ねるとん紅鯨団とはなんだったのか(1)から、ずいぶん時間がたっちまいました・・・
今回のテーマは、予告通り、「視聴者参加」だっ!
ネットでよく、
「もしあなたが食わず嫌い王決定戦に出るとしたら、どんな料理を食べますか?」
といったアンケートを(食わず嫌いに出られるわけないにもかかわらず)やっているのを見かけます。
見かけるたびに「そうねえ、わたしなら・・・」なんて(出られるわけないのに)つい考えてしまうんですが(笑)
でも「ねるとん紅鯨団」の場合は、出られる可能性はないことはなかった。
むしろ、誰でも出演のチャンスがあったと言っても過言ではありません。
放送当時、思春期および適齢期をむかえていた方なら、きっとみなさん一度は考えたことがあるはず。
「もしねるとんに出たらぁ、特技とか好きな芸能人とかなんて言おうかなー♪」って。
わたしの記憶が確かならば、1970~80年代は視聴者参加型番組花盛りでした。
クイズ番組、スター誕生系番組、バラエティ番組にお見合い番組。
それらに出演した一般視聴者の数って、かぞえてみたら膨大な人数になるんじゃないでしょうか。
そもそも、「パンチDEデート」や「ラブアタック」といった伝統的なお見合い番組は、基本すべて視聴者参加だった*し、いまでも「あいのり」等、形を変えて生き残っています。
(*「ラブラブショー」という芸能人お見合い的な番組はありましたけどね。ほぼ台本通りだったんだろうと思いますが、実際結婚したカップルもいました。そういえば最近も、タイトル忘れちゃったけど、タレントが1日デートする番組がありましたね)
そう考えると、お見合い番組って、テレビ番組の形態としてはものすごく息が長いんだなあ・・・
それはさておき、ねるとんもまたお見合い番組の伝統を受け継いでいるため、視聴者参加だったのは当然です。
じゃあ、従来となにがちがったのか?
と、つらつら考えるに、やっぱり答えはコレしかない → とんねるずが司会だった。
アタリマエダローバカタレガ、と言われそうですが、結局ここが重要なんですよ。
とわたしは思うんですよ。
素人のおもしろさ---とんねるず言うところの「トーシロ」あるいは「一般ピープル」のおもしろさ---を、とんねるずほど熟知していたタレントはまれです。
ねるとん当時もだし、現在でも。
素人いじりをするタレントさんもたしかにいるけれど、とんねるずのスタンスとはどこか決定的な温度差がある。
もっとも関西には「探偵!ナイトスクープ」もあり、おもしろい素人が多くの番組をささえているという事実はあるので、すこし前言を言い換えると---
全国区あるいは関東のタレントで、とんねるずほど素人を大事にするタレントはいない。
それは、「とんねるちゃんって素人にもやさしい♪」とか、「タレントと一般人の垣根をとりのぞいたパイオニアだ!」とか、そういう意味ではないんです。
もっと単純に、「おもしろいものは、おもしろい」という原則が、とにかくハッキリクッキリしているのがとんねるずだ、ということ。
この原則を適用するなら、相手が素人だろうとプロだろうと、どこのどなただろうとかまわない。「笑いの前に万人は平等である」というのが、とんねるずのスタンスのような気がする。
だからこそ、ねるとんはあれほど人気をよんだんじゃないでしょうか。
タカさんもノリさんも、ねるとんのロケ現場ではただひとりのタレントだったわけですが、彼らが全力をつくしたのは、素人さんたちの中にひそむおもしろさをいかに引き出すか、ということでした。
彼らと同じ目線で、あるいはアニキとして対等に接し、感情移入し、応援するとんねるず。
その様が、見ているわたしたちをも本気にさせたんじゃないでしょうか。
おもしろいなあと思うのは、ねるとんを見ていた芸能人の中から「自分も出たい」という声があがった、ということです。
普通、逆ですよね(笑)
「主」はあくまで素人であって、芸能人は「番外」である。だから芸能人大会は「ねるとんね紅鮭団」。「鯨」より「鮭」のほうがちっちゃいもんね(紅鮭団の名前のほんとの由来は知らないんだけど)。
ここに、ひとつの価値の転倒、つまり新しい価値の創造があったわけです。
とんねるずがこういうスタンスをとる理由は、彼らが素人として「お笑いスター誕生!!」に出演して、そこからプロになったという出自が関係しているのは、確かだと思います。
んが、おなじような経緯でデビューしたタレントさんは、あの時代他にもたくさんいたわけで、そんななかなぜとんねるずだけが・・・
と、この疑問はまた別の機会に考えることにしましょう。
1990年代に入り、あれやこれやの事情で、視聴者参加型番組は激減しました。
ひょっとすると、視聴者参加が減ったことが、いまのテレビをつまらなくした原因のひとつなのかも?・・・という気もしないでもないです。
地方のローカル番組をのぞいて、いまおもしろい視聴者参加番組といえば、NHKの「ケータイ大喜利」くらいじゃないですか?
この番組自体は好きでよく見ます。ただ、実際やってることは深夜ラジオと同じであって、「テレビとして」おもしろいのかどうかというと、判断がむずかしいかも。
さんまさんは、いまも地道に視聴者を生かす番組をなさっていますよね。
「スーパーからくりTV」とか「明石家電視台」(関西地区のみ)とか。
しかしたとえば「Mー1ぐらんぷり」は、プロアマ問わず参加可能というのが一応のタテマエですが、どうやらそれも有名無実化している。
それらとの比較でいうと、「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」には、とんねるずらしさがあると思うんですよね。
もちろん芸人さんの出場が大勢をしめながらも、一般参加者も多い。
というより、一般参加者がふつうに優勝しちゃったりしている(笑)
「おもしろいものは、おもしろい」のです。
帝京高校の同級生であれ、スタッフであれ、電器屋の社長であれ、石垣島の漁師であれ。
いやむしろ、芸能界に毒されていない一般ピーポーのなかにこそ、新しい笑いはひそんでいるはず。
だから、ねるとんはおもしろかったのだ。
次回のテーマの、予定は未定。
でも、かならずやります!
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