goo blog サービス終了のお知らせ 

島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

色彩は超豊かにしてお色気ゼロ 新興商業ゾーン

2008-10-08 23:58:04 | クルマ社会の問題
 以下の記事もクルマ社会の進展と大いに関係があるので、姉妹ブログ「山形の過去、現在、未来」の5月の記事から転載した。写真も左に同じ

 白壁の綺麗な柳井(山口県)の街並みの強い印象が頭の中に焼きついたまま、わが山形市北部の新興商業ゾーンにでかけてみた。
「商業ゾーン」ではあるが、決して「商店街」のイメージではない。
 いわゆる店のおじさん、おばさん達の顔は見えないし、威勢の良い声も聞こえない。
 やたらに巨大で面積の広いハコモノとだだっ広い駐車スペースだけが広い土地を占拠している。すると色彩が対照的な商業施設(商店とは言い難い)が2つ、目に飛び込んできた。
 一つは、やたらにケバケバシイ色彩のアミューズ施設、もう一つはまさに積み木かカラーボックスを横たえただけのような、まさに文字通りのハコモノ的外観の書店と巨大シネコンの連結施設である。
 これらの建物も数十年後には「歴史的建造物」となりうるのだろうか。
 もう一度、山口県柳井の街並みとを見比べれば、「日本人の美的感覚」の大幅な変貌を知ることができよう。 ※「山形の過去、現在、未来」の5月1日、3日、6日の記事

蔵の街、川越で感じたこと

2008-10-02 23:09:44 | クルマ社会の問題
●姉妹ブログ「山形の過去、現在、未来」07年5月25日の記事より
 蔵の街、小江戸として名高い埼玉県川越市で最も賑わう街路は、観光客が多い蔵の街の一番街ではなく、狭隘な街路のクレアモールではないか。
 クレアモールはクルマ通行を排除した商店街で、ショッピングの市民で終日賑わっている(写真・上 この場合はそれほどの混雑ではない)。徒歩10分ほどのかなりの長距離の区間であり、またほとんどの商店は中小規模で大型店は少ない。
 川越市は東京や県都さいたま市にも近く、また郊外大型店もあろうが、このショッピングモールはこのように縁日のような賑わいを見せている。しかもクルマが締め出されているから、歩行者(ほとんどは市民であろう)は安心安全で闊歩できる。山形にもこんな街路があってほしいものだ。
 これに対して蔵店が並び江戸情緒が色濃く残る一番街はクルマの走行量が多い。だが、観光客はしきりに車道を横断したり、カメラを構えているうちに車道にはみ出してしまう。また、歩道と車道との間には段差もガードレールなどの仕切りもないので、混雑であふれる観光客はいつクルマと接触してもおかしくない(写真・下)。
 ヨーロッパの歴史的街並みならマイカー走行排除は普通だが、川越では日本有数の歴史的街並みの街区こそマイカーの走行量が多いのは観光客の1人として不可解に思われてならなかった。 [平成19年5月20日訪れる]

クルマなきいにしえの街の賑わい

2008-09-27 23:51:27 | クルマ社会の問題
 『湯殿山道中略図』  この絵は山形城下東側の中の八日町、三日町、十日町の辻界隈を描いたもののようであり、山形の画家霞峰の下絵になるものを、天保の頃に安藤広重が模写した版画である。文字通り、出羽三山の一つ湯殿山への参詣の案内図として全国に配布されたらしい。
 街の向こうに並び聳える峰々と名所は、向かって右側から、蔵王山、龍山、千歳山、笹谷峠、二口峠、山寺であり、方角が分かり易い。また、千歳山の北麓に見事な扇状地が描かれているのも興味深い。
 街道には当然多くの湯殿山参詣者らしき姿が描かれているが、その他にも実に多くの人々の往来する人々や馬が街道を賑わしている。馬や駕籠に乗るのは金持ちなど限られた者だけだが、歩行者の速度と同じにしか進めない。荷車が一台も見当たらないのは、人出が多い時は荷車の通行を控えたからなのだろうか。
 多くの土蔵が店舗の裏側に建てられているのも現在の山形の姿と同じである。
 往来の人々の中には立ち話をしているような姿も見られるが、まさに昔の道路は単に通行するだけのものではなく、人々の交流の場でもあったことがわかる。「街の賑わい」とはこんななかで生まれるものなのである。

傷だらけの街角

2008-09-25 20:30:07 | クルマ社会の問題
●「山形の過去、現在、未来」07年11月の記事を転載

 ↑ ↓ 国道112号と県道が交差する地点の東北角と東南角(歩道の内側に駐車場があるのに注目) 文章の下の写真と見比べでけらっしゃい(ください)。

 学校での虐めっ子、虐められっ子の問題が深刻化した根源は写真の景観と底流で連結しているように思えてならない。
 市街地が急速に郊外へと膨張しているということは、それだけ農地が潰されていることを物語り、農村が農村らしくなくなっているのだが、それと連動して市街地も大いに荒廃しつつある。
 特に地方都市のスプロール化(膨張)はクルマ社会の進展と表裏一体である。
 住宅地だけでなく商業施設も公共施設、学校、病院なども広い駐車場を備えた広い敷地を求めて郊外へシフトすると当然市街地はさびれ、栄えるのは「駐車場産業」のみになる。しかも、クルマ社会に適応できずに衰退した古い商店等の跡地を狙って駐車場はあちこちに乱雑に造成され、それゆえ市街地の景観は大きく崩される。
 とりわけ以前は「街の顔」であった交差点や三叉路の角地ほど景観の崩壊が目立ち、なんとも茫漠、殺風景な姿と化している。
 中心市街地が「負け組」だとしても「勝ち組」が誰かは見えにくい。ただし、市街地が虐めの対象となってきたことだけは確かである。
 ともかく、「発展」の名のもとにこのような荒涼とした都市景観しか築けないできた大人社会のもとでは子どもたちの心がすさむのも当然なのかもしれない。

シュワちゃん知事の加州の動き

2008-09-24 11:51:56 | クルマ社会の問題
シュワルツェネッガー知事とサンフランシスコの金門橋(関連HPより)

●usfl.comの記事(9/8付け)より

車社会からの脱却目指す~加州議会、新都市計画法案可決へ
--------------------------------------------------------------------------
 カリフォルニア州議会が、環境に配慮した都市計画を経済支援する法案を米国で初めて可決する見通しとなっている。
 ワシントン・ポストによると、新しい試みである「法案375号」は、連邦、州、自治体などの公共交通整備予算を人口の集中する地域から優先的に配分することで、通勤の混雑改善や車の排ガスによる大気汚染の削減を目指す内容。同州は2020年までに二酸化炭素(CO2)排出量を25%削減する目標を掲げている。
 法案を作成したダリル・スベーンバーグ上院議員(民主)らは、「20年後、人口が現在の3800万人から5000万人に増えると予想されるカリフォルニアに必要な政策」と見ている。環境重視型の都市計画を推進する民間団体スマート・グロウス・アメリカの広報担当者は、「車での移動を前提とした都市開発は、ガソリンの消費を増やすだけだという認識が全米で広まっている。法案375号は、この開発パターンを問題視している点で画期的だ」と評価している。
 シュワルツェネッガー知事も、予算案が可決された時点で同法案を承認するとみられ、州法として成立すれば、住宅や交通整備事業を管理する州内の17都市計画団体に対し、加州大気資源局(CARB)が設定する排ガス削減目標に沿って財源が分配される。目標が達成されない場合の罰則はないが、12年までには関連予算のほとんどが目標を達成した事業にだけ配分されるようになるため、強力な動機づけとなる。
 カリフォルニアは世界でも12番目に大量のCO2を排出しており、州内のCO2の約3分の1は車から排出される。06年には米国で最初にCO2排出量を規制しており、住宅、交通、土地利用を一体として考える今回の取り組みも大いに注目されそうだ。

※詳しくは、下記URLをクリックの上、閲覧を
   http://www.usfl.com/Daily/News/08/09/0908_030.asp?id=63704

山形のシンボルの里山は騒音と排ガスまみれ

2008-09-19 07:06:44 | クルマ社会の問題
 前日は千葉県松戸市の里山の保全に関する記事であったが、我が山形市の場合はどうか。
 山形市は盆地だから、市街地と農地は多くの「里山」に囲まれており、背後の蔵王や月山などの「奥山」とともに絶妙な自然景観を形成している。
 その中でも写真の千歳山は全山アカマツでおおわれ、優美な形状のゆえに神の霊も宿るように感じられる「神奈備山」でもあり、「里山」の典型ともいうべきほど山麓の山形市民に長年親しまれてきており、今でも散策する市民は多い。
 山頂からの山形市街と山形盆地、そして万年雪の月山や東北アルプスの朝日連峰の眺望は抜群である。
 だが、クルマ社会は否応なく千歳山の山麓にも押し寄せ、南北と東西の国道が交差する地点となったために、山麓からの景観悪化は言うまでもなく、散策や登山で山腹や山頂に居ても、クルマの騒音のひどさはかなりなもので、山形盆地全体が不気味な呻り声をあげているかのようである。
 また、この山には白鳳時代の阿古耶姫や平安時代の歌人藤原実方(注)の娘の中将姫、源義経を平泉に案内した金売吉次の母とされている豊丸姫の伝説が伝えられており、千歳山の「阿古耶の松」は平安貴族たちの歌枕としてもよく知られていた。
 このように雅な伝説が伝えられ、阿古耶姫と中将姫の墓と言われるものが山麓の寺にあるが、この騒音と排ガスの充満により松枯れも心配だし、姫たちは安らかに眠り続けられるであろうか。何よりも雅な伝説が秘められた優美な姿の千歳山と2つの国道とはミスマッチなこと甚だしいのである。

 ※注:百人一首の「かくとだにえやは伊吹のさしも草さしもしらじな燃ゆる思ひを」の作者であり、清少納言とも夫婦同然の関係があったとも言われ、また『源氏物語』の光源氏のモデルの1人にも挙げられている。
写真説明「上」阿古耶姫と松の精の若者との悲恋を描いた額絵 「下」千歳山と国道13号

里山と都市計画道路との関係

2008-09-18 00:53:08 | クルマ社会の問題
 千葉県松戸市の知人から、都市化が進む松戸市に残る貴重な里山が都市計画道路建設との兼ね合いで住民運動が興起している。
 現在、ここは「関さんの森」というエコ・ミュージアムとして自然、歴史、文化が学べる場として活用されており、元来は関という方の屋敷森・梅林・庭であったものだが、ここを都市計画道路を通す計画が進行されており、なんとかこの屋敷森等を守る方策はないかと多くの市民たちが智恵を出し合っているところである。

※ 詳しくは右欄のブックマークの当該ホームページ(関さんの森①および②)を閲覧ください。この森を守ろうとしている市民たちの活動状況、及び山形の市民も羨ましくなるような見事な森の写真が数多く見られます。[昨日の段階ではこの記事に写真をも登載しておりましたが、都合により外しました。]

歴史的街並みと路面電車

2008-09-15 22:41:29 | クルマ社会の問題
 一昨日の記事では函館市の新型の路面電車を紹介したが、今日はドイツの環境都市として有名なフライブルク市の路面電車を紹介したい。
 フライブルク市はまさに路面電車の先進国といった感じだが、歴史的街並みも数多く保存かつ活用しているから、歴史的街並みと環境に優しい交通体系とは不可分の関係にあるとも言えそうだ。
 古い建物なんぞ目障りだし、解体した跡地を駐車場か高層マンションにでもしてしまえというような発想は少ないようだ。

※写真は「路面電車紀行 フライブルク編」より

クルマのない時代、街は賑わった

2008-09-12 10:05:20 | クルマ社会の問題
 この記事が当ブログの最初です。ご訪問ありがとうございます。

 古い写真で恐縮だが、この写真は昭和16年のものだというから、この年の12月には日本は太平洋戦争に突入している。
 そのような緊迫した情勢下にありながら、この写真で見る街の様子は人々の賑わいで明るく華やいだ雰囲気がある。
 むろん、薄手の和服の女性たちの姿が目立つからということもあろう。
 季節的には当然、夏である。
 ここは山形市の中心市街地の映画劇場が並ぶ「・・銀座」の文字が付加されていた繁華街の一部であるが、現在はクルマの通行こそ多いものの、歩行者の姿は決して多くはない。映画館の閉鎖が相次いだだけが原因でもなさそうだ。
 それにしても、この写真では歩行者の姿が多く、まるで祭礼の縁日のようだ。
 でも、このあたりには有名な神社仏閣はないから、祭礼による賑わいでもなさそうだ。また、別の写真でも人々の往来の姿は多い。
 決して多勢の人々を動員しての「やらせ」写真とも思えない。
 別の地点での中心街の昔の写真を見ても人々の姿は多い。
 いま、全国の中心市街地から「賑わい」が消えているといわれているが、当然クルマ社会の進展に乗じた都市の拡張(スプロール化)と大型店の郊外進出がなさしめていることは間違いがなさそうである。

●姉妹ブログのご紹介「山形の過去、現在、未来」(←クリック)
   山形の歴史、古い建物、季節の風景、方言、旅行記などを紹介しています。