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イチジクと、イタリア人のおじいちゃまとの思い出

2022年08月21日 12時53分17秒 | 果物、実、タネ
2022.08.19撮影

わたしの庭(カナダ西海岸、バンクーバー)で、今年初のイチジク(イチジク属 Ficus)が実りました。例年より遅いです。おととい気づいて、昨日、取り入れる直前に、脚立に登って撮影しました。

ひとつではなあ、もうひとつあればおやつになるなあ、と思って見渡すと、もうひとつありました。これは、先のほど熟れていないけど、お腹の事情で、これも摘み取ることにしました。

2022.08.19撮影

摘み取ったのはいいけれど、考えましたね。お腹に素直に従うべきか、あるいは、今から冷蔵庫に入れて冷やし、後でもっと美味しくしていただくか・・・今回は理性が働き、このイチジクふたつは、朝食の一部ではなく、午後のおやつになりました。わたしの独り占めで。

バンクーバーにはイタリア系移民とその子孫がかなりいて、イチジクの植わっている家は、と言えば、イタリア系が多いです。あるいは、中国系。イタリア人は、祖国でイチジクを食べているのだと思います。中国系の人々は、野菜づくり、果物づくり、など、とにかく食糧生産に励む人が多いです。

イチジクは、この辺りでは、主に2種類育てられていて、果実の色で区別して、一方は「緑の」、もう一方は「茶色の」とか「茶紫色の」とか「紫色の」とか、呼ばれます。イチジクの原産地(地中海沿岸、アジア西部、など)から比べて寒いバンクーバーの気候に合っているのが、結果的にこの2種類だったのかもしれません。バンクーバーの人々は、イチジクを食べる人なら、たいていは、「茶紫の」方が美味しいと言います。


明言はできないのですが、「緑の」方は、紀元前1世紀にはすでにローマに存在した園芸種の Ficus carica 'Kadota' のようです。「茶紫の」方は、Ficus carica 'Brown Turkey' 。果実の外皮の黒いと言っていいぐらいの Ficus carica 'Mission' ではないようです。ちなみに、世界でイチジクの生産量の一番高いのは、トルコ(英名 Turkey)です。


わたしのうちのすぐご近所に、イチジクを大量に育てていたイタリア人のおじいちゃまがいたんですが、その人が亡くなる前には、そのおじいちゃまからよくイチジクをいただいたんです。取手付きのでっかいアイスクリームの空き容器に入れて、「緑の」と「茶紫の」とを取り混ぜて持ってきてくれたものです。たまには、そのあまり美味しくない、と言われる「緑の」しかなくて、おじいちゃまの方が恐縮しながらイチジクをくださいました。大きな粒のブドウも、時期になるとくれました。

そのおじいちゃまが亡くなる数年前、「まだ歩けるんだ、ゆっくりだけど。」と言って、イチジクの枝(1メートル近い)を数本切って、うちに持ってきてくれて、挿木にしてあげる、って。わたしは、内心、えと・・・「茶紫の」方をくれているんですか、と思いましたが、おじいちゃまがわたしに良かれと思ってしてくれていることなので、「茶紫の」であると信じる理由はあっても、疑う理由はない、と思いました。

その挿木(というか、「挿枝」という感じ)は、斜めに土に押し込むのです。挿したのは、全て根付きました。今では、3メートルの、収穫に脚立の必要な木になりました。

うちのイチジクは、木自体が成長したから実がよくつくようになっただけ、とも言えますが、食べられるまで熟す実の数は、確実に増えているんです。これは、地球温暖化のためもあると思います。気温の高めの日が続くと、実がどんどん熟れます。

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