなユダヤ人区はモロッコではメラーと呼ばれています。日本語にもなっているゲットーと同じものです。メラーというのはアラビア語で塩を意味します。ユダヤ人がサハラからの交易品塩を取り扱っていたことに由来しているといわれています。フェズのメラーがモロッコでは最も古いとされています。