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島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

騒音や、ああ騒音や、騒音や

2008-12-07 22:21:18 | クルマ社会の問題
 昼なお暗き樹林の写真と鮮やかな紅葉を池の水面に写すあでやかな日本庭園の写真と上のけたたましい表題とはどうにもイメージが結びつかないであろう。
 だが、実際にこの写真が撮られた所に来てみると、確かにひどい騒音が気になるのである。
 しかも、この場所はなんと世界遺産が数多い都市の中の名所の中の名所にして、この庭園は広大さにおいて日本有数であろう。
 まさしく王朝の雅が充分に味わえる場所のはずだが、「音景観」はほぼ最低と申してよいのかもしれない。
 その騒音たるや夜間はいざ知らず、昼間なら絶えることなしと思われた。
 いうまでもなく、その騒音の発生源はこの庭園を囲む塀の外側の大通りを疾走するクルマの大軍である。
 王朝時代も貴人たちが乗る牛車の車輪がきしむ音がなり響いたであろうが、デシベルの度数は比べ物にならない低さであったことは確かである。
 世界遺産の都市なのだから、「音景観」においても世界遺産であってほしいのが希望だが、せめて速度の大幅な規制はできないものか。

●写真は平安神宮の社殿の周囲に築庭された「神苑」

人間様の細道じゃ

2008-11-21 23:34:01 | クルマ社会の問題
 人間中心の街路が東京のど真ん中に多く残存していることに「地方の人間」である筆者が感嘆しなければならないのだから皮肉なことである。
 いま、大都会にして国際都市である大東京のど真ん中の下町が外国人や私のような地方の人間たちに大人気である。
 なぜなら、地方都市にもかつて裏通りや横丁と言われる細い街路が数多くあったのだが、今や「都市計画道路」とかいう名で多くが拡幅されたり、クルマの通行が許されたりして、クルマが通らない、もしくはクルマの通行がきわめて少ない細道が大変少なくなっているから、東京下町の細道が懐かしい郷愁を呼び覚まされるものとなっているからであり、また、外国人からは「日本的情緒」が感じられる街路として好意を寄せられるからである。
 行政の立場からはすぐ「防火・防災」の観点からクレームをつけられそうではあるが、地価が地方都市の何倍もするために道路拡幅もままならない。
 何よりも住民にとってはクルマの通行が稀であるために日常の安全度が高く、何よりも重苦しいクルマの騒音が少ないだけに清々しく解放感も大きい。また、住民相互の目が届きやすいことから防犯上の安心度も高い。
 東京の下町はクルマ社会到来以前に形成された町だから、もともとクルマは通りにくいし、東京は人口が多いだけに公共交通機関も発達しているから、住民のマイカー保有率も少ないために狭い土地に無理してまで駐車スペースを確保しようとも想わないから、下町としての街並みも崩されていない。

写真 すべて東京の谷中~根津の裏通り 

●姉妹ブログ「山形の過去、現在、未来」(←クリック)をご覧ください。

街角の喪失は現代都市計画の「成果」

2008-11-18 21:33:27 | クルマ社会の問題
 この殺風景きわまる箇所は山形駅からわずか5分ほどの東西軸と何北軸の幹線道路が交差する地点である。だが、この重要な箇所でありながら、なんとメリハリのない潤いの一かけらも風格も品位もまったく感じられない景観であろうか。
 むろん、この交差する2つの幹線道路の整備には「都市計画」の名で莫大な公的予算が投じられているが、その「成果」が県都の中心部の「顔」ともいうべき箇所のこの雑然とした殺風景な景観ということになるのだろうか。
 これもクルマ走行の利便を第一とする発想がそうさせたと申して差し支えない。


景観は抜群。でも音風景は?

2008-11-13 23:02:33 | クルマ社会の問題
 平泉と並ぶ東北地方有数の景勝地「山寺」。
 松尾芭蕉が『奥の細道』で「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の名句を詠んだことでもよく知られている。それゆえ『奥の細道』のハイライトとまで言われるほどで、名勝として国に指定されている。
 確かに境内の深い杉木立におおわれた長い石段の参道での景観も、山寺駅前からの眺めも抜群であるといえる。
 だが、境内を行き交う観光客のざわめきを別としても、やはり境内外の門前町にも多くの自家用車やバスが走行するので、結構その走行音が境内の奥深くにも響く。
 ましてや門前町でのクルマによる騒音はかなりのものだ。
 いかに風光明媚な所であっても、「音風景」もしくは「音景観」について<合格点>を付与される所はきわめて稀であろう。
 音風景が大きく減点されるほとんどの要因は「クルマの通行」であると言える。

※ 10月13日の記事でも山寺でのクルマ通行の問題を扱っています。

クルマ離れとはいうけれど・・・この有様

2008-11-11 11:35:05 | クルマ社会の問題
 河北新聞の記事にこんなのが載っていた。
 宮城スタジアムの周辺に貴重な農地や緑地を潰して2000台分の駐車スペースを設けながら、それでも駐車スペースは大幅に足りないという。
 クルマ社会対応のスポーツ施設の造成が招いた悲喜劇と言えよう。
 渋滞で「怒る」なら、スポーツ行政に怒るよりも自分のクルマ依存症に怒れ!

宮城スタジアムで9日行われたベガルタ仙台―広島戦では、渋滞に巻き込まれて試合開始に間に合わない観客が続出、スタジアム周辺の交通事情の悪さがあらためて浮き彫りになった。
 渋滞は開場1時間前の午前10時ごろから発生。時間とともに混雑に拍車が掛かり、最寄りのJR利府駅からのシャトルバスの所要時間は通常15分が、ピーク時には30分以上を要したという。仙台市太白区の会社員男性(56)は「宮スタの試合は初めてだが、アクセスは最低。満員のバスで立ちっぱなしはきつい」とぐったり。
 約2000台分を確保したスタジアム駐車場は正午ごろには満車。急きょ近隣の県サッカー場や利府中央公園野球場などの駐車場を開放して対応したが、マイカー客からは不満の声が続出した。
 仙台市青葉区の会社員木村真也さん(36)は「正午に着くように家を出たが渋滞で30分遅れ、臨時の駐車場からスタジアムまで歩いて30分。こんな会場の試合は2度と来ない」と怒り心頭だ。試合後も駐車場は大混雑。スタジアムを出るだけで30分以上も要した人も多かった。
 本拠地ユアテックスタジアム仙台(仙台市泉区)の改修工事が行われる来年は、10試合程度の開催が予定されており、混雑解消は大きな課題。クラブの安孫子博専務は「今回は至らないところがあった。いろいろな意見を集約し、次の開催に生かしたい」と話した。



電車に自転車載せるシステム

2008-11-10 11:49:50 | クルマ社会の問題
 鉄道駅のホームに自転車が、なんとマナーが悪い!自転車族のマナーの悪さがここまで来たか、などとというなかれ。
 この写真はフランスの光景である。
 以下にその模様が記されている。

デュボワのeco methode

自転車を持って電車の旅に出よう――フランスの電車・自転車事情(08/10/03)日経echolomy

きょうは、この間のフランス旅行の際に見かけた面白いものを紹介しましょう。
 両親の住むグルノーブルからパリに1日の日帰り旅行(ほとんど出張でした。笑)をしたとき、リヨン経由のTGV(新幹線)に乗った時のことです。
 ブルゴワン・ジャイユ駅(グルノーブル地方)のホームでリヨン行きの電車を待っていると、たくさんの人が自転車を持って電車を待っている光景を目にしました。
「あれ?電車が来たら、みんなどうするんだろう?!?!」
と不思議に思いながら、せっかくだから写真に撮ってしまえ、とカシャカシャ、ひそかに撮りはじめました。
 しかし、デジタル一眼レフのカメラはかなり目立つので、「ひそかに」というわけにもいかず、みんなの視線を浴びてしまい、車内だったらもっと撮りやすいかもしれない、と思って、いったん、カメラを仕舞いました。
電車のホームには自転車を持って待つ人がちらほら。
 すると、そこに1人の男性が近づいてきて、僕に声をかけてきたのです。
「あの、失礼ですが、写真を撮られている理由と、それをどうされるのか伺ってもよろしいですか?」
 びっくりして、なんだかバツの悪い気分になり、罪悪感に襲われてしまいました。
「実は僕は『日経エコロミー』という日本のメディアでエコロジーの連載をしているのですが、何かのネタにならないかと思って、よく分からないけれど、まずは、自転車を電車に持ち込む光景を写真に撮っているんですよ」
 すると、その男性の顔がゆるみ、「いやあ、あなたは幸運ですね。実は、私は地域の公共交通機関の利用者環境を改善するサービスを提供している会社を経営している者なんです。この自転車のサービスも弊社のものです。まあ、お座りください。ご説明しますよ。」と言うではないですか?!
本当にこのラッキーな出会いにびっくりしました。リヨンまでの30分間、たっぷり車中でこの社長のインタビューをさせてもらいました。
 これは、しばらく前からSNCF(フランスの旧国鉄、日本で言うJRに相当する会社)が取り組んでいる試みで、マイ自転車移動を奨励するために、自転車でのスムーズな公共交通機関利用を促すために車内の一部を改造して、駐輪スペースを設けているのだそうです。
 そうすることで、他の都市からリヨン市内に訪れる人たちや、もともと市内に住む人たちの足が車から自転車に切り替わりやすくなり、果たして車の使用量を減らすことで、市内の交通量減少に大いに役立っているとのこと。
 このサービスを利用するには、毎月数ユーロで済み、自転車大国のフランスで大成功だそうです。
 さっそく、社長ご自身の利用者カードも見せてもらい、許可を得て、社長の自転車も撮影させてもらいました。
利用料を払い、利用者カードを取得すれば、自転車を電車に乗せられる《クリックで拡大します》
 実は、話によると、このプロジェクト自体は、もともとリヨン県がSNCFにお金を出して進めたものだったそうです。
 そして、この成功例を見て、パリでも同様のサービスが始まったばかりだとか。
 先日も書いたように、フランスでは地方都市のエコ意識や運動の力が非常に大きく、それらの後押しがあってこそ、SNCFなどのような大きな組織が共に動き出すきっかけを得て、またさらには首都へと広がるケースがほとんどなのです。
 またひとつ、パリが必ずしもエコ先進都市とは限らない、という分かりやすい例ですね。

徒歩巡礼こそ神仏の霊験あらたか

2008-11-06 23:19:32 | クルマ社会の問題
 姉妹ブログ「山形の過去、現在、未来」の11月6日の記事に連動

 心の癒しを求めて霊場巡りをする人が増えている。
 最上三十三観音の第一番札所としての若松観音を訪れてみた。
 「めでためでたの若松様よ・・・」という歌詞に覚えある人は多いであろう。
 その民謡の歌詞にゆかりの寺であり、当地方の人にはかなり名の知られた寺ではあるが、決して全国レベルで有名な観光地とは言えないから、観光ルートからやや離れたこんな山深い寺を訪れる人はかなり少ないのではないかと思っていたが、かなりの人だかりであった。
 そういう私はどんなアクセスの手段であったかと言えば、天童駅からの片道約6㌔の上り道で、最後の一㌔は「古道」と称される文字通り古色蒼然とした苔むす石段や登山道さながらの急勾配の参道を合わせての行程を1時間半を徒歩で通した。
 家から北山形駅までは自転車、天童まではJR、天童駅から若松観音までは徒歩のまことに「地球環境に優しい寺参り」であった。←きざな表現と言うなかれ
 むろん、「古道」を通る者など1人もいなかった。

 私自身はさほどの信仰心は持ち合わせていないが、私以外の参拝者は全員マイカーや団体バスの利用者であったようだ。
 口では“心の時代”といいながら、直前までクルマで乗り付けて神仏に拝礼したところで、どれほどの“霊験”があるものか。
 また、そんなクルマ依存の参拝を神仏がお喜びになるとも思えない。
 スペインの世界遺産、サンチャゴ大聖堂への巡礼の旅は全行程の徒歩が正統派のようだ。こうしてこそ信仰心の高まりは一入(ひとしお)であり、霊験あらたかになろう。
 これは洋の東西、宗教の違いを超えて言えそうである。
 それにしても山深い高地の寺院なのに、門前には広大な駐車場が設けられ、それだけ神社仏閣の大切な要素である樹林が破壊されていたことを物語る。
 
●写真上①天度駅から徒歩で23分に国道13号へ ②かつての豪農屋敷の長い板塀 ③若松集落付近の果樹園 ④若松寺の麓にあった支院の跡 下⑤かつての支院で現存の本寿院 ⑥いよいよ若松寺の鐘楼が山の壁面に見えてきた ⑦これが歴史遺産としての「古道」⑧若松寺の観音堂 巡礼さんたちは関西弁 むろん団体バス利用
   以上の写真はクリックにより拡大

※ 若松寺のまばゆい紅葉と月山・盆地の眺望の写真は姉妹ブログ「山形の過去、現在、未来」(←クリック)にてご覧ください。

世界道路交通犠牲者の日(10月26日)

2008-10-30 22:18:15 | クルマ社会の問題
世界道路交通犠牲者の日
(World Day of Remembrance for Road Traffic Victims)
1993 年にイギリスのNGO(ロードピース)によって「道路交通犠牲者の日」が行われ、その後、ヨーロッパを中心に支持が広がり、2005 年10 月26日の第38 回国連総会で毎年11 月の第3日曜日を「世界道路交通犠牲者の日」とすることが決議されました。日本には、2007 年に今井博之氏により紹介され、当初は「世界交通事故犠牲者の日」と訳されていましたが、「事故」という言葉は「避けられないもの」というイメージがあり、交通犯罪は人為的要素が濃く、交通死やそれに準じる重大なものは「ゼロ」にすることができるという思いを込めて、2007 年に活動をした各交通犯罪被害者遺族団体を中心に、2008 年より呼称を「世界道路交通犠牲者の日」と改めることとなりました。
※以上、11月15日大阪での記念シンポジウムPRリーフレットより
 詳しくは、http://tav-net.com/world/lieflet.pdf

きちんとした歩道・自転車道・車道の区画の例

2008-10-27 22:28:44 | クルマ社会の問題
 自転車は歩行と比べてかなり高速だが、環境にやさしい乗り物としての評価が高まり、最近の原油高によりクルマから自転車に乗り換える人も増えている。
 だが、多くの都市の場合、自転車はどこを走れば、自転車に乗る人も歩行者も安全かおおいに迷わざるをえない。
 車道を走れば自転車にはかなり危険だし、車道に引かれた白線の左側(一応“自転車・バイクゾーン”となっている場合が多い)にもクルマが駐停車していたりして自転車の走行が妨げられることも多い。
 だからといって歩道を走れば歩行者の安全を脅かすことになる。
 そこで、これからはやはり歩道とも車道ともきっちりと区別された本格的な自転車専用ゾーンの設置が必要になる。
 場合によっては車道の車線や幅員を削減してでも「自転車専用レーン」を設置して、名実共に「21世紀は自転車の世紀」にしていく姿勢が行政に求められる。

※写真は青森市の自転車レーン(函館市のN氏撮影・提供)

芭蕉の名句と裏腹の名勝史跡

2008-10-13 14:09:31 | クルマ社会の問題
 閑かさや岩にしみいる蝉の声

 俳句にさほど関心のない人でも作者が誰かくらいは覚えている人の方が多いであろう。
 松尾芭蕉の『奥の細道』のハイライトとも言うべき名句であり、その句は現在の山形市の山寺を訪れた時の印象により作られている。
 やがて訪れる紅葉シーズンを間近にして、この度の連休の際は観光で訪れる人たちで山寺の門前町はかなり賑わっていた。
 でも人が多いことくらいでは名句のイメージはさほど損なわれるものではない。
 だが、この句のイメージが最も損なわれるのは上の写真のような場合であろう。
 これは土産物店や飲食店が建ち並ぶ立石寺の門前町の様子であるが、渋滞するクルマとクルマに押し退けられるようにして歩く観光客の姿である。
 幸いに死傷事故は少ないようであるが、歩行する観光客にとっては危険な状態であることには変わりがなく、たとえ人身事故がなくとも観光地としての印象を悪くすることも間違いあるまい。
 東北有数の観光地であるため多数の観光客・行楽客が歩くことが当然でありながら、このようにクルマも大型バスの通行も可能にさせていることは一考を要する。