とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

『フィフス・エステート』は“今年最悪の映画”か?

2013年12月05日 00時21分03秒 | SHERLOCK/シャーロック



《『フィフス・エステート』は本当に“今年最悪の映画”なのか?》


Kermode Uncut: Is This Really The Worst Film Of The Year?





BBCラジオ5の番組で映画レビューを10年以上しているMark Kermodeが、『フィフス・エステート』バッシングに物申しています。ざっと訳しておきます。補足、ご指摘、よろしくお願いします。


***


毎年この時期になると、この1年の良かった映画、悪かった映画の話題になります。最近「フォーブス」がやはりそういう記事を出してきたんですが、今年最悪の映画として、たった1本の名をあげました。興行的にもっとも失敗した映画として1本だけあげたんです。

さてなんでしょう。『ローンレンジャー』でしょうか?みんながほんとにうんざりした作品でしょうか?ちがいます。「フォーブス」誌によれば、コストの面でもっとも失敗したのは『フィフス・エステート』だというのです。制作費28億ドルのうち6億しか回収できなかったと。彼らの基準からするとこれは大失敗ということになる。

「ガーディアン」のMark ****(聞き取れません)でさえこの作品に3つ星をつけました。まずことわっておくと、私はガーディアンの映画批評家ではありません。ピーター・ブラッドショーです(*このあたりちょっとあいまいです)。第二に、星3つの評価はそれほど悪くはありません。同じ評価の作品は他にもたくさんあります。ピーター・ブラッドショーは、私もですが、この作品には見るべき長所もあれば問題もあると考えました。ベネディクト・カンバーバッチの演技はすばらしいというのも共通している。

確かなことは、われわれはこの映画を「最悪映画」とは到底考えなかった。今年の失敗作としてあげられた他の作品を見てみましょう。たとえばジェイソン・ステイサムの『Parker』。残念ですね、私はなかなか良いと思ったんだけど。それから『R.I.P.D』。これはかなり評判が良くなかった。でも最悪の映画と言われたでしょうか?

私が疑問に感じるのは、まず、興行的に成功するってことはそんなに重要なのか?もし映画があげた収入の大きさだけで作品の良し悪しを決めてしまうとすれば、その判断はずいぶん歪んだものになるでしょう。第二に、映画の収益というのは制作費と宣伝費が関わってくるし、劇場の収入以外、つまりテレビ放送やDVD販売、ダウンロードなどのエリアで収益をあげる映画もたくさんある。それも考慮に入れないといけないわけです。

しかし、みなさんご自身の判断はどうですか。普通に理性的な映画の評価をするとして、『フィフス・エステート』はほんとうに今年最悪の映画だったと思いますか?わたしに言わせれば、もしこれが今年“最悪”の映画だったとしたら・・・今年の映画は、ずいぶんとレベルが高かったんですね!



「真実を知りたければ、自分で探すのです。彼らはそれを恐れている。あなたを、です」---アサンジバッチ


この映画は、いまこそ、いまの日本でこそ、公開されなければいけないのです。



・・・Thank you so much Lori for showing me this video!






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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
じゅんこさんありがとう (ひろこちゃん)
2013-12-05 17:02:05
本当にいつもいつもありがとうございます、じゅんこさん。

真実を知りたくても、能力のない人間は、悲しいもんですわ。

こうなったら、なにがなんでも、どんなことしても観てみたいですわ…
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ひろこちゃんさん (ファイアー)
2013-12-07 00:31:43
コメントありがとうございます!!
ほんとに絶対に公開してもらいたいですよね。
配給する会社も、様子見なのかもしれませんが・・・
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批評家 (まゆみ)
2013-12-07 12:10:05
フャイアーさん

Mark Kermodeのクリップをありがとうございました。
先ず、聞き取りにくい部分はこういうことだと思います。

「(The TimesがForbesのニュースを取り上げて)この映画は本当にひどい。The Guardianの映画批評家Mark Kermodeでさえ三ツ星しか付けていない。」と書いていますが、先ず、私はThe Guardianの批評家ではありません。(注:KermodeはThe Observerの映画批評家) The Guardianの批評家はPeter Bradshawです。

(これは私の推測ですが、The Timesは電話盗聴で揺れたルパート・マードック傘下の新聞で、KermodeがThe Timesの報道の正確さを疑っているという意味も言下にあると思います。)

改めて、彼らがどういう評価をしているのか読んでみました。以下の通りです。三番目のリンクは、The Guradianの別の記者が書いた記事です。どれも、悪い評価ではありません。
http://www.theguardian.com/film/2013/oct/13/the-fifth-estate-review
http://www.theguardian.com/film/2013/oct/10/the-fifth-estate-review
http://www.theguardian.com/film/2013/oct/16/the-fifth-estate-julian-assange-wikileaks

私が想像するに、これが興行的にコケた今年最大の映画と決定された後、かなりの数の批評家は、必要以上に辛口の評価を与えたことを少なからず後悔したのではないでしょうか。
興行成績は良くても、くだらないゴミみたいな映画は巷にあふれているのに、製作費の回収率が悪かったというだけで、観客に考える機会を与えてくれる映画がこういう扱いを受けるのですから。

以前のコメントに書きましたが、失敗の要因は、一般大衆はアサンジに関心がないこと(特にレイプ疑惑の後は、彼に対する評価がぐっと下がりました。)、マーケティングとプロモーションが適切でなかったこと、WikiLeaksからの必死の妨害、などいくつかが挙げられると思います。個人的には、タイトルの意味の分かりにくさも要因の一つだと思っています。Fourth estateがニュース・メディアで、WikiLeaksは全く新しいメディアだからThe Fifth Estateと、知的なタイトルなのですが、一般人にはアピールしにくかったのかもしれません。

でも、興行成績が原因でこの映画の日本公開が中止されたのだとすれば、本当に残念です。今の日本にこそ必要な映画だと思いますのに。

不名誉な結果でしたが、見方の角度を変えれば、Forbesで大々的に取り上げられたことで、ベネディクトの知名度が上がった可能性もあります。転んでもただでは起きない浪速の根性を見習いましょう!(ちなみに、私の母は大阪出身です。)
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まゆみさん (ファイアー)
2013-12-10 02:34:05
まずは補足をありがとうございます!!
なるほどなるほど、まゆみさんの訳をふまえて聞き直すと、よくわかりました。
The Timesの誤ったfactsをただしておこうという意図は、確かに見え隠れしますね。
Kermodeのプロフィールなど実際間違ってるわけですしね。

そして、ガーディアンの記事へのリンクも感謝です!
なかなかここまでつっこめないので、まゆみさんの探究心に改めて頭が下がります。
このレビューだけ読むと、確かにさほどひどい評価ではないですね。普通という感じ。
むしろどちらもベネディクトとダニエル・ブリュールの演技はべた褒めだから、
普通であれば、それだけでもある程度の集客は望めそうな、その手の作品という印象を受けます。
だとすれば、The Timesの報じ方は意図的に作品をおとしめてたわけですかね・・・

まゆみさんのタイトル考もすごくうなずけます。確かにわかりづらい。
アサンジに関しては、正直わたしはそこまで知らなかった(今も決して詳しくはないです)ので、
欧米の人々にある彼へのアレルギー反応に驚いてます。
それにやっぱり、映画化する時期も早すぎたのかもしれませんね。

>今の日本にこそ必要な映画だと思いますのに

本当にそう思います。
例の法案が可決してしまったいま、ディズニーがどう動くのか、興味をもってます。

まゆみさんのお母さまは大阪のご出身ですか!
あら~親近感わきます。
わたしの出身は愛媛なんですが、大阪は長いので愛着あります。
まゆみさんは、関西にもどられたりすることはないのですか?
そんなときにはぜひ声かけてください!
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補足 (まゆみ)
2013-12-10 08:41:21
ファイアーさん

今日、この記事を見つけました。
ベネディクトの今回の興行的失敗に対するコメントです。フォーブスの記事後の彼のコメントを見たのは初めてです。やはり、彼に関してはあまり心配することはなさそうですね。
http://www.digitalspy.com/movies/news/a536961/benedict-cumberbatch-on-fifth-estate-flop-im-very-proud-of-the-film.html?rss

アメリカではブルーレイが1月下旬に出るのですが、それだと日本の機械で見られるのでしょうか。日本語の字幕はありませんが、英語の字幕は付くと思います。必要以上に酷評された映画、という評価が後年付くような気がします。

それから、母は浪花産、父は出雲産ですが、私自身は山口で生まれ育ちました。(今は、あまり大きな声で言えない出身地ですね。)
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おまけ (kuwachann-2_0)
2013-12-10 11:59:38
この記事も似てるんですが、好きな記事です。
http://www.breakingnews.ie/showbiz/cumberbatch-knew-the-fifth-estate-was-a-flop-616501.html
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まゆみさん kuwachann-2_0さん (ファイアー)
2013-12-10 13:03:30
おふたりまとめてのレスで失礼します。
このトピックはおふたりの今までのディスカッションにのっけてもらう形で考えてきたので・・・

ベネディクトのインタビューのリンク、感謝です!
これはすごーーーーくうれしいですね。
ベネディクト自身がどう考えているのか、ファンとしても一番気になっていた所ですものね。
冷静にうけとめているのがすばらしいなあと思います。
特に「この手の作品をディズニーとドリームワークスが作ることからして妙なとりあわせだった」
という分析はさすがというか、まったく同感です。
先日のキンメルライブでも、この映画のことにまったくふれなかったし、
今回の「失敗作」の烙印がベネディクトにとってタブーの話題になるのはいやだなあと思ってたので
ご本人からきちんと話してくれて、本当にうれしいです!

まゆみさん、がっつり西日本ですね~なんだかうれしいです^^
kuwachannさん、『フランケンシュタイン』のレビュー、これから読ませて頂きます!

わたしは昨日から「シャーロック」新トレイラーのsecret codeがわからず悩みに悩んでおります(笑)
返信する
You have come a long way (kuwachann-2_0)
2013-12-11 10:58:45
レターマンがベネディクトの名前を知らなかったのは5月でしたっけ?

今回のKimmelでの騒がれ方、また彼のベネディクトの扱い方をみると「思えば遠くへきたもんだ」の感慨ひとしおです。

LAでのHobbitプレミアの深紅のスモーキングジャケットはある意味で「勝負ジャケット」だったような気がします。あのフォーブスの記事の後の最初の公式の場。華やかにスマートに陰りのない顔でマスコミを相手にし、「見事だ、プロだ」と思ってしまいました。その上にご紹介した記事が出て、ますますその思いを濃くしました。

ベルリンのプレミアでも凄く騒がれてましたね。中国での騒がれ方もすごいですし。本当にグローバルなアクターになりましたね。

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kuwachann-2_0さん (ファイアー)
2013-12-15 11:24:52
まったく、レターマンの苦い思い出が遠い過去のように思えます・・・
キンメルライブは本当におもしろかったですね。
キンメルもベネディクトの名前をからかった前科を素直に認めてましたし(笑)
コナンも良かったですが、キンメルであの朗読をやられてしまうともうどうしようもないですよね(笑)

ベルリンでは、とてもリラックスしていましたね。
赤と青のベルベットスーツ!ノックアウトでした。
マーティンにパパとの電話を渡してご挨拶とか・・・もうたまりませんでした^^
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