電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

アン・ホイTV作品3

2009-10-27 16:38:16 | Weblog
アン・ホイTV作品1,2は政府の機関である廉政公署が製作でしたので、非常に社会的な問題定義をテーマにしていますが、アン・ホイTV作品3は香港電台時代の作品である「獅子山下」(78)3作品の上映です。これは当時の新聞で取り上げられた事件の社会的な問題をとらえたもので、その後のアン・ホイ作品の原点に近いテーマを取り上げています。
1本目の「来客(ベトナムから来た少年)」は、「北斗星」の阿詩にちょっとテーマが似ていますが、ベトナムから香港へ従兄をたよって不法入国した少年が、香港の街の中で生きる厳しさとベトナム戦争の記憶を交差させながら今を見つめる内容です。この作品は彼女の日本初公開作品になった『望郷』のベースとなっていると言われています。
2本目の「橋」は、政府当局によって取り外されそうになっている橋をめぐって、道路の向こう側に住む住民たちを取材するイギリス人記者の話です。この作品にはツイ・ハークの奥さんのナンサン・シーが民生局の地区長役で俳優として登場するのですが、今とあんまり変わらないのでびっくり。ただ衣装があまりにも派手でそこにもびっくりでしたが。それとクリフトン・コーも俳優として出ていました。
3本目の「路」は、いわゆる麻薬依存の患者を収容する施設の話で、そこの女性担当者と入所した老婆、そしてその娘の話に、ギャンブル好きの両親に金ばかり言われるクラブで働く娘が同僚のすすめで大麻にはまり、弟が麻薬の売人として警察に捕まったことで薬絶ちを決心するまでを描いています。ここでは老婆の娘役ドゥドゥ・チャンが演じているのですが、名前のクレジットが出るまで気がつきませんでした。なにせ顔が今と違うんです。ノーメークというか派手な化粧をしていないからですかね。
この3本はアン・ホイ作品の今を知る貴重な作品の数々で勉強になりました。それとこれらにかかわった俳優やスタッフの名前を見ていると、香港ニューウェーブ派の関係がわかる貴重な時代の作品でもあったわけです。