とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

S3E1"The Empty Hearse"(空の霊柩車)レビュー2

2014年01月16日 21時54分04秒 | SHERLOCK/シャーロック



Source: http://shockingblankets.tumblr.com/


あかん・・・レビューは第1話をやってるんだけど、最終話His Last Vowが毎晩のように観たくなって、あかん・・・マジすごすぎるよ、このラストエピ・・・



***以下の内容はネタバレしています。「シャーロック」第3シリーズ未見の方は十分ご注意下さい***


レビュー1


全世界が待ちに待った第3シリーズ第1話、そのオープニングは、これ以上はとても望めないというくらいに、すごかった!!!




Sherlock and Molly kiss scene (The Empty Hearse-S03E01)

うっひょー!!!




シャーロックがびよーんびよーんとヨーヨー状態になってるあたりから、もー何度リピしたことか(笑)かっこよすぎて死ぬ!


シャーロックが髪を律儀にととのえてモリーにキスしたシーンは、きっと地球規模で悲鳴があがったことでしょう。宇宙ステーションのクルーもびっくりだったかもしれません。ファンガール/ファンボーイたちは、あの瞬間、皆がモリーに感情移入しまくった!


キスしてる時の窓外をチェック!ドリーズーム(ヴァーティゴ・ズーム)の撮影が使われてます。

ドリーズームとは
How to do the Dolly Zoom - Alfred Hitchcock Effect







結局、このオープニングシーンは、日頃ハリウッドアクションを観過ぎな(たぶん)アンダーソンの妄想だったわけですが・・・もうね、作り手、遊び過ぎ(笑)視聴者をじらしすぎ!


それにしても第3シリーズのモリーは大活躍でしたね。ジョンとの感動の再会(=シャーロック脳内妄想)が大失敗に終わり、ひとり221Bにもどったシャーロックは、相棒にモリーをスカウトする。前回レビューのコメントにいただいた通り「ジョンにならなくていい、君らしくいて」というシャーロックの言葉が素敵でした。


このシーンって、ひょっとして「エレメンタリー」をパロってる??だって、モリーは一日女ワトソンをつとめるんですから(全3話を通じて、ジョンの鏡像としてのモリーという位置づけがされてきているように感じる)。


しかもうれしいことに、モリーはなかなかよくやってる。考えてみれば、彼女は解剖医で頭のいい人なのですよね。いわゆるリケジョなのだ。天井の振動で頭上に線路があることにすぐ気づくし、死体の鑑定もできるし、非常に鋭い。その気になれば、立派にシャーロックの相棒をつとめられそうなくらい、有能。


だけど・・・どんなに有能でも、彼女はジョンではない。「ジョンにならなくていい」というシャーロックの言葉は、じつは諸刃の剣で、モリーはどうがんばっても、ジョンにはなれないのです。シャーロックの頭の中には、つねにジョンの声が響いてるし、シャーロックはまちがえてモリーをジョンと呼んだりする(Bastard!)。


鉄道オタク君に聞き込みに行くシーンも、ある意味残酷でした。シャーロックと心が通じたと思っても、ちょっとした一言をモリーは理解することができない。微妙なすれちがいを、どうしてもうめることができない・・・


階段の下でのふたりの会話に、わたしは泣きました。モリーはいまごく普通の人と、ごく普通の恋愛をしている。でも、彼女の本当の想いは、いまでも、きっとこれからもずっと、シャーロックの中にある。そんな存在が、どんな人にもいるものでしょう・・・モリーがどんなにシャーロックを好きだったか。それがしみじみと感じられて、わたしは泣きました。


モリーを見つめるシャーロックの、慈愛にみちた瞳。でもそれは、決して恋愛には成長しない類いの愛なのです。


ただ、そんな目でモリーを愛おしくみつめることができるようになったシャーロックは、前よりもすこしだけ大人になった。以前は、モリー=死体調達係くらいにしか、思ってなかったもんね・・・(笑)


このモリーとの捜査シーンと、あとで出てくるジョンとのシーンをくらべてみていただきたい。“火あぶりの刑”にされかけた翌日、ジョンは221Bを訪れます。事件のことをふたりでちょこっとしゃべっただけで、シャーロックはたちまち見落としていた手がかりに気づく。


そう、ジョンはシャーロックにとって、誰にもかえがたいインスピレーションなのですね。ミューズなのです。


ちなみに、このシーンにシャーロックの両親であるワンダ・ヴェンサムティモシー・カールトンが登場したのは、びっくりしました!「マミー」は今期かならず出てくるだろうとは思ってましたが、まさかまさか、ベネディクトのほんとのご両親を起用するとは!!

(このカメオ出演については、日本のメディアですでに公表されてしまったので、残念ながら日本の放映を待つファンにはサプライズではなくなってしまいました。どーしてそういうことをしちゃうかな・・・)


「なんか・・・普通の人たちだね」と、ジョンが肩すかしをくってましたが、わたしも実はそうでした。ベネディクトのご両親だというのは驚いたけれども、ホームズ兄弟の親ならもっとエキセントリックなはずじゃ?と、正直ちょっと失望した。後のエピソードでは、ここらあたりをとてもうまく処理してくれて、結局このキャスティングは大成功したのですが、それはまた後の話・・・






シャーロックの両親の服装が、まるでシャーロック&ジョンのようだと、あるファンが指摘してました。ほんとだ!!!(ファンの観察眼はすごいね~)




この時点で、シャーロックはジョンに対して、まだシュンとなってます(この前夜にジョンを絶体絶命の危機から救ったにもかかわらず!)。レストランで再会するまでは「ケーキから飛び出しちゃおか?」とか「ジョンの人生って何よ?『オレ様=ジョンの人生』っしょ」とか、相当高飛車だったシャーロックですが(笑)


ジョンの激怒が、よほど意外だったんでしょうね。そして、自分の行動が(ジョンのためだったとはいえ)ジョンを深く傷つけてしまったことを知ったのですね。しかも、マイクロフトの言う通り、ジョンは自分とはちがう“人生”を選んでしまっていた・・・


ここから、シリーズ3話を通じて追求される《シャーロックの成熟》というテーマが始まるわけです!



次回は、マイクロフト、フィリップ・アンダーソン、モリアーティ、爆弾、メアリーにふれます・・・って書くべきことが多すぎるよ!ざっくりレビューのはずが、全然じゃん!












http://bbcone.tumblr.com/















(Screen shots provided by Atsuko Tachibana)







明日発売のEntertainment Weeklyのグラビア。
この号欲しいんですけど!どうやったら買えるの!
(Source: http://www.ew.com/ew/gallery/0,,20775898,00.html










最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Dolly Zoom! (まゆみ)
2014-01-17 11:54:34
冒頭の、シャーロックが007と化したシーンには、私も悲鳴を上げた地球上の視聴者の一人ですが、窓の外のDolly Zoomは、フャイアーさんに指摘されるまで気付きませんでした。確かこのシーンの窓の部分はグリーン・スクリーンだったので、それはこの効果を挿入する為だったのですね。何と凝った作りでしょう。大感激しています。今回のシリーズは、前回よりも予算があるんだな、というのが随所にわかる画面作りでした。

ちなみにゲイティスは、007と鉄道オタクでもあるのだそうです。奥が深い人ですねえ。

ところで、私の密かなシャーロックのMummyのイメージは、ヘレン・ミレンだったのですが、実際にワンダ・ヴェンサムのママを見てしまうと、妙に納得してしまいました。原作では、ホームズの祖母がフランス人画家の妹で、彼の特異な才能はアーティストの血筋から来ていると説明していますが、(『ギリシャ語通訳』)それをそのまま使っても充分説得力があると思いました。

原作の引用で嬉しかったのは、クライアントが忘れて行た帽子を推理する場面(『青い宝石』)と、『空き家の冒険』でホームズがワトスンの前に古書店の老人に変装して現れる時に持っていた3冊の本を、ジョンの患者がDVDと雑誌で持っていた場面です。

また、シャーロックとマイクロフトがOperationというゲーム(今は成人している私の子供たちがよく遊んでいた昔からあるゲームです。)で遊んでいる場面が、E3に伏線として現れているというのを指摘しているファンがいて、いやはや、恐れ入りました。いくつも層になった緻密な脚本を語ることは何と楽しいことか。また、語る場を提供して下さっているフャイアーさんに大感謝しています。
返信する
まゆみさん (ファイアー)
2014-01-18 00:27:31
こちらこそ、まゆみさんのコメントで理解が深まっております。感謝です!

>確かこのシーンの窓の部分はグリーン・スクリーンだった

そうだったんですね。なるほど!
細部までほんとにていねいに作っていますよね~

ゲイティス師匠は多趣味ですね。ホラー映画への造詣も深いし。
確か『フランケンシュタイン』の監督ジェームズ・ホエールの評伝を書いてたと思うんですが。
すごく読んでみたい。

>シャーロックのMummyのイメージは、ヘレン・ミレン

ファンがキャスティングしてましたね!わたしも秘かに彼女が出てくれるのを望んでました。
でもビッグネームは使わないという方針みたいですね。
『シャーロック』では両親も理系ということになってますね。
仰るように芸術家の血統もあったらおもしろいのになと思います。

>古書店の老人に変装して現れる

これは笑っちゃいましたねー!しかもポルノ・・・
British Birdsとか、ポルノのタイトルが原作そのまんまなんですよね。
ファンの指摘で気づきましたが。ゲイティスらしいわ~(笑)

>Operationというゲーム

欧米のお子さんがみんなやるゲームなんですね。
なんであのシーンであれを・・・と思いましたが、
確かにE3につながってるのですね・・・WOW!
返信する
深いいわあ。。 (ひろちゃん)
2014-01-21 01:04:35
もう、フィアーさんとまゆみさんの会話には、口を挟めないです。
もちろん、いい意味でですから誤解のないように。
お二人とも深いですねえ、感心を通り超えて感動いたします。

とにかく、ひたすらお二人のコメントを楽しませて頂きます。
返信する
遅ればせながら (ひか)
2014-05-26 16:48:35
やっと、3をNHKで見ました。
冒頭のキスシーンにやられ、地下鉄の車両のなかのやりとりにやられ、激怒したジョンに笑わされ、
この感動を誰かと分かち合いたい!!!
と思ってここに至ります。
特にあのキスシーン…後半のほっぺにチュもだけど、
悶絶ものでした。
はああ。。。かっこいい。
返信する

コメントを投稿