とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

間宮兄弟

2006年06月21日 20時35分30秒 | 日本的電影
『間宮兄弟』(森田芳光監督 2006 日本)


『明日の記憶』を早く観なきゃならないんだけど、まだしばらくあちこちで公開されているみたいなので、大阪では今週いっぱいでレイトショーにまわってしまう『間宮兄弟』を先に観ました。
待望の森田芳光新作だぜ!

これ、森田芳光ファンにはたまらない一本でしょうね。ある意味集大成というか、森田芳光が原点に立ち返ったような。

彼の作品をまだすべて観ているわけではないわたしでも、『家族ゲーム』や『そろばんずく』のセルフパロディを見つけてニヤリとする場面が、いくつもありました。

そういえば、『そろばんずく』でも、自分の監督作『メインテーマ』のテーマを、とんねるちゃんに歌わせてたなあ。監督、そういうの好きなんだなあ、きっと。

主人公は、間宮昭信(佐々木蔵之介)と徹信(ドランクドラゴン塚地武雄)の兄弟。30過ぎても、同居生活。めちゃめちゃ仲良し。
それぞれちゃんと仕事を持っていて、ある程度の収入もあり、温泉行ったり、フィギュアを集めたり、紙ヒコーキを作ったり、カレーパーティを開いたり、ビデオを観たり、横浜ベイスターズを応援したりして、人生をそれなりに楽しんでいる。
いちおう、可愛い女の子たちも気にはなるんだけど・・・「いい友だち」以上には、なれないふたり。

それにしても、森田芳光という人の映像センス(カット割り、シーンのつなぎ方)が、わたしは大好きです。

いつまでも学生の自主制作みたいな稚拙さを残しながら・・・いや、たぶんそんな子供っぽさをわざと演じて、斬新になりすぎる自分をどこかでセーブしているんでしょう。その恥じらいというか、奥ゆかしさが、たまらなく好き。

『それから』を観れば一目瞭然なように、森田芳光の脚色の才能は疑う余地がない。なのに、ことばに頼るんじゃなく、映像で語らせようとする姿勢が好き。それでいて「見せ過ぎない」ところが、また好き。

森田芳光という人は、「いま」をとらえる視線をしっかりもった人だと思う。これは、まさに「わたしたち」の物語なのです(原作は江國香織の小説)。

間宮兄弟は、何も起こらない静かな自分たちだけの生活を、楽しんでいるように見える。でも、本当は、それはいつこわれてしまうかわからない。もしこわれなくても、平和ではあるがさびしい生活だ。

そんな「わびさび」な兄弟の生き方(とは、つまり「わたしたち」の生き方)に、監督は安っぽいメッセージを貼りつけたりは、しない。「いま」を映しとって、観客の前にほうり投げるだけ。『家族ゲーム』のラストがそうであったように・・・。

主演のふたりが、すばらしい。それを取り巻く女性たちが、常磐貴子、戸田菜穂、沢尻エリカと美女揃いなのも、目に楽しい。

ひさびさに見た高嶋兄が、いい味だしてた。そして、そして、なんと中島みゆきがっ!

お時間あれば、ぜひレイトショーへ。公開終わっちゃったら、ぜひDVDで。


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