天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

異例の議会演説

2009年09月12日 | オバマ
 「医療への政府介入=社会主義=悪」と持論をふりかざす米保守派はこの夏、「誰が生きて誰が死ぬのか、政府の『死の委員会』が決めることになる」など、医療改革に対する強烈な抗議行動を各地で展開した。この狂想曲を収拾するため、オバマ大統領が10日夜、議会演説を行った。年頭の一般教書演説のほかに大統領が両院合同会議に向かって演説するのは、異例のこと。同時多発テロへの言及は無かったが、被害者に無保険で苦しんでいる人も多いという。

 オバマ大統領は、真面目に働く国民にきちんと医療保険を提供しない豊かな先進民主国家は、アメリカだけだと指摘。にもかかわらず、医療保険改革を巡る論議は「正直な議論ではなく、脅し作戦のせいで混乱ばかりが立ちこめてしまった。けれども「the time for bickering is over.(言い争いはもう終わりだ) The time for games has passed.(駆け引きの時は過ぎた、お遊びはもう終わりだ) Now is the season for action.(行動の季節がやってきた)Now is the time to deliver on health care.(今こそ医療制度に成果をもたらす時だ)」と明言。サラ・ペイリン前アラスカ州知事などが騒ぎ立てた前述の「死の委員会」については、「官僚が集まった委員会が、高齢者を好き勝手に殺していくだなんて、そんな批判は、冗談として笑い飛ばすにはあまりにシニカルで無責任すぎる。そんなのはウソだ。紛れもなく、明らかに」と。大統領は改めて「今の自分の保険に満足している人は何も変えなくていい」「納税者の負担を増やすことはない」と言明した。

 演説終盤で大統領は、8月25日に亡くなったテッド・ケネディー上院議員が、死後に大統領に届けるようにと生前に書いた手紙が届いた——と紹介。医療保険改革を自分のライフワークとしていたケネディー上院議員が、医療保険改革の問題は「何よりも、道徳の問題だ。問われているのはただ細かな政策の中身ではなく、社会正義の基本原理と、そしてこの国の本質なのだ」と。「the character of our country」というケネディー議員のこの言葉を、大統領はずっと考え続けていると。

 オバマ大統領は、政府に頼らず自助努力で生きていく個人主義は確かにアメリカの素晴らしい特質のひとつだと受け入れた上で、他人の立場に立って互いを思いやる、支え合うというのもアメリカという国の特質の一部だと主張。そのためには時には、政府の協力が必要だと認めるのも、アメリカという国の特質の一部だと。大きすぎる政府も危険だが、小さすぎる政府も危険なのだと。
 そして「事実や理性が打ち捨てられ、ただ臆病なだけで賢いとされてしまうような時、本当に大事なことについてお互いまともな会話すらできなくなった時、そうなってしまった時、その時点で私たちは、ただ重要課題を解決する能力を失うだけではありません。私たちは自分らしさ、自分たちの本質的な何かを失うことになるのです」と。
 オバマ大統領曰く「アメリカという国は、困難な時にこそ互いと冷静に議論し、正しい道を選択し、前進し、未来を形作る国なのだと。そうやって歴史の審判に応えていく国なのだ」と。「Because that's who we are それが私たちなので」「That is our character それが私たちの特質」なのだと。