とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

陰陽師2

2006年04月28日 14時06分11秒 | 日本的電影
『陰陽師2』(滝田洋二郎監督 2003 日本)


いまなぜか野村萬斎がマイブームとなってます。
取り上げますのは『陰陽師』の続編の方。

**ちょっぴりネタばれしてます**

<あらすじ>
時は平安。空に異変(皆既日食)が起きて以来、都では人々が鬼に喰われる事件が起きていた。右大臣藤原安麻呂(伊武雅刀)の娘・日美子(深田恭子)は「鬼もおそれるおのこ姫」と呼ばれる男勝りな姫。彼女も、空の異変以来、夜な夜な屋敷を徘徊するようになった。右大臣の依頼を受けた都きっての陰陽師・安倍晴明(野村萬斎)は、親友の源博雅(伊藤英明)とともに調査に乗り出す。そのころ都には、人々の病を霊力で癒す幻角(中井貴一)と呼ばれる祈祷師がいた・・・


巷では、なぜかとっても不評の、この続編。わたしは結構楽しめたんですけどね~。

映画自体の出来としては、「1」よりはずっとよくできてると思う。
「1」はストーリーがいまいち見えなかったし、何よりテンポが悪かった。
「2」では原作者の夢枕獏さんと共に、滝田洋二郎監督も脚本に加わったためか、そのあたりはかなり改善されてます。

今回の敵役である幻角も、加害者でありながら、同時に朝廷から迫害された被害者でもあるという、複雑な設定になってるし、深キョンの姉と弟・スサ(市原隼人)との姉弟愛も胸を打つし。

ただ、それに力をいれすぎちゃったために、肝心の晴明の活躍が少なくなったのが、不評の一因かもしれません。やっぱりみんなが求めてるのは、晴明=萬斎さまの人間ばなれした魅力ですからね~♪

萬斎さんについては、もう絶賛・激賞・称讃・崇拝があちらこちらで書かれてますので、いまさらごちゃごちゃ言う必要もないでしょう。まさに萬斎さんの当たり役、この役をやるために生まれて来たなこの人は!て感じで。
これほど色気のある役者さんって、最近いませんよ、ほんとのところ。

んでもって、やはり日頃狂言の舞台で鍛えてらっしゃるからか、殺陣が本当にきれいなんですよね。「1」の方ではワイヤーアクションも楽々とこなしてらっしゃったし。

アクションといえば、この映画のアクションの少なさを不満とするレビュアーも多い。
でもなあ~主役は陰陽師だし、あんまりチャンチャンバラバラやるのもねえ。

同じような伝奇ものといえば『魔界転生』あたりが浮かびます。あれも、天草四郎に扮した沢田研二の色気や、薬師丸ひろこのアイドル性があり、それプラス真田広之、千葉真一、志穂美悦子らJACによる派手な剣戟もありました。
その迫力には負けてるかもしれないけども・・・『陰陽師』のアクションは、これくらいでちょうどいいんじゃないでしょうか。

おそらく、そういうフィジカルな面を補うために、「2」では野村萬斎の"女舞い"を目玉にしたんではないかな。わたしも観る前は、これがいちばんの楽しみだったんです・・・けど・・・

ちょっと期待とはちがってたかな??ちょっとメーク濃すぎ?
萬斎さんのせいじゃなくって、女装のさせ方の問題かと・・・

女装する直前の、晴明が髪を長く垂らして、アマテラスをよみがえらせようとしている姿が、わたし的にはいちばん色っぽかったなあ。

このシーンでの、親友・博雅のセリフがいいんです。
「お前が命を賭する時に、黙ってみている俺であるとおもうか!」
「お前が死ぬと言うなら、この博雅も共にゆく。あの世であろうと、お前がいるなら恐れはない」
・・・くうーっ泣かすぜ!

映画での晴明と博雅の関係は、シャーロック・ホームズとワトスンを意識しているのは明らかでしょう。超人的な晴明=ホームズには、おだやかでのんきな博雅=ワトスンが必要なんですよね。

それにしても、平安時代がこれほどエキサイティングな舞台になれるとはね。
『陰陽師』シリーズは、日本の娯楽作品として、貴重な存在です。エンドロールではオマケとして、萬斎さん舞踊姿を見せてくれるなど、ファンへのサービスをしっかりしてくれているのも嬉しい。

ぜひ第3作も作っていただきたい!ていうか、萬斎さんが観られるなら何でもいい♪(←アホ)


最新の画像もっと見る