とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

<カッコいい>という価値

2007年03月07日 15時04分33秒 | ワンフー日記
とんねるずのことばには、「カッコよくありたいね」「…はカッコ悪いからやりたくないな」というようなフレーズがよく出てきますよね。

「カッコいい/カッコ悪い」という価値が、彼らの判断基準の大きな位置をしめているような気がします。

物心ついたときから、わたしはとってもミーハー。だから、カッコいいヒーロー・ヒロインにとっても弱い。とんねるずに魅力を感じたのも、彼らの「カッコよさ」のためだと思う。

若くて、背が高くて、ある意味ハンサムで。それなのにいつも大暴れして、おもしろくて。文字通りカッコいいルックスをもったお笑い芸人さんに初めて出会って、ショックを受けたのです。

でも、とんねるずとのつき合いが長くなるにつれ、彼らの「カッコよさ」は外見だけじゃないんだということが、わかってきた。とんねるずの本当の「カッコよさ」って、何だろう?


ワンフーのみなさんそれぞれにとって、いろんな「カッコよさ」があるでしょう。とんねるずはそんなタレントだと思います。わたしにとっては、まず、とんねるずが自分たちのことを語らない、ということがカッコいい。

もちろん、帝京高、自転車屋、センチュリーハイアット、成増、などなど、彼ら自身の(芸人)人生をシンボライズする記号は、たくさん提示してくれます。その量は、他の芸人さんたちよりもはるかに多い。でも、それは彼らが「自分自身を語る」ことにはなりません。

たとえば、人生観や、芸にたいする思い、芸能界への意見、私生活について・・・数多の成功した芸能人が、年をとるごとに語りはじめてしまうようなことを、彼らは決して語ろうとはしません。なぜなら、そうやってみずからをさらけだし、理屈をこねくりまわすことが「カッコ悪い」から。

そうして口を閉ざすことによって、彼らは「スター」になれたのだと思う。なにもかもさらけだすことを強要する現在のテレビにおいて、さらけださないことによってみずからを守った、とんねるずは最後の「スター」なのかもしれません。


もうひとつ。とんねるずの「余裕」がカッコいい。「売れる」ということに対して、彼らはいつでもどこか醒めている。本心はともかく、タレントとしては、「売れることがすべてじゃない」と「カッコつけて」いる。それが、わたしにはとっても「カッコいい」のです。

そりゃあ、若い頃は、「売れるため」にがんばっていたでしょう。番組の視聴率も気にしていたし、オリコンの順位だって気にしていた。だけど、「数字」への野心を彼らほど(特にタカさんほど)あからさまに公表する芸人が他にいたでしょうか?それは、芸人としてはこれ以上ないくらいに正直な態度でした。

と、同時に、それは彼らの「ネタ」でもあった。数字がとれるのは、うれしい。でも、そのために必死になるのは「カッコ悪い」。

彼らは、いつもワンフーにむかって「オレたちの数字を上げるために頑張ってくれたまえ」と(もちろんジョークで)呼びかけていましたよね。「オレたち、頑張りますからヨロシクおねがいします」ととんねるずが言うのを、すくなくともわたしは聞いたことがありません。もしも彼らが一言でもそんなコメントをもらしたとしたら、わたしの心はとっくに離れてしまっていたでしょう。


とんねるずのこのスタンスは、年をとるごとに強くなっているように思えます。

ノリさんのユニット・あじさいの「ことばなんていらない」に、こんな歌詞があります。

もう これ以上 遠くへは行けない
冒険は似合わない
でも いまなら戻れるはず
おまえともう一度 何かできるはず


時は流れる。その流れには、誰もさからえない。
それを肌で感じ、「カッコよさ」を重要な価値と考えるとんねるずは、「これ以上遠くへは行かない」ことを選択する。それは、当然のなりゆきでしょう。

いまさら視聴率にこだわるのも「カッコ悪い」し、昔のコントを「復活」させるなんて、もっとカッコ悪い。きっと、やろうと思えばできるのでしょうが、彼らが過去を繰り返すことにとても慎重になっているのを、いつも感じます。

そんないまの彼らをも、やっぱりすごく「カッコいい」と、わたしは思う。ただ、ここにとんねるずのジレンマがあることも、やはり事実ではないかとも思いますが・・・。


「カッコいい」という価値は、決してあなどるべきではありません。カッコつけることは、あさはかでも何でもない。それは、志を高くもつことであり、誇りをもつことです。妥協せず、自分をおとしめず、どこまでも自分らしさを貫くことです。

とんねるずは、そんな芸人だと思う。とんねるずには---とんねるずにだけは、いつまでも「カッコよく」あってほしい。そして、わたしもカッコよく生きていきたい・・・彼らのように。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今後とも遊びにこさせてください。 (けいこ)
2007-03-12 20:27:14
こんにちは。お引越しお疲れ様です
yahooの方にこちらの記事がもう無かったのでこちらにコメントさせていただきます。
とんねるずに魅かれたきっかけというのがまさにファイアーさんと同じです!だからうれしくなって。
「かっこいいお笑いさん(しかもめちゃくちゃおもしろい)に初めて出会った衝撃」私もまさにこれでした。
ちなみに私の中のとんねるずのかっこよさは、
媚びない・群れない・邪道
昔からこの3つが頭にあります。 
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けいこさん (ファイア-)
2007-03-21 22:32:14
おこしくださって、本当にありがとう

>媚びない・群れない・邪道

まさにその通りですね。そんなとんねるちゃんのかっこよさは、25年以上たったいまもまったく変わってなくて、それがまたファンにはたまらなくうれしかったりしますよね♪

お引っ越し後もあらためてよろしくおねがいします。
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