とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

エノケンのどんぐり頓兵衛

2006年03月08日 23時04分11秒 | 日本的笑世界
『エノケンのどんぐり頓兵衛』(山本嘉次郎監督 1936 日本)


エノケン初体験♪

中古ビデオで観ました。
それにしても、どうしてこんなにおしゃれなんでしょう?時代劇にジャズやクラシックのナンバーがふんだんに使われていて、その曲に乗せて役者たちが歌うヘンな歌が笑える(笑)。時代劇と現代劇のボーダーなんて、ヒョイと飛び越えてしまうエノケンさんの軽快さ!

ガマの油売りに始まり、大太刀の居合い抜きなど、徹底的にインチキ商売をつらぬく親分・どんぐり頓兵衛(榎本健一)。偶然居合い抜きのショーを見ていた侍に仕官を乞われる。下賜する石高をさんざんつりあげさせて、ほいほいついていった屋敷で、こずえ姫にホレてしまう。が、御前試合でころっと負け、追い出され。何とか姫を嫁にもらおうと、姫の父親に直談判するが、揉み合う内に事故で父親が死んでしまう(ここ、少しフィルムが切れている)。姫や家臣から、親の仇と追われる羽目になり、逃亡の旅へ。
そこでも、うそっぱちの生き神治療で旅費をかせいでいた頓兵衛だが、偶然姫の一行に出くわす。宿の中を逃げ回る頓兵衛。やっとこさ逃げ出すが、姫への恋情たちがたい。
と、突然「殿!」とかつがれて、またまたある武家屋敷へ。下へもおかぬもてなしをされるが、実は命をねらわれている本物の殿の影武者にされたのだ!どうなる頓兵衛!?


小林信彦さんが、喜劇役者の真価は逃げ方でわかる、と書いてますが、『どんぐり頓兵衛』を観ると、ほんとにそうだな~と思います。エノケンさんが宿の中を、右へ左へ、上へ下へと逃げ回るスピード、身の軽さはすごい!

セリフも気が利いています。

「自慢じゃねえけど、おれは、女にかけちゃあ、絶対モテねえ自信があるんだ!」
「なるほど、親分の自信はてえしたもんだ」

「このオタンチン!少しはインチキってもんを考えろ」
「頓兵衛親分のやることに、インチキでないもんはねえんだよ」

「ワシのインチキには相当自信があったんじゃが、こずえの姿を見ると目がくらんで…やられちゃった」

などなど名セリフの数々(笑)。
小柄な体から発するその声の、よくとおること!
20年来女に縁のなかった頓兵衛が、姫を一途に想う姿のいじらしさ…。
きっと人々は、映画館でエノケンを観て、思いきり笑って、スカッとして、笑顔で帰っていったんでしょうね。わたしもいつか映画館のスクリーンで観てみたいなあ。

映画そのものも、テンポよくキレよく。一方では恋人たちがパラソル(?)をさして唄う恋の歌のシーンのオシャレなこと!特撮を駆使したダブルエノケンの取っ組み合いも見応えあります(これどうやって撮ったんだろう?)。

もしも、エノケンさんの伝記映画が作られるとしたら…だれが適役だと思いますか?わたしは、ノリさんかナイナイ岡村さんのどっちかだと思うんですが、どうでしょう?

容姿と雰囲気は岡村さんがそっくり。だけど、エノケンの芸達者ぶりや、歌う姿を見てると「ああこれノリさんにやってもらいたいなあ」と思わずにいられませんでした。エノケンさんの晩年をも演じきることができるのは、ノリさんっきゃいないでしょう!


(画像はCD「唄うエノケン大全集」のジャケット)





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