2021.06.03撮影
計算で行くと、西アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos hesperis)の子ガラスは、バンクーバーあたりでは、5月の終わりごろ巣立ちします。
冒頭画像のカラスさんたちは、一方が大人のカラスで、他方が子ガラスです。
この画像では、子ガラスが、赤い口の中をわずかに見せています。右のカラスさんが、その口の中の赤い子ガラスです。
この子ガラスは、わたしがこの画像を撮影するしばらく前まで、左側にいる大人のカラスに向かって、エサをねだっていました。この大人のカラスは、親鳥かもしれないし、年上の兄弟かもしれません。
でも、くれないので、むなしく不平を赤ちゃん言葉で言っているところです。子ガラスの鳴き声は、大人の鳴き声よりやや高く細いです。アメリカガラスの鳴き声は、一般に「ガー」みたいなものですが、子ガラスは「アー」みたいに鳴きます。
この、カラスさんたちの止まっている木は、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)です。このモミジバフウについては、数度書きました。そのうちのひとつは、次の記事。
このモミジバフウは、かなり太い幹で、その幹からは、水平に出ている裸の枝が数本あります。カラスさんたちが何度もとまって、表面がはげちゃった枝です。
上の画像には、そのうちの2本が写っています。これらの枝は、木の伐採業者に入ってもらったときに、わたしが、切り取らないように頼んで残しておいてもらいました。なぜ残しておいてもらったか、と言うと、うちのあたりをナワバリとするカラスの家族が、集まって団欒するからです。
その団欒する場所に、子ガラスが家族の他のメンバーととまっているのは、成長の証だと思いました。
2021.06.03撮影
上の画像は、もう寝る準備を始めている時間です。明るく見えますが、それは、やや西陽に向かってカメラを向けているからです。
巣立った子ガラスは、夜、寝るとき、みんながバラバラの場所でひとりで身を隠して寝ます。その方が「分散」できていて、安全、ということでしょう。全員一度にやられるより。
親鳥が「点呼」をしているようにあちこちを飛び回っているのは見たことがありますが、それが実際に、子どもたちが寝る場所を確かめていたのかどうかは、分かりません。
この子ガラスは、まだまだ場所を物色しているところ。わたしは、このような子ガラスを見つけると、時間があれば観察を続けます。すると、そのうちしっかりと隠れるのです。でも、わたしには大体どこにいるかわかっているので、木の枝の間から子ガラスを認めることができます。そして、暗くなるにつれて、子ガラスの姿も闇に紛れてしまいます。
ただ、目の前に木があって、例えそこに子ガラスが潜んでいても、それを探し出すのは難しいです。
子ガラスが、うちの敷地内や、うちから見えるところで寝てくれると、うれしく感じます。うちのカラスちゃん、と情が移ります。
2021.06.09撮影
これは、子ガラスが、同じモミジバフウの木の高いところで、ひとりでいるところ。それを、切り取りではなく、大写しにしたのが、下の画像。クチバシの脇が赤いのが見えます。足を使ってすくっとは立っていないので、休憩中だと思われます。体型が幼いですね。
2021.06.09撮影
さあ、上の写真から、1ヶ月が経ちました。次の画像をご覧ください。
わたしは、カラスさんたちにエサをやるのですが(実は、ここ半年ほどはしていないけど)、普通は、玄関を出たところに、古くなったお米とか他の穀物類とかクラッカーとかをばらまきます。下の画像では、米粒が写っているのですが、見えますか。
この米粒を、大人のカラスは器用にクチバシで拾うんですね。
この画像には、2羽のカラスさんが写っています。右側のカラスさんは大人のカラスです。うつむいている姿のシッポの方は、白い(きたない)柱に隠れています。左側のカラスさんが、子ガラスさんです。
この子ガラスさんが、大人のカラスさんに、エサを求めています。翼をこのように広げるのは、食べ物ください、のジェスチャーです。
実は、子ガラスは、前にも述べましたが、小さいうちは自分ではエサが目の前にあっても拾えないのです。でも、ここまで成長すると、拾えるんですよ。でも、やっぱり筋肉を操るのは大変なんでしょうか、あるいは、甘えているだけ? 大人のカラスさんがいたら、とにかく、ねだります。
この大人のカラスさんは、子ガラスさんを、無視。
2021.07.08撮影
次の画像は、それから10日経って。この木は例のモミジバフウで、ここはカラス家族のリビングみたいなものです。そこで、大人のカラスさんは、子どものカラスさんを、完全無視。でも、子ガラスさんも、そろそろ、現実を受け入れかけているようです。
2021.07.18撮影
ここまで成長すると、大人のカラスと、子どものカラスとの追いかけっこが始まります。子どもが大人にエサをねだるのですが、大人は素知らぬ顔をして飛び立ってしまうのです。すると、子ガラスがそれを、即、追いかけていく。
まあ、それはいいことだ。大人について飛べるだけの力がついたということですから。
この大人たちの行為は、子ガラスたちに自分でご飯を探して食べるように促すだけでなく、飛行力をつけさせる効果がある。実際、このような追いかけっこが始まっても、大人は、時々、子どもに食べさせていますもん。
でも、口の中が黒くなったら、もうエサはくれない。
そうすると、本格的に大人のカラスが「もういい加減にして〜〜」という感じで逃げます。そういう解釈は、想像のしすぎかもしれないけど。