『Mr.Boo!』シリーズで知られる香港の喜劇俳優リッキー・ホイ(許冠英)が、11月8日心臓発作のため亡くなりました。65才の若さでした。
リッキーの死を伝える現地香港のニュース映像↓
蘋果日報 - 20111109 - 許冠英家中猝死 終年65?
本当にびっくりしました。ショックです。悲しいです。
いわゆる“とんねるず世代”のなかでも年長の世代のみなさんのなかには、子どもの頃『Mr.Boo!』シリーズのファンだったという方は多いのではないでしょうか。80年代初頭に日本で大旋風をまきおこし、フジテレビのゴールデン洋画劇場ではほとんど隔週で放映してたんじゃないかってくらい、ひんぱんに観ていた印象があります。広川太一郎大先生による吹替えが超おもしろかったというのもありますが、主演のマイケル・ホイ、サミュエル・ホイ、リッキー・ホイの3兄弟も大人気でした。
わたしは当時はちょっと幼すぎて、彼らの名前まではしらなかったんだけど、もちろんMr.Boo!は大好きで、放送日を心待ちにしてたのをおぼえています。とりわけ、小柄でおどおどしたリッキーの風情や、あの微妙な長さの段カットのヘアースタイルは鮮烈におぼえていました。
実はとんねるずも、というか特にノリさんは、若い頃広川太一郎風の言い回しをよくギャグにとりいれていたんですよね。「~しちゃったりなんかして」的なやつ、ね。Mr.Boo!が人気だったころ、とんねるずは高校生だから、部活が忙しかったとしても、ぜったい観てたと思うんだよね。そして、ぜったい好きだったはず。だってあんなにおもしろかったんだもの。
大人になって、友達と香港映画の話が出たりすると、「また観たいな~Mr.Boo・・・」と嘆息していたものです。2005年に日本でついにDVDボックスが発売され、ふたたび観ることができたときは、ほんとうにうれしかった。ちょうど個人的に香港映画愛にめざめていた時期でもあったため、それまでよく知らなかったホイ兄弟の歴史などを一気に勉強したりして、彼らへの親しみを深めたのでありました。
リッキーは日本で特に人気が高かったという話を聞いたことがあります。インテリの兄マイケルや、イケメンの弟サミュエルとくらべると、いかにもしょぼくれて情けなく、お世辞にもスターとは呼びづらい頼りない風貌が、逆に母性本能をくすぐるのか、庶民の共感を呼んだのか。
Mr.Booシリーズでは、リッキーの役柄は難聴だったり色盲だったり、吃音、ムチウチ、となぜか常にちょっとしたハンディを背負わされているが、可愛いヒロインをかっさらっていくのはいつもリッキーなんですよね。
それが観ていて非常にうれしかったりする。
これまた日本で人気だった『霊幻道士』にも出演していました。
ホイ兄弟におけるリッキーとは、いわばビートルズにおけるリンゴ・スターのような存在かもしれない。輝けるスターではないけれど、彼がいないとみんなが困る。リッキーはそんな存在でした。マイケルの知性や、サミュエルの容姿とおなじように、リッキーの情けない風貌は喜劇の神がリッキーに与えた天分でした。
しかし、情けない外見に似合わず、実は兄弟のなかでいちばんの武闘派だったリッキー。70年代に数々のカンフーアクションを作ったスタジオ、ショウ・ブラザーズの出身で、若い頃には『ワンス・アポン・ア・タイム英雄少林拳』や『空飛ぶギロチン』といったカンフー映画にチョイ役で出ていたことも。ジャッキーの『奇蹟ミラクル』にもちらっと顔を見せています。香港映画レビューサイト「成こ家班」さんの『奇蹟ミラクル』のレビューでは、リッキーのリッキーたるゆえんを実にあざやかに解説してくれています。興味のある方はぜひご一読ください。
しかし・・・まだ65才だぜ・・・若すぎるよ。
どうやらリッキーは生涯独身で、晩年には心臓を悪くしていたらしい。亡くなった日も、付き人さんと一緒に病院へ行く予定だったのだとか。約束の時間になっても連絡がつかず、自宅に入ったところ、すでにベッドの中でこと切れたリッキーが発見されたとのこと・・・
これでもう、ホイ兄弟の新作映画を観ることはできなくなってしまった・・・CGでも駆使しないかぎり(涙)
リッキー、ありがとう。
あなたのあったかい笑いで元気づけられたこと、けっしてわすれない!
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『新世紀Mr.Boo! ホイさまカミさまホトケさま』
『ホンコン・フライド・ムービー』
『Mr.Boo!』
ファンによるリッキートリビュートビデオ↓
許冠英 Ricky Hui Tribute
Hui Brothers, forever...
この私だってコンユという韓国俳優に恋をし
ハングルを習っている昨今。
だけど心の本籍地は香港です。
ホイ兄弟。
香港映画の歴史の一部です。
ご冥福をお祈りします。
記事にしてくれて多謝。
ごぶさたしています!
コメントありがとうございます。
ほんとに、ショックですよね・・・
ちゃんとしたファン歴自体は短い自分も、昔からの記憶にしっかりホイ兄弟は生きてます。
香港映画の歴史の一部、まさにそのとおりですね。
ぬくぬくさんはハングルを学んでらっしゃるのですね~
韓国映画は知識不足なのですけど、いい俳優さんがたくさんいますよね。
ニッポンもがんばっていただきたい。