心が技術を鍛え、その鍛えた技術が、心をさらに高みへと押し上げる・・・。
そんなことを感じた一夜。
福岡・赤坂のなじみのバーの1階にあるライブハウス「DREAM BOAT」。
ふと見ると店先の黒板に「吉川忠英Live」と。
吉川忠英。シンガー・ソングライターにして、スタジオ・ミュージシャン、アレンジャーなどの幅広い活動の中で、
中島みゆき、松任谷由実、Chageなど多くのミュージシャンの作品に深く関わる。
特筆すべきは、その超絶ギターテク。特にアコギ(アコースティック・ギター)の技術は、
「小さなオーケストラ」そのもの。私のごとき「万年初心者」には、神様的存在。
まあ、「知る人ぞ知る」存在ですな。
「チューエイさんのテクをナマで観られる!聴ける!」とあっては、
なじみのバーで飲んどる場合ではないでしょう(ママごめん!)!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/82/07734d8fcbee3ed19aee52882a7c7ded.jpg)
満席の店内で始まったライブ。軽妙なトークも交え、奏でられる音色と歌声に酔いしれた
・・・のは当然で。
だけど。
お客さんの中にひとり、80代半ばのご老人が。
その方とチューエイさんは、豪華客船「飛鳥」で出会ったと。
その方は、本当はご夫婦での船旅を予定してたのだけど、
その前に奥様はお亡くなりになり、おひとりで乗船されたのだと。
旅の途中、船の中でチューエイさんのライブを聴いた後、チューエイさんを訪ね、
その方は一枚の手書きの楽譜を手に、「これ、あんたに演って貰えんだろうか」と。
その曲は、サイクリングの楽しさを歌ったものだった。
きっと、奥様と一緒に野に、山に風を切って・・・心弾むうれしさがあふれた歌だった・・・。
トークの途中で思わず声を詰まらせるチューエイさん。
「じゃ、次の曲に・・・」と、インストルメンタルを奏でながら、
しきりに鼻をすするチューエイさん。その音を、マイクが拾う。
せっかくの超絶テクが、台無しやん!
でも・・・
その日のライブで、一番心を打った曲であり、演奏だった。
心優しきギタリストに、乾杯!