悠歩の管理人室

歩くことは、道具を使わずにできるので好きだ。ゆったりと、迷いながら、心ときめかせ、私の前に広がる道を歩いていきたい

不断草

2013-06-27 21:58:59 | 読書

山本周五郎の「日本婦道記」に「不断草」という短編がある。中でも好きな一編だ。
昨日に続いて「武士の一分」の後半を見る。最後の場面で、「不断草」を思い出した。
「不断草」では、故あって離縁された妻が、目の見えない義母が一人で暮らす家に、
身分を偽り、下女として入り世話を続ける。
義母には知られないように世話をするが、終盤、不断草のおひたしを食べながら、
離縁になった嫁であることに、とうに気がついていたというところで終わる。
「武士の一分」では、中間が飯炊き女として雇ったのが、離縁した妻であった。
飯を食い、「芋がらの煮物」を食べて、妻であることに気がつくという設定である。
映画は、藤沢周平の「盲目剣谺返し」が原作であるとのこと。
原作と映画でどの程度内容に違いがあるのかわからないが、ちょっと「ぱくり」かなと?
少なくとも、映画はその可能性が高いような気がする。
食事がきっかけとなり、盲目の登場人物が相手を知るという場面に、その気配を感じた。

近々、「不断草」、「盲目剣谺返し」を読み返してみたい。

なお、不断草はこの時期に収穫できる野菜らしい。